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霞が関の本省庁にかかわる情報を掲載します。出典を明記しますが、問題があれば国公一般まで連絡ください。職員からの情報もお寄せください。

2006628Wed   公務員5・7%以上、2010年度までに純減を決定 「読売」
 政府は27日午前、行政改革推進本部・政策金融改革推進本部の合同会議を首相官邸で開き、2010年度までに一般の国家公務員(33万2034人)を1万8936人(5・7%)以上、純減する計画を決めた。
 30日の閣議で正式決定する。
 今回の計画は、先の通常国会で成立した行政改革推進法に盛り込んだ「5年間で5%以上の純減」の目標を具体化するものだ。
 国土交通、農林水産、法務、厚生労働、財務の5省15分野で1万3936人を減らすほか、退職による減員の補充見送りなどの定員管理によって5000人以上を削減する。
 これに伴い、省庁をまたいで人員配置を調整するため、来年度からの4年間で2908人を他省庁に配置転換する。 

2006628Wed   「専門スタッフ職」導入を検討 政府の天下り対策案 「朝日」
 中馬行革担当相は15日、首相官邸で小泉首相と会い、天下り対策として、国家公務員が定年まで働ける「専門スタッフ職制」導入を柱とする公務員制度改革案を報告した。中馬氏は記者団に「9月までに整備していくことを報告し、了解を頂いた」と語った。政府は次の臨時国会以降、可能な対策から順次法整備を図る方針だ。
 「専門スタッフ職制」は幹部登用を前提とせず、専門的な業務に従事する。給与法を改正して人件費を抑える。勧奨退職の慣行を見直し、本人が希望しない天下りを減らす狙いがある。
 同時に、国家公務員の総人件費削減を進める必要もあるため、民間企業に転職しやすい環境も整える。天下りした職員が入札関連の情報を漏らすなどのケースを罰する法整備も進める。
 このほか随意契約を原則一般競争入札に移行させるほか、公益法人への再就職を制限する対象を全職員に広げる。


2006628Wed   学生も「官から民へ」 公務員志願が激減 「朝日」
 今年度の公務員試験を志望する学生が大幅に減っている。官庁や自治体は、景気の良い民間企業に学生が流れたと見ており、「バブルのころに似てきた」との声も漏れる。しかし、「官から民へ」の小泉改革こそが公務員離れの一因を作ったとの皮肉な見方もある。
 今年度の志願者は、国家公務員1種(法律・経済・行政)で前年より13.6%、2種で22.6%の減。地方公務員も、東京23区(事務職)で12%減った。
 「民間の採用が早まり、4月から学生に内々定が出ている。内々定をもらうと受験をやめてしまう」と人事院の担当者は話す。
 資格・就職の予備校、Wセミナー(東京)の集計では、事務・行政系の採用枠は国家公務員こそ微減だが、地方自治体は首都圏1都3県の都県庁や政令指定都市で合計35%増えた。団塊世代の大量退職への対応と、近年採用を抑制してきた分の人材を確保する必要もあるからだ。
 公務員試験の受験者の増減は景気と連動する。国家公務員2種を例に見ると、バブル期は低調。90年代に入って景気が後退すると、今度は人気が上がった。
 今回の受験者減は、バブル再来の兆しか。中央大学法学部の今村都南雄教授(行政学)は、それだけが原因ではないとみる。「郵政が民営化されて宅配便会社との違いがわからなくなったように、『官から民へ』『小さな政府』の小泉改革で、これからは役所では面白い仕事ができそうもない、と学生は敏感に感じ取っている」
 教授のゼミでは、2年生のうちは公務員志望者が多いが、3、4年になると激減するという。


2006615Thu   キャリア官僚 志望急落のワケ/『上昇志向』も官から民へ 「東京」
 キャリア官僚といわれる国家公務員1種の二〇〇六年度採用試験の申込者が過去最低となった。景気回復による民間企業の採用増加に加え、国家公務員の採用減などが要因とみられるが、公務員の総人件費抑制や定数削減など、取り巻く環境も厳しい。キャリア官僚を頂点とする公務員人気急降下の理由は−。 (吉原康和)
 国家公務員1種の〇六年度採用の二次試験が今月下旬から一斉に行われているが、中央省庁の人事担当者の顔色はさえない。

