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国公労連速報 2007年12月23日《No.1931》
削減ありきの独法・整理合理化計画は認められない
閣議決定迫るなか行革推進本部事務局次長交渉を実施
     
 

 

 12月22日土曜日、独立行政法人の「整理合理化計画」の閣議決定が迫るなか、国公労連は行政改革推進本部事務局との交渉を実施しました。交渉は国公労連・盛永副委員長を責任者に、国公労連・上野独法対策部長、井上独法対策部員、単組からは、全医労・岸田書記長、全厚生・杉浦副委員長、全経済・森中央執行委員が参加し、行革推進本部事務局側は青木事務局次長と長井参事官補佐が対応しました。
 冒頭、盛永副委員長が、整理合理化計画反対の署名の追加分1万8613筆を提出(写真)しました。署名数の到達は、11月28日の交渉の際に提出したものと合わせて6万6795筆となりました。(※交渉のやりとりの概要は次のとおりです。○は国公労連側、●は行革推進本部事務局)。

 ○ 我々は11月28日に交渉を実施し、(1)国民サービス切り捨ての「整理合理化計画」を策定しないこと、(2)独立行政法人及び事務事業の存続・拡充をはかること、(3)万一「整理合理化計画」を策定する場合でも、職員の雇用の承継措置をとること、の3点を申し入れた。しかし、我々の申し入れを聞かずに「整理合理化計画」を閣議決定すると伝えられている。我々の仕事、労働条件に重大な影響があるため、以下の独法の「整理合理化計画」について回答願いたい。(1)厚生労働省の国立病院機構、国立健康・栄養研究所、(2)国土交通省の6つの研究所、(3)経済産業省の製品評価技術基盤機構、(4)総務省の統計センター。加えて、11月27日の行政減量・効率化有識者会議(以下有識者会議)の指摘事項の中で、理事長の選出や各省評価委員の選出についても内閣の一元的関与を強化するとなっているが、どういう仕組みをイメージしているのかについて回答願いたい。

