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社会保険庁の解体的改革と保険料の
強制徴収を国税庁に委託する動きに反対する

……… 全国税労働組合第3回中央執行委員会声明
 2006年12月3日 ………

 政府は2008年10月をめどに社会保険庁を廃止して、国の特別な機関である「ねんきん事業機構」に移行させる「ねんきん事業機構法案」を「社会保険庁改革関連法案」として国会に上程しているが、これを廃案とし、新たな改革法案を提出する方向に急転回している。
 新たな改革案はまだ具体的なものではないが、社会保険庁の「解体・分割」を印象づけるため、同庁を国の組織から切り離して非公務員型の公法人に作り替え、業務の大半を民間企業に委託し職員をリストラすると報道されている。
 また、保険料の強制徴収については、厚生労働省が国税庁に強制徴収を委託して徴収させる案が浮上している。

 社会保険庁改革は、そもそも2004年6月に保険料アップと給付の大幅引き下げをはじめとする年金制度大改悪法が自・公両党の強行採決により成立したが、その審議過程で国会議員やタレントの保険料未納問題が表面化して国民の批判がたかまり、その年の参議院選挙で自民党が大きく後退する結果となった。この結果を受け、未納情報をリークしたのは社会保険庁職員であり、「社会保険庁は解体しかない」「職員を辞めさせろ」など、自民党が異常な政治介入をしたことに端を発している。
 また、「官から民へ」の行政改革による公共サービスの切り捨てと、民間に年金・医療におけるビジネスチャンスを与える小泉構造改革は、社会保険庁改革を目玉に位置づけた。
 こうしたもとで政府は社会保険庁長官に民間人をつけ、組織改革と並行して業務にノルマを強要する運営改革を進めた結果、国民年金保険料の免除にかかわる不適正な事務処理の蔓延が発覚して政治問題化し、社会保険庁の「解体」的組織改革に拍車がかかったものである。

 社会保険庁改革は社会保障の充実を目的とするものではない。真の狙いは一連の社会保障制度改悪と一体化した社会保障費の削減であり、民間への切り売りである。公務員削減、人件費削減も目的とされている。国民に更なる負担やサービスの低下をもたらすことは火を見るより明らかである。
 掛金本人負担・本人請求に基づいて給付する方式の社会保険制度はそれ自体問題をはらむが、掛金の徴収から給付まで一連の管理・運営が不可欠であり、その体制こそ制度の安定と継続、国民サービスの充実につながる。
 いま従事している公務員を追い出し、民間委託や国税庁への委託で実務を処理しようという構想を実行するとなれば、運営や処理の非効率を招くとともに、国税庁の本来業務の停滞を招くことは必至である。このことは社会保障制度に対する国民の不安や不満の増加を招き、更なる未納層の広がりすら懸念される。
社会保険庁職員を組織する全厚生労働組合は、サービスの低下や不適正な業務を余儀なくさせた国の責任を明らかにし改善を求めるとともに、民間に委託せず、社会保障の実施は国の機関が責任をもって行うことを主張している。私たち全国税労働組合中央執行委員会は、全厚生労働組合の主張を全面的に支持する。あわせて非効率と本来業務の停滞を招くことになる保険料強制徴収の国税庁委託方式を採用しないことを求め、ここに表明するものである。