国公労連
国民のための行政・司法へ ストップ!憲法改悪 サイトマップ 更新履歴 個人保護法に関する宣言 リンク
Action 私たちのとりくみ Journal 定期刊行物 Archives 資料 Mail News
トップページ >ニュース> 国公労連速報
トップページ>中央のとりくみ> 国公労連速報
トップページ >社会保険庁改革対策関連情報> 国公労連速報
 
  国民のための行政・司法へ
国公労連速報 2008年7月1日《No.2010》
【社会保険庁改革対策委員会ニュースNo.40】
     
 

 

自由法曹団が再生会議と社保庁・厚労省に申し入れ
社保庁職場の違法状態をただちに是正せよ!


 自由法曹団は6月27日、年金記録問題で業務が大幅に増大したのに人員が補充されず、職員が休日出勤・長時間過密労働を強いられ、国民から期待される年金業務が運営できなくなっているとして、専門的知識を有する人員体制の充実を求めて、社会保険庁、厚生労働省、年金業務・組織再生会議に申し入れました。(緊急申し入れ書は後掲)
 申し入れ後の記者会見で加藤事務局長は、4月から6月の3カ月で19日の休日開庁、月平均の残業時間は、厚労省通達で過労死の危険が高まるとされる45時間を超える46.1時間、さらに10人に1人が過労死認定基準の月平均80時間を超える残業をしている過酷な職場実態を明らかにしました。
 さらに、知識や専門性が不十分な非正規雇用労働者が、年金電話相談や年金記録の転記業務に採用され、昨年12月には転記作業した中国人アルバイト60人が日本人の氏名を正確に読めずに大量のミスが発生し、25万件をすべてやり直す事態が発生したことも指摘しました。
 こうした実情をふまえて、加藤事務局長は、「過労で多くの職員が身体を壊し、メンタルヘルス不全や退職者が増えている。このまま人減らしだけ進めて社保庁を解体して新組織に移行したのでは、年金業務に対応できなくなる」と訴えました。
 記者会見には、国公労連・香月書記次長と全厚生・飯塚書記長も同席。飯塚書記長は「職員は年金記録の整備に全力をあげている。業務に見合った体制の充実を求めていきたい」と発言しました。

 「安心年金つくろう会」のホームページができました

 「安心年金つくろう会」(国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会)のホームページを6月13日にアップしました。

 アドレスは http://www.anshinnenkin.com/です。

 現在は、「安心年金をつくる国民署名」用紙のダウンロードや「安心・信頼年金アピール」への賛同手続ができるようになり、内容も充実してきています。
 今後も、「安心年金つくろう会」の情報発信と全国の活動の交流、そして共同を広げるために、ぜひ活用してください。



 <別紙>
社会保険庁の違法状態の是正を求める緊急申入書

2008.6.27 自由法曹団

 自由法曹団はすでに、「社会保険庁改革についての意見」(2008.2.25)を公表し、(1)年金記録問題についての歴代政府の責任を明確にし、記録問題の真の原因の解明と改善・解決策の一致をみるまでは社会保険庁改革関連法の執行を凍結すること、(2)違法無法が横行する社会保険庁職場の改善を急ぐべきことを求めた。ところが社会保険庁は、依然として勤務条件についての法令を順守せず、社会保険庁職場には違法状態が蔓延している。そこで本申入書では、違法な勤務状態の問題に限定し、緊急に是正を求めるものである。

