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国公労連速報 2011年10月31日《No.2646》
 「地域主権改革」を考えるシンポジウムを開催
 ――「地域主権改革」の問題点、国と地方自治体が果たすべき責任と役割を明らかに
     
 

 

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 全労連は10月30日、都内で「地域主権改革」を考えるシンポジウムを開催し、130人が参加しました。
 渡辺治氏(一橋大学名誉教授)がコーディネーターをつとめ、シンポジストとして碇川豊氏(岩手県大槌町長)、綱島不二雄氏(復旧・復興支援みやぎ県民センター代表世話人、元山形大学教授)、尾林芳匡氏(弁護士、自由法曹団)が出席しました。

 大震災・原発事故で「地域主権改革」の問題点が明らかに

 シンポジウムの冒頭、主催者あいさつに立った全労連の根本副議長は、「東日本大震災と原発事故では、これまでの『構造改革』路線の弊害が明らかになった。『地域主権改革』は生存権や生活権を奪う『地域破壊改革』。本日のシンポジウムを契機に、『地域主権改革』の危険性や問題点への理解を大きくひろげ、たたかいを前進させよう」と述べました。
 渡辺氏は問題提起で、「国が担うべきナショナルミニマムの責任を放棄し、地方自治体を構造改革の担い手にするとともに、道州制導入により開発単位を大きくし、地方財界が主役となる国のかたちをつくること」と「地域主権改革」のネライを明らかにしました。その上で「その問題性と福祉型国家の必要性を大震災が示した」と指摘し、対立軸を鮮明に打ち出し理解と共感を拡げる必要性を訴えました。
 津波で前町長を含め1割以上の住民が犠牲となるなかで、8月に大槌町長に就任した碇川氏は、「各自治体から応援も得ているが職員が大変少なく、職員自身も被災しているなか不眠不休で働いている」、「一刻も早い復興計画の策定が必要。土日に地域復興協議会を町内10ブロックで同時開催しながら、住民参加の復興計画づくりを進めている」と報告しました。また、「地域主権改革」については、「議論が深まらないまま進められているのではないか」と懸念を示しました。
 綱島氏はスマトラ沖地震からのインドネシアの復興を引き合いに、「住民に即した復興理念がないまま『構造改革』型の復旧・復興が行われようとしている」と懸念を示すとともに、「漁業権は江戸時代からつづく制度で、海を守るために国民が浜の漁民に負託した権利」とし、「水産特区」制度により海を大企業に売り渡す問題を指摘しました。
 尾林氏は、「避難所生活からすぐに自立した生活にはなり得ない。復興事業などによる地元企業の振興と地域経済の回復なくして震災からの復興はあり得ない。『小さな政府』など『構造改革』路線に沿う政治思想の逆転が必要」と述べ、「各分野がバラバラに対抗するのではなく、一体的なイメージを共有して運動にとりくもう」と呼びかけました。


 様々な問題点を各分野から報告

 その後のフロア発言では、「地方整備局の廃止は国民の安全・安心を奪い、地域によって防災にも格差が生まれる」(国土交通省労働組合)、「雇用悪化が深刻ななか国の責任で労働行政を担う重要性が増しており、増員をはじめ拡充が必要」(全労働)の指摘がありました。自治労連滋賀の参加者は権限委譲などに関わる自治体ヒアリングの回答事例として、「専門的な内容が県から基礎自治体におりてくると人員的に対応できない不安」などを紹介しました。全生連の参加者からは「『義務付け・枠付け』一括法で公営住宅の整備基準が改悪。戸数削減や家賃の値上げなどが心配」、「保育所人数基準の緩和で詰め込み保育が横行。こどもを荷物のように保育所に配達する『広域的保育所利用事業』が拡大」と問題を報告しました。全教の参加者は大阪府の教育基本条例の動きを紹介し、「『地域主権』は『首長主権』。あってはならない教育の政治支配が強まる恐れ」と懸念を示しました。


 運動の方向性と協動を確認

 シンポジウムのまとめとして渡辺氏は「『地域主権改革』が生活に与える影響や『構造改革』型の復旧が進んでいることが明らかとなった。一方では震災を契機に、それまでの方針とは相反する雇用保険の給付延長や健康保険料の支払い猶予などの特例措置を行っている。本来の社会保障としてどちらが求められるものかも明らかとなった」「あるべきは、国と地方が重層的な責務を協同して担うことであり分担論ではない。様々な発言から運動の方向性と協動が必要であることが確認できた」と述べました。
閉会のあいさつに立った全労連公務部会の宮垣代表委員(国公労連委員長)は、「今回のシンポジウムで、この間の『構造改革』が国の果たすべき本来の役割と反することが明らかになった。国民・住民の安心・安全を守るため、公務・公共サービスの拡充にとりくもう」と呼びかけました。


以上 


 
 
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