◆第1443号(1998年9月15・25日付)◆

全厚生第63回定期大会


討論

 大会議案をめぐっては10、11の両日、討論が行われました。発言は、行革闘争、年金改悪反対の取り組み、賃金闘争、中央省庁再編問題、試験研究機関の問題、地方事務官問題、平和活動、組織活動、機関紙活動、青年、女性活動など、多岐に渡りました。討論は、のべ43人が発言しました。主な発言を紹介します。


行革・年金=国民との共同広げ 街頭宣伝署名行動に確信
 行革闘争の柱であった「行革大規模署名」と「年金改悪反対署名」の両輪の署名の取り組みについて、各代議員から、運動の成果と確信が生き生きと語られました。
 岐阜県支部の国枝代議員は、支部で拡声器を買って、初めて街頭宣伝行動を行った。街なかで道行く人に、拡声器で訴えるのは勇気がいるが、学習を重ね訴えて集まった署名は貴重だ。
 愛知県支部の内藤代議員は、年金の税方式は、企業責任を免除し国民負担を増やすもので、認められない。一度街頭宣伝に立つと、いい気持ちになる。これからも、街頭宣伝に立ちたい。
 京都支部の中本代議員は、年金改悪反対の宣伝行動を拡声器も使って、七分会で行った経験を紹介。若い人も含めて、反応は大変よかった。愛知に続いて京都もがんばると決意を述べました。
 業務センターの峰代議員は、東京・高井戸の駅頭での宣伝行動、杉並区労連などを通じての署名依頼などの経験を紹介しつつ、全厚生の実情を知ってもらい、国民との共同を広げたい。
 神奈川県支部の野地代議員は、自由党が年金の全額国庫負担を打ち出したことについて、消費税を10%にして充てるというが、国民の理解が得られるのか、給付水準が保てるのか、などの疑問を投げかけました。年金を民営化にし、標準報酬部分をマネーゲームに投資するということも言われている。この問題は真剣に取り組み「権利としての社会保険」について考えていきたいと述べました。
 愛知県支部の加藤代議員は、両輪署名の目標を達成するために、大きな組合に要請に行った。12団体4300名の署名を集約。一組合員で120名分集めた人もいる。宣伝行動では、初めてマイクを持った人も含め、宣伝カーの上から職場の実態や年金改悪反対を訴えた。特に青年組合員が奮闘し、大集会の会場でも署名行動でがんばった。
 京都支部の北久保代議員は、厚生行政は、年金はどうあるべきか、どう実現していくのかということを行政の専門家として、全厚生でも議論する場があってもいいと強調しました。

平和=戦争法の発動許さず 青年が先頭に核兵器廃絶へ
 平和活動では、戦争法の発動を許さないたたかいや、原水爆禁止世界大会に参加しての決意などが、青年を中心に語られました。
 香川県支部の香川代議員は、有事における米軍の民間施設使用の調査として、高松空港にも完全武装したヘリが来たり、高松港にも掃海艇が寄港している。ガイドライン法を発動させてはならないし、憲法改悪させてはいけないという決意で、先日の支部大会で、平和宣言を採択した。
 神奈川県支部の澤田代議員は、被爆者の方を呼んでの体験を語る会、原水爆禁止世界大会への参加、報告会等の青年部の取り組みを紹介。平和の活動に取り組んでいきたいと決意を述べました。
 同じく永井代議員は、原水爆禁止世界大会派遣カンパを行い、14分会で14万円以上が集まった。原水禁世界大会に継続的に取り組んでいきたいので、財政のバックアップをお願いしたいし、引き続き財政活動に取り組みたい。
 京都支部の川口代議員は、行革を阻止すればガイドラインも吹っ飛ぶということを訴えつつ、京都総評が作った「朝鮮半島が有事になり、一般道路が通行止め、国立病院だけでなく一般病院にも負傷兵が入って・・」というビラを配った。支部では、平和運動実行委員会で、原水爆禁止世界大会に派遣カンパ等で、代表派遣することができた。
 ハ病研の儀同代議員は、唯一被爆国の日本で核兵器廃絶を求めて始まった「アピール署名」は、あと200万筆で国民過半数達成のところまできたと紹介しました。

