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国公労連速報 2008年3月25日《No.1967》
〈「公務員制度改革」闘争本部ニュースNo.52より転載〉
労働基本権回復を優先して法案を検討せよ
〜全労連「公務員制度改革」闘争本部が行革推進本部事務局長と交渉〜
     
 

 

労働基本権回復を優先して法案を検討せよ
〜全労連「公務員制度改革」闘争本部が行革推進本部事務局長と交渉〜


 福田内閣が通常国会に「公務員制度改革基本法案」の提出をねらうもと、全労連「公務員制度改革」闘争本部は24日、行革推進本部事務局と交渉しました。
 交渉では、「基本法案」の策定にあたっては、昨年10月の専門調査会の最終報告をふまえて、労働基本権回復を優先した公務員制度の検討を強く申し入れました。
 これに対して、行革推進本部事務局の福井事務局長は、政府部内の調整をすすめ、3月中には法案を提出できるように準備をすすめていることを明らかにしつつも、労働基本権の取り扱いについては、「専門調査会の報告を尊重する」とのべただけで、法案にどのように盛り込むかについては明確な回答はありませんでした。

 3月中の「公務員制度改革基本法案」提出を明言

 行革推進本部事務局との交渉には、闘争本部からは、小田川本部長、寺間事務局長、副本部長をつとめる自治労連の大黒委員長、全教の米浦委員長、国公労連の福田委員長のほか、公務労組連絡会の黒田事務局長(闘争本部事務局次長)、国公労連・岡部書記長(闘争本部委員)が出席、行革推進本部事務局は、福井良次事務局長、株丹達也事務局次長、堀江宏之参事官が対応しました。
 はじめに、小田川本部長が「申入書」(別掲)を提出し、申し入れの趣旨をのべたうえで、「2月の公務員制度改革にかかわる有識者懇談会の報告を経て、政府として、基本法案の策定作業をすすめていると承知している。とりわけ、労働基本権にかかわっては、専門調査会の報告では、両論併記となった課題も多く、労働組合との話し合いは不可欠だ。本日の申し入れもふまえた検討作業を求める」とのべ、現時点での法案の検討状況をただしました。
 福井事務局長は、「専門調査会の最終報告が出され、それを尊重すべきとする懇談会の報告も出された。政府として、これらの報告をふまえたうえで、基本法の立案準備に入っている。現在、政府部内で調整をすすめているが、先週21日の関係閣僚による会議でも意見はまとまらず、3月中には結論を出そうと話し合われたところだ」とのべ、今月内に国会提出するスケジュールを明らかにしました。
 国公労連の福田委員長は、「マスコミでは連日、さまざまな報道がされているが、労働基本権の取り扱いは先送りするとの報道も見られる。労働基本権付与の方向を前提として、昨年、国家公務員法が改正され、それにもとづき、現在、新たな評価制度が試行されている。それが、先送りにされるならば、労働基本権付与の方向を後退させることになる」と指摘しました。

 協約締結権は「国民の理解が必要」と慎重な対応を示す

 福井事務局長は、「専門調査会の報告は、一定の権利付与をのべているが、同時に、その手続きには相当にいろいろな検討が必要としている。プログラム法としての基本法を制定する以上、その指摘もふまえたものとしたいだけだ」とのべ、堀江参事官が、「最終報告の読み方はいろいろある」などとしたうえ、「協約締結権付与は1つの要素ではあるが、同時に、報告書は、『慎重な検討』と『国民の理解』をのべており、これらの3つの要素をふまえて、法案化を検討している」などとのべたことに対して、福田委員長は、「専門調査会の結論は、協約締結権の付与だ。そこを出発点にして検討せよ。それが、この問題の基本だ」と厳しく迫りました。
 福井事務局長は、「法律と報告書では性格が違う。報告を尊重して検討するが、慎重な対応が必要であり、協約締結権を付与すると明確にはできない。政府としては、国民の意見もふまえつつ、全体として改革の方向を検討する立場であり、法案化にあたっては、そのことを重視する必要がある」とし、現時点では、必ずしも協約締結権の保障を前提としていないことを重ねて明らかにしました。
 また、大黒委員長は、「専門調査会の報告で、両論併記となった課題には、消防職員の団結権保障などもふくまれているが、マスコミ報道でも、協約締結権だけが焦点になっており、検討の対象にもされていない。消防職員の団結権も検討せよ」と求めると、福井事務局長は、「マスコミがどのように報道しようとも、専門調査会の報告は、両論併記の課題をふくめてすべてが調査会として尊重すべきだ。指摘があった課題についても、検討して解決していくべきと考える」と回答しました。
 寺間事務局長は、申し入れの3点目にもかかわって、「公務員削減などのなかで、多くの公務労働者が将来に不安をかかえながら仕事をしている。社会保険庁では、信じられない数の職員が辞めていく事実もある。公務員制度改革懇談会の報告では、ワークライフバランスに言及しているが、公務員が誇りを持って仕事ができるように、こうした現状をふまえて検討すべき」と求めました。
 最後に小田川本部長は、「今日は、公務員制度改革基本法案の内容については、いっさい具体的なものは示されなかった。引き続く交渉・協議が必要であり、法案を提出するというのなら、時間の保障をふくめてしかるべき手順を求めたい」とのべ、申し入れを終えました。

