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 国公労連速報 2011年11月18日《No.2651》
 独立行政法人の抜本的見直しについて
 行革推進室事務局次長交渉を実施
     
 

 

 国公労連は11月17日、学研労協とともに独立行政法人の抜本的見直しに関わって行政改革推進室・松村事務局次長との交渉を実施しました。国公労連は岩崎副委員長を責任者とし、学研労協の川中事務局長、各単組・独法労組代表ら12人が参加しました。  冒頭、岩崎副委員長が要請書(別添)を提出し、要請の趣旨を説明するとともに、以下の点について追及しました。

  • 独法抜本見直しに関わって、我々の意見反映が可能な時点での交渉の場を設けたことは一定評価するが、連合・公務労協に対してはヒアリング等に出席させ意見を聴いているのに、全労連・国公労連に対してはヒアリングの対象としなかったことについて抗議する。
  • 現在、進められている独法見直しにあたっては、組織の廃止など行政サービスの縮小ありきでなく、国民生活の安定等に資する観点から行うべきである。
  • 抜本的見直しが、独法職場で働く労働者の雇用等に重大な影響を及ぼすことから、当該労働組合との交渉・協議を尽くすとともに、国および法人当局が職員の雇用等に責任を必ず持つべきである。
  • 今後の独法見直しのスケジュールはどうなるのか。
  • 研究開発力強化法にもとづく研究独法への措置はどうなっているのか。
 これに対して、行革推進室・松村事務局次長は要旨以下のように回答しました。
  • 独法関係者をはじめ、行政サービスを受ける国民まで、できる限り幅広く意見を聴きながら独法見直しの議論を進めているつもりだ。みなさんからも前回夏に意見をうかがったことに加えて今回もこの場で意見を聴かせていただきたい。独法見直しのワーキンググループでヒアリングを実施しているが、各省や独法当局の役員だけでなく、現場の実務者などからも率直な意見をオープンな形で聴いている。今後もこうした場もあわせ、いろいろなルートで意見を聴かせていただき、見直し作業を進めていきたい。現場の意見も含め、幅広い意見を踏まえたいと考えており、拙速に結論を出そうとしているわけではない。
  • 国民生活を改善する、あるいは国民サービスを充実していくために、我々は独法見直しを行っているつもりだ。国民サービスが低下するような形にならないように、効率性だけの観点や、財政のみの経費削減だけを考えて見直しを行うというつもりではないことを理解いただきたい。
  • 組織の再編等で職員の雇用や労働条件などに変更をきたすことも考えられるが、こうした場合には、職員の雇用や労働条件に配慮しながら慎重に進めていきたいと考えている。
  • 9月に行政刷新会議の下に分科会を立ち上げて以降、3つのワーキンググループなどでの会合も重ねながら、見直し作業を進めているところだ。今後のスケジュールとして、年内を目途にとりまとめに向けての議論を進めたいと考えているが、現時点で正式に決まったものではなく、今後変わることもある。
  • 研究独法は、独法の中で大きなウエイトを占めるグループだが、どういったガバナンスのルールでどのような組織がいいのか、独法全体の議論の中で検討している。とりわけ、研究独法に対する司令塔機能の充実をはかる必要があり、この点について内閣府の総合科学技術会議事務局の方で現在検討している。司令塔機能を重視するということは、司令塔からの司令にもとづいて研究独法がいろいろな研究プロジェクトを推進することになるため、司令塔のあり方の議論が研究独法見直しに関わって重要になっている。あわせて研究開発力強化法の措置についても内閣府で検討している。

 最後に岩崎副委員長が、「12月をめざすとする最終とりまとめに対して、我々の意見反映がきちんと行われるタイミングで再度交渉の場を持っていただきたい」と述べ、交渉を終えました。


《別添》

2011年11月17日

行政刷新担当大臣
蓮舫 殿
 独立行政法人の抜本的見直しにあたっての要請書

日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 宮垣 忠

筑波研究学園都市研究機関労働組合協議会
議 長 池長裕史

 日頃から、国民生活の安全と向上のためご尽力されていることに敬意を表します。
 さて、現在政府は、2010年12月7日に閣議決定した「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」に基づき、抜本的な見直し案について年内の閣議決定と次期通常国会での法案提出を念頭に、検討作業を行っています。
 2001年に中央省庁再編と同時に創設された独立行政法人は、「国自らが直接実施はしないが、民間にゆだねた場合必ずしも実施される保障の無い業務」を担い、業務運営においては「自主性は十分配慮される」とされていました。その後、「官から民へ」等の小さな政府つくりが進められ、公務部門の切り離しや特殊法人の見直しによる独立行政法人化が行われたため、多数の独立行政法人が設立されてきました。
 制度発足から10年が経過しましたが、予算や組織、人員、人件費などの制度面だけではなく、運用面でも様々な問題が発生しています。とりわけ、移行のメリットとされた自主性はほとんど認められない実態となっています。特に、連年にわたる運営費交付金の削減により、独立行政法人では国民の安心・安全を守り産業活動の基盤を支える業務遂行に支障をきたすなど、教育や研究の質の低下を招いています。
 独立行政法人の人件費についても、行革推進法による削減もかさなって慢性的な人員不足が生じ、各法人の業務遂行に大きな足かせとなっています。正規職員が採用されず、任期付研究員が増え、研究所によっては過半数に及ぶなど研究の継続性が阻害される法人もあります。早急に不安定で劣悪な研究・労働条件に置かれているポスドク問題を解消する必要があります。
 今回の検討は廃止・民営化・統合など念頭に置いた「ゼロベースからの見直し」として進められていますが、独立行政法人制度の見直しにあたっては、独立行政法人通則法の目的に掲げられている「国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資すること」が実現されなければなりません。
 そのため、貴職に対し、下記事項が実現されるようご尽力いただくことを要請します。


