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国公労連速報 2007年6月12日《No.1863》
「公務員制度改革」法案は廃案に!広島でシンポ開催
公務の市場化がすすむなか職場の厳しい実態が明らかに
     
 

 

 全労連「公務員制度改革」闘争本部は9日、広島市内において「公務・公共サービスの切り捨てと労働基本権を考えるシンポジウム」を開催しました。
 5月に開いた東京でのシンポジウムに続くもので、当日は、広島県内をはじめ、近隣の山口県や岡山県などから公務・民間あわせて90名が参加、公務・公共サービスとそれを支える公務労働者の労働条件や諸権利について熱心に討論しました。
 一方、国会では週明けの11日、参議院本会議で「公務員制度改革」関連法案の趣旨説明がおこなわれ、安倍首相は、今国会での成立にむけた強い姿勢をあらためて示すなど、法案廃案をめざすたたかいが緊迫した局面をむかえています。

 戦後レジーム解体の柱に位置づけられる「公務員制度改革」

 主催者を代表してあいさつした闘争本部の福田副本部長(公務労組連絡会副議長・国公労連委員長)は、「国会論戦では、『公務員制度改革』法案が、官民の垣根を取り払うことにねらいがあるのがはっきりしてきた。官民人材交流センターは、天下りの道具にすぎない。社会保険庁解体法案などとともに、すべての法案廃案へ全力でたたかおう」と国会最終盤での運動強化を呼びかけつつ、こうしたたたかいとも結びつけたシンポジウムでの活発な議論を要請しました。
 シンポジウムでは、晴山一穂専修大学教授、城塚健之弁護士、川后和幸広島県公務労組連絡会事務局長をシンポジストとして招き、コーディネーターを小田川闘争本部長(全労連事務局長)がつとめました。
 行政法を専攻する晴山教授は、「憲法・行政法から見た公務と公務員の役割」と題して、全体の奉仕者(15条)、労働基本権の保障(28条)、国民への生存権の保障(25条)、地方自治の本旨(92条)など、憲法の各条文に照らし合わせながら公務員の役割についてわかりやすく解説しました。その上で、こうした観点から、天下りの全面自由化や恣意的な人事管理をねらう政府の「公務員制度改革」の問題点を明らかにし、「公務員制度改革は、憲法を頂点とする人権と民主主義体制である戦後レジームを解体する攻撃であり、その解体を許さずさらなる発展にむけた運動が必要だ」と指摘しました。
 自治労連弁護団で活躍し、自治体運動に詳しい城塚弁護士は、「公務員制度改革〜公務の市場の側面から」とのテーマで、市場化を進めるツールとしての市場化テストや指定管理者制度などの問題点を報告しました。城塚氏は、「公務員制度改革」は、「国家改革の柱」であるとし、ハード面の改革としての「小さな政府」、ソフト面の改革としての公務員の変質がねらわれており、そのなかで、住民の生命への危険、住民サービスの低下、地方経済の疲弊が起こっていることを指摘しました。そうしたもとで、「大きな視点でとらえた運動が必要であり、公務の市場化の弊害を徹底的に国民に明らかにすべき」とのべました。
 広島県公務労組連絡会の川后事務局長は、広島自治労連書記長としての経験も交えながら、「地域・自治体の公務・公共サービスの状況と労働運動の課題」と題して、主に実践面からの問題提起をおこないました。報告では、市町村合併や交付金削減のもとでの住民サービス切り捨てや、サービスの担い手の公務労働者の3分の1が臨時・非正規で占められていることなどが報告され、「現場の労働者は誇りを持って働いているが、正規と非正規では賃金は天と地の差がある」と告発しました。川后氏は、そうしたなかでの労働組合運動の必要性、住民や利用者の要求に依拠した要求闘争の重要性を強調しました。

 憲法改悪阻止の運動と結びつけたたたかいが重要

 フロア発言では、「市場化テストで賃下げや雇用不安が現実問題として起こっている」(民事法務協会労組)、「公共事業が激減するなかで賃下げが次々と強行され、最低賃金制度が命綱になっている」(広島合同労組)、「タクシーホームレスが現れるほど運転手は低賃金だ。タクシー運転免許が必要だ」(自交総連)、「十分な教員さえ配置されず、わずかな賃金で働く臨時教員にたよらざるを得ないのが教育現場の現実だ」(全教広島)など職場の実態が生々しく報告されました。
 また、低賃金だけでなく、請負から派遣へ、派遣から非正規へと雇用形態さえもコロコロと変わっていく自治体の労働者の状態、請負発注のため担当者が次々と入れ替わり、正常な業務ができない公共事業の現場の実態なども報告され、会場からは、はじめて耳にする話に驚きの声があがりました。
 こうした発言もうけて、各シンポジストからは、「公務職場で働く労働者の多くが、『公務員』ではないという現実を明らかにすべきだ。民間労働者を守ることも、公務の役割ではないのか」(川后氏)、「公務の市場化が改憲の原動力になっており、憲法改悪反対の運動と結合させていく必要性を忘れてはならない」(城塚弁護士)、「政治のあまりのひどさを、国民的な怒りに変えていく必要がある。『おかしい』という感覚と結びつけて、公務サービスの持つ意義を国民に押し出す局面に来ている」(晴山教授)などが指摘されました。
 討論を通して、公務・民間、正規・非正規など格差のひろがりのもとで、労働者間の共同、住民との共同などあらゆる共同をひろげる必要性が共通認識となり、コーディネーターの小田川本部長は、「公務破壊やワーキングプアーの実態と無頓着な『改革』がすすんでいる。規制緩和で社会が良くなったのかとの問いかけが重要だ。労働者の条件確保こそ安定した公務・公共サービスを提供できることとなる。そうした観点からの議論や運動をすすめよう」と討論を締めくくりました。【※「公務労組連絡会FAXニュース」2007年6月21日No.681より転載】

以上

 
 
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