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国公労連速報 2007年11月19日《No.1919》
守ろう!社会の基盤ささえる独立行政法人
一方的な整理合理化を許さない つくば集会ひらく
     
 

 

 11月17日、国公労連は学研労協、茨城県国公と共催(全労連、特殊法人労連、茨城労連が協賛)で、「守ろう!社会の基盤ささえる独立行政法人〜一方的な整理合理化を許さない〈つくば集会〉」を216人の参加で開催しました。
 茨城県国公の菅委員長(茨城労連副議長)の司会で集会は始まり、主催者を代表して学研労協の池長議長が、今年中に政府が策定しようとしている整理合理化計画は「効率化」の名による「削減一辺倒」で、行政サービス切り捨てとなることを批判。「ともすれば『天下り先』『不正の温床』のように描き立てられている独立行政法人だが、それぞれの法人の果たしている役割を国民と共有することで、そのあるべき姿を築き上げる必要がある。今集会で共通課題を確認しよう」とあいさつしました。
 続くパネルディスカッションは、学研労協の川鈴木前事務局長(産総研書記長)をコーディネーターに、専修大学法学部の晴山一穂教授、学研労協の戸田佳明前副議長、特殊法人労連の岩井孝議長(原研労委員長)、全労連の小田川義和事務局長の四氏をパネリストに、各独法職場からのフロア発言等もまじえて行われました。
 晴山教授は、独法の整理合理化計画のねらいが「道州制も視野に入れた行革の新たな段階への突破口」「行政の公共的役割を解体する突破口」として、行政を「国民の人権保障」から「支配層への奉仕」に転換することにあると指摘。しかし、独法の持つ業務の公共性は、一律的な整理合理化と矛盾せざるをえず、国民の要求と決定的に対立するため、参院選での政治状況の変化に見られるように、国民の側からノーを突きつけられる状況をまねかざるをえないと強調しました。
 学研労協の戸田前副議長は、整理合理化の動きの中で、農林水産省および国土交通省所管のつくばの研究開発独法が、法人の統合を前提とした議論がされていることなどを報告し、「利潤追求をめざす民間にはできない長期的視野に立った研究、基礎基盤研究、安全・安心な社会の基盤となる研究を担う研究開発独法の役割を無視した削減ありきの独法廃止・民営化は、資源の乏しい日本の存亡に関わる大きな過ちだ」と述べました。
 特殊法人労連の岩井議長は、特殊法人の独法化の現状を報告しながら、「今回の整理合理化で、財界が奨学金の教育ローン化や公団住宅の廃止を求めるなど、国民生活に密着し社会のセーフティーネットの役割を果たしている独法の業務に対して、『民業圧迫』の名で民間が食いものにできるところを明け渡せと言っており、財界の利益確保第一の露骨なねらいが見えている」と語りました。
 全労連の小田川事務局長は、「『パブリックビジネスで50兆円』『医療分野は35兆円』などと財界の儲けの自由を拡大することを最優先にして、「官から民へ」と独法・公共サービスが切り捨てられようとしている。同時に労働者、労働組合への攻撃が激しくなっている。財界の儲けの自由の拡大が公共性の破壊をもたらし、格差と貧困が広がっている。公務・公共サービスを再生し、労働者の権利保障を確立する労働組合の取り組みが求められている」と述べました。

 国民生活ささえる様々な独法職場からアピール

 各独法の現場からは、「国土交通省の6つの研究機関の統合の動き等があるが、統合にはマイナス面が大きいとして我々は反対している。独法化以降、基礎研究の蓄積はゼロに近く、独法化以前に蓄積されていた成果を食いつぶし応用研究を進めている現状がある。さらに整理合理化でこうした傾向に拍車がかかることになり問題だ」(海上技術安全研究所の全運輸運研支部・前田執行委員)、「ガス給湯器など製品事故が相次ぐなか、製品評価技術基盤機構では、製品事故の情報収集、原因究明、情報開示等の国民の安全と生活に関わる重要な業務を担っている。数少ない特定独法(公務員型)だが、公正中立な立場からの業務の遂行が重要と、非特定化の動きをはねかえしてきている」(製品評価技術基盤機構労組の菅沼委員長)、「独法化、さらに非特定独法化で、霞が関に一層従属させられる状況にある。病院や大学は何をやっているか国民に分かりやすいが、研究所は何をやっているのか、いろいろな分野もあり分かりづらい。そうすると、財界が主張するように『研究所など統合してしまえ』ということになる。行政民主化の取り組みとして、我々が研究所のアイデンティティーを国民に向け打ち出していく必要がある」(情報通信研究機構の全通信研究機構支部・宮澤支部長)、「国立病院は、がん・脳卒中などの高度医療や、民間では経営的に困難な結核、重症心身障害などの政策医療、そして地域医療を支える役割を果たしている。いま医師・看護師不足と病院の廃止による地域医療の崩壊が大きな社会問題となるなか、地域医療に果たす国立病院の役割は増大している。国立病院の統廃合や民間委託は国民の生命と健康に深刻な影響を及ぼす」(国立病院機構の全医労・岸田書記長)、「イギリスの統計局は、サッチャー首相時代に独立行政法人(エージェンシー)化され、職員も予算も削減された結果、国の政策の基盤となる統計がきちんと出せなくなり、再び国の機関へ戻された。イギリスの失敗を見ていながら、同じことを日本でやるのか。各独法の役割を国民と共有する必要がある。地域に出て、独法への攻撃は、国民生活への攻撃なんだということを訴えていきたい」(統計センター労組・岩崎執行委員)、「基礎研究を食いつぶしロケットの研究開発にも問題が生じる状況に立ち至っている。3機関が統合された研究機関で、当局はシナジー効果を喧伝したが、航空部門の切り捨てが職員に何の説明もなく進められようとしているなど、研究所の統合には問題が多いと警鐘を鳴らしたい」(宇宙航空研究開発機構の航技研労組・黒沢副委員長)、「国立環境研究所は、国民生活の基盤である環境を保全するために必要な研究を行っている。私自身は、独法化後に入所した。若手研究者としての問題意識を述べると、人材の流動化で、非常に不安定な立場に置かれているのが若手研究者だ。不安定な立場に置かれていながら、様々なプロジェクト研究の実質的な部分を担わされており、逆にプロジェクト研究は不安定な若手研究者の存在なしでは立ち行かない状況だ。大きな自分のビジョンを持ちながら研究を進めることは困難で、目先の研究や評価に汲々としているのが現実だ。今回の整理合理化は若手研究者の現状をさらに悪くするものではないか」(国立環境研究所労組の永島書記長)とそれぞれフロア発言がありました。

