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 国公労連速報 2011年12月5日《No.2663》
 独法見直し、研究機関の司令塔について
 行革推進室・科学技術担当と交渉
     
 

 

 国公労連は12月2日、学研労協とともに独立行政法人の抜本的見直しに関わって、行革推進室と内閣府の科学技術政策・イノベーション担当と交渉を行いました。
 行革推進室との交渉は、国公労連は岩崎副委員長、学研労協は川中事務局長を責任者とし、各単組・独法代表ら12人が参加し、行革推進室側は横山参事官と蔵持企画官が対応しました。冒頭、岩崎副委員長が質問書(別添)を提出し、その質問書に沿って、要旨以下のやりとりが行われました。(※○は国公労連・学研労協、●は行革推進室の発言要旨)

現時点の検討状況はどうなっているか。抜本的見直しをおこなう理由は何か。問題点の整理などは十分おこなわれているのか。
年内の最終とりまとめをめざし、検討作業を進めているところだ。現時点で一定の整理をおこなっているが、前回の行政刷新会議の「独立行政法人改革に関する分科会」で、厳しい意見が相次いだため、再度調整をおこなっているところで、本日予定していた会議も延期した。したがって、今日の回答については、検討途上の確定していない段階での事務局の1つの考え方であり、今後の議論によっては変更もあるものと承知いただきたい。見直し理由については、独法に関わって事業仕分けなどでこれまでも問題点が指摘されてきたところだ。
労災病院と国立病院との統廃合をはじめ、いくつかの統廃合が検討されているが、それを進める観点・視点等とともに進捗状況を明らかにすること。
独法を類型ごとに整理し見直しをはかっているわけだが、より機能が向上する独法の統廃合がなされるべきという観点で各省に検討を求めているところだ。
「議論の整理」では、法人の適正な業務運営を確保するために国の権限を強化するとされている。一方、独立行政法人通則法では「独立行政法人の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」とされているが、見直し以降、何をどう配慮するのか。
たしかに主務大臣等の権限は強化する方向で検討されているが、昔の特殊法人のように箸の上げ下げまで指図することは考えていない。独法運営で大きな問題が発生するような緊急事態において対応する方向で議論は進めている。
特定独法の労働関係に関する法律について改正はおこなうのか。
我々の議論は、独法制度の根幹部分の検討であり、そこから派生する問題については着手していない。こうした問題は今回の見直し方向が確定して以降、検討していくことになる。
労働条件の決定にあたっては、総人件費抑制をはじめとして「国準拠」の押しつけがおこなわれており、労使自治・労使対等が保障されているとはいえないが、制度官庁としてどのように考えているのか。
総人件費の問題は、総務省などの所管であり、我々が検討する課題となっていない。
独法を11の類型に分けた理由と根拠、具体的な区分け内容、類型分けをふまえた見直しの具体的手法についての考え方はどのようなものか。
独法の整理合理化計画が検討された際、類型分けがおこなわれたことを踏まえたものだ。類型ごとのガバナンスの検討が、法律条文上に表れるか、運用上ですむものかは今の時点ではまだ不明だ。
現行制度における特定独立行政法人、非特定独立行政法人の区別を変更しなくとも良いと考えるが如何。
ヒアリングの中で、法人側から非公務員型を志向しているという表明などはあったが、今回は議論の対象になっていない。
