2010年11月10日
国税庁長官 川北 力 殿
全国税労働組合
中央執行委員長 藤平 和良
非常勤職員の処遇改善を求める要求書
非常勤職員の処遇については、近年大きく変わってきている。本来正規職員と均等に処遇すべきところを、以前からあったのは「署長の腹一つで簡単に首切り」の事態であった。これが各地で顕在化し、非常勤職員への差別、非常識との闘いが広がる中、一昨年(2008年)の人事院報告は賃金ベースの基本から改定するよう指示し、それを基に昨年7月からの画期的な時給単価アップが実現した。しかし、喜びもつかの間、「単価アップの予算は確保した」(国税庁窓口)といいながら、その後全国各地で勤務時間・日数カットが相次ぎ、社会保険加入の打ち切りや有給休暇付与日数の削減も発生するあらたな仕打ちに怒りの声が全国から寄せられてきた。
昨年9月の緊急申し入れ書で指摘した事態は現在も多く残されている。その中での一番の問題は「雇用期間は3ヶ月で、年4回契約更新を重ねる」という国税庁の特殊な採用の仕方であった。全国6600人余りに及ぶ非常勤職員の身分を不安定にし、モノ言わせぬ仕組みとなり、他省庁と比べても際立っておかしな雇用形態であった。
昨年12月から今年2月まで、四谷税務署に於いてはこの制度を利用した不当な「雇い止め」の策動が続いた。全国税四谷分会に寄せられたこの「雇い止め」の動きに対し、分会初め各級機関と国公一般、新宿地区国公、新宿区労連などは機敏な闘いを起こし、この不当解雇の動きを阻止してきた。国会でもこの「3か月雇用の異常性」が問題となり、当時の菅財務大臣もその調査を約束した。
8月10日の人事院規則改正では、再度非常勤職員の処遇が改善され、日々雇用の非常勤職員は雇用期間原則1年の「期間業務職員」となり、各税務署で勤務する「パートタイム職員」への準用規程も盛り込まれた。
これを受け、国税庁は9月10日、非常勤職員の雇用について10月1日から見直し、「パートタイム職員」の@「3か月更新」を廃止し、雇用期間を1年とすること、A雇用中断期間を設けないこと、B結果として、1年を通じて年次休暇を取れるように改善することを非常勤職員と労働組合に伝達した。当然ながら、すべての非常勤職員に歓迎されるものである。
今後は毎年3月が更新期となり、更新が続けば雇用中断がなくなることから1月から12月まで休暇は取得可能となる。こうした情勢の進展を踏まえて、非常勤職員の処遇改善につき以下の通り実現するよう強く求める。
記
1 非常勤職員の賃金について
|
(1) 基本となる給与は「税務職1級7号俸」とすること。 |
|
(2) 最低賃金法の規定を踏まえ、時給1,000円以上とすること。 |
|
(3) 経験年数を加味した非常勤職員を対象とした俸給制度を作ること。 |
2 社会保険加入と休暇取得の拡充等について
|
(1) 加入要件を満たした場合には、雇用保険、社会保険、厚生年金に加入させること。併せて、加入資格の喪失につながる勤務時間・日数の削減を行わないこと。 |
|
(2) 現在の勤務条件について、また休暇取得の要件が新しくなったことを書面で職員に説明すること。また、周囲への周知もすすめ、休暇がとりやすい環境醸成に努めること。 |
3 雇用の確保と毎年の契約更新時の手続き等について
|
(1) 3月の更新時には職員の継続希望の有無を確認し、継続希望者は優先的に採用とすること。 |
|
(2) 更新の際は、「解雇権乱用法理」が適用されることを踏まえ、合理性、納得性のない一方的、一律的な「雇い止め」は行わないこと。 |
|
(3) 契約期間中での一方的解雇は行わないこと。更新打ち切りの場合も1ヶ月以上前からの予告と打ち切り理由の明示を前提条件とし、1ヶ月未満の通知の場合は解雇予告手当を支給すること。 |
|
(4) 1日の勤務時間、1月の勤務日数は非常勤職員の希望を尊重すること。 |
4 職場の勤務条件の確保について
|
(1) 正規職員と同様に、机、椅子、ロッカー、パソコンを配備すること。 |
|
(2) パート職員用の休憩室を確保すること。 |
|