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「3か月更新」と雇用中断期間の廃止を歓迎し、引き続き非常勤職員の均等待遇を求める(書記長談話)

 本日、国税庁は非常勤職員の雇用について、10月1日から見直すことを、労働組合と非常勤職員に伝達した。伝達は、8月10日の非常勤職員の日々雇用制度廃止と、新たに期間業務職員制度導入を内容とする人事院規則改正に伴い、税務署に多い常勤職員の勤務時間4分の3以内で勤務する非常勤職員≠ノついても、@これまでの「3か月更新」を廃止し、会計年度の範囲内で最長1年の任期を定め、A年末に2週間以上あった雇用中断期間を設けないこととし、B結果として、年次休暇を繰り越すことが可能となり、これまで7月から12月までの期間しか取れなかった休暇を、1年を通じて取ることができるようになる、等を内容としている。この見直しは、極めて不安定な状況に置かれていた税務署で働く非常勤職員の雇用条件を大幅に改善したものであり、歓迎するものである。

 これまで、税務署の非常勤職員は「3か月更新」を繰り返され、「次回は更新されるのか」という不安の中で勤務してきた。また、非常勤職員の雇用が署長の専権事項に置かれ、まさに「署長の胸先三寸」で労働者の生活と労働そのものの喜びを奪う本人の意に反した「雇い止め」が全国各地で起こってきた。全国税はこれまで、機会あるごとに「少なくとも雇用期間を1年以上に延長せよ」と要求し、雇い止めの動きがあれば、その撤回と継続雇用を求めてたたかってきた。とりわけ、2009年7月以降、人事院通知による時給アップと予算不足を理由に、雇い止めと労働時間短縮の攻撃が全国各地で起こる中で、『非常勤職員緊急申し入れ』(9/11)の提出、『非常勤職員に対する雇い止めと処遇悪化に抗議し、当局が使用者責任を果たすことを求める第2回中央執行委員会声明』(10/4)の発出をはじめとして、全国の職場で雇い止めと処遇悪化の歯止めを求めるたたかいを展開してきた。また、第174回通常国会でも3月25日の参院財政金融員会で、大門みきし参院議員(日本共産党)が菅財務大臣(当時)に「3か月更新は酷だ」と迫り、実態把握と改善の約束を取り付けてきた。

 こうした中で、東京局・四谷税務署では12月と1月に3名の非常勤職員に連続して雇い止めの通告を行ったことから、大闘争が展開された。1度目の12月の雇い止め通告では雇用中断期間の3日前の雇い止め通告であったことから即時撤回を勝ち取ったものの、2度目の1月の雇い止め通告では、2か月以上も前倒しした「用意周到」なものであった。そのため、分会・支部・地連・本部が結束し、地域労働者や国公一般と団結して1か月近い雇い止め撤回闘争を展開した。職場交渉と並行して、確定申告期に地域労働者が税務署前で雇い止め撤回を求める宣伝行動が組まれるなど前代未聞のたたかいを展開し、国税当局が非常勤職員を「もの扱い」する姿勢を露わにするなかで、雇い止め通告の撤回と希望者全員の継続雇用を勝ち取ってきた。

 税務署の非常勤職員は、3か月という極めて短い雇用期間で細切れの任用を繰り返されてきたことから、「もの言わぬ労働者」として抑え込まれてきた。そのため、少なくない税務署でパイプ椅子・長机で5時間以上の労働を強制されている。また、一時金や退職手当は、労働時間が短いという理由で支給の対象から外されてきた。
労働そのものの実態も大きく変化している。「非常勤職員の一元化」といって、雇用者たる税務署長のお膝元である総務課から管理運営部門に仕事の割振りの機能を移されている。一方で、従来の事務補助に加えて、新たに納税者対応や内部事務一元化による主力職員として非常勤職員が力を発揮している。非常勤職員がいなければ税務署は一日たりとも機能できなくなっており、特に最近の仕事は、複雑性・困難性を増し、労働強化が進んでいる。

 全国税は、誰もが人間らしく働き続けられる職場をめざし、引き続き非常勤職員の労働条件改善や均等待遇の実現に向けて奮闘していく。また、通勤手当も支給されず、事実上最低賃金以下で働く税務署の派遣労働者や請負労働者の労働条件改善に取り組んでいく。これら「官製ワーキング・プア」をなくす運動を含め、国税労働者の生活と権利の保障は、極めて社会的意義があると確信し、差別がなく民主的で、労働者と納税者の権利が守られる職場と税務行政の実現を求め、引き続き奮闘するものである。

2010年9月10日
全国税労働組合書記長 山本浩二