賃金=調整手当改悪反対 職場討議大切にたたかう
 賃金闘争では、京都支部の工藤代議員が、不況でお客さんの心もすさんでいる。仕事は精神的にもたいへん。調整手当改悪では、僕ら若い者もがんばった。青年の要求実現のために、がんばっていきたい。
 愛知県支部の磯貝代議員は、行革闘争と九九春闘をどうたたかっていくか、16分会で話し合いを持ちすすめてきた。公務員のベアの抑制・一時金の切り下げ・調整手当改悪のトリプル改悪反対では、人事院中部事務局交渉や決起集会、上京団行動にも参加した。調整手当改悪を今回の勧告で見送らせたことは、運動の成果。引き続き奮闘したい。

省庁再編=25%定員削減阻止 新省の本省支部組織で議論
 中央省庁再編については、本省支部の田口代議員が、厚生労働省で児童家庭局と労働省の女性局が一緒になり、仕事も人事も一体となる。全労働本省支部の役員と懇談会を開いて、組合費の問題、人事の問題、対当局の問題などについて話し合った。近い将来一緒になるという方向を出す必要がある。2001年4月、そこに組合があるということにしていきたい。
 統計支部の梅沢代議員は、厚生省と労働省の統計部門が今後どうしていくのか、本部、本省含めて、全労働との話し合いをきちんとしてほしい。大臣が一人になるのに、共闘の組織でいいのか、一つであるべきかどうか、支部としても考えを確立していきたい。
 本省支部の小林代議員は、2001年、地方厚生局ができる。地方厚生局は、単身赴任もあり得るので、組合員の意見を聞いていかなければならない。
 統計支部の菅沼代議員は、統計では、9次に及ぶ定員削減計画で、おおよそ600人いた定員が約300人になった。今後、10年間で25%定員削減・行政スリム化を行うというが、危機感を覚えている。国民サービス充実のため署名に積極的に取り組んでいきたい。
 本省支部の伊藤代議員は、今の情勢は右からの全面攻撃がかかっている。今後、自自公民になるのでは。政府はどんどん失業者を増やして戦争をする気ではないか。本省の労働者は、客観的ではありえない。使用者は冷酷なもの。労働者はいっそう団結しなければならない。

研究機関=研究所間の交流を 独法化・組織改編に対処
 試験研究機関の問題では、2001年4月、国立健康・栄養研究所が独立行政法人になるとともに、組織改編の情報が錯綜しており、職場が混乱しているとの発言がありました。
 感染研支部の中山代議員は、口腔科学部が衛生院に移る。口の中の研究は大事なのに、そこでは実験するなと言う。食品微生物部が、国立衛研に移るとの話がある。昇格問題などで不安がある。研究所同士での連絡が少ない。「厚研連」のような機能を生かしていきたい。
 国立衛研支部の吉岡代議員は、研究所間の交流は必要。支部長が集まるというだけではなく、若い機動力のある人にも参加してほしい。研究所間での部の異動について、今でも部屋はいっぱいなのに、どこに入るのか、五級枠の問題もある。
 同じく国立衛研支部大阪分会の宮崎代議員は、情報がなかなか入ってこない。若い人も多く、東京に行くのか等々、将来設計にもかかわる問題なので、情報がほしい。
 衛生院支部の徳山代議員は、衛生院の動物飼育をしていた人がガンで死亡した。動物飼育舎の滅菌に使われていた薬品が疑われる。公務災害申請が本人からあった。初めての事例なので、全厚生にも支援いただきたい。
 人口研の佐藤代議員は、2001年、統計とともに、再び合同庁舎5号館に引っ越しをさせられる。研究環境・職場環境が確保されるように運動していきたい。
 ハ病研の儀同代議員は、研究機関の間で、交流が少なくなった。研究機関交流集会を開いてほしい。厚生科学課とのパイプを太くし、頻繁に情報交換を。