 1 たびかさなる休日開庁の指示
(1)相次ぐ休日開庁の指示
 平成20年3月21日付で、社会保険庁運営部企画課年金相談推進室長補佐名義の「平成20年4月、5月及び6月の休日開庁について(追加)」と題する事務連絡が地方社会保険事務局長に宛てて出された。これによると、「平成20年4月、5月及び6月については、原則として下記のとおり休日開庁等を実施することとしましたのでお知らせします。」「貴職におかれましては、相談体制の整備等について万全を期されるよう、よろしくお願いいたします。」とし、4月12日(土)、4月13日(日)、4月29日(火)昭和の日、5月3日(土)、5月10日(土)、5月11日(日)、6月14日(土)、6月21日(土)及び6月22日(日)の開庁日程を指示している。
 4月1日付事務連絡では、「標記については、平成20年3月21日付事務連絡により、実施についてお知らせしたところですが、今般、新たに下記のとおり休日の開庁日を増やすことにいたしました」とし「先にお知らせしている休日開庁日と同様に相談体制の整備等について万全を期されるよう、よろしくお願いいたします。」とし、5月24日(土)、5月25日(日)、5月31日(土)の開庁が追加されている。
 4月16日付事務連絡では、「平成20年4月、5月及び6月の休日開庁について(再追加)」と題してさらに4月19日(土)、4月20日(日)、4月26日(土)、4月27日(日)が追加されている。
 4月22日付事務連絡では、「平成20年4月、5月及び6月の休日開庁について(再々追加及び修正)」、とし、5月4日(日)、5月17日(土)、5月18日(日)が追加されている。
 これによりほとんどの土曜日日曜日祝日が開庁されることとなった。

(2)人員体制は少しも補充されない
 このように休日の開庁を指示するのであれば、労働基準法の定める労働時間の規制や休日の保障を実現するために、人員体制の拡充が必要不可欠である。ところが社会保険庁では、休日開庁に責任を持てる人員体制の拡充はなされていない。

(3)年休権の侵害は違法
 他方で社会保険庁は年次有給休暇の取得を促しているが、裁判例では、使用者が代替要員の確保努力など使用者としてなすべき通常の配慮を行わず、恒常的な要員不足により常時代替要員の確保が困難である状態であれば、使用者の行為は年休権の侵害にあたり違法であるとされている(西日本ジェイアールバス事件金沢地判平成8年4月18日労民集47−1・2−91)。
 現在の社会保険庁は、休日開庁を指示しながら代替要員を確保する具体的な措置を何らとっていないのであり、休日開庁の指示は違法である。

 2 社会保険庁の異常な労働実態
 最近の労働組合の調査によると、社会保険庁の異常な労働実態は依然として改善されず、むしろ悪化している。

(1)月平均残業時間は過労死の危険のある46.1時間
 月平均残業時間は46・1時間であり、12月で年間553時間となり、人事院が目安とする上限年360時間を、193時間も上回っている。国家公務員の平均的な残業時間が17・2時間、霞ヶ関でも月平均残業時間が39・1時間であるとされており、これと比較しても、社会保険庁は異常に長い時間外労働が蔓延しているといえる。現行の厚生労働省の通達でも時間外労働時間数が月45時間を超えると過労死の危険が高まるとされており、過労死の危険のある実情であると言える。
 職場からは「勤務時間中は電話対応などにおわれ自分の業務をこなす時間がとれないためどうしても残業することになる。」「職員数を遙かに上回る仕事量が問題」「人数が増えないことには、次へ進むことは不可能」、「通常業務を行う上での定員が確保できていない。」「記録問題にだけでも定員の半数以上の数で対応しても解決されるかどうかなので根本的な見直しが必要」「通常勤務時間内は、トラブル対応、電話、窓口対応等で本来業務が後回し」などの声が出ているという。

(2)10人に1人は過労死の認定基準を超える残業
 厚生労働省が原則として過労死の労災認定がなされる時間外労働時間数である「月平均80時間以上」の残業を行った者は、11・2%であり、これは霞ケ関で10・3%いるとされる実情を上回る比率である。連続した2ヶ月の超勤が80時間を超えた者は23・2%であり、1ヶ月だけでも過労死と認定される月100時間以上の超過勤務をした月が1〜2ヶ月が9・0%、3〜4ヶ月が4・4%、5〜6ヶ月が1・7%という実態だという。
 職場からは「毎月100時間程度の残業、それでも処理しきれない仕事量」「もう疲れ果てました」、「職員の削減により、超過勤務を強いられており、健康状態に不安を感じている」などの声があるという。