 ● 「整理合理化計画」の基本的な方向性については有識者会議の指摘事項がベースになっている。国立病院機構は、労災病院といっしょにできないかという議論があったが、最終的には連携強化の方向との記述がされている。具体的には2年程度を目途に個々の国立病院ごとに必要な措置を講ずる。ただその際に近隣に労災病院等ある場合には都道府県の策定する医療計画や病院の地理的な配置状況等との関連、担っている医療機能等をふまえて、個々の国立病院と労災病院の診療連携の構築について検討する。さらにその上で厚労省全体として次期中期目標期間の終了時までに厚労省が運営する病院全体の再編を検討する。身分問題については平成20年度中に非公務員化について結論を得られるように検証を行う。
 ● 国立健康・栄養研究所は大臣折衝の中で、医薬基盤研究所と統合することとなった。国民の健康の増進という観点からより多角的に研究を進めようということで両者を統合する。
 ● 国土交通省の研究所は、大臣折衝の中で、運輸系の4つの研究所を1つに統合するということで合意した。残る土木研究所と建築研究所は今回は統合からはずれた。
 ● 経済産業省の製品評価技術基盤機構は、国民生活センターを含めた消費者保護行政の強化という観点から何ができるかということを検討したが、最終的には内閣府の国民生活審議会の意見を聞きながら国民生活センターのあり方について平成19年度内に結論を得ることとなった。その検討に合わせて製品評価技術基盤機構と国民生活センターの情報共有等の具体的な連携について検討を進め平成19年度中に結論を出す。
 ● 統計センターは大臣折衝の中で、統計法の全面施行に合わせて平成21年度に非公務員化するということで合意した。
 ● 理事長や各省評価委員の選出については、有識者会議の指摘事項にある内閣の一元的関与強化の考え方が踏襲されて盛り込まれ、具体的には「整理合理化計画」が閣議決定されて以降、つめていくことになる。ただ現時点では任命権が直ちに内閣府に移るなどということには疑問が出されている。1年以内に結論を出すとしているが、我々の中でも重点課題なので、できるだけ早く結論を出せるように検討していく。
 ○ 統合や非公務員化が強行されようとしており、国民生活への悪影響など、納得できるものではない。4つの研究所を一つに統合するメリットは何か?
 ● 国土交通省の4つの研究所は、もともと旧運輸省の研究所だったわけで、研究分野も交通・安全と共通している。陸上、海上、航空、それぞれの交通機関は1つだけで完結しているわけではないので、全体としての交通・安全の連携を考えるということは有意義ではないかとの判断で統合となった。
 ○ 国立病院も統計センターも独法化されたとき、特定独法としての判断がされた。そのときの判断と、今やっている仕事は全然変わらないのに何をもって非特定独法化するという結論を出したのか?
 ● 通則法の規定にあるように、公務員としての身分を与えることが必要であるかどうかという判断が必要だ。じつはこういう場合は特定独法という明示的なものは必ずしもない。社会通念などを背景に検討する。独法制度の趣旨を考えると特段の事情がない限りは非特定独法というのが想定される姿だ。それでもなお特段の事情がある場合は、公務員型となる。過去の判断が未来永劫続くというものではなく、その状況や時代において判断基準は相対化している。今回の検討で、どうしても公務員であり続けねばならないとは言えないということで、非公務員化となった。
 ○ 判断基準も何もないから何でもできるとしか聞こえない。どこがどう変化したという具体的な説明がないのに、時が経ったから非公務員化では納得できない。
 ● 時が経ったからではなく、なぜ公務員でなければならないかということを、各機関、各省庁にヒアリングなどで証明をしてもらっている。その過程で、第三者機関たる有識者会議が公務員の身分を維持することが必要でない、必ずしも公務員でなくても国民サービスを提供するにあたって特に支障はないという判断をそれぞれについて下したということだ。
 ○ 各省に求めるものではなく、非公務員化を進めてきている行革推進本部の方が、なぜ特定独法を非特定独法化しなければならないのか、具体的に説明すべきだ。それでないと納得できない。いま行政や政府に求められているのは、明確な説明責任ではないか。
 ○ 国民生活センターの問題で、これから新たな対象となる独法はあるのか。
 ● 存続拡充するものとして、国民生活センターは考えている。製品評価技術基盤機構、農水省の食品安全など、他にも多々あるという指摘があり、本来なら網羅的に議論すべきだが、時間的な制約もあり、今回は網羅的にならなかった。国立健康・栄養研究所にも食品を扱っている部署があるなど、そういうところが国民生活センターと連携を強化する方向だ。
 ○ 統合などで事務部門が集約されるといわれるが、雇用問題が発生してくることも考えられる。雇用の承継措置について、どう考えているのか。
 ● 統合等による雇用問題については、「整理合理化計画」にもきちんと項を起こしている。だが、政府として、雇用の問題がどの程度発生するかはまだつかめていない。例えば緑資源でどの程度の雇用問題が発生するかは農水省が出されているが、いずれにせよ、雇用問題は発生しないよう努力する。
 ○ 今後のスケジュールはどうなっていくのか。また法改正などはどうなるのか。
 ● 閣議決定後のスケジュールはまだ明確になっていない。まだ制度をどう変えるかという案自体がきちんと固まっていないので、その結論を早急に得る必要がある。今の時点では、法改正などがどこまで必要か、通則法に関わる部分もあると思うが、今後どのタイミングでどんな法改正をするのかなどはまったく調整がついていない。
 ○ 存続する独法についての市場化テストの導入はどうなるのか。
 ● 市場化テストについては、官民競争入札等監理委員会が、ヒアリングなどを実施して検討した結果である29事業について整理合理化計画に入れることになる。

 ○《全医労》 国立病院の非公務員化についての納得いく説明はなかった。一番大事なのは、国民の医療サービスの充実という観点で、むしろ国立病院に対する国の役割や責任を大きくしなければならないと考える。今回の計画は、こうした役割や責任を縮小するものだ。労災病院との診療連携を個々の国立病院ではかり、その上で中期目標終了時に国立病院の再編成を含む検討を行うということだが、どうして再編成の検討を行わなければならない状況なのか、ということについて説明がまったくない。再編成といえば聞こえはいいが、国立病院を縮小・廃止していく方向ではないか。そういうことがどうして必要なのか、説明していただきたい。
 ● 有識者会議で国立病院も労災病院も高度医療の比率は数%で地域医療機関として共通した役割、同じように地域医療をささえる役割を果たしているのではないかという議論がされた。病院の再編成自体は、厚生労働省が実態をふまえて検討していくということだ。

