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国公労連速報 2010年12月22日《No.2465》
 独法の抜本見直しで行革推進本部事務局交渉
 「2012年通常国会に制度見直し法案の提出めざす」(推進本部事務局次長)
     
 

 

 国公労連は12月21日、独立行政法人の抜本的見直しに関わって、政府・行革推進本部事務局と交渉を行いました。岩崎副委員長を責任者に、国公労連独法対策委員と独法労組代表ら10人が参加し、行革推進本部側は百嶋事務局次長らが対応しました。
 冒頭、岩崎副委員長が、「独立行政法人の抜本的見直しに関わる要請書」(別添)を手交するとともに、当該の労働組合である国公労連に対して事前協議もなく一方的に「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(以下「基本方針」)を12月7日に閣議決定したことに対して厳しく抗議しました。つづいて、瀬谷行革対策部長が、要請書の内容を説明し、これに対して百嶋事務局次長から以下の回答がありました。

 ● 独立行政法人(以下「独法」)制度が導入され10年になろうとしている。成果がある一方で独法の様々な問題点が国民から指摘されている。そうした中で、昨年11月と今年4月には事業仕分けを実施し、104ある独法の半分弱と、独法の500事業の3分の1が取り上げられた。この事業仕分けを踏まえ、各府省とも議論を重ねた上で、政府全体の共通認識として12月7日に「基本方針」を閣議決定したことをご理解願いたい。年明けからは第2ステージとして、独法の制度自体を具体的に見直していくことになるので、今後はみなさんのご意見を聞きながら進めて行きたい。今回の要請の内容も、担当政務官に伝える。

 この百嶋事務局次長の回答と「基本方針」について、参加者から次の発言がありました。
 ○ 今後は意見を聞くと言われるが、当該労働組合の意見を事前に聞くこともなく一方的に「基本方針」という骨格を決めたこと自体が大きな問題だ。労働条件にも大きく関わる問題であり、今後はこういうことのないようにしていただきたい。
 ○ 事業仕分けは、国民やマスコミなどからも問題点が指摘されているように破綻している手法であり、それを踏まえた「基本方針」には「効率化」「廃止」「統廃合」などの言葉が目立つ。独法が公共サービスを担っているという大事な視点が欠落している。
 ○ 年度内に決定するとしていた独法抜本見直しの「詳細設計」はどうなるのか?
 ○ 「基本方針」に、「適切なガバナンスの仕組み」の制度設計を検討するとあるが具体的にはどういうことなのか?
 ○ 第2ステージにおいて、制度設計を担当するのはどこなのか?
 ○ 「基本方針」に、独法見直しを「『公』の新しい姿を構築するための改革」と明記されているが、これは「新しい公共」と関連しているのか?
 ○ 抜本見直しにあたって、「雇用問題に配慮する」とあるが、具体的にどう考えているのか?
 ○ 文部科学省の機能強化検討チームが、独法から研究法人だけを切り出して「国立研究開発機関制度」を構想し、モデルスケジュールとして来年の通常国会にも通則法案を提出するとしていることや、政府の第4期科学技術基本計画の案でも「国立研究開発機関制度」の構想が明記され、今年度末にも閣議決定されようとしている動きとの関連はどうなるのか?
 ○ 根本的な問題は、運営費交付金が毎年削減されているということであり、制度をいじってもこの問題を改善しなければ意味がない。研究法人では、正規職員が減らされ、ポスドク問題など劣悪な雇用問題が深刻化し、現場は疲弊している。国立病院では、賃下げと人員不足で医師・看護師は疲弊し、ベッドサイドにも行くことができないなど、医療の危機的な状況が広がっている。看護師のラスパイレスは94.7%まで下がっており、国立病院から人材が逃げていく状態だ。こうした国立病院の現状が、民間の病院にも波及する悪循環が生じている。国民目線と言うなら、国民の命と健康を脅かす医療崩壊をくいとめ改善していく独法見直しをこそ行うべきだ。

 これに対して、行革推進本部事務局から以下の回答がありました。
 ● 「効率化」「廃止」「統廃合」などの言葉が目立つとのことだが、個々の独法の重要性を否定するものではない。国民の負担をいかに軽くしていくかという観点で進めており、旧政権における“独法バッシング”などではなく、独法の新しいあり方を模索しているということだ。
 ● 来年から第2ステージに入り、独法制度を具体的に見直して行く。「詳細設計」と言っていたものは、独法の新しい制度設計のことであり、スケジュールとしては、来年前半に制度設計の案を出し、来年後半にはそれを法案にする作業を進め、2012年の通常国会に法案提出をめざすことになる。制度設計は行革推進本部事務局が担当することになる。
 ● 独法には国から移行した「先行独法」と、特殊法人から移行した「移行独法」などが混在するとともに多様な業務を担う独法がある。「適切なガバナンスの仕組み」とは、そうした多様な104の独法に対して、一律の通則法でいいのかという問題意識があり、国民が求めるサービスをより効率的に提供するための制度設計をはかりたいということだ。
 ● 国に戻した方が効率的であると考えられる独法の事業については、全体の「行政改革」との整合性や、定員管理との関連を議論していかなればならない。
 ● 「公」の新しい姿というのは、必ずしも「新しい公共」を指しているものではなく、あくまで独法制度をよりよい形に変えるという意味だ。ただ、そもそも独法制度の発足自体を「新しい公共」と捉えることも可能だ。
 ● 雇用問題については、どのような状況になるのか現時点では分からないので具体的にまだ考えていないが、今後、各府省とも議論を重ねてきめ細かな配慮をはかりたい。
 ● 文部科学省の「国立研究開発機関制度」の構想は、あくまで「私案」であり「モデルスケジュール」である。第4期科学技術基本計画についても構想であり、具体化にあたっては、関係するところと連携・調整しながら我々が手がけていくことになる。研究法人の制度見直しにあたっても、独法全体の制度見直しの中に位置づけられ、我々が設計していくことになる。
 ● 運営費交付金のあり方についても、抜本的制度見直しの中で考えていかなければならないが、全体の財政状況が厳しい中では非常に難しい課題だ。