■定数削減響き採用減が必至
 昨年度は1種全体で三万千百十二人が申し込み、千六百七十四人が合格、うち六百四十八人が採用された。しかし、〇六年度は、今国会に上程中の行政改革推進一括法で公務員の総人件費、定数削減が政治課題となる中、採用減が必至とみられるからだ。
 さらに、採用試験の申込者自体の大幅減も著しい。
 人事院によると、〇六年度の申込者は二万六千二百六十八人で、バブル全盛期の一九八九年度の二万七千二百四十三人を下回り、現行制度となった八五年度以降で過去最低となった。
 前年度対比四千八百四十四人(15・6%)減という落ち込み幅も、六二年度以降過去最大だ。
 申込者数は平成不況の九六年度の四万五千二百五十四人をピークに、年々減少傾向にあるが、大幅減の理由は何か。
 人事院の担当者は「民間企業の内定が早まっていることもあるが、景気回復で民間企業の採用意欲が高まっていることが一番の理由」と指摘する。
 製造業を中心とする主要企業の旺盛な採用意欲の背景には、来年度から本格化する団塊世代社員の大量退職に伴う大量補充もある。しかし、公務員志望者が景気回復で民間企業へのシフトを移しただけなのか。
 「景気がよくなったから、民間企業へ、という単純な話ではない」と話すのは、公務員の転職支援サイト「役人廃業.com(ドットコム)」を主宰する山本直治さん(31)=ペンネーム=だ。
 山本さんも文部科学省の元キャリア官僚。昨年春、在職六年で退職、現在、都内の民間会社で人材コンサルタントとして勤務しているが、山本さんは「私が入省した時は『不況期だから、安定した公務員に』といわれた時代。しかし、ずっと不況期に育ってきた私たちの世代ですら、決して公務員は安住の場所ではなく、逆に民間よりお先真っ暗ということに気づいていた人もいただろう」と振り返る。
 では、なぜ国家公務員に?
 「教育制度を改革したいと思って文部省(当時)に入り、内部から新しい意見を出して制度を変えられると思った」と話す山本さんだが、転職理由も明確だ。「役所の組織は大きすぎ、職場幹部の一言で決まる『年次主義』が物を言い、若手がいかに議論を提起しても『あの若造が…』となる。組織内部で外に向けて情報発信することも困難。組織や人事の停滞、閉塞(へいそく)感から、中にいて変えられないのなら、外へ出て自分を試したいと思うようになった」と強調する。

■役所の閉塞感 幻滅した末に
 公務員の転職支援活動で、これまでインタビューやメールなどで接触した、公務員からの転職者は延べ約四十人。「役所が嫌で辞めるタイプと、外で自分を試したいタイプに分かれるが、(転職理由で)共通しているのは役所の閉塞感。転職の成功例をどんどん発信することで、官民の相互理解を深め、人材流動化に一石を投じたい」と話す。

 一方、現職組はどう受け止めているのか。

 申込者数が過去最低になったことについて、中央省庁のある中堅官僚は「量の問題だけでなく、質の問題だ。転職できる能力がある人が役所を辞めていくケースが過去に比べて増えている状況から判断して、優秀な学生は最初から民間に流れているのではないか」と分析。「いわゆる『キャリア』志望者に優秀な人材がこなくなる懸念が出てきている」と危機感をあらわにする。

 敬遠される理由についても、「私が入省した当時は、世の中を動かしているのは官僚だという自負があった。しかし、世の中を変えるということに対して、今の若い世代が魅力を感じているかどうか。部下の辞職願を受け取った時に、話を聞いてみると、『もっと自分の能力を伸ばせる仕事に就きたい』『国会待機や政治家案件の下請け仕事を将来も続けるのは嫌だ』という声も多く、『辞めるな』と言えるほど、魅力がある仕事ではなくなっている」とシビアに分析する。