 ○《全経済》 最終的に政治決着となったわけだが、結局数合わせ、削減ありきで現場の実態などを充分ふまえたものではないことに強い不満を表明する。独法の本来の仕組み自体も無視する形であったことに抗議したい。貿易保険を政治決着で特殊会社化すると雇用継承の問題もあるが、退職金などをどうしていくのか、共済年金などをどうしてくのか、様々な労働条件や処遇の問題などがある。現実には移行のときに国の機関であったものをもっていったもので非公務員型ではあったが基本的に職員は出向で人事交流の面でも問題になってくる。労働組合や労働者代表と充分協議する必要がある。継続協議となった製品評価技術基盤機構と国民生活センターの問題は、消費者製品安全法の改定があった中で、製品事故は急激に増えていて、人数も足りない中で現場は必死に土日出勤で仕事をしている。情報収集など仕事は経産省と一体になって行っており、製品安全の問題で国民サービスを重視するということでは現行の体制が一番ふさわしい。連携自体を強化していくことは重要だが、実態をふまえて、今後の検討にあたっては国民サービスの充実につながるようにすべきだ。制度面の検討について、貿易保険の議論の中で、経産省の事務次官が、今後独法に対する国の規制が強まることになり、特殊会社化した方が自由になってやりやすいんだということを記者会見で述べた。今回の内閣府への一元化というのは、独法制度の趣旨からいうとまったく逆行するものだ。人件費のキャップ制だとか運営費交付金の一律削減だとかそうした問題について本当に独法の趣旨を生かした自律性・自主性の強化をはかっていく方向こそ必要だ。
 ● 製品安全については現場でいろいろ意見があることは承知している。労使協議なども充分にふまえたい。情報収集の関係で現場の体制等充分ではないということだが、各ポジションには情報はあるが、政府全体として情報を共有していくことや、ワンストップサービスができていないなどの点について国民生活センターとの間で連携を強化せよという議論があったのだと思う。経済産業省の事務次官が何を言ったか充分承知していないが、独法は独法、特殊会社は特殊会社と、その業務にふさわしい形態を検討して特殊会社でも可能ではないかという結論に至ったということだ。退職金など具体的な移行にあたるスキームはこれからのこと労使の問題などこれから充分検討していきたい。

 ○《全厚生》 国立健康・栄養研究所は、廃止・民営化の政治圧力のもとでぎりぎりのところで統合ということになった。議論の中で国民に対する国の責任や役割をしっかり議論することができていなかったのではないか。統合のメリットの話も出されていたが、それぞれの研究所は目的やビジョンや特色を持って研究活動を行ってきて歴史を重ねてきている。研究所内の運営スタイルもしっかり確立をして内外に様々な形で発信することも研究所という枠組みでしっかり位置付いているということがあって、枠組みや機能全体を大切にすることを強調したい。国民生活センターの議論の中で国立健康・栄養研究所のことも出されたが、研究と調査が一体不可分のものとしてなされていて、個々の分野を切り離していくと研究所の機能そのものが後退しかねない。機能移管では本来の研究所の機能そのものを損なう恐れがあるという点などを充分に議論する必要がある。拡充の議論を本流として、ていねいな検討を進めるべきだ。

 ● 国立健康・栄養研究所は大変特色のある研究所であることはヒアリングのときの力の入ったプレゼンで了解している。国立健康・栄養研究所の機能を否定するなどの意図はまったくない。独立した研究所としての機能を果たしてもらう方向で、運営の自由度、効率性を高めてもらうというところで今回廃止・民営化ではなく統合となった。有識者会議はいわば第三者、タックスペイヤーであるわけで、我々行政側ではない、通常のタックスペイヤーがどう見るかという場が有識者会議だ。その場でこれが本当に国の仕事としてやり続けなければならないものなのかどうかという点は常に検証が行われなければいけない。そういった観点から国立健康・栄養研究所の議論も起きた。いろいろご意見はあろうかと思うがそうした趣旨だ。

 ○《全医労》 国立病院の再編成が必要だと判断したのは、そちらなのに、どういう再編成を作るかはこれから厚生労働省が考えてくださいよというのでは無責任だ。経営効率だけで考えているのではないか。いま地方では病院がどんどんつぶれていって地域医療が崩壊し、地域住民の命と健康がおびやかされている状況にある中で、地方の赤字になっている国立病院を経営効率だけの観点でつぶしていいのか。
 ● 「整理合理化計画」は閣議で決定されるわけで、我々が一方的に考えたわけではなく、主務省である厚生労働省の意見を聞き調整した結果だ。また地域医療の重要性は否定していない。
 ○《全経済》 例えば研究機関で随意契約をおさえるという話があるが、それを実施すると1.7倍業務が増加することになる。人は増えないのに業務量は増えて、結局研究をやめて業務をこなさざるを得なくなる。そうすると現実に研究効率はものすごく落ちることになる。そういったことも含めてきちんと見ていって、国民サービスの充実のためにどういった形態が実態にあった本当の効率化となるのかという議論が必要だ。今回の「整理合理化計画」にはその観点がなくて削減ありきだけであるところに最大の問題がある。現場の実態をきちんとふまえた上で本当の効率化とは何か、国民サービスの充実とはどういうことなのかということを考えるべきだ。

 最後に盛永副委員長が、今回の数あわせ削減ありきの「整理合理化計画」は受け入れられないということをあらためて強調し、今後、人事や評価の内閣一元化の具体化など、ますます独法の趣旨とは逆行する方向の検討がなされようとしている中で、今後とも我々との真摯な対応をはかっていくことを行革推進本部事務局に求めて、交渉を終えました。

以上

 
 
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