福祉=福祉職俸給表の新設 異動に伴う赴任旅費改善を
 福祉部門については、今年の勧告で、福祉職俸給表が新設されたこと、異動に伴う赴任旅費の問題等が出されました。
 函館支部の柴原代議員は、今年、福岡から函館に異動。引っ越しに100万円を越える経費がかかったが、引っ越しにかかったお金の算定が違う。JRコンテナ65万円もかかったのに32万円しか支給されない。実態に見合った赴任旅費に改善してほしい。
 神戸支部の今井代議員は、福祉職俸給表の新設は給与の改善には十分とはいえないが、福祉の専門性が認められたと評価している。当面は、上位級の獲得にがんばりたい。

地方分権=社会保険行政は国 この間のたたかいに確信
 地方分権一括法案が成立し、2000年4月から、社会保険の職員は、地方事務官から厚生事務官になります。この間のたたかいへの確信や、今後の問題についての発言がありました。
 神奈川県支部の野地代議員は、地方事務官制度とはどういう制度だったのか。自治労国費をどうみていくのか。これからの運動の3点について、詳しくわかりやすく紹介。50年間曖昧にしてきた地方事務官制度に決着を付けたことは評価できるし、社会保険行政は国の責任でと決着したのは、我々の運動と国民世論の勝利だ。
 静岡県支部の飯塚代議員は、8年前に支部を結成したが、改めてスタートラインに立つ気持ち。全厚生の闘争情報をみた自治労の組合員からも「全厚生は正しい」と言われた。全厚生全体として、組織強化にがんばっていきたい。
 愛知県支部の深沢代議員は、厚生事務官へ移行の際、どういう問題が生じるか、県当局が情報をもっていないのが問題。共済組合、互助会、生協、業務がどうなるのか、また、地方社会保険事務局の格付けはどうなるのか。さらに社会保険俸給表を庁や人事院にも要求していく必要がある。
 岐阜県支部の澤村代議員はこの間、地方事務官問題をめぐり、議会への対応や三重県の公聴会にも傍聴に行ったことなど、この間のたたかいを紹介しました。
 神奈川県支部の川名代議員は、最近、社会保険庁の情報が遅いとの苦情がある。庁に対し全厚生の声を大きくしてほしい。それには、全厚生の組織強化・拡大が重要であり、神奈川も、全厚生への単独加盟を決めていきたい。
 同じく、梅田代議員が、過去記録の整備が行われるが、職員への通知がぎりぎりまでない。全厚生として、そういうことは許せない。本部として、社会保険庁の対応を少しずつかえさせていくことが重要だ。
 京都支部の高橋代議員は、研修同期のある県の自治労の組合員が、「社会保険は国の責任でと個人的には思っていても、自治労では、言える場所がない」と悩んでいた。この話を聞いて、自分たちの正しさを理解できた。悩みつつ仕事をしている人がたくさんいるので、声を掛けて、やりがいある社会保険の仕事をしていきたい。
 滋賀県支部の樋田代議員は、自治労は、身分移管問題はまだまだこれからという宣伝をしている。滋賀県にも火種が飛んでくる。お力添えをいただきたいと訴えました。

