国公労連
国民のための行政・司法へ ストップ!憲法改悪 サイトマップ 更新履歴 個人保護法に関する宣言 リンク
Action 私たちのとりくみ Journal 定期刊行物 Archives 資料 Mail News
トップページ> ニュース > 国公労連速報
トップページ > 中央のとりくみ> 国公労連速報
 
  国民のための行政・司法へ
 国公労連速報 2012年2月28日《No.2710》
 参院総務委員会「賃下げ法案」採決強行
 民主、自民、公明党の密室協議に怒り続出
 国公労連・宮垣委員長が参考人として発言
     
 

 

Photo

 民主・自民・公明3党の共同提出による「賃下げ法案」(公務員給与臨時特例法案)は2月28日の参議院総務委員会で採決が強行されました。国公労連は全労連・公務部会の仲間とともに、憲法違反の「賃下げ法案」の暴挙を許さないため、全国動員した全司法をはじめ官民あわせ260人の仲間が国会前座り込み行動・抗議行動を実施。午後2時30分からは有楽町マリオン前宣伝を実施し、抗議の訴えを行いました。



「消費税増税は全国民に対する賃下げ攻撃だ」

 午前10時、参議院議員会館前で座り込み行動を開始しました。
 主催者あいさつに立った全労連公務部会・北村代表委員(全教中央執行委員長)は「賃下げ法案が10時より参議院総務員会で審議される。国公労連宮垣委員長が意見陳述し、私たちの思いを訴えてくれるだろう。現在審議されている法案は議員立法であり、二重三重の憲法違反というより、脱法的である。橋下市長率いる大阪維新の会の『選挙に当選すれば何をやってもいい』という理屈と一緒だ。断固としてたたかおう」と呼びかけました。
 つづいて4名から決意表明、連帯あいさつを受けました。
 全国税の田山書記長は、「公務労働者には協議どころか説明もない。民主主義感覚ゼロの民自公が行う密室協議に怒りを込めて抗議する。こんな民自公三党に社会保障・税一体改革をさせるわけにいかない。消費税増税は全国民に対する賃下げ攻撃だ。全国税は賃下げ法案廃案のため徹底的にたたかう」と決意表明しました。
 大阪自治労連の佐野書記次長は、「大阪市議会は今日から始まる。職員基本条例がとおると、上司の顔色をうかがって仕事をする公務員になってしまう。大阪市職員アンケートは我々のたたかいによって凍結できたが、今後は当局責任を認めさせ、アンケートを活用させないたたかいをすすめる」と訴え、全教の山口中執は、「先の災害では不眠不休で対応にあたった。過労死ラインといわれる劣悪な労働条件のなかでも、教職員は死にもの狂いで子どもたちのために仕事をしている。全国の仲間とともに廃案に向けてがんばる」と述べました。
民間単産から駆けつけた全労連・全国一般・東京都観光汽船分会の吉井さんが連帯あいさつし、「『国家公務員は敵』という図式がつくられている。賃金削減はデフレを加速させる。公務員削減はやるべきでない。官民で一致団結してがんばろう」とエールを送りました。
 リレートークや各地から届いた激励メッセージを紹介しながら、昼前まで座り込みを続けました。


 宮垣委員長が参考人として出席 職場の怒りを発言
 衆議院総務委員会でも徹底審議なし

 本日10時に開会した参議院総務委員会において、民主、自民、公明の議員提案による「賃下げ法案」が、共産、社民の両党が反対したものの、賛成多数で可決されました。23日の参議院総務委員会につづき審議はわずか2時間30分、「良識の府」参議院でも審議がつくされませんでした。全労連公務部会は、国会前座り込み行動と並行して総務委員会の傍聴行動をとりくみ、7名(国公労連からは5名)が参加しました。

 ■「本日の決議ではあまりに拙速。三党合意だけでは永田町の論理」(自民)

 委員会は冒頭の法案趣旨説明の後、6会派7名の委員が質疑に立ちました。江崎孝議員(民主)は、「附則12条は地方への波及を強要。「地域主権」に逆行」と指摘しました。一方、つづいて質疑に立った磯ア陽輔議員(自民)は、「『地方は何もしなくてもよい』」というものではない」と地方へ波及すべきと主張しました。これらに対し答弁に立った川端達夫総務大臣は、「総務省から地方公共団体に対して要請、強要はしない。地方財政計画でも交付税をきちんと確保する」と述べました。
 宇都骼j議委員(自民)は、「政府による人勧無視、特定労組との不透明な合意が成立遅れの元凶」とし、「本日の決議ではあまりに拙速。三党合意だけでは永田町の論理。国家公務員だけに特段の租税を課すようなもので公平性に欠ける」と指摘し、平均7.8%には復興財源必要額と照らしても根拠がない。とりやすいところからとるやり方」と批判しました。(しかし採決では「賛成」しました)木庭健太郎議員(公明)は「現給保障廃止先送りの理由は」などの質問を行いました。寺田典城議員(みんな)は自衛隊の貢献を認めつつ「首相などの『公務セクター全体で分かち合う』という発言からも一律に適用すべき」、「地方はこつこつと行革を進めてきた。『地方分権』をすすめるべき」と指摘しました。

