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国公労連速報 2009年1月16日《No.2100》
労使双方を対象にしたヒアリングを2月から実施
− 労使関係制度検討委員会が第3回会議を開催 −
     
 

 

 国家公務員制度改革推進本部の労使関係制度検討委員会の第3回会議が、1月13日夜に開催されました。
 この日の会議では、前回に続いて「便益および費用」にかかわって議論されるとともに、推進事務局から提案された「協約締結権に関する主要な論点」について意見交換しました。また、次回の委員会から、労使双方からのヒアリングを3回にわたって配置することが確認されました。
 全労連公務員制度改革闘争本部は委員会の傍聴にとりくみ、3名が参加しました。

 前回に引き続いて「便益および費用」に意見が集中

 前回の議論をうけて事務局で取りまとめられた「想定される便益および費用の基本的視点」が示され、これをめぐって、労働者側委員からの意見が集中しました。
 とりわけ、「交渉コストの増大」、「人件費の増大」などと、労働協約権を付与することで費用(税金)がかさむかのような表現になっていることには、労働者側委員から「コスト増だけを意図的に際だたせるもので納得できない。コストが少なくなる場合も想定され、正確な議論が必要だ。『コストの増減』との表現にあらためるべき」などの意見が出されました。
 今野座長は、「便益についても、違う視点で考える必要が出てくる。そうなると、すべて書き換えることとなる」とのべ、大まかな変更はおこなわず、文言整理にとどめることで議論をまとめました。
 いずれにせよ、公務員制度改革基本法第12条で示された「便益及び費用」が、協約締結権をめぐる議論の焦点となっているもとで、推進事務局が主張するような「コスト論」は、基本的人権としての労働基本権の議論とは相いれないことを確認しておく必要があります。
 そのことは、「コストの増大」をタテにとって、協約締結権保障を後景に追いやらせないうえで重要となっています。

 協約締結権の論点整理にむけて議論を開始

 この日の会議でもう一つ議論となったのは、新たに事務局より示された「協約締結権に関する主要な論点」(別掲)でした。
 これに対しては、労働側委員から、「全農林警職法事件最高裁判決は、ストライキ権をめぐる『合憲』判断であり、協約締結権制約の議論に持ち出すことはできない」「協約締結権を付与する範囲は、専門調査会での議論経過が反映されていない」「『公権力』とはいったい何を示すのか。協約権がある独立行政法人職員でも、公権力を行使している部門があるが、何ら問題は発生していない。この部分は削除すべき」「少数の職員団体(労働組合)の取り扱いは、あえて言及する必要はなく、交渉システム全体像を考えるだけでよい」「給与だけではなく、勤務条件全般の決定のあり方について議論すべき」などの意見が出されました。
 一方、使用者側委員からは、「公権力を行使する職員の範囲は、あらためて議論が必要だ」「少数組合は、現実に組織率が低い組合があるという点に則して考える必要がある」「給与は、勤務条件の基本であり、これを中心に議論をすすめた方がわかりやすい」などとする意見が出されました。
 労働側委員は、「当委員会では、専門調査会の結果を尊重して議論をすすめるべきだ。それが委員会の使命だ。それをふまえなければ専門調査会と同じ議論になってしまう。委員の間で認識が違ってくれば、議論に齟齬をきたす」と強く求めたことから、今野座長は、「専門調査会の報告は両論併記の部分もあり、すべてその結論にしばられるものではないが、到達点をふまえた議論が必要なことは当然だ」と取りまとめました。
 その他にも、「『職員団体』という表現は、現行の登録制度を前提にしており問題だ」「『交渉権等の保護システム』ではなく、不当労働行為からの救済制度であることを明記すべき」などの意見が出され、若干の議論がありましたが、座長からの取まとめはありませんでした。
 委員会は、最後に、次回から国・自治体・独立行政法人などを対象としたヒアリングを実施することを確認しました。ヒアリングは、2月上旬から3月上旬までに3回の委員会を開き、対象法人等の労使双方に対して実施される予定です。


(別添:第3回労使関係制度検討委員会提出資料)

 協約締結権に関する主要な論点

 1 基本的考え方
 ○ 公務員の地位の特殊性と職務の公共性、労働基本権の制約について、どう考えるか。
 1) 全農林警職法事件最高裁判決(昭和48年4月25日)をはじめとする最高裁判例の考え方をどう捉えるか。
 ア 「公務員の地位の特殊性 「職務の公共性」からくる制約について、どう考えるか。
 イ 「立法をもって定めるべき労働政策の問題」の範囲について、どう考えるか。
 2) 全農林判決の基本的な考え方を踏まえ、労働基本権の制約の形態に変更を加える場合には、どのような代償措置の見直しが必要になると考えることが適当か。