(3)連続勤務日数と休日出勤、代休の消化
 連続勤務では、12日以上が16・5%あり、休日出勤は、なしが5・6%、1〜5日が40・8%、6〜10日が30・7%、11〜15日が13・5%、16日以上が8・2%であった。休日出勤に対しては振替休日が取れるはずであるが、全部取れた者は33・4%、一部取れたは41・6%、取れていない者が17・6%あった。代休未消化でも手当ては全くされていないという。
 職場の声として「定員欠員分を残業や休日出勤でやらなくてはならない」「代休も当然のように取れない職場はいかがか。とにかく人間らしく働かせてほしい。」「夜10時や11時まで仕事しても、処理しなければいけない仕事はたまっていった。土日に自主出勤しても、消化されなかった。このような状態で、新組織の設立を進めても職員の体は持たない」などがあるという。

(4)超勤手当は半数が4割未満の支給
 超勤手当については、予算があらかじめ決められており、1ヶ月12時間から17時間、県によっては6時間しか支給されておらず、それ以上の残業はすべてただ働きとなっている。残業手当の全額支給と回答したのはわずか4・7%、20%未満が17・9%、40%未満が34・5%で、半数が4割未満の支給という実態であったという。社会保険庁職員には驚くほど多くのサービス残業が蔓延している。
 職場の声としては「超勤が12時間以上つかないため、超勤を書くなと言われている」「業務量に見合った人数が確保されているとは考えられない。」「残業時間に対して残業代がほぼついていない状態となってしまっているのはおかしい」などがあるという。

(5)対策が急がれる職員の健康状態
 職員のうち健康であると回答したのは48・1%と半数を切っており、「不調」が30・8%、「薬等を服用している」10・4%、「通院治療中である」が9・9%で、(「不調」+「投薬」+「通院」)が51・1%にものぼるという。社会保険の職場では、長時間労働と休日出勤、代休の未消化などで、健康に影響が出ている。
 職場の声として「休日開庁のせいで体調が狂いました。それ以上に心を病んでいる人が増えている」「体力的な部分のみならず、精神的にも辛い」などがあるという。

(6)対策は一刻の猶予も許されない課題
 このように、社会保険庁の職場には違法状態が蔓延しており、いつ過労死が発生してもおかしくない状況にある。このような状況を抜本的に改善する対策は一刻の猶予も許されない課題である。

 3 社会保険庁職場の過労自殺の裁判例
(1)社会保険庁職場の過労死
 すでに社会保険庁の職場における過労自殺については裁判例がある。2005年9月27日、甲府地方裁判所は社会保険庁職員の過労自殺で国に賠償を命ずる判決を言い渡し、国家公務員で初の損害賠償認容判決として注目されている。
 社会保険庁職員(当時23歳)の過労自殺について両親が国を相手に起こした民事訴訟で、甲府地裁は「安全配慮義務違反があり、自殺との因果関係も認められる」と訴えを認め、国に約7200万円の支払いを命じた。この事案についてはすでに2002年12月に公務災害認定がされていた。この職員は、係内の最年少で雑務を押しつけられていたが、上司は勤務実態を的確に把握しようとせず、漫然と放置。自殺前の1か月間には約137時間、同1週間には約60時間の時間外労働をしていたという。この事件は東京高裁で2006年2月10日に裁判上の和解が成立し、国が損害賠償を支払っている。被災した職員の遺族は「このような悲劇が二度と起こらないよう、対策がとられることを願っています」と語ったという。

(2)過労死する働き方を指示をした者も不法行為
 民間では過労死・過労自殺をする程の働き方を指示をした者は、使用者の会社とともに個人としても違法行為者として賠償責任を負う旨の裁判例もみられる(中之島ホテル事件・和歌山地裁平成17年4月12日判決・労働判例896−28など)。
 人員体制の拡充がなされない状況で、あえて休日開庁日の増加を指示し、職員を過労死に追い込む者は、責任を免れないのである。

 4 人事院から改善を求められる社会保険庁
 社会保険庁は、このようにすでに過労自殺事案を発生させているにもかかわらず、2007年11月16日、職員課長が人事院から呼び出しを受け、社会保険職場の実態改善について、職員からの相談や職員団体からの要請等が相次いでいることから、「勧告ではないが、長時間労働や心身の健康に配慮すること。特に若年層については不安がないよう勤務時間等の徹底をするように」と2度目の指導を受けている。
 社会保険庁改革の名の下ここ数年来、異常な状況にある職場実態の中で、年金記録管理問題ともあいまって、時間外、休日出勤が常態化し、健康及び福祉にとって憂慮すべき事態が生じ、将来不安も強まって30代から40代の退職が急増しているという。欠員の放置により職員の勤務条件はいっそう過酷なものとなっている。こうした現状を一刻も早く改善することが必要である。

