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談話
構造改革路線がもたらした国民の惨状を無視する方針に抗議する
〜「経済財政改革の基本方針2008」の閣議決定にあたって(談話)
     
 

 

 政府は6月27日、「骨太の方針2008」(「経済財政改革の基本方針2008」、以下、基本方針)を閣議決定した。

 福田政権下で初めての基本方針は、医師不足への対応など従来の姿勢を一部転換した記述もあるが、基本的には歳出全般について削減路線を維持するもので、全体として総花的である。この間強引に進めてきた構造改革によって生じている格差と貧困の拡大、疲弊した地域と国民生活を直視しない姿勢に対し、抗議するものである。

 基本方針は、(1)日本経済の課題と改革の視点、(2)成長力の強化、(3)低炭素社会の構築、(4)国民本位の行財政改革、(5)安心できる社会保障制度、質の高い国民生活の構築、(6)平成21年度予算の基本的考え、という6つの章で構成されている。

 「成長力の強化」では、「人口減少社会は持続的な成長なくして乗り切れない、グローバル化をいかすことで新たな活力を海外から取り込んで成長する」として、戦略実行プログラムを定め、地方再生、農水産業の「強い農業構造」への転換、中小企業の成長などを述べている。これによって「今後10年間程度の間、人口減があっても実質2%以上の経済成長が視野に入ることが期待される」としているが、あまりにも楽観的すぎる想定であり、原油高など諸物価が急騰している現実をも無視している。

 地球温暖化対策として「低炭素社会の構築」を新たに打ち出し、行動計画を7月中に策定するとしている。地球温暖化対策は国際的な緊急課題であり、日本の対応は全世界からも注目されていることからすれば、最大のCO2排出源である企業に対する規制強化を図らなければならない。

 国民本位の行財政改革の一環として、地方分権改革を進めるために平成21年度中できるだけ速やかに「新分権一括法案」を提出するとともに、「国の出先機関を大胆に合理化」するとしている。これは国の役割重点化、総人件費削減を指向・企図するものであり、各行政分野の特殊性をふまえない拙速な勧告、計画策定を行うことは、国民本位の行財政とはほど遠いものといわざるを得ず、国民の権利がないがしろされる危険性が高い。
 また、政府機能見直しプログラムとして「ムダ・ゼロの実現」を掲げ、「政策の棚卸し」などによる歳出の削減を行っても、なお必要な経費については「安定的な財源を確保」するとしている。結局、これは近い将来の消費税増税を「宣言」したものに他ならない。

 社会保障では、抑制策を堅持する姿勢を崩していない。「骨太方針」として作り出してきた自らの責任に頬被りをし、ほころびを縫い繕うような姿勢は、国民の痛みを理解しようとする姿勢に欠けており、経済財政諮問会議がいかに国民の声とかけ離れたものであるかを示している。
 年金問題でも、「年金特別便の送付などで取り組みを着実に進めて信頼を確立する」としている。これまでの対応の延長線に過ぎず、記録を確認するだけの十分な体制を確立しないままとりくみを進めようとしており、国民の熱が冷めるのを待っているかのごとき対応である。国民的な批判を呼び起こした後期高齢者医療制度とあわせ、自らの失政に正面から立ち向かうことのないごまかしと言わざるを得ない。

 また、来年度予算の基本的な考え方についても述べられているが、「歳出削減の努力」と言うなら世界有数の軍事(防衛)費や道路整備中期計画を聖域化することなく、抜本的にメスを入れるべきである。
 消費税増税の方向性を強く打ち出し、社会保障の抑制を継続する一方で「法人実効税率の在り方」を検討し、ビジネスコストを引き下げると述べるにいたっては、誰のための経済財政運営かを如実に示している。

 ILOのフィラデルフィア宣言は、「労働は商品ではない」という言葉とともに、「一部の貧困は全体の繁栄にとって危険である」と述べている。1944年に採択されたこの宣言は、貧困と格差の拡大が進む日本社会に深い示唆を与えている。
 経済財政諮問会議は、国際競争力の強化の名のもとに経済成長一辺倒の姿勢をあらため、基本的人権の尊重を基本に物質的福祉とともに精神的発展に向けて、真の国民本位の行財政に転換すべきである。

 国公労連は、1975年に結成以来、労働条件の改善と行政の民主化を車の両輪として、運動をすすめてきた。
 引き続き、大企業優遇・国民生活軽視の基本方針の具体化を許さず、安心して暮らせる社会と人間らしく働ける職場をめざして、広範な国民のみなさんとともにとりくみを強める決意である。

                                 

2008年6月30日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

以上

 
 
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