 1.全体に関わる要求

 (1) 国民生活と社会経済の安定・向上等に公共上の見地から貢献している独立行政法人の事務・事業については、運営費交付金等を確保・増額し、国の責任で存続・拡充をはかること。なお、抜本的見直しの検討の結果、国で行う必要のある事務・事業については国に戻すこと。
 また、研究開発独立行政法人については、事務・事業の重要性を踏まえ、確実に目的を達成するための新たな制度創設について考慮すること。

 (2) 予算・会計制度について
     予算の年度繰り越し制度を実効あるものとし、中期目標期間を超える繰り越しも認めること。

 (3) 人員確保と処遇改善について

  1. 人件費の抑制による人員削減を行わないこと。必要な増員を行い、業務に支障を来さないよう人員配置を行うこと。
  2. 非正規職員の労働条件を抜本的に改善して正規職員との均等待遇をはかり、職員の希望にそって正規職員化をはかること。

 (4) 法人の運営について
  1. 運営については、当該法人の自主性、自律性を拡大すること。特に、中期目標は、法人が策定し、主務省が認可するよう制度改革を行うこと。
  2. 運営においては、トップダウンだけではなく、ボトムアップにより現場の意見を反映させる仕組みをつくること。特に、中期目標・計画の策定に当たっては、職員の意見 反映を行うこと。
  3. 競争入札を一律に義務付けず、事業の実態に見合う実効ある契約方式とすること。
  4. 独立行政法人の評価は、効率性に偏重することなく、公共性の発揮を最大の基準とすること。

 (5) 廃止および統合、民営化等について
  1. 独立行政法人の組織および事業・事務の抜本的見直しについては原則廃止等を前提とせず、効率性一辺倒の「事業仕分け」のような拙速な結論を導かないこと。検討を行う場合は、関係者を含めた幅広い意見を取り入れ、オープンにすること。
  2. 統合した場合の事務・管理部門は、業務量に見合う体制を確保すること。
  3. 見直しによって職員の身分や地位、雇用および労働条件に影響がおよぶ場合は、当該労働組合との誠意ある交渉・協議を行うとともに、国および法人当局が職員の雇用に責任を持つこと。

 (6) 東日本大震災を経験して

 独立行政法人含め行政機関が国民の安心・安全果たすべき役割の重要性・必要性があきらかになったことを踏まえ、各法人の機能が十分に発揮できる体制(人員、予算など)を確保すること。


 2.研究開発法人に関わる要求

 (1) 研究機関の事務・事業について
  1. 「選択と集中」の論理ではなく、基礎・基盤的研究など裾野を広げながら先端的研究の進展も図るという立場で見直し・検討を進めること。
  2. 防災・安全等のために、研究機関の成果が速やかに行政に反映する仕組みを整備すること。

 (2) 予算について
  1. 研究開発法人等に必要な研究予算を充分確保し、運営費にかかわる賃金の抑制を行わないこと。
  2. 予算の年度繰り越し制度を実効あるものとし、年度当初からの予算執行を可能とすること。
  3. 研究開発業務に弊害をもたらしている画一的な競争入札制度はやめること。
  4. 競争的研究資金の研究予算全体に占める割合を引き上げず、基礎研究に対する研究費の大幅増額を実現すること。

 (3) 人員について
  1. 人件費の抑制による人員削減ではなく、必要な増員を行うこと。
  2. 支援業務に従事する職員については、長期的視野に立った適切な補充と育成を行うこと。
  3. 非正規職員の研究労働条件を抜本的に改善して、正規職員との待遇格差を解消し、若手研究者が長期間にわたって不安定な雇用条件(ポスドク・任期付研究員)におかれている現状を改善すること。また、パーマネント化を進めること。

 (4) 研究機関の運営と評価について
  1. 運営においては、過度なトップダウンを求めるのではなく、ボトムアップにより研究現場の意見を反映させる仕組みをつくること。
  2. 研究機関の評価においては、研究開発独立行政法人にマッチした評価基準で評価すること。評価は研究内容が理解できる機関に任せること。

 (5) 組織および事務・事業の整理・統合について
  1. 研究機関および事務・事業の強制的、画一的な統廃合は行わないこと。
  2. 研究分野の統合、研究機関の統合、省庁を超えた統合などの検討を行う場合は、十分な時間をかけて、当事者を含めた幅広い意見を踏まえること。
  3. 研究支援部門の削減を行わず、研究機関の適正規模を踏まえた支援部門の配置を行うこと。

以上 


 
 
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