「議論の整理」では「可能な限り具体化・定量化し、受益と負担の関係を考慮した自己収入の目標を的確に設定」するとされているが、的確か否かの判断は誰がどのような基準でおこなうのか。また、自己収入の増加や目標達成に向けて法人の特性に応じた経営努力が求められているが、その枠組みや具体的内容はどのようなものか。
現行は運営費交付金をいくら節約したとしても経営努力が認められないようなことになっているが、法人のインセンティブが沸くものに改善したい。
「本来の事務・事業の目的に沿った資金の使用を明確な形で義務づけ」るとされているが、具体的にはどのような内容となるのか。
国民の税金を使って事業をしているわけだから、それぞれの独法の事業に沿って適切にお金を使うという当たり前のことを義務づけるだけだ。
剰余金の処理について、「一定の合理的理由が認められる場合には、中期目標期間を超える繰り越しを認める」とされているが、具体的にはどのような理由か。独立行政法人には業務運営の自主性が認められていることから、財政民主主義の観点から許される最大限の柔軟な制度とするべきではないか。
中期目標期間を超える繰り越しが認められにくいという現状があるので、これを改善したい。そして繰り越しが認められても査定で運営費交付金を削減されては意味がないので、国立大学法人の寄付金のように、法人のインセンティブが沸く仕組みにしたい。
「議論の整理」では「目標設定の明確性・客観性や、評価の標語や基準について府省横断的に統一性を持たせる」としているが、具体的にはどのようなものか。
現行の評価は、各省ごとにまちまちで、「S、A、B、C」もあれば、「いろはにほへと」などもある。評価の標語だけでなく基準についてもバラバラなのできちんと統一しないと国民に分からない。
今回の見直しでは、法人が政策ツールとして位置づけられ、評価も政策責任主体である国がおこなうとされている。このことによって政治家である大臣の意向反映や関与の強まりが生じ、評価の中立性・公正性が担保されないのではないか。
評価の中立性・公正性を担保するために第三者委員会を設置し、そこがチェック機能を果たす仕組みを考えている。
研究開発法人における調達については、物品の特殊性や価格などから一般競争入札がそぐわないケースがあることへの具体的対応は検討されているのか。
調達については多様で、入札にまだ問題があるケースもあれば、一方で研究独法のように特殊な機械など一般競争入札にそぐわないケースも確かにあるので、交渉方式などで無用なスペックを落として価格を下げるなどの工夫が可能となるよう検討している。
医療関係法人について、「独立行政法人改革における法人の事務・事業の特性に応じた類型に係る議論の整理」では、「一定の経営の自立性を確保した適切な法人形態を検討」とあるが、自立性の確保の具体的内容および、適切な法人形態の具体的内容とはどのようなものか。
この点については、我々が検討しているわけではなく、法人側と厚生労働省が具体的内容を検討中だ。
「学術研究面における目標設定・評価の双方に資するため、主務大臣の下に、学識経験者から構成される専門の学術評価委員会を設置する」としているが、研究開発の全ての分野を評価できるような体制となり得るのか。
それぞれの法人の研究分野にあわせて、学術評価委員会を構成しなければならない。例えば、物材研など専門分野の研究をしている法人と、理研など幅広い分野を研究している法人とは、学術評価委員会の構成メンバーの幅広さも大きく違うものにならなければ対応できないと考えている。
「科学技術・イノベーション戦略本部(仮称)」の司令塔機能は府省横断的、総合的な国家戦略の目標設定、制度運用、研究評価を行わなければならないが、トップダウンのマネージメントだけでなくボトムアップのイノベーションの創出ができる制度になっているか。
この点は、内閣府の科学技術担当のところで検討されており、我々の検討課題とはなっていない。今月の19日には最終報告が出される予定だ。