 公務員全体を取り巻く環境への不満も強い。「人が増えないのに、仕事が多く、国会待機も長い。夜になって、突然、質問の通告をしてくる議員も相変わらずいて、残業が増え、役人一人あたりの負担は増すばかり」とため息をもらす。

 旧労働省出身で、兵庫県立大学の中野雅至助教授(行政学)は、国家公務員の人気低迷の要因について「公務員試験の受験者層を二つに分けて考えると、一つは民間と掛け持ちで『なんとなくキャリア官僚を』というように明確な目的意識がない層だ。この層は景気回復と公務員リストラで進路を見直したにすぎない。だが、もうひとつの東大生を中心とする官僚予備軍と呼ばれる層が、キャリア官僚を忌避しだしたとすると問題は深刻」とした上で、その背景について「キャリア官僚の社会的地位の低下が大きい」と指摘する。

 東大生をはじめとする中央官庁志望者は権限・権力志向が強く、キャリア官僚の社会的な地位の高さにひかれる者が多い。しかも、終身雇用の日本でキャリア官僚は数少ない「若くして活躍できる職場」だったはずだが、繰り返される汚職や談合など公務員自身のスキャンダルもあって社会的地位は下落する一方だ。

 中野助教授は「天下りやセクショナリズムなど、公務員自身ですら問題と思う課題さえ自ら解決できない役所への幻滅に加え、『官から民へ』といった自らの権限や仕事、やりがいを削るような仕事ばかり増えていることへの不満もあるだろう」と指摘。その上で、今後、さらに強まるとみられる民間志向への変化に注目する。

■能力を試せる企業へ流れる
 「経験上、キャリア官僚志望者は『安定しているから』という理由で中央省庁を選ばない。それだけ能力にも自信があるだろう。そうであれば、『税金で食べている』と文句をつけられない民間企業で、自由に金を稼ごうという発想になるのは自然の流れだ。自分でリスクを背負う起業家だけでなく、今後、金融・法曹関係などの知的プロフェッショナルが、米国のように巨万の富を稼げる職業になるならば、この傾向には歯止めがかからなくなるだろう」

<デスクメモ>
 社保庁の年金保険料不正免除問題で、役人はどこまで腐ってしまうのだろうと思う。あるのは組織的な保身だけだ。一方で、「霞が関」を中から改革しようという、若手キャリア有志の動きが本格化した。将来、有能な人材が入りたがる役所に変われるのか。社保庁をみると、だいぶ「壁」は厚そうだが−。


2006615Thu   行革推進法などが成立 効率化へ数値目標掲げる 「朝日」
 行政改革推進法が5月26日午前、参院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。「簡素で効率的な政府」に向け、政府の規模を縮めるため今後10年間にわたる数値目標を掲げている。歳出削減の徹底は、将来の増税をにらんだ環境整備という側面もある。
 同法は政府系金融改革、独立行政法人見直し、特別会計改革、公務員総人件費削減、国の資産債務圧縮の5分野が柱。5年間で国家公務員の定員を5%以上純減することや、08年度に8政府系金融機関を一つに統廃合することなどを明記している。
 また、規制改革の一環として役所が手がけてきたサービスを官民競争入札にかける「市場化テスト」を導入する公共サービス改革法や、所管省庁別の許可制を廃止する公益法人制度改革関連3法も成立した。公共サービス改革法と公益法人3法には、民主党も賛成した。


