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国公労連速報 2009年5月27日《No.2179》
夏季一時金削減の給与法案が衆議院を通過
昼休みに国会で緊急の抗議集会を開催、100人が参加
     
 

 

 夏季一時金を0.2月削減する給与法案は、26日午前の衆議院総務員会で質疑されたのち、採決がおこなわれ、自民・公明・民主など各党の賛成多数により採択されました。
 その後、午後13時30分から開かれた本会議でも、賛成多数で可決され、法案はただちに参議院に送付されました。参議院では28日の審議日程が決まり、採決がねらわれます。

 委員会採決が強行されるなか、公務労組連絡会・公務部会は、国会で緊急の抗議集会を開催、約100人の参加で最後までたたかう決意を固めあいました。

「議員立法が提出されることは望ましくない」と人事院総裁

 午前9時から開会された衆議院総務委員会では、松本文明(自民)、寺田学・逢坂誠二(民主)、塩川鉄也(共産)、重野安正(社民)の各議員が質問に立ちました。公務労組連絡会から、7名(国公労連4、自治労連・全教各1、事務局1)が傍聴に入りました。  民主党の寺田議員は、与党による議員立法の動きがあったことに対して、政府の見解をただしました。鳩山邦夫総務大臣は、「人事院勧告を尊重し、法案を提出するのが政府の立場だ」としつつも、「国会は、国権の最高機関であり、政府や人事院の上に国会が存在する。その国会が、たとえ議員立法であっても法律を決めれば、政府もそれにしたがわざるをえない」などとのべ、労働基本権制約の「代償措置」として人事院勧告制度が存在していることを否定するかの見解を示しました。
 寺田議員は、「憲法で保障された労働基本権ともかかわる問題だ。国会議員には憲法遵守の義務があり、憲法違反となる法律を議員立法で提出はできない」とのべ、国会で十分に議論を深めるよう求めました。また、人事院の谷公士総裁も、「今回は、異例の社会状況があった。しかし、議員立法がたびたび提出されるようなことは望ましくない」として、批判的な立場を示しました。
 また、逢坂議員も、「議員立法をめざす与党による政治勧告だ。政治家からの助言、要請はあったのか」とただしましたが、谷総裁は、「なかった。そうした報告もうけていない」と政治的圧力を否定しました。さらに、地方自治体に政府から出された通知にかかわって逢坂議員が、「技術的助言などと言いながら、国準拠の対応を強制するものだ。そうした文書を、人事院の調査が始まる前に自治体に出すのは問題だ」と追及しましたが、鳩山大臣は、「あくまで情報提供であり、強制力はない」とのべながらも、「確かに対応が早すぎるような気がする。そのうえ、文書の表現も威圧的だ」などとのべただけで、地方にも一時金引き下げをせまり、多くの自治体に混乱をもたらした問題への踏み込んだ議論はありませんでした。

公共事業バラマキよりも消費拡大でこそ景気回復を

 日本共産党の塩川議員は、「すでに確定していた夏季一時金を急に減額することは、職員の期待を裏切るものだ。一方的な引き下げは認められない」と給与法案への反対を明確にしたうえ、「人事院みずからも『不確定要素』を認める不正確な特別調査にもとづき、引き下げること自体おかしい」とのべ、政府の見解を求めました。
 鳩山大臣は、「まったく異例であり、緊急の調査として人事院が精一杯やったものだ。それを政府としても受けいれた」などと答弁し、勧告を正当化しました。
 景気への影響について塩川議員は、「引き下げは、公務関連労働者600万人はもとより、民間労働者にも影響がおよぶ。いいかげんな調査をきっかけに、景気悪化の悪循環がおこってもいいのか」とせまりました。鳩山大臣は、「景気が好転すれば今回のような事態も起こらない。景気対策のために、政府として大型補正予算を組み、万全の対策をしている」などとし、「民間賃金に直接の影響をおよぼすとは考えていない」と強弁しました。

 塩川議員は、「景気回復には、国民の家計を応援することが必要だ。労働者のふところを冷え込ませるのでは、景気回復は不可能だ」と指摘すると、「確かに所得が下がるのは良くない。消費拡大は必要だ。しかし、そのことと一時金削減とはリンクする話ではない」と鳩山大臣が答弁すると、塩川議員は、「政策的矛盾だ」と厳しく指摘しました。

