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国公労連速報 2011年4月6日《No.2518》
法案策定にむけて意味のある交渉・協議を求める
「全体像」の決定をふまえ、園田大臣政務官に申し入れ
     
 

 

 公務員制度改革にかかわる「全体像」は、5日午前中に開かれた国家公務員制度改革推進本部で、原案通りに決定されました。
 「全体像」の決定を受けて、政府は、「国家公務員の労働関係に関する法律案(仮称)」などの関連法案の策定作業を本格化させます。
 協約締結権の回復とともに人事院勧告制度は廃止され、労使間の交渉で賃金・労働条件を決める制度へ一歩前進することとなりますが、同時に、制度の中身では問題も残されており、引き続く追及が求められています。
 全労連公務員制度改革闘争本部では、「全体像」決定をうけて、園田康博内閣府大臣政務官との交渉を持ち、法案策定にむけて引き続き交渉・協議を尽くすことや、公務労働者の労働基本権の全面回復にむけた努力を申し入れました。
 (また、「全体像」決定にあたっての闘争本部長談話を発表しました。別添参照)

 地方公務員の労働基本権のあり方は総務大臣を中心に検討

 園田内閣府大臣政務官(衆議院議員・民主)との交渉には、全労連闘争本部から小田川本部長、野村(自治労連委員長)、北村(全教委員長)、宮垣(国公労連委員長)の各副本部長、黒田事務局長が出席しました。
 はじめに、園田政務官は、「震災に際して公務員のみなさんには救援作業などで尽力いただくなど、被災地の現場での対応には心から感謝したい」とのべたうえで、「中野公務員制度改革担当大臣の命を受け、大臣に代わって、本日開催された国家公務員制度改革推進本部の決定について申し上げたい」として、要旨、以下の通りのべました。
 ● 本日午前に開かれた推進本部では、「国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の『全体像』について」が決定された。内容は、この間、国家公務員制度改革推進本部事務局とみなさんとの間で意見交換を重ねてきたとおりである。
 ● 推進本部では、菅総理をはじめ全閣僚が参集した席上、各閣僚らの発言があった。
 中野公務員制度改革担当大臣から「法制上の措置が必要なものについては、関係大臣とも連携し、精力的に法案化作業をすすめ、できる限り速やかに国会に提出してまいりたい」との決意が示された。
 片山総務大臣から「地方公務員の労働基本権のあり方については、地方公務員制度を所管する総務省が中心となって検討を進めてまいりたい」との表明があった。
 江利川人事院総裁から「人事行政の専門機関として必要な提言をおこなうなど協力していきたい」との発言があった。
 最後に菅総理からは、「国民のニーズに合った行政サービスを提供し、公務員がやりがいを持って仕事ができるような公務員制度とする」とし、「中野大臣を中心に、関連法案の提出にむけて鋭意作業を進めていただきたい。また、地方公務員の労働基本権のあり方については、片山総務大臣が中心となって検討を進めていただきたい」との指示があった。
 ● 担当政務三役としては、総理の指示をふまえ、「全体像」にもとづいて精力的に法案の策定作業を進め、できる限り速やかに法案を国会に提出していく決意であり、みなさんにも引き続きよろしくお願いしたい。

 公務労働者の労働基本権の全面回復にむけて尽力せよ

 これに対して小田川本部長は、「01年に公務員制度改革がスタートしてから10年、長年の懸案であった労働基本権回復を前進させる改革案を取りまとめた政府の努力は多としたい」とのべたうえ、以下の点をあらためて指摘しました。
 ○ 「全体像」検討の最終段階において、総論部分で「国民全体の奉仕者としての公務の公正性を確保しつつ」との一文が挿入されたことは、公務員庁、内閣人事局、人事公正委員会、各府省のバランスのとれた公務員制度運用と、そのことを意識した公務員労働組合の労働条件決定への参画をうまく機能させる制度改革にむけた政府の意思表明として重く受けとめる。
 ○ 自律的労使関係制度は、現業公務員のそれとも異なる公務員労使関係法のもとで作り上げていくものと受けとめている。民間同様でもなく、人事院勧告制度の枠内でもない新しい労使関係が公務に定着し、公務労働者の労働基本権の全面回復につなげられるよう、政府としての尽力を求める。v  ○ 交渉対象となる労働条件のうち、何を法律事項とするのかが引き続いて対応すべき課題だと考えるが、その点での意味ある交渉を強く求める。
 ○ 地方公務員の労働基本権や、現状で団結権が認められている裁判所や国会の職員などの労働基本権については、これまでの議論と到達点を反映し、可能ならば同時期に法案として取りまとめられるよう、公務員制度改革担当の立場で努力を求めたい。
 また、宮垣副本部長からは、「法案策定にむけて引き続き協議の場を持つよう求める」とのべるとともに、公務員庁での再就職あっせんとも関連させながら、社会保険庁職員の分限免職問題について、「人事院で不服申し立ての公開口頭審理がつづいているが、政府による分限回避努力が十分ではなかったのが明らかとなってきた。ベテランの職員が排除されて出発した日本年金機構は、不十分な体制のまま業務をこなしている。政治の力を発揮し、解雇された職員が年金の職場に戻れるよう尽力すべきだ」と求めました。
 北村副本部長は、「地方公務員制度の速やかな検討を求める。同時に、教職員の特性もふまえれば、地方公務員で一括りにして議論できない問題もある。文部科学省も同じような認識を持っている。その点で、総務省に加えて、文部科学省とも協議していくべきだ」と指摘しました。
 また、東北の被災地をめぐって東京に戻ってきたばかりの野村副本部長は、「津波に流された岩手県内沿岸の自治体をめぐり、首長とも意見交換してきた。自治体職員のなかには家に帰らず、わずかな睡眠時間で仕事をしている人もいる。給料日に給与が支給されなくとも、住民のために献身的に働いている。そこに公務労働者として働くことの意義がある。菅首相ものべたように、やりがいを追求することは重要だ」と指摘したうえ「人事は、公正さと民主性が必要であり、これを担保できる制度であるべきだ。また、地方公務員の自律的労使関係制度は、一刻も早い制度設計が必要だが、決まったものを押しつけるのではなく、労使で話し合いながらお互いにいいものをつくる姿勢が必要だ」とのべました。