 最後に岩崎副委員長が、独法の制度設計の検討にあたって節目節目で国公労連との協議を必ず行うことを確認して要請を終えました。


《別添》


2010年12月21日
内閣府行政刷新担当大臣
蓮 舫  殿
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 宮垣 忠

独立行政法人の抜本的見直しに関わる要請書

 日頃より、行政の革新と向上にむけた貴職のご尽力に敬意を表します。
 さて、菅内閣は12月7日、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(以下、「基本方針」)を閣議決定しました。
 独立行政法人は2001年、行政機関の企画・立案部門から切り離され、執行部門として公共性の高い事務・事業の提供を通して国民生活や社会経済の安定、向上に貢献してきています。
 制度発足から10年が経過しようとしている中で、いわゆる「先行独法」や「移行独法」が併存し多種・多様な業務があることなどによる制度・運用上の問題点があるとしても、独立行政法人の抜本的な見直しを行うのであれば、関係者との十分な協議や検証が必要なことはいうまでもありません。
 さらに、「基本方針」に示された「講ずべき措置」で指摘された内容は、運営費交付金や一般管理費の削減、自己収入の拡大、ラスパイレス指数の低減、研究の重点化など独立行政法人の財政削減に集中していると言わざるを得ません。
 独立行政法人は、国の事前関与を極力なくして自主・自律性を発揮し、質の高い行政サービスの提供を効率的におこなうことを制度設計の趣旨としています。その趣旨をないがしろにして、抜本的な見直しをすべきではないと考えます。
 つきましては、独立行政法人の抜本的見直しにおいては、下記の事項について実現していただくよう要請いたします。

 1.全体に関わる要請事項

(1) 国民生活と社会経済の安定・向上等に公共上の見地から貢献している独立行政法人の事務・事業については、運営費交付金等を確保・増額し、国の責任で存続・拡充をはかること。なお、抜本的見直しの検討の結果、国で行う必要のある事務・事業については国に戻すこと。
(2) 予算・会計制度について
予算の年度繰り越し制度を実効あるものとし、中期目標期間を超える繰り越しも認めること。
(3) 人員確保と処遇改善について
@ 人件費の抑制による人員削減を行わないこと。必要な増員を行い、業務に支障を来さないよう人員配置を行うこと。
A 非正規職員の労働条件を抜本的に改善して正規職員との均等待遇をはかり、職員の希望にそって正規職員化をはかること。
(4) 法人の運営について
@ 運営については、当該法人の自主性、自律性を拡大すること。特に、中期目標は、法人が策定し、主務省が認可するよう制度改革を行うこと。
A 運営においては、トップダウンだけではなく、ボトムアップにより現場の意見を反映させる仕組みをつくること。特に、中期目標・計画の策定に当たっては、職員の意見反映を行うこと。
B 競争入札を一律に義務付けず、事業の実態に見合う実効ある契約方式とすること。
C 独立行政法人の評価は、効率性に偏重することなく、公共性の発揮を最大の基準とすること。
(5) 廃止および統合、民営化等について
@ 独立行政法人の組織および事業・事務の抜本的見直しについては原則廃止等を前提とせず、効率性一辺倒の「事業仕分け」のような拙速な結論を導かないこと。検討を行う場合は、関係者を含めた幅広い意見を取り入れ、オープンにすること。
A 統合した場合の事務・管理部門は、業務量に見合う体制を確保すること。
(6) 雇用責任と労使協議について
@ 見直しによって職員の身分や地位、雇用および労働条件に影響がおよぶ場合は、国公労連および当該労働組合との誠意ある交渉・協議を行うこと。
また、国および法人当局が職員の雇用に責任を持つこと。
A 見直しの進捗状況にあわせて、国公労連および当該労組等との協議や意見交換の場を設けること。

 2.研究開発法人に関わる要請事項

(1) 財政について
@ 運営費交付金を確保し、基礎的・基盤的研究を保障すること。
A 競争的資金を運営費交付金不足の補充としないこと。国からの財政支出について、基礎研究への支出や若手研究者への助成など、配分の改善を図ること。
(2) 人員確保と処遇改善
@ 研究支援部門の非常勤職員、派遣職員を正規雇用とし、処遇を抜本的に改善すること。
A 研究員の採用を拡大し、ポスドク研究者から正規職員研究者への道を拡大すること。
B 長期的視野に立った人材育成を図ること。
(3) 予算・会計制度
研究のスパンに見合った予算措置とし、中期目標期間を超える繰り越しを認めること。
(4) 研究分野の統合等
@ 研究分野の重複ではなく競争的環境であることを踏まえ、機械的な分野統合を行わないこと。
A 研究分野の統合・調整等は、専門家などの意見を踏まえ行うこと。
B 研究開発法人のファンド機関との機械的統合を行わないこと。
(5) 運営への職員の意見反映と法人の当事者能力の向上
@ 法人運営への職員の意見反映を保障すること。
A 中期目標は、法人が立てる制度とする。主務省の予算要求への関与を制度化するなど、法人の自主性・自律性を拡充する措置を講じること。



以上

 
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