 塩川議員は、調査もせず国と同じ勧告を出した地方人事委員会が33あることを明らかにさせ、「政府による圧力がこうした事態を招いた。国準拠の対応を求めた総務省の通知が、地方をしばっている。不当な圧力はただちにやめよ」と強く求めました。
 最後に質問した重野議員は、「公務員バッシングで国民の支持を集める政治的パフォーマンスだ」と議員立法を批判し、「そうした雰囲気が生まれるのは良くない。公務員の士気が下がり、公務員試験の応募者数も減っている。国にとっては損失だ。所得が下がれば消費も冷え込む。不況に追い打ちをかける」とせまりましたが、鳩山大臣は大型公共事業バラマキの補正予算による「景気対策」の有効性を繰り返しました。
 5人の質疑が終わった後、討論に入り、塩川議員と重野議員が反対意見をのべました。塩川議員は、法案が、従来のルールを一方的に踏みにじるものであり道理がないこと、民間賃金にも否定的影響を与えて景気を冷え込ませること、与党の政治的圧力に屈して、人事院の公平・中立の立場を投げ捨てたものであることを指摘し、断固反対することをあらためて表明しました。

 その後の採決では、自民党・公明党の与党とともに、民主党・国民新党の賛成多数で採択されました。また、自民・公明・民主・社民・国民新党の各党共同による附帯決議(別掲)が提案され、共産党をのぞく各党の賛成多数により採択されました。

一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する付帯決議

 政府及び人事院は、次の事項について、十分配慮すべきである。
1、平成21年6月期の国家公務員の特別給に関する今回の措置は、急速な後退の中で、人事院が特別調査により判明した民間賞与の状況を踏まえて行った勧告に基づき暫定的にとられた異例の措置であることにかんがみ、本年の国家公務員の特別給の最終的な取り扱いについては、人事院が本年の職種別民間給与実態調査の結果を踏まえて行う勧告に基づき、適切な措置を講ずること。
2、人事院の特別調査時点において夏季一時金が決定済である企業の割合が極めて低いことにかんがみ、今回の措置が今後決定される民間の夏季一時金を引き下げる圧力として働く本末転倒の結果を招くことのないよう、広く、今回の措置の経緯や趣旨の周知徹底に努めること。
3、平成21年6月期の国家公務員の特別給に関する今回の措置に関連する地方公務員の給与の取り扱いについては、既に独自の給与削減措置を講じている団体も相当数に上ることのかんがみ、今回の措置に準ずる措置を一律に要請することはしないこと。
4、指定職俸給表適用職員の特別給への勤務実績の反映に係る措置の実施に当たっては、公務組織の活性化と効率化、業績評価の公正性と職員間の公正性の確保、職員の志気の向上などに十分配慮し、制度改正の趣旨が達成されるよう、適正な運用に努めること。

昼休み抗議集会
参議院でも引き続く奮闘を全員で確認し合う


 衆議院総務員会での法案採択が強行されるなか、全労連公務部会・公務労組連絡会は、12時すぎから衆議院議員面会所で抗議の集会を開催しました。
 主催者あいさつで山口公務労組連絡会議長は、「今回の給与法案については、道理・根拠・政策的整合性がない。議員要請・政党要請ととりくんできたが、最後の最後まで廃案をめざしてたたかおう」と呼びかけました。
 委員会終了直後に駆けつけた日本共産党の塩川議員は、「与党は何が何でもゴリ押しで可決した。民間も含め影響を与え、景気回復の展望はどこにあるのか。あと1週間審議をのばせば、法案は霧となって消える。廃案へと追い込もう」と報告しました。
 決意表明では、「職場には寝耳に水だ。ボーナスでテレビを地デジに換える予定の人もいる。一歩たりとも譲れない。未曾有の不景気にどうして職員に今こそがんばってくれと言えないのか」(国公労連・小倉中執)、「自公民による法案の可決に強く抗議する。東京では平均10万円が削られ怒りの声が溢れている。ルール破りの削減に民間を含む共同のたたかいではね返そう」(東京自治労連・荻原委員長)、「賃上げでこそ不況が打開される。選挙目当てとも言えるこの大人たちのやっていることを、子どもにはとても理解できない。子どもと教育を守るためたたかう」(都教組・工藤書記長)と怒りをのべました。  最後に黒田公務労組連絡会事務局長は、引き続き参議院総務委員会の傍聴行動、昼休み議面集会への参加を呼びかけ、「紛糾すれば政治の世界はどうなるかわからない。この怒りを夏季人勧期闘争に生かしていこう」と行動提起し、集会を閉じました。

 ※「公務労組連絡会FAXニュース」(2009年5月26日No.795)より転載

以上


 
 
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