2006615Thu   都:「特勤手当」を見直し 10月実施方針、削減額は3億円超 「毎日」東京
 都は5月23日、著しく危険だったり困難だったりする仕事に対して職員に支給する「特殊勤務手当」について、知事部局の現行14種類のうち1種類を廃止し、12種類を減額などで見直す方針を決めた。知事部局分の削減額は2億4900万円で、今年度当初予算の特勤手当の約11・7%にあたる。見直しは教育庁、警視庁、東京消防庁でも行い、全体の削減額は3億円超とみられる。都は6月6日開会予定の都議会定例会に関連条例の改正案を提出する。可決されれば、10月から実施する。
 都が特勤手当の大掛かりな見直しをするのは、7種類を廃止するなど約12億円分を削減した03年度以来3年ぶり。
 知事部局で廃止されるのは、臨海部でごみの埋め立てに携わる職員に1日250円が支給される「清掃業務従事職員特殊勤務手当」。労働環境の改善が進んだと判断した。一方、「交替制勤務者等業務手当」については、土・日曜勤務(1日1100円)、準夜勤務(同230円)の部分をそれぞれ廃止し、年末年始勤務(12月29日〜1月3日、1日1800円)も支給を年始だけに限り1回1000円に減額する。
 教育庁も、▽交替制勤務者等業務手当▽船員勤務手当▽放射線業務従事手当――の3種類の見直しを図り、計約870万円を削減する。
 地方自治体の特勤手当を巡っては、総務省が04年12月に実態調査の結果を発表し、重複受給などの問題点を指摘した。世論の厳しさも増しており、都は当初今年度から始める予定だった見直し作業を昨年5月からに前倒しし、労働組合との交渉を重ねてきた。


2006615Thu   トップには閣僚 「公務員削減調整本部」 「東京」
 政府は5月23日、国家公務員定員の5%以上純減(実質的な削減)を円滑に進めるために本年度中に新設する「国家公務員雇用調整本部」の本部長に、連合が要求している首相ではなく、閣僚を充てる方向で調整に入った。複数の政府関係者が明らかにした。来週行われる政労協議で、連合側に打診するが、連合が反発する可能性もある。
 雇用調整本部は公務員削減に必要な配置転換や新規採用抑制を、労使合意の下で円滑に進めるために設置する政府内の連絡調整機関。本年度から5年間、実施計画などを年度ごとに策定し、実行する。
 国鉄分割民営化の際に設置された雇用対策本部長は当時の中曽根康弘首相が務めた経緯がある。このため連合側は、公務員削減が本人の意向に反した配置転換や労働条件悪化につながらないよう首相が本部長に就任し、政府一体で雇用対策に取り組むよう求めていた。
 これに対し、政府は今回の公務員削減は国鉄民営化ほど多くの余剰人員は伴わず、民間に再就職させる必要がない上、小泉純一郎首相は9月に退陣する意向を明言していることから閣僚を充てることが適当と判断した。

2006615Thu   公務員の基本権で協議難航も 「NHK」
 公務員制度改革をめぐって政府と連合は、民間と比べて大幅に制限されている公務員の労働基本権のあり方について検討することで合意していますが、連合側が、労働基本権をより広く認める方向性を確認したうえで具体的な検討を始めるよう求めているのに対し、政府側は慎重な姿勢を崩しておらず、協議は入り口から難航することも予想されます。

 政府は、行政改革の柱の1つである公務員の人員削減を進めるためには、労働組合側の理解が不可欠だとして、中馬行政改革担当大臣ら関係閣僚が連合の古賀事務局長らと協議を行い、連合側の求めに応じて、現在は民間と比べて大幅に制限されている公務員の労働基本権のあり方について検討する場を新たに設けることで合意しています。
 具体的な委員の構成や設置時期などは、今月、予定されている協議で決めることになっていますが、連合側は、まず公務員に団体交渉権やストライキ権といった労働基本権をより広く認める方向性を確認したうえで具体的な検討を始めるよう求めています。
 これに対し政府側は、「公務員の労働基本権の範囲を広げるかどうかは白紙で、まず公務員が担うべき、仕事の範囲などを整理すべきだ」として、労働基本権の拡大には慎重な姿勢を崩しておらず、協議は入り口から難航することも予想されます。


2006615Thu   官のリストラ/能力ない人 退職勧告 「東京」
 身分保障の厚い壁に守られて簡単には“クビ”にできなかった公務員の世界に、退職勧奨や分限免職を検討する動きが本格化してきた。鳥取県では勤務評定が2年連続で最低評価だった職員5人が自主退職に追い込まれ、北海道庁は「適格性を欠く職員」に対し、本年度中にも分限免職の適用に踏み切る構えだ。財政赤字を背景に、加速する官のリストラの功罪は。(吉原康和)

