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「公務員制度改革」闘争ニュース 2008年7月14日《No.63》
発行=全労連「公務員制度改革」闘争本部
マッカーサー書簡60年(1948〜2008)にあたり
公務の労働基本権問題を考えるシンポジウムを開催
     
 

 

 全労連「公務員制度改革」闘争本部は12日、マッカーサー書簡から60年にあたり「公務の労働基本権問題を考えるシンポジウム」を東京・全労連会館で開催し、公務関係労働組合を中心に60名が参加しました。
 シンポジウムは、先の国会での「国家公務員制度改革基本法」成立にみられるように、60年にわたって制限されてきた公務の労働基本権回復へ向けた議論が本格化しようとする今日、あらためて労働基本権回復の意義と課題を明らかにし、今後のたたかいへの決意を固めあう場として開かれたものです。

 いまこそ労働基本権回復へのたたかいを広げよう

 開会にあたり主催者を代表して国公労連の福田委員長(全労連「公務員制度改革」闘争本部副本部長)が、「国民本位の行財政確立とあわせ、公務員の基本的な人権である労働基本権の回復が強く求められている。たたかいの前進のために、ぜひ活発な討論をお願いする」とあいさつしました。
 はじめに全労連「公務員制度改革」闘争本部長である小田川全労連事務局長が、労働基本権回復へ向けたこれまでのたたかいや、2001年の中央省庁再編以降の「公務員制度改革」の動きにふれつつ、公務員制度改革に対する全労連の基本的な考え方について報告、「マッカーサー書簡60年、ILO87号条約60年の年に、公務員の労働基本権回復の運動を、全労連全体の課題と位置付け、全力で取り組む」と決意をのべました。
 続いて、大阪市立大学大学院教授の根本到氏がコーディネータをつとめ、シンポジストとして弁護士の竹澤哲夫氏、近畿大学法科大学院教授の西谷敏氏、専修大学法科大学院教授の晴山一穂氏が発言し、討論をすすめました。
 竹澤弁護士は、公務員の労働基本権回復へ向け、自らも弁護士としてたたかいをすすめてきた戦後の裁判闘争にもふれながら、「憲法28条の労働基本権に公務員が含まれるものであることは、争いのない合意だったが、マッカーサー書簡にもとづく政令201号によって、労働者にとっての基本的人権である労働基本権の行使が犯罪行為となった。労働基本権回復のたたかいに、公務労働者として確信を持ち、若い人たちにこのたたかいを広げる必要がある」と力を込めて発言しました。

 憲法は公務員にも等しく基本的人権を保障している

 西谷敏教授は、公務員労働者の争議権にかかわる最高裁判例の変遷を概観し、東京中郵事件(昭41.10.26)などで争議行為禁止が限定的であるとした時期を経つつも、全農林警職法事件(昭48.4.25)からスト全面禁止に転じた判決の矛盾点を鋭く批判しました。さらに憲法との関係から、労働基本権の立法論について、その基本方向をのべました。
 晴山教授は、「公務員を、国民主権の元に『全体の奉仕者』と規定した憲法は、公務員に労働者としての労働基本権、市民としての政治活動の自由、人間としての生存権、そして公務担当者としての意見反映など職務遂行の権利を保障している」とした上で、「成立した『公務員制度改革基本法』は、戦後公務員制度の理念の解体と、公務員を政権の意のままになる『財界・政府の奉仕者』へと変質させるもの」と厳しく批判するとともに、憲法理念を反映した公務員の権利を支える公務労働運動への期待が語られました。

 公務労働者への権利侵害は住民サービス切捨てと一体のもの

 シンポジストの発言に続き、3つの公務単産と全労連・全国一般からの報告がありました。
 国公労連・秋山中執は、「交渉中の評価制度でも、制度設計が行革事務局・総務省で、その活用が人事院の責任となるなど、使用者責任の所在はあいまいだ。また、社保庁問題では、この間の年金問題をめぐる職場の長時間不払い労働に対して、管理運営事項をたてに事態の改善がすすまない現状がある。なんとしても労働条件への労働組合の『参画』が必要であり、その役割は重要だ」と発言しました。
 自治労連・若井副委員長は、「地方財政の危機を口実に、給与カットや人員削減による長時間の不払い残業が拡大しており、住民サービスにも影響を及ぼしている。大阪府では道州制導入を視野に人件費とともに住民サービスが切り下げられようとしている。労働者への権利侵害は住民への権利侵害と一体のものである」と、政府の政策を強く批判しました。
 全教・蟹沢中執は、「指導力不足教員と評価制度についての全教の申し立てにかかわって今年4月に来日したILOユネスコ調査団は、問題の解決に必要なことは、『管理運営事項』の壁ではなく、誠実な交渉・協議であることを明らかにした。秋に予定される報告を力に労働基本権実現へ向けたたかいを強める」と決意を表明しました。
 全労連・全国一般の林書記次長は、「民間委託の職場では、競争入札などによる委託先変更にともなう給与抑制や解雇の多発などで労働者から働く意欲が奪われている。会社自体が、競争によって委託費抑制に走る公務の現場から去っていく現状にある」と、公務の現場での厳しい実態を告発しました。
 再びシンポジストの各氏が発言し、フロア発言も交えながら「基本法」で方向が示された労働協約締結権確立へ向けた課題などについて議論が深められるなど、労働基本権回復への意思統一を深めるシンポジウムとなりました。

以上

 
 
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