 できる限り早期の法案提出にむけて最大限努力する

 これを受けて、園田政務官は、以下のように答えました。
 ● ただ今ご要請のあった点のうち公務員制度改革関連法案に関わるものについては、これまでの経緯等も踏まえ、みなさんと十分な議論、意思疎通を重ねつつ、震災の影響もあって非常に厳しいスケジュールの中ではあるが、できる限り早期に法案を国会に提出できるよう最大限努力する考えである。
 ● 社保庁の分限免職については、それに言及できる立場ではないが、その際の担当大臣は精一杯努力されたとは思う。しかし、現場のみなさんにとっては、不十分と思えるところもあったかもしれない。いずれにしても、ご指摘は受けとめたい。
 ● 地方公務員制度に関わる部分については、ご要請があった旨を総務省の担当政務三役にも責任を持ってしっかりと伝えたい。また、ご指摘のように、場合によっては文科省からも意見を聞くことも必要だと考える。
 ● 数十年来の改革となる第一歩だが、大きな一歩となる。まだ不十分なところはあるかもしれないが、方向性は一致しているのではないか。これからも、いろいろと協議していきたいので、ご協力をよろしくお願いする。
 最後に、小田川本部長は、「私の立場からも、推進本部が、我々の意見に真正面から向き合った対応をすすめるため努力いただくよう重ねて要請する」とのべて交渉を閉じました。

以上

〈別添〉

公務員制度改革にかかわる「全体像」の決定にあたって(談話)

2011年4月5日
全労連公務員制度改革闘争本部 本部長 小田川義和

1、 政府の国家公務員制度改革推進本部(本部長−菅直人首相)は本日、「国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の『全体像』」(以下、全体像)を決定した。
 「全体像」は、採用から退職にわたって、公務員制度の「全般的かつ抜本的な改革」を推進していくために、今後の「改革」の具体的措置や実施時期を明らかにしたものである。今通常国会には、国家公務員法改正法案、国家公務員の労働関係に関する法律案、内閣人事局や公務員庁など新たな組織の設置にむけた法律案などの関連法案を提出するとしている。
2、 「全体像」では、60余年にわたって続いてきた人事院勧告制度を廃止し、協約締結権の回復による「自律的労使関係」にむけた措置が盛り込まれた。
 これによって、賃金や労働条件を労使間の交渉によって協約を結んで決めていく制度へと前進がはかられることとなる。あわせて、不当労働行為の禁止・救済の規定や、中央労働委員会によるあっせん・調停・仲裁で労使紛争を解決する調整システムが新たに設けられる。
 戦後まもなく一方的に奪われた公務員の労働基本権の一部である協約締結権が回復することは、運動の到達点として確認できるものである。
3、 同時に、「自律的労使関係」と言うものの、「立法政策」としての側面が強調され、基本的人権としての労働基本権回復という視点に立ち得ていない不十分さも明らかとなった。
 具体的には、民間や独立行政法人にも見られない組合結成にあたっての「認証制」や、管理運営事項を「交渉できない事項」とすること、協約締結前の内閣による事前承認などは、「自律的」な労使交渉を制約しかねない側面を持っており、今後の法案化にあたって是正が求められる。
 そして何よりも、ストライキ権の回復を今後の検討事項にとどめたことをはじめ、刑事施設職員等の団結権を引き続き制約するとした点は、6度にわたるILO勧告に照らしても不十分なものである。これらの権利回復にむけて速やかな措置を求めるものである。
4、 未曾有の災害となった東日本大震災は、「構造改革」による経済効率一辺倒の政治のもとで、国民の命と財産を守るという公務公共業務の本来の役割や、安全対策、危機管理などがなおざりにされてきた日本の現状を明らかにした。今次公務員制度改革でも、「効率化」が強調されるもと、憲法15条にもとづく公務員制度の実現という立場が軽視されていることを懸念する。大震災を契機に、政府は効率性優先の政策を抜本的に転換すべきである。
 そのことともかかわって、新たな制度のもとでも、人事の公正性を確保し、「国民全体の奉仕者」として公務労働者の役割発揮にむけた制度を確立することが、国民の諸権利を守るうえでも重要課題であることを指摘する。
 全労連闘争本部は、憲法とILO勧告に沿ったストライキ権をふくむ労働基本権の全面回復、民主的な公務員制度の確立にむけて奮闘する決意を新たにするものである。

以上

 
 
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