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■2001年1月6日■
財務省発足にあたって(書記長談話)
 2001年1月6日、中央省庁等改革基本法にもとづき、政府機関は、1府22省庁から1府12省庁に再編され、大蔵省は「財務省」へと名称を変更した。中央省庁再編には、内閣府の設置等による首相権限の強化や国土交通省のような巨大利権官庁の出現に、あるいは省庁再編ではなくただの同居に過ぎない等々厳しい批判がある。この「行政改革」が、明治維新、戦後改革に次ぐ改革と位置づけられ、厳しさを増す多国籍企業間の経済競争を反映する政府・財界の「21世紀戦略」に奉仕する、大企業中心の行政を加速し、「この国のかたち」改革を企画・立案、実施する行政体制づくりを意味するからである。
 この間の「行政改革」論議が、大蔵省に関わる証券・金融不祥事、大蔵官僚の腐敗問題を契機としていたことを考えると、「官庁の中の官庁」「最強の官庁」といわれた大蔵省(大蔵官僚)改革が実効あるものになったかは疑問である。全国税は大蔵官僚の腐敗事件に際して三つの提言を行った。第1は事件の徹底究明と処分、第2は特権官僚優遇人事や天下りの廃止、第3は職場民主主義の確立である。大蔵官僚はこれを拒否し、疑惑の徹底究明を怠り、責任を取らないままで、「財務省」へと衣替えした。また、2001年度予算では国民の批判の強い公共事業費を過去最大規模とし、歳入では財政危機打開の見通しもないまま国債依存度を34.3%とした。近い将来の「消費税増税と福祉切り捨て」のみがその処方箋と信じられている状況は政治の怠慢であり、国民のための大蔵(財務)行政への転換こそが求められているのである。
 大蔵省改革議論においては、財政と金融の分離、大蔵省からの国税庁分離、国税・地方税の徴税一元化などが論じられた。金融庁が大蔵省から「分離」され、徴税一元化論は検討課題とされているが、今後の動向を注目したい。ただし、今般の中央省庁再編にあたり国税庁は実施庁(主として政策に実施に関する機能を担う庁(改革基本法16条))という枠組みのもとで、「達成すべき目標を設定し、その目標に対する実績を評価して公表する」こととされたが、我々は、納税者・国民サービスの向上、行政の民主・公正・効率化、公務員労働者の労働条件の改善に役立つかの観点でその具体化を注視している。少なくとも、行政目標の設定が国税労働者へのノルマ強要、労働強化となることには絶対に反対である。
 改革基本法は、国家公務員の定員について、「10年間で少なくとも10分の1の削減」を明記した(47条)ことは重大である。膨大かつ増大しつつある業務量のもとでの画一的定員削減は、行政水準と行政能率を低下させるのは必至であり、行政の組織・事務・事業運営の効率化を目指す法の趣旨にも反する矛盾をはらんでいる。国税の職場実態に照らし、我々はこの10%定員削減政策には、明確に反対の意思を表明する。
 本年4月1日、情報公開法が施行される。行政の透明性が問われ、行政活動について国民への説明義務(アカウンタビリティ)が課された。全国税は、行政内部からのチェック機能を果たしてきたと自負するものであるが、国民の期待にこたえて一層奮闘する決意である。しかし、その全国税組合員への国税当局による人事差別は40年に及ぶ長きにわたっている。国税庁当局が、こうした環境の変化、国民の期待を正面から受けとめて労働組合敵視政策を廃棄し、公正な人事管理へ改革を断行すべきことを指摘し、あらためて要求する。
 「財務省」発足にあたり、全国税は21世紀においても国民本位の税財政確立とこれを保障する民主的な職場づくりのため、奮闘する決意を表明する。
全国税労働組合書記長  山口潤一郎
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