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国公労連速報 2007年9月7日《No.1901》
中労委偏向任命取消し裁判・控訴審
第4回審理(9月5日)で結審に
判決は12月5日午後
     
 

 

 第28期中労委・労働側委員偏向任命(連合独占)の取消を求める控訴審裁判の第4回審理が9月5日午前10時半から東京高裁第824号法廷で柳田幸三裁判長(民事12部)のもと開かれ、裁判は結審しました。判決は12月5日午後1時15分です。
 今回の審理では、原告(組合)が提出した「晴山一穂教授意見書」と「ILO勧告の抜粋」の2つの文書が新たに証拠として採用されました。この「晴山教授意見書」は前回国側から提出された、宇賀克也教授の「意見書」への反論です(別掲)。また、「ILO勧告の抜粋」は、ILO理事会が今年6月15日、中労委と地労委での委員任命についての全労連提出案件について採択した報告(勧告)です。「直近の中労委の委員任命(昨年11月)においても依然として全労連の代表が一人として任命されなかったことに、遺憾の意をもって留意する」、「全ての代表的組織を公正、公平に扱うことの必要性を再度喚起せざるを得ない」としています。同趣旨の勧告は今回で4回目です。
 国公労連は、全国労働委員会民主化対策会議の一員として28期中労委・労働側委員の連合独占任命の取り消しを求める裁判では原告組合(独法委員候補・泉部全経済顧問と国公労連自身が民間委員候補等と原告に)として積極的な取り組みを行ってきました。しかし東京地裁が不当な判決を昨年11月に出したことから東京高裁へ直ちに控訴しました。

中労委・労働側委員の補欠任命
 またもや不当任命を強行


 第29期中労委・労働側委員(民間担当・UIゼンセン同盟)の死去(6月)に伴う補欠委員の選任において、政府・厚生労働省はまたしても連合推薦の者を任命しました。8月1日付けで任命されたのは、同じUIゼンセン同盟の副会長・石田一夫氏です。
 日本政府が18年間にわたって一つの潮流、連合からしか任命しない不公平任命を行っていることに対して、国際労働機関(ILO)は「欠員が出た場合、すぐに不公正任命を是正すること」(勧告)を求めていましたが、今回もまた政府・厚生労働省は不公平任命を行いました。
 補欠選任(官報公告は6月22日)については、全国労働委員会民主化対策会議は、29期民間担当委員候補として奮闘した今井一雄氏(出版労連顧問)と國分武氏(建交労)を推薦することを決め、手続きをとりました。
 7月12日に厚生労働省に要請を行い、2名を推す各単産委員長名の推薦書(安倍総理宛)を提出。公正任命をもとめて、「あたかも単産の既得権であるように、連合の同一単産から任命するようなことはないだろうな」と鋭い要請を行っていました。

中労委・公正判決要請の団体署名を提出
 国公労連が高裁・民事部に第2回提出


 国公労連は、全国労働委員会民主化対策会議の一員として、中労委労働側委員任命問題について控訴審での公正判決を求めて団体署名をとりくみ、8月30日午前、国公労連の第2提出分として112筆(団体)を東京高裁・民事12部の担当書記官へ手交しました。4月の提出分(1,307筆(団体))と合わせ、国公労連総計で1,419筆(団体)となりました。全国労働委員会民主化対策会議全体の集約は総計4,622筆(団体)となりました。
 【情報/団体署名の筆数は裁判官に伝えられる】担当書記官は団体署名などの提出物については各事案毎に整理し、閲覧可能なようにしています。団体署名の筆数(団体数)がどのくらいになったのかは、裁判所の職員の仕事として口頭で担当裁判官に伝えています。

《別掲》
 晴山一穂教授(専修大学・行政法)の意見書(「0か1かの選択」を指摘)

 前回の審理では国側から、宇賀克也先生の「意見書」(乙111)が提出されましたが、民主化対策会議は晴山一穂先生による反論の意見書を準備し、内閣総理大臣による中労委労働者委員の任命行為は、推薦組合の系統別を不可欠の要素とする強い制約を伴うものであることを明らかにしつつ、任命処分の違法性を明らかにしました。労働委員会委員の任命取り消し裁判で行政法の専門家の意見書を提出するのは初めてのことで、本裁判で影響を与えることになりそうです。その中身は要旨以下のとおりです。

(1)中労委労働者委員の役割は労働者一般の利益の擁護にあるが、さまざまな思想や立場に立つ労働組合が併存するのが現実である以上、それらの多様な意見を反映させる系統別選出こそが労働者一般の利益擁護に合致すること、
(2)これに対して、労働現場の実情を度外視して一般的・抽象的に労働者委員の中立性・公平性を強調しつつ、系統別選出の必要性を否定あるいは軽視することは、現実遊離の観念論に陥るおそれがあること、
(3)乙111は、系統別選出を予定した規定の不存在、推薦組合からの意見聴取等の手続規定の不存在などを理由に、推薦制度は個別の労働組合に権利ないし法律上の利益を付与したものではないと結論付けるが、そこには論理の逆転ないし飛躍があること、
(4)労働組合の推薦した者以外からの任命はできないという労働者委員推薦制度の意義は、すべての労働組合にひとしく現実的な意味を持つものでなければならず、このことと上記(1)(2)とを併せて考えれば、系統別選出は労働者委員選出制度の不可欠の要素であり、内閣総理大臣の任命権はこれによる大きな制約を受けていること、
(5)これに反して原判決及び乙111のように内閣総理大臣に広範な裁量権を認め、系統別選出はひとつの運用方法にすぎないものとした場合には、いかに偏った任命でも法的に認容されてしまい推薦候補者が任命されなかった労働組合にとっては推薦制度は画餅に等しいものとなること、
(6)本件任命にあたって内閣総理大臣が系統別選出を踏まえた候補者の適格性判断を行ったものと解することは、被控訴人の主張に照らしても困難であること、
(7)原判決は、一般企業担当の労働者委員定数9名であるところ、一般企業の労働組合の組合員比率は連合9に対して全労連1であるので全労連系候補者を任命しなかったことは必ずしも不合理でないとしたが、この場合に全労連に配分すべき数値は0.9となるので「1か0しかない選択肢」の中から0を選択することは例外的な事情がなければ通常では考えられず、原判決の論旨は合理性を欠くこと。

以上

 
 
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