青年=遊び学び主人公に 交流集会バネに青対部確立
 青年活動については、京都支部の工藤代議員が、昨年10月、京都・滋賀で開いた全厚生青年交流集会成功の報告とお礼を述べ、来年神奈川での交流集会への意欲を述べました。
 また神奈川県支部の玉木代議員は、全厚生の青年運動は、自分たちで創ろうと5年ぶりに青年対策部を確立した。10月16・17日、来年の青年交流集会の事前調査を兼ねて神奈川県の基地めぐりもしながら青年部長会議を開く。遊んで遊んで、学んで、勉強になったと思えるような青年交流集会にしたい。
 岐阜県支部の安藤代議員は、学習は重要。消費税10%20%も、戦争行くのもしょうがないねでは済まされない。みんな、自分にかかわってくると知ると真剣になる。どうわかりやすく話していくかというのが大切。
 愛知県支部の廣下代議員は、組合は言葉が難しすぎる。「一時金カット」も「年間5〜6万減る」とあればよくわかる。とっつきやすい言葉で教えて欲しい。組合をわかってもらうために、レクレーションを旺盛にしたい。遊びから入って組合の大切さを伝えて行けたらいい。
 秋田県支部の高橋代議員は、昨年まで、機関紙の作成にたずさわってきて、「あの記事よかったよ」「がんばったね」と声をかけられると、またがんばっちゃおうかなーって、前向きになれる。特に青年はプロセスが大切。どんな小さいことでも、声をかけてほしい。
 神奈川県支部の重田代議員は、国公労連青年協の常任幹事としてがんばるとの決意を表明。

女性=産前休暇を8週に 育休基準日改善は運動成果
 今年4月、セクハラ防止の人事院規則が施行されたのに伴って、感染研支部の中山代議員が、総務課には相談窓口はあるが、組合にも窓口がいるのか、これからの課題として検討していきたい。
 女性の活動では、京都支部の高橋代議員が、京都御苑のフィールドワークや伝統産業の即売、「京都あがるさがるの合唱団」の活躍など、京都での全厚生女性交流集会の報告とお礼を述べ、職場では女性の次長が誕生したこと、女性のお茶くみを二分会で全廃したことを紹介。女性の力で変えることが出来たと生き生きと語りました。
 愛知県支部の大谷代議員は、中部人事院事務局と東海ブロック女性部との交渉で、育児休業制度の基準日条項問題の改善を迫った経験を報告。七年前育児休業制度ができ今回、基準日条項が改善された。がんばれば変えられるというのを確信した。次は、産前休暇八週間を実現したい。

組織活動=新聞の大切さ確認 組織拡大強化・活性化の要
 大会の中で、機関紙フェスティバルが開催され、各支部の機関紙も展示されましたが、機関紙活動と組織活動について次の発言がありました。
 業務センター支部の根津代議員は、子ども連れの休日出勤、深夜に及ぶ残業、年間正規労働時間に匹敵する年1800時間残業の人もいるなど、酷い残業実態を紹介。職場懇談会を年2回開催し、要求を出しあって、所属長交渉をしている。
 機関紙活動については、函館支部の熊谷代議員が、「イカ労かわら版」が組合活動の生命線となっていることを紹介。給料袋とともにわたそうと2年以上続けてきた。機関紙は、組合員と未組合員の垣根をとっぱらい、組織の強化、活動に大きなウェートを占めている。組合員が持っている個々の要求を真剣に実現していく。そういうことの積み重ねなくして、組合の拡大、強化、活性化はありえない。
 岐阜県支部の蒲代議員は、地引き網などの行事を行い、参加した子どもたちに絵日記を書いてもらいニュースを出した。組合員からは、家族サービスができたととても感謝された。新聞の必要性を認識したので、機関紙の発行をがんばっていきたい。
 岐阜県支部の国枝代議員は、国公共済会の取り組みについて発言。拡大推進会議や東海ブロックでの会議にも参加し、学習してきたことを組合員に知らせていくことが大切と、拡大執行委員会で、報告集会を行った。国公共済会で意気に感じた人が、若い方に声を掛けていき、地道に増やしてきた。若い層への声掛け、OBの継続等引き続きがんばる。


社会保障の拡充をめざす決議(要旨)

戦争法の発動を許さず、憲法擁護、平和と民主主義をまもる決議(要旨)

参加者の感想と決意

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