 ■「使用者は政府。労使関係にない議員がどういう立場で立法できるのか」(共産)

 つづいての山下芳生議員(共産)の質問では、宮垣委員長が参考人として質問に答えるかたちで、今回の賃下げへの職場の怒りや違法・不当性を発言しました(全文別掲)。宮垣委員長の発言を受けて山下議員は、「立法府としてしっかり受け止める。憲法に係わる問題だ」とまとめ、「労働基本権を一刻も早く全面回復すべき」、「閣法では3年、今回の議員立法では2年にわたる人勧に基づかない賃下げ。臨時異例とは言えない」と指摘するとともに、「使用者は政府。労使関係にない議員がどういう立場で立法できるのか」と質し、「閣法は衆院に棚ざらしされたまま。使用者の責務を果たせ」と追及しました。また「復興財源を人件費でまかなうのは間違い。国家公務員の賃下げは600万人の賃金に悪影響。景気をさらに後退させる。首相自らが『株価にも景気にも役立っていない』という証券優遇税制の廃止で5,000億円の財源が確保できる」と指摘しました。
 最後に質問に立った又市征治議員(社民)は、「三党が人勧実施に合意したのであれば、政府に対して法案修正を求めることがスジ」、『公務員制度改革関連法案』が同時成立しないのであれば国公法28条、憲法28条に抵触する」と指摘しました。


 参議院委員会採決強行に怒り!最後の最後までたたかおう
 ――昼休み抗議行動に260人が結集

 12時30分からの国会前昼休み行動には260人が駆けつけました。
 全労連公務部会の野村代表委員(自治労連委員長)の主催者あいさつのあと、全通信本省支部、全教、自治労連、大教組、東京国公の代表5人が決意表明。国公労連を代表して決意表明した全通信本省支部の菊地支部長は、「本省は、超過勤務手当も満足でない中、昼も夜も休日も働いているのに、今回の法案はいくら何でもひどすぎる。がまんの限界の声が広がっている。バッシングは厳しいが、震災復興など頑張っている労働者のために、職場から法案に反対する声をあげて奮闘する」と決意表明。東京国公の原田議長は、「霞ヶ関の仲間も怒りでいっぱいだ。東京国公として賃下げは許せないという一点で頑張っている。心は一つ。最後の最後までがんばろう」と力強く呼びかけました。
 参院総務委員会から駆けつけた山下参議院議員(日本共産党)は、「労働基本権が剥奪されているなか、代償機関である人事院勧告を無視したやり方は二重三重の憲法違反である。労働基本権の一部回復を棚上げして国会が給与削減を決めてしまうことに怒りをもって抗議する。内需を冷え込ませる今回の賃下げ法案は、民間にも悪影響を与えるとともに震災復興に逆行する。さらに、被災地で奮闘している公務労働者にも適用される二重の攻撃だ。参議院本会議で最後まで訴え抜いて奮闘していく」と述べました。
 参院総務員会を傍聴した国公労連の九後書記次長からは、怒りをこめた報告が行われました。
 最後に、建交労の藤好委員長が、「いま春闘交渉に入っている。民間の立場としても公務の仲間に奮闘してもらいたい。公務員賃下げや社会保障切り下げに断固としてNOを突きつけ、奮闘しよう」と呼びかけました。

 【参議院総務委員会】宮垣委員長の参考人発言(全文)

 ○(山下議員)
 本日は、日本国家公務員労働組合連合会の宮垣委員長に参考人としてきていただいています。
 平均0.23%削減を求めた2011年度人事院勧告を昨年4月にさかのぼって実施した上で、2012年度、2013年度に平均7.8%削減する「国家公務員給与の改定及び臨時特例に関する法律案」について、現場の第一線で働いておられる国家公務員のみなさんは、どう思っておられるのか、率直な意見を宮垣委員長にお聞きします。