 法案提出がねらわれるなか「100万人署名」の強化を

 「公務員制度改革基本法案」をめぐっては、「国家公務員への労働基本権の付与も『国民の理解が必要不可欠であることを勘案して検討を行う』として結論を先送りした」(3/19、朝日)などと伝えるマスコミ報道もあり、この日の交渉でも焦点となったように、「国民の理解」を口実にして、専門調査会の最終報告がしめした協約締結権さえも棚上げにされかねない状況にもあることも見ておく必要があります。
 法案提出がねらわれるもと、公務労働者の労働基本権の回復を求める世論を急速にひろげていくことが重要となっています。そのためにも、現在とりくみ中の「公務・公共サービス拡充署名」(100万人署名)の目標達成に全力をあげていく必要があります。


【別添資料:行革推進本部への申入書】

2008年3月24日

行政改革推進本部長
(行政改革担当大臣)
 渡辺喜美 殿
全労連・公務員制度改革闘争本部
本部長 小田川義和


公務員制度改革にかかわる申し入れ


 2008年2月5日、「公務員制度の総合的な改革に関する懇談会」は内閣総理大臣に対する報告をおこなっています。政府は、この報告もふまえた「国家公務員制度改革基本法案」について、省庁や与党との最終調整に入り、月内の法案決定を目指すとされています
 全労連は、公務員制度改革闘争本部長名の「談話」(2008年2月1日付)で明らかにしているように、報告は、検討対象の公務員が一部の「官僚」に偏り、様々発生している公務員の諸問題と公務員制度の関係が十分整理されないままに信賞必罰を強調し、労働基本権回復に曖昧な姿勢をとっていることなどの問題意識を持っています。そのことから、報告もふまえた国民的な論議と関係者の意見反映の保障を求めると同時に、公務員の労働基本権問題を取り扱った行政改革推進本部・専門調査会の意見を具体化するための「検討の場」の設置を求めているところです。
 ところで、マスコミ報道では、報告書にもとづく法案の提出を行うものの、労働基本権については、専門調査会において「付与」する方向を示していた労働協約締結権についてさえ、結論を先送りすることが検討されているとしています。
 政府が2001年1月に公務員制度改革の検討を開始した以降の経緯、とりわけ「行政改革推進法(2006年法律第47号)」や昨年4月24日の閣議決定(公務員制度改革について)などからしても、労働基本権問題を先送りした「国家公務員制度改革基本法案」の提出はありえないものと考えます。
 全労連は、先述した報告には、その論議経過や内容について強い不満と問題意識を持っています。その点を留保したとしても、労働基本権の結論を先送りする法案提出は、重大な背信行為だといわざるを得ません。
 そのことから、下記の点を申し入れ、政府の誠意ある対応を要請します。



1.公務員労働者の労働基本権回復を優先した公務員制度改革の具体化をすすめること。

「行政改革推進法」第63条では、同法に定める「総人件費改革」などと併せた公務員制度改革の重要性に言及し、同時に同法第51条にもとづく給与制度見直しにも留意した労働基本権及び人事院制度を含む公務員制度の検討に言及している。
 これらのうち、総人件費改革とかかわっては、2006年度以降、連年、定員純減が強行されている。給与制度についても、給与構造見直しや比較対象企業規模の引き下げなどの「改革」が具体化されてきている。
 このような「行政改革推進法」の具体化状況に照らしても、これ以上、労働基本権問題の結論を先送りすべきでない。

2.労働基本権について、その回復を前提に、全労連をはじめとする関係労働組合が参加する「協議の場」を設け、政府の法案作業に反映させること。

 ILOは日本政府に対し、2002年11月以降、3回にわたり、公務員労働者の労働基本権回復を迫る「勧告」をおこなっている。全労連は、その「勧告」とかかわる提訴団体であり、国際労働基準に適合した労働基準を日本国内で具体化する上での役割発揮が求められていることを改めて主張する。

3.公務職場の全ての労働者に目を向け、公共サービスの充実と中立公正な実施を保障しうる「労働者保護制度(仮称)」を含む広義の公務員制度改革をおこなうこと。

 「市場化テスト制度」や「指定管理者制度」など、公務・公共サービスの委託が拡大し、実施部門の独立行政法人化による労働条件の不利益変更などの事例も増えている。また、「行政改革推進法」による公務員純減や「社会保険庁改革」などによる公務員労働者の権利侵害なども発生してきている。公務の民間化、民営化に際しての関連労働者の労働条件保護制度の整備は立ち遅れており、喫緊の課題と言える。「官製ワーキングプア」や「官製不況」の発生にも見られる「公務のゆがみ」とも向き合う制度改革論議を強く求める。

以上

 
 
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