 5 専門的知識を有する人員体制の充実は急務
 社会保険庁の違法な勤務状態を是正するためには、専門的知識を有する人員体制の充実は急務である。

(1)年金電話相談の回答要員が「素人」であることは疑問
 すでに年金電話相談の回答要員は非正規雇用の要員があてられており、素人で大丈夫かとの疑問の声もある(「朝日新聞」2007年6月13日付)。社会保険庁は2007年6月11日、年金相談を24時間フリーダイヤルで受ける取り組みを始め、11日朝から24時間で通話有料相談と合わせ47万件の電話があったが、対応できたのは1万7,000件、3.6%であったが、相談に応対する「要員」を募集する広告がネットで出て、研修は予定されているものの、学歴・経験不問で時給1050円〜1100円、「官公庁から委託されるお仕事なので、安心して始められますよ」などとしているという。

(2)年金記録転記で大量ミス
 日本語が十分にできない外国人のアルバイトに作業させたために大量の誤記が発生したことも報道されている(「読売新聞」2008年1月31日付)。社会保険庁のコンピューターに未入力の「旧台帳」と呼ばれる年金記録計1466万件の入力作業で、社保庁が2007年12月、人材派遣会社から派遣された中国人のアルバイト約60人を採用し、氏名を書き写す作業で大量のミスが発生していたという。外国人アルバイトらは、約9日間作業を行ったが、日本人の姓と名を区別できなかったり、旧字体やひらがなを正確に読み取れず、大量のミスにつながり、ミスに気付いた社保庁は派遣受け入れを打ち切ったが、すでに約25万件の転記が終わっておりすべてやり直したという。

(3)現在もなお続く非正規まかせの人員募集
 しかし社会保険庁は、知識や専門性が十分ではない非正規の求人を、現在もなお続けている。下記のようなものである。・・・ 【横浜駅地下◆高時給のお仕事で安定◆SV募集】更に週払い可能◎高時給◎ コールセンターでのスーパーバイザー募集!回答マニュアル・研修もしっかりありますので、ご安心下さい。今までのSV経験を活かし、さらにスキルアップ! オペレータスタッフも募集!給与 時給 1750円 〜 研修期間1,700円 勤務地 神奈川県横浜市西区 最寄駅 : 京浜東北・根岸線 横浜駅(徒歩3分) 徒歩3分 仕事内容 【コールセンターでのSV業務】社会保険庁でのスーパーバイザーのお仕事!一般の方や企業の方からの問合わせに、ご対応頂くセンターでのSVのお仕事です。・スタッフフォロー・オペレーターの勤怠管理・新人研修やモニタリング等の教育・クレーム対応等のエスカレーション対応・業務改善、環境改善オペレーターも同時募集!!!応募資格◆コールセンターでのスーパーバイザー経験ある方◆PC操作可能な方◆インターネット操作に詳しい方 PCスキルテスト偏差値(略)勤務期間 長期 勤務開始日 : 2008/5/19〜 勤務時間1)8:30〜17:00、2)8:45〜17:15、3)12:30〜21:00、休憩1h 実働7.5h、シフト勤務、休日休暇、週休2日制・・・
 はたして、コールセンターでの勤務経験やコンピューターの使用ができれば、複雑な年金制度についての国民の相談をさばいていけるのか、このようなことで相談を寄せる国民は安心を得られるのか、おおいに疑問である。

 6 社会保険庁の職場の違法状態のただちに是正を
 従来の社会保険庁の業務についての意見はともかく、現行の社会保険庁の職場の違法状態は異常なものとなっており、放置すれば過労死や過労自殺も発生しかねない状態である。社会保険庁改革についての意見の相違は脇において、緊急に是正されるよう申し入れるものである。

以上

 
 
ページの先頭へ