 ●(宮垣)
 国公労連委員長の宮垣です。こうした意見表明の場を与えていただきましたことに、感謝申し上げます。
 昨年3月11日の東日本大震災では、自衛隊のみなさんも活躍されましたが、国の出先機関や地方自治体で働く公務員も活躍しました。
 震災直後に道路などのライフラインを整備し、仙台空港をいち早く復旧させた国土交通省の職員、被災した多くの労働者に心温かく接した労働行政の職員、国民の財産や権利を一生懸命守った法務局の職員、被災にあった住民を支えた自治体の職員など、自ら被災にあって、家が流され、家族も失いながら、不眠不休で被災者の救援活動にあたってきました。また、全国各地の国や地方自治体の公務員が被災地に派遣され救援・復旧業務を続けました。今後、長期にわたる被災地の復興の先頭に立つのも、やはり私たち公務員です。
 こうした国や地方自治体の公務員が、賃金の削減を6か月を超えない範囲内で猶予される自衛官と比べて、どこが劣っているのでしょうか。
 また、国会議員の公設秘書の給与は、7.8%まで引き下げずに、人事院勧告通り平均0.23%の引き下げにとどめる秘書給与法改正案が衆議院で可決しました。
 自衛官や公設秘書に特例を設けるのであれば、せめて、自らも被災し、被災者のために一生懸命に尽くした被災地の公務員に対する特例があってもいいはずですが、この法案には、それさえもありません。
 なぜ、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告のマイナス0.23%を超えて、平均7.8%まで生活の糧(かて)である賃金を下げられなければならないのでしょうか。
 課長・室長以上は、10%以上の賃金カットになります。10%の賃金カットは、懲戒処分の水準です。それも懲戒処分の期間は、普通、2か月から3か月ですが、今回の場合は、懲戒処分相当の賃下げが2年間も続くわけです。
 全国の国家公務員が懲戒処分を受けるような、何か悪いことでもやったのでしょうか。いま、職場はこうした道理のない賃金引き下げに対して、怒りに満ちあふれています。
 国家公務員の人件費が国の財政赤字の原因ではありません。2002年から2011年までの10年間に、自衛官を除く国家公務員は約80万人から約30万人まで減少していますが、その一方で国債等残高は約525兆円から約726兆円にまで急増しています。
 また、諸外国の公務員賃金は、リーマンショックや金融危機のもとでも上がっていますが、日本の公務員賃金は下がり続けています。このことからも国家公務員の人件費が財政赤字を増大させた原因でないことは明らかです。
 震災復興の財源のために我慢しろというのなら、まず、はじめに、政党助成金や米軍への思いやり予算など、ムダな支出をけずるとともに、国会議員のみなさんの歳費の見直しも、あらためて行うべきではないでしょうか。
 それさえもされずに、消費税増税のために、自らの身を削ると言って、限られた予算と人員のなかで一生懸命、現場の第一線で国民の安心、安全を守るためにがんばっている公務員に賃下げのしわ寄せを押しつけられることに、怒りを禁じ得ません。全国の国公労連の仲間を代表して、まず、そのことを申し上げます。

 ○(山下議員)
 現場の第一線でがんばっておられる国家公務員のみなさんは、道理のない賃金引き下げに対して怒りに満ちあふれているとのことです。
 次に、国家公務員の労働基本権を制約したままで、その代償措置である人事院勧告制度を無視して、一方的な不利益を国家公務員に押しつける今回のやり方について、国公労連はどう考えられていますか、宮垣委員長にお聞きします。

 ●(宮垣)
 この間の政府との交渉で、国公労連は、賃金の引き下げに一貫して反対をしてきましたが、一部の労働組合は合意をされました。しかし、合意をされた労働組合が国家公務員全体を代表しているわけではありません。ましてや、国家公務員労働者に労働基本権が回復していないなかで、いくら、一部の労働組合が了承し、3党合意がなされて、議員立法で賃下げ法案が国会に提出されても、マイナス0.23%の人事院勧告を超えて、さらに平均7.8%まで2年間にわたって給与を引き下げる部分は、明らかに憲法違反だと私どもは考えています。
 本法案は、複数年度にわたり、人事院勧告にもとづかずに賃金を引き下げることになり、労働基本権制約の代償措置が機能せず、人事院勧告制度が画餅(がべい)に等しい状況に陥るわけです。これまでの判例では、代償機能が画餅に等しい状況に陥れば憲法28条に抵触するとしています。
 労使間で交渉が決裂し、使用者側が一方的に勤務条件を変更しようとしたときに、労働者側の対抗手段がない、労働基本権の回復がないままでの人事院勧告にもとづかない政府の一方的な賃金切り下げはもちろんのこと、今回のような3党の「議員立法」で、私たち労働組合の意見も全く聴かずに人事院勧告を超える賃下げ法案を国会に提出し、強行することは、国家公務員労働者の基本的人権を蹂躙(じゅうりん)するものです。
 公務員にどれだけ権利がみとめられているかは、その国の民主主義の度合いを図るバロメーターです。
 公務員も労働者であり基本的人権である労働基本権が全面回復されるべきです。そして、公務員も市民であり、市民的権利である政治活動の自由が保障されるべきです。
 そして公務員は、全体の奉仕者として公務を担当しており、公務員として職務遂行の権利が認められるべきです。例えば、憲法に違反するような公務運営が行われようとしているときに、それについて意見を述べその是正を求めることができる権利です。これは、憲法第99条の公務員の憲法擁護義務からくる公務員の当然の義務であり同時に権利でもあります。具体的には、上司の職務命令に対する意見の申し出や内部告発権の保障、政策の決定・執行や公務運営に対して関与・参加できるシステムなどが必要です。
 そうした権利が回復・確立されないなかで、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度さえ無視をして、一方的な不利益を国家公務員労働者に押しつける今回のやり方を看過(かんか)することはできません。
 国家公務員労働者に労働基本権を全面的に回復する、せめて、協約締結権を回復してから、労使交渉で賃金引き下げの問題を議論するのが憲法のルールに基づいたやり方ではないでしょうか。
 日本国憲法に抵触するような本法案については、徹底した審議の上で、参議院で廃案にしていただくことをお願いして私からの意見表明とさせていただきます。


以上 


 
 
ページの先頭へ