 自治労連と日本科学者会議から連帯あいさつ

 連帯の発言として、日本科学者会議の国立試験研究機関問題委員会・安達雅樹委員は「科学者会議としても独法の整理合理化計画に反対している。構造改革、行政サービスの切り捨て攻撃など、新自由主義的な大きな流れを批判する取り組みを科学者会議として強めていきたい。各独法労組のみなさんも国民に大いにアピールして欲しい」と述べ、自治労連の野村幸裕書記長は「2004年4月に地方独立行政法人法が施行され、公立の大学や病院、研究所などが独法化されている。公立大学は21都道府県7市で独法化され、研究費の抑制、教職員の流出などにより、受験生の減少、教育・研究環境の悪化が指摘されている。公立研究所の独法化では、地元の中小企業が追い出されるなどの問題が発生している。公立病院は、7府県で独法化され、神奈川と東京では、最初から非公務員化が提案されている。独法化をテコに、公立病院の整理・統廃合、総人件費抑制が進み、地域医療が崩壊する事態となっている。自治労連として、この攻撃を跳ね返すため、職場の意思統一、地域の共闘、全国からの支援、労働組合の組織化を重視している。国における独法の整理合理化の流れを受けて、自治体へ攻撃がかけられる。みなさんと共同して、住民の安全・安心、憲法の生きる日本と地域をつくるため奮闘したい」と語りました。
 最後に、国公労連の盛永副委員長が、閉会あいさつに立ち、「現在、独法が担っている事務・事業は、国民生活を支える重要な業務であり、存続・拡充こそが政府として追及しなければならない本来の責務だ。独法の廃止・民営化等をねらう整理合理化計画は、『国栄えて民滅ぶ』であり、『財政は再建したが国民生活は破壊された』ではすまされない。今日の集会のパネリストの発言や会場からの発言によって、このことが改めて明確になった。しかし、このことを本日の集会だけに止めておいては物事は前進しない。世論として『独法の存続・拡充は必要だ』というところまで持っていけるかどうかがカギだ。内にこもらず、大いに独法が行っている事務・事業の必要性を世論に訴えかけていこう。多くの国民は必ず理解してくれる。このことに確信を持って、引き続き奮闘していこう」と訴え、集会を終えました。

 ▼集会参加者の感想文より
 ○大変よかったと思います。国民との対話の重要性は強調してもし過ぎることはないように思います。
 ○独法の整理合理化に関して、その意図するところ、各法人で直面している問題、有識者会議等での見直しの動向等がパネリスト、現場報告から把握でき、また今後の運動に関して示唆されるところが多く、有意義であった。
 ○財界主導による新自由主義的発想による独法整理合理化計画は、結果として国民のためにならないと実感することができ、実りある集会だった。
 ○パネリストやフロア発言者の発言は、いずれも職場の切実な実態にもとづく問題意識を提示したもので、大変勉強になりました。
 ○国の機関から独立行政法人に移行されましたが、それぞれ担っている調査研究、業務はすべて国民生活や国の根幹にかかわるものばかりであるということを学びました。もっともっと独立行政法人が果たしている社会的役割を国民にアピールする運動が求められていると感じました。
 ○4人のパネリストの方、フロア発言の皆さんの発言、非常に感じるところがありました。休日に遠いところまで来て良かった、参加する価値があったと思います。
 ○むずかしい課題にもかかわらず、わかりやすくて良かったです。(独法外の労働者です)

以上

 
 
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