 「公務員はよほど悪いことでもしない限り、安泰と思われがちだが、そもそも不適格な職員に給与を払うのは税金の無駄遣いだ。法律にも『悪いことをしなくても、能力のない人は辞めてもらいます』となっているのに、これまでは『人が人を評価するのはいやだ』と言って、これを発動しなかっただけ。チェックや評価がない組織は弛緩(しかん)する」
 三年前から独自の勤務評定に基づき、二年連続で最低の評価を受けた職員に自主退職を勧める「退職勧奨」を取り入れている鳥取県の片山善博知事は、こともなげにこう言い切る。
 同県では、知事部局の約三千人の職員について、複数の管理職が実績や企画力、やる気など十四項目をチェックし、五段階で評価する。病気の場合などを除き、低い評価の職員は訓練・教育プログラムを受け、それでも改善が見込めず、二年連続で最低の評価を受けた場合、自主退職を勧告するシステムだ。
 二〇〇四年度にこのプログラムを受けた職員十四人のうち、二年連続で最低ランクの評価を受けた非管理職の職員五人に対し、県が自主退職を勧めた結果、二十歳代一人と五十歳代二人の計三人が昨年三月末に、残りの二人も今年三月末に退職した。
 残りの九人のうち、プログラムで評価がまだ改善されない三人についても、同県職員課では「最終的な取り扱いは決まっていない」としながらも「今後も改善が見込まれなければ、退職勧奨だけでなく、分限免職の対象にもなり得る」と“リストラ”に踏み切る可能性も否定しない。

■『不服ならば争えばいい』

 鳥取県職員連合労働組合の山中達生書記長は「本人が納得の上で退職したのであれば、組合が口をはさむ問題ではない。ただ、本人の意思に反して分限免職処分が適用されるような場合は、本人と相談の上、対応していく」と話す。
 だが、片山知事は「基本的には職員個人と任命権者の問題で、労使の交渉事ではない。処分が不当と思えば、不服申し立てもできるし、徹底的に争えばいい」と淡々と手続きを進めていく考えだ。
 大分県でも職員の勤務評定制度を一部改正し、昨年十一月から評価の低い職員に評定結果を伝えた上で、「特別支援プログラム」による研修や指導を実施。改善の見込みがないと判断された職員に退職勧奨する制度の導入に踏み切った。
 背景には、〇八年度までに職員定数を10%(約四百六十人)削減する方針を決めている、大分県の厳しい財政事情がある。
 同県の照山龍治人事課長は「結果として自主退職を促される職員もあろうが、あくまでも職員一人一人の能力の底上げが狙いで、職員のクビ切りが目的ではない」と強調する。もっとも、分限免職の適用については慎重で、「和歌山、島根の両県では免職処分の対象にした職員から、県が不服申し立てを起こされている。不適格性などを法的に証明するのは難しく、今回は退職勧奨止まり」と話す。

 一方、こうした勤務評定ではなく、分限免職の適用を念頭に、手続きを進めている自治体もある。

 知事部局の職員数が二万人を超える北海道庁では〇四年十月、「適格性を欠く職員等の分限免職に関する取り扱い方針」をつくっているが、分限免職に至る流れの概要はこうだ。

 職場の所属長は、勤務実績不良や適格性を欠くと判断した職員について、一年以上の言動などの人事評価記録をつけ、報告書を総務部長に提出する。総務部長は必要な調査の上、副知事を長とする適格性審査委員会に諮問し、同委員会は免職に相当するのか、矯正措置が必要であるのかなどを審査する。

 矯正措置が必要と判断された職員については、総務部長がその理由や分限免職の可能性を伝える。その上で、対象職員は三カ月ずつ二度にわたって職場内研修を受け、あらためて同審査会が適格性などを審査し、免職相当と判断されれば決定となる。