 2 協約締結権を付与する職員の範囲
 ○ いかなる範囲とすべきか。
 (管理職員等を除く職員、公権力の行使に携わる職員を除く職員、特定の職種を除く職員など)

 3 協約締結事項の範囲
 (1) 交渉事項の全部を協約事項とすべきか。あるいは、その一部に限定すべきか。
 (2) 「管理運営事項」と「それにより影響を受ける勤務条件」を、どのように整理すべきか。

 4 交渉システムのあり方
 (1) 国家公務員について、基本的な勤務条件である給与、勤務時間に関する協約締結の交渉システム(交渉当事者、交渉事項、交渉単位など)をどうすべきか。
 1) 基本的な事項については、中央交渉に委ねるべきか。また、その主体は、内閣人事局とすべきか。
 2) 各府省及び地方支分部局、都道府県機関など小規模事業所については、どのようにすべきか。
 (2) 国家公務員について、給与、勤務時間以外の勤務条件に関する協約締結の交渉システムをどうすべきか。
 (3) (1)及び(2)の交渉システムとするために、どのような措置が必要か。
 (4) 少数の職員団体の取り扱い、複数の職員団体が存在する場合の交渉のあり方を、どのようにすべきか。また、職員団体に参加していない職員等の取り扱いをどのようにすべきか。
 (5) 地方公務員について、多数かつ多様な地方公共団体及び任命権者・職員団体が存するなかで、交渉円滑化のために、どのような措置が必要か。

 5 給与決定のあり方
 (1) 給与決定原則について、どのようにすべきか。
 (2) 交渉の参考指標としての調査について、どのようにすべきか。
 (3) 毎年の給与交渉の交渉事項やスケジュールを、どのように想定するか。

 6 交渉不調の場合の調整システムのあり方
 (1) 交渉不調の場合の第三者機関による調整(例えば、あっせん、調停、仲裁)について どのようにすべきか また 強制的な仲裁等について どのようにすべきか。
 (2) (1)の調整は、いかなる機関が担うべきか。
 (労働委員会か。あるいは、公務員を専管する別の機関か ) 。

 7 団結権、団体交渉権等の保護のためのシステムのあり方
 ○ 職員団体の活動を阻害する行為(団交拒否など)について、いかなる救済の仕組みが必要か。

 8 法律・条例、予算による統制のあり方、協約との関係
 (1) 議会制民主主義の観点から、勤務条件のうち、いかなる項目について、それぞれどの程度、法律・条例で規定すべきか。
 (2) 財政民主主義、国民・住民に対する説明責任の観点から、給与の内容を、どの程度、国会・地方議会の審議対象(予算説明事項)又は報告事項とすべきか。
 (3) 法律・条例の改正又は予算の増額修正が必要となる協約について、その締結手続及び効力発生要件等について、どのようにすべきか。

 9 協約締結権が付与されない職員の勤務条件の取扱い(一般職に限る)
 ○ 協約締結権が付与されない職員の勤務条件を、どのように決定すべきか。

 10 国における使用者機関
 ○ 国における中央交渉の当局は、いかなる権限を有する必要があるか。
 (給与、勤務時間等の勤務条件に関する法律を所管する以外に、所管すべき権限は何か)。

 11 労使交渉の透明性の向上
 (1) 何を公開対象とすべきか。
 (交渉結果としての協約のほか、申入書、交渉の概要録、交渉自体などが考えられる) 。
 (2) どのような方法で公開すべきか。
 (広報掲載、ホームページ掲載、交渉の公開などが考えられる ) 。

 12 その他
 (1) 労使関係や勤務条件について 公務の特殊性を踏まえ 独自の法制度とすべきか。あるいは、民間の労使関係や労働条件を規律する労働組合法、労働基準法、労働安全衛生法等を、原則として適用すべきか。
 (2) 国家公務員の特別職(自衛隊員など)について、一般職に係る勧告制度がなくなる場合には、給与等の決定システムを、どのようにすべきか。
 (3) いわゆる労使協議制について、公務の分野においてどのように考えるか。

 (注)以上は、協約締結権を付与する職員の範囲を拡大する場合の主な論点を、整理したものである。

 ※「公務員制度改革」闘争ニュース2009年1月15日《No.71》(発行=全労連「公務員制度改革」闘争本部)より転載。

以上


 
 
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