研究機関の「司令塔」について内閣府・科学技術担当と交渉

 同日、国公労連と学研労協は、研究独法見直しに関わる「科学技術・イノベーション戦略本部(仮称)」(※交渉の中では「改組体」と呼ぶ)について、内閣府の科学技術政策・イノベーション担当の工藤企画官と交渉をおこないました。国公労連側は九後書記次長、学研労協側は池長議長を責任者に各研究独法労組の代表ら8人が参加し、要旨以下のやりとりがなされました。(※○は国公労連・学研労協、●は内閣府側の発言要旨)

研究独法の見直し作業の進捗状況はどうなっているのか。
研究独法の新たな制度を考えるにあたって、司令塔となる総合科学技術会議の改組をはかる必要がある。その「改組体」についての論点整理が行われたというのが今の段階だ。今後の目標としては今月5日に「改組体」について中間的にとりまとめ、19日には最終のとりまとめを行いたい。「改組体」が関わる研究独法見直しとして検討されている特徴点は、<1>独法評価のあり方を変更する。現行の各省評価委員会と、総務省の政独委を無くし、主務大臣が独法の業務実績評価を行う。ただし、科学的知見が必要な研究独法については適切な評価を実施できる体制などで補う。<2>中期目標の入り口と出口において、主務大臣の評価を踏まえて総合科学技術会議の「改組体」がチェックを行う。<3>研究独法の日常の活動についても「改組体」が随時、主務大臣へ勧告などができるようにする、ことなどだ。つまり、「改組体」が科学技術イノベーションの観点からのモノサシをあてていくことになる。研究成果が最大限出るように「改組体」が関与するということだ。
震災復興の財源問題などもあり、当初の科学技術の発展のための研究独法見直しから、効率化や選択と集中などが強調される見直しになっているのではないか。拙速な「改組体」づくりについても検討イメージがはっきりしない。
我々は効率化第一ではなく、研究成果を出すことが第一だと考え制度設計してきた。その際に研究成果を出すための効率性という観点は必要だと考えるが、効率化が研究成果を出すことの阻害要因になるならそこはあらためるべきだ。「改組体」については、第4期科学技術基本計画にもとづき、グリーン、ライフ、震災復興などを柱とする施策パッケージを推進するために、国立研究機関だけでなく、国立大学法人などの司令塔の役割をイメージするものだ。研究独法との関わりでは、「改組体」は主務大臣へ勧告するなどの形を取ることを検討している。基本的には、研究独法と主務大臣との間に、運営費交付金などの疑似契約関係があり、「改組体」はそこに対して意見することはできるということになる。
行革推進室は「改組体」のあり方が決まってから、手足となる研究独法制度の見直しをすると言っているが。
「改組体」と研究独法制度の見直しは、同時並行的に検討可能だ。タイムラグがあるとしても「改組体」のあり方が決まった直後に研究独法のあり方も決められる。
研究開発法人という類型に、各独法をグループ分けする判断は、どこが行うのか。
行政刷新会議と各省が判断することになる。
「改組体」の司令塔機能の強化となるとトップダウンだけが強まる危惧があるが、研究というのは、ボトムアップから種が育ち、芽が出てきたら、展開してプロジェクトにしたり大きな施策に乗せていくものだ。そうした研究のあり方についてはどう検討されているのか。
大事な研究の生態系を壊してまで司令塔機能を強化することは考えていない。ただ目標を掲げて、そこに到達するためにボトムアップで研究を積み上げ、目標とボトムアップがつながっていくというルートもあるだろう。我々は研究のやり方について“箸の上げ下げ”まで指図しようとは考えていない。そもそも我々の制度見直しは、効率化という枠組みで研究の生態系を壊してはいけないというところからスタートしている。
研究開発力強化法の附則についての措置は検討されているのか。
我々は研究開発力強化に向けて、この間の国会においても提出法案を登録し準備してきたが、震災対応などもあり、実現には至っていない。次期通常国会に向けて現在検討しているものがそれに代わるものになるだろう。


《別添》

2011年12月2日

行政刷新担当大臣
蓮舫 殿

日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 宮垣 忠

筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会
議 長 池長裕史

 独立行政法人の抜本的見直しにあたっての質問書

 日頃から、国民生活の安全と向上のためご尽力されていることに敬意を表します。  さて、現在すすめられている独立行政法人の抜本的見直しについて、年内のとりまとめにむけた検討作業がおこなわれています。
 この間私たちは、制度発足以降、予算や組織、人員、人件費などの制度面だけではなく、運用面でも様々な問題が発生していることを指摘し、独立行政法人の見直しにあたっては、独立行政法人通則法の目的に掲げられている「国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資すること」を実現させる内容となるよう求めてきました。
 しかし、11月に示された「独立行政法人改革における新たな制度設計に係る議論の整理」(以下、「議論の整理」)では、見直しの具体的な内容が示されておらず、今回の見直しが国民生活にどのような影響を与えるのか、各法人の業務がどのように変化するのか、そこで働く労働者の雇用や労働条件がどうなるのかなどは明確になっていません。
 ついては、下記に掲げる質問について現状・考え方を明らかにするとともに、11月17日に提出した「独立行政法人の抜本的見直しにあたっての要請書」の内容を実現するための努力を強く求めるものです。


