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国公労連速報 2007年7月20日《No.1885》
 中労委偏向任命取消裁判・控訴審
 坂内証人(全労連議長)が口頭陳述
 地裁判決の不当性を6点にわたり主張
  7月18日 第3回審理
     
 

 

 第28期中労委・労働側委員偏向任命の取消を求める控訴審裁判の第3回審理が7月18日午前10時半から東京高裁第824号法廷で柳田幸三裁判長(民事12部)のもと開かれました。
 第3回審理では、原告側の証人申請が認められ、坂内全労連議長が約20分に渡り口頭陳述を行い、原判決(地裁判決)の不当性を主張。原判決がまともな理由を示すことなく、厚生労働省の労働組合基礎調査を「最も斟酌するに足りる数値」として、全労連の組織人員を過小に見積もった数値をもとに、連合独占任命を正当化していることなど6点を指摘しました。(別添に要旨)
 今後の裁判は、被告(国)側が新たに「中労委・労働側委員任命に関する意見書」を提出したことから結審にはならず、第4回審理を9月5日に行うことになりました。
 国公労連は、全国労働委員会民主化対策会議(全労連、MIC、純中立懇の3者で構成)の一員として28期中労委・労働側委員の連合独占任命の取り消しを求める裁判では原告組合(独法委員候補・泉部全経済顧問と国公労連自身が民間委員候補等と原告に)として積極的な取り組みを行ってきました。しかし東京地裁が不当な判決を昨年11月に出したことから東京高裁へ直ちに控訴しました。


 ILOが日本政府に4回目の勧告
 「全ての代表的組織を公正・公平に扱うこと」


 今年6月18日から19日にかけて行われたILO第299回理事会で、全労連が提出している案件(中労委、地労委の委員任命)について4回目の報告が採択されました。「直近の中労委の委員任命においても全労連の代表が一人として任命されなかったことを、遺憾を持って留意する」「全ての代表的組織を構成・公平に扱うことの必要性を再度喚起せざるを得ない」として、日本政府の対応に強い遺憾の意が表明されています。これまで、2002年6月、03年3月、05年11月と3回、同趣旨の報告が採択され手います。

(別添)坂内陳述の要旨

 陳述の機会をいただき、ありがとうございます。原判決について、6点にわたり意見を申し述べます。
1 第一は、原判決がまともな理由を示すことなく、厚生労働省の労働組合基礎調査を「最も斟酌するに足りる数値」として、全労連の組織人員を過小に見積もった数値をもとに、連合独占任命を正当化していることです。
 「労働組合基礎調査」では、ナショナルセンターの組織人員を中央単産のみで集計し、地方組織に直接加盟している人員を除外する統計方法をとりました。全労連が中央単産と地方組織を加盟単位に、134万人で結成されたにもかかわらず、その組織人員を100万人以下で公表し、これを理由に全労連排除を正当化しようとしたものです。我々の再三にわたる抗議によって、厚生労働省は1999年以降の「労働組合基礎調査」から地方組織の組合員もカウントする統計に改めました。1998年に88万余とされた全労連の組織人員は、99年には一挙に36.9%、数にして32万5578人増の120万6092人で公表されました。ちなみに、統計方法の変更による連合組織人員が2.3%増にとどまったことをみても、それまでの統計方法の意図は明白であります。
2 第二は、原判決が「労働者委員定数の一般企業担当9名、特定独立行政法人担当6名のいずれについても、全労連に1名を割り振るには組織人員が十分ではない」と断定していることです。これには二重の事実誤認があります。
 一つは、厚労省が現在に至るも都道府県未満の地域組織の組合員を統計から除外していることです。
 また原判決は、今井一雄候補者が全労連加盟以外の出版労連、全農協労連、新聞労連、全損保など、組合員約14万人以上を擁する組合との共同推薦であることを見落としています。
3 第三は、「ILO勧告が、任命基準の設定や不均衡の是正措置を要望している」と認めながら、一方で「現在の任命状況がILO87号条約に違反するとしたものとは認められない」としており、矛盾にみちた判決であることです。
 私自身がILO総会で目の当たりにしたことは、複数のナショナルセンターが存在する国では、いずれも労働組合の代表権が公平に認められている事実でした。ILO総会では、複数のナショナルセンターを対等に取り扱うことを「多元主義」として尊重しています。ですから、中労委委員を連合に独占させ続けている日本政府に、是正措置を求めているのです。連合や日本経団連の代表もメンバーであるILO理事会が、3回にわたって連合独占の不当性を指摘し、改善を求める勧告を出していることを、司法としても重視すべきではないでしょうか。
4 第四は、原判決が、「第28期労働者委員には定数15に対し、20名が立候補したので、任命されない候補者が生じるのは不可避であり、連合独占が直ちに差別的取り扱いということはできない」としていることです。これは全労連と連合が結成されて以降の第21期からの一貫した任命の経過を見落とした判断です。
 定数と候補者の数にかかわりなく、一貫して連合推薦の候補者だけが任命され、全労連など非連合の推薦候補者だけが排除されてきたのです。その不当性が覆い隠せなくなり、第27期からは連合も定数以上の候補者を推薦して数名の任命されない候補者をつくり、辻褄を合わせているのが実態であります。
5 第五は、原判決が最高裁判所による労働審判員任命の経過を無視していることです。
 2006年4月に発足した労働審判制度では、全労連と連合の事務局長が協議し、労働審判員の人数をそれぞれの組織人員にもとづいて振り分け、統一推薦名簿を最高裁に提出することで合意しました。私はその当事者でありました。
6 第六は、原判決が、これまで各地裁・高裁が下した判決内容を根底からくつがえすものであることです。
 これまで各地裁・高裁の判決は、結論として原告の訴えを退けたものの、労働者委員任命の現状について鋭く問題点を指摘したものでした。1999年5月の名古屋地裁判決は、「任命が政治的であるとの疑問が生じるだけでも問題であり、これを防止する基準の作成、公表が有益である」と判示しました。同年6月の千葉地労委・東京高裁判決は、「特定系統の組合以外の者を排除することを意図して行なったとの推認が強く働く」と述べました。さらに2003年7月の福岡地裁判決は、連合の強い反発を招くことを避けるために全労連系を任命しなかったと推認され、裁量権の逸脱にあたる」と断定しました。
 ところが原判決は、「裁量権」や「任命基準」などについて各地裁や東京高裁が認定した判断をことごとく退けました。同じく労働者委員の公正任命を求める事案についての司法判断が、裁判所によって異なる内容となるのは、司法に対する国民の信頼を損なうものではないでしょうか。
 最後に高等裁判所に対する要望を申し上げます。
 現在、地方労働委員会においては、8都府県で「非連合」の労働者委員が任命されていますが、高知、長野、千葉、宮城など、そのほとんどが、自民党が推薦する以外の知事によって任命されているのが実態であります。私は、中労委委員の任命にも特定の政治的判断が働いていることを憂慮するものです。
 労働審判員の任命にあたって最高裁判所が労働組合の系統別組織人員の実態を尊重したように、本件についても、司法が公平、公正な判断を下すことを心から期待し、要望するものです。ありがとうございました。

以上

 
 
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