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 国公労連速報 2012年2月21日《No.2700》
権利を根底から踏みにじる「修正法案」許すな
「賃下げ法案」の審議がねらわれる重大局面で議員要請行動
     
 

 

 「賃下げ法案」をめぐって、民主・自民・公明による密室協議による修正法案の国会提出がねらわれるもと、全労連公務部会は21日、衆議院の総務委員を対象とした緊急の議員要請行動にとりくみました。
 要請では、議員立法による法案提出は、使用者たる政府の責任放棄となること、国会議員が労使交渉と離れて自由に公務員の賃金・労働条件を決めることになれば、労働基本権を根底から踏みにじることなどを指摘し、3党による法案提出・審議をやめ、「賃下げ法案」は廃案にするよう求めました。
 要請行動には、国公労連から13名、自治労連から7名、事務局2名が参加しました。

 議員立法による「賃下げ法案」は憲法上の重大な問題を持つ

 すでにマスコミ報道されているように、2月17日の民自公三党の政調会長会談で、<1>11年人事院勧告を実施し、さらに7.8%まで国家公務員の給与削減を深掘りするため、自民党・公明党共同提出の「給与臨時特例法案」を基本に所要の修正をおこなう、<2>地方公務員法および特例法案の趣旨をふまえ、各地方公共団体での対応のあり方については、国会審議を通じて合意を得る、<3>国家公務員制度改革関連法案については、国家公務員制度改革基本法に定められた制度の全体像を国民に提示し、その理解のもとに、審議入りと合意形成に向けての環境整備を図る、との合意がはかられ、これにもとづく法案策定作業が3党の実務者ですすめられてきました。
 21日に取りまとめられた法案の内容は、政調会長合意をもとに、11年人事院勧告の実施は法律公布の翌月とし、昨年4月に遡及して減額調整し、調整分を今年の6月のボーナスから引き去るとするものです。給与制度見直しにともなう現給保障措置は、14年3月末で全額が廃止されます。
 これに加えて、平均7.8%までの引き下げを本年4月1日から実施することとされています。政府法案では、法律公布の「翌々月」となっていましたが、「賃下げ法」がいつ成立しても新年度から賃下げを実施しようという3党の思惑をふまえた修正です。
 修正法案は、自民・公明が共同で提出していた法案を、民主党が「丸のみ」したものですが、自公法案に盛り込まれていた「地方公共団体への給与引き下げの要請」は、連合からの強い反対で民主党が最後まで抵抗したとされ、修正法案からは削除したうえ国会の附帯決議に盛り込もうとしています。
 これによって、自公法案は取り下げられ、政府法案は採決されることなく廃案となる見通しです。


 「労使交渉抜きの修正法案は問題だ」と与党議員秘書も共鳴

 政府法案・自公法案を土台にした修正法案は断じて認められるものではありませんが、何よりも重大なことは、労使交渉をも離れて、民主・自民・公明の密室の談合で修正がほどこされ、そのうえ議員立法で「賃下げ法案」を提出しようとしていることです。
 使用者たる政府の責任放棄であるばかりか、国会で自由に公務員の労働条件が決定されることになれば、公務労働者の労働基本権は根底から踏みにじられ、たたかう手段を持たない無権利状態に陥ることになります。その点では、労働基本権保障をさだめた憲法上の問題が生じることとなります。
 法案が持つこうした重大な問題を国会で議論することなく、民自公3党は、23日午前の総務委員会でわずか3時間程度で質疑・採決を強行する構えです。さらに、その直後に本会議を開いて採択し、その日のうちに参議院への送付をねらっています。
 こうしたもと、公務部会では、21日に緊急の国会議員要請にとりくみました。議員会館事務所を訪問し、要請書(別添)を手渡しながら、「賃下げ法案」を廃案にするよう強く求めました。
 訪問したある与党議員の秘書は、「議員立法で労使交渉抜きで修正法案を出すのは確かに問題だ」とのべるなど公務部会の道理ある主張に共感を示しました。
 また、法案修正にかかわってきた民主党や自民党に所属する議員の秘書も、「詳しいことはよくわからない」「聞いていない」と語るなど、法案の修正が一部の実務者が集まって、誰の目にも触れない密室の談合ですすめられてきたことも明らかとなりました。その点では、「修正法案」は、かならずしも政党間で一致したものではないことも事実です。
 公務部会では、23日に法案審議・採決がねらわれていることから、これにあわせて、緊急の国会前の座り込み行動を配置して、憲法違反の「賃下げ法案」を許さないため断固たたかいぬくことにしています。
(「公務ネットニュース」928から転載)


 【各議員に提出した要請書】

 2012年2月21日

衆議院議員 殿
全国労働組合総連合
議長 大黒作治

「賃下げ法案」の廃案を求める要請書


 国会内外での貴職のご奮闘に敬意を表します。
 民主・自民・公明の各党政調会長は2月17日、「公務員給与臨時特例法案」(賃下げ法案)の修正に合意し、議員立法による新たな法案の国会提出・審議がはかられようとしています。修正法案の内容は、マイナス0.23%の11年人事院勧告にもとづいて昨年4月にさかのぼって公務員給与を引き下げ、さらに平均7.8%まで給与を下げるものとなっています。
 私たちは、継続審議となってきた政府法案、自民・公明提出法案ともに、人事院勧告にもとづかず、公務労働者に大幅な賃下げをせまる法案であることから廃案を求めてきましたが、それらの法案を土台にした修正法案は、当事者の労働組合さえ排除して協議されてきたという経過をふくめて認められるものではありません。
 とりわけ、議員立法によって法案を提出することは、使用者たる政府の責任放棄にほかならず、しかも、国会で自由に公務員の労働条件が決定されるとなれば、憲法上の重大な問題が生じることとなります。
 そのうえ、政府提出法案が廃案となることを通して、政府が「自律的労使関係の先取り」と強弁して、一部の労働組合との「労使合意」を口実にして賃下げを強行しようとしてきた根拠さえも崩れ去ることになります。加えて、「先取り」とする国家公務員制度改革関連法案も、政調会長合意では「合意形成にむけての環境整備を図る」との扱いにとどめ、協約締結権回復にむけた関連法案の審議・成立を後景に追いやろうとしていることも重大です。
 このように、いかなる修正がほどこされようとも、「賃下げ法案」は憲法28条で保障された公務労働者の労働基本権を二重三重に踏みにじるものです。公務員の大幅な賃下げは、今春闘における民間の労使交渉にも否定的な影響を与え、「賃下げの悪循環」でデフレ不況をさらに悪化させることとなります。また、野田内閣が、消費税増税で国民に犠牲をせまる突破口として、公務員の賃下げを強行することは国民的にもきわめて重大です。
 以上の点から、下記事項について貴職に要請します。

  1. 「賃下げ法案」は、すみやかに廃案にすること。
  2. 公務労働者の賃金・労働条件の決定システムについて、
    憲法とILO条約・勧告に沿った制度を確立すること。


以上


 
 
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