 すでに、所属長がリストアップした、業務処理能力や協調性などに欠ける職員四人については、昨年度から勤務状況の記録を取っている。本年度中にも、矯正措置などの手続きを踏んだ上で、分限免職を視野に処分を決定する方針だ。

 これに対し、自治労全北海道庁労働組合(全道庁)の木村美智留書記長は「対象職員について組合は把握していない」と戸惑いながらも「そもそも所属長に適格性を欠く職員はいないといえるのか。現時点で恣意(しい)的な運用が排除されているとは言い切れない」などと指摘、今後、監視を強めていく考えだ。

 これまで地方公務員の免職は、法令違反をしたり、長期の所在不明であるなど、処分理由が明白な場合に限定的に行われてきた。いまや、従来の労使慣行の枠を超えた取り組みが急速に広まっている。

 「最近の公務員批判は『働かないわりに賃金が高い』といったレベルではなく、『公務員をリストラする具体的手段として分限処分がある』といった厳しいものに変質しているのが特徴だ」と話すのは、「はめられた公務員」などの著書がある兵庫県立大学の中野雅至助教授(行政学)だ。

 この背景について、中野助教授は「公務員のサービス意識のなさや非効率な仕事ぶりだけでなく、累積する財政赤字と増える国民負担、身分保障に守られた公務員の年功序列型賃金への国民の厳しい視線がある」と指摘、その上で「なし崩し的に公務員のリストラを行うことには疑問を感じる。第一に、リストラを行うのであれば、リストラの原因ともいうべき財政赤字を招いた幹部の経営責任がまず問われるべきだ」と主張する。

 同志社大学の新川達郎教授(地方自治論)は「本来、地方公務員法には、勤務実績が良くなかったり、能力不足である人の是正措置を試み、場合によっては免職もあり得るという考え方がある。日常的に法律を反映した人事管理ができていないことの方が問題」と指摘、その上で課題を挙げる。

■客観的で公正手続きが必要

 「免職に結びつくような重大な処分を行う制度として、現在試みられている仕組みが適切かどうかは、まだまだ検討の必要がある。個人攻撃や政治的な思惑で悪用されないようにすべきだ。とりわけ“勤務実績の不良”を誰が報告し、その妥当性は誰がチェックするのか。客観的で公正な手続きによって、処分が決定されなければならない」

<デスクメモ> 命短し恋せよ乙女…。ブランコを揺らし主人公が口ずさむ。黒沢明監督『生きる』の名場面だ。無気力な定年間際の地方公務員が余命半年とわかり、住民が懇願する公園造りにまい進する。人間の尊厳を描き、事なかれ主義も痛烈に批判した。主人公の志村喬さん、時代が今なら先にリストラされちゃうのか。

2006615Thu   今夏ボーナス73万1259円 主要企業 平均3.7%増見通し 「産経」
 民間調査機関の労務行政研究所は5月27日、主要企業の今夏のボーナス見通しと四月入社の初任給動向をまとめ、発表した。ボーナスは景気回復を反映し、全産業平均で前年同期比3・7%増と三年連続で伸びる見込み。初任給も、前年より引き上げた企業が全体の二割に達し、給与の上向き基調が明確になってきた。
 東証一部上場で今夏のボーナスが決定した企業170社の夏季一時金妥結水準は、全産業平均で73万1259円。
 好調な輸出が業績拡大につながり、一時金の水準を押し上げたとみられる。
 製造業が4・1%増と好調で、特に鉄鋼が10・5%増える。地金相場の上昇を背景に非鉄金属も9・7%増となるほか、機械も9・7%増。非製造業は2・0%伸びる見通しだ。
 東証一部上場の主要二百三十三社の初任給は、大卒が0・3%高い二十万二千三百二円、高卒が0・2%高い十六万二十三円と、いずれも二年連続で上昇。
 過去数年、九割以上の企業が据え置いていたが、業績回復や団塊世代の退職に伴う採用意欲の高まりで、19・7%の企業が初任給(全学歴)を引き上げた。


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