1、抜本的見直し全体にかかわって

  1. 抜本的見直しをおこなう理由は何か。問題点の整理などは十分おこなわれているのか。
  2. 労災病院と国立病院との統廃合をはじめ、いくつかの統廃合が検討されているが、それを進める観点・視点等とともに進捗状況を明らかにすること。
2、組織規律の強化にかかわって
  1. 「議論の整理」では、法人の適正な業務運営を確保するために国の権限を強化するとされている。一方、独立行政法人通則法では「独立行政法人の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」とされているが、見直し以降、何をどう配慮するのか。
  2. 特定独法の労働関係に関する法律について改正はおこなうのか。また、労働条件の決定にあたっては、総人件費抑制をはじめとして「国準拠」の押しつけがおこなわれており、労使自治・労使対等が保障されているとはいえないが、制度官庁としてどのように考えているのか。
  3. 独立行政法人を11の類型に分けた理由と根拠、具体的な区分け内容、類型分けをふまえた見直しの具体的手法についての考え方はどのようなものか。
  4. 現行制度における特定独立行政法人、非特定独立行政法人の区別を変更しなくとも良いと考えるが如何。

3、財政規律の整備にかかわって
  1. 「議論の整理」では「可能な限り具体化・定量化し、受益と負担の関係を考慮した自己収入の目標を的確に設定」するとされているが、的確か否かの判断は誰がどのような基準でおこなうのか。また、自己収入の増加や目標達成に向けて法人の特性に応じた経営努力が求められているが、その枠組みや具体的内容はどのようなものか。
  2. 「本来の事務・事業の目的に沿った資金の使用を明確な形で義務づけ」るとされているが、具体的にはどのような内容となるのか。
  3. 剰余金の処理について、「一定の合理的理由が認められる場合には、中期目標期間を超える繰り越しを認める」とされているが、具体的にはどのような理由か。独立行政法人には業務運営の自主性が認められていることから、財政民主主義の観点から許される最大限の柔軟な制度とするべきではないか。

4、目標・評価の仕組みの見直しにかかわって
  1. 「議論の整理」では「目標設定の明確性・客観性や、評価の標語や基準について府省横断的に統一性を持たせる」としているが、具体的にはどのようなものか。
  2. 今回の見直しでは、法人が政策ツールとして位置づけられ、評価も政策責任主体である国がおこなうとされている。このことによって政治家である大臣の意向反映や関与の強まりが生じ、評価の中立性・公正性が担保されないのではないか。

5、情報公開の推進にかかわって
  1. 研究開発法人における調達については、物品の特殊性や価格などから一般競争入札がそぐわないケースがあることへの具体的対応は検討されているのか。

6、法人の事務・事業の特性に応じた類型にかかる議論の整理にかかわって
  1. 医療関係法人について、「独立行政法人改革における法人の事務・事業の特性に応じた類型に係る議論の整理」では、「一定の経営の自立性を確保した適切な法人形態を検討」とあるが、自立性の確保の具体的内容および、適切な法人形態の具体的内容とはどのようなものか。
  2. 研究開発法人について
     <1>「学術研究面における目標設定・評価の双方に資するため、主務大臣の下に、学識経験者から構成される専門の学術評価委員会を設置する」としているが、研究開発の全ての分野を評価できるような体制となり得るのか。
     <2>「不適切な支出」が生じる背景には硬直的な委託費等会計制度の問題があるのではないか。
     <3>「科学技術・イノベーション戦略本部(仮称)」の司令塔機能は府省横断的、総合的な国家戦略の目標設定、制度運用、研究評価を行わなければならないが、トップダウンのマネージメントだけでなくボトムアップのイノベーションの創出ができる制度になっているか。

以上 


 
 
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