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国公労連速報 2007年6月4日《No.1858》
「公務員制度改革」関連法案
衆議院内閣委員会4日目審議
     
 

 

 「公務員制度改革」関連法案の審議が、5月30日、前日の参考人質疑に続き行われました。
 この日の質疑でも、官民人材交流センターが、民間の人材を公務に送り込む窓口であることが明らかになりました。
 労働基本権問題については、10月を目途に一定の範囲で付与する方向での結論を出すよう専門調査会に検討要請している旨、行革大臣から回答がありました。
 与党は、法案の早期成立を狙っていますが、自民党委員の出席数不足でたびたび審議が中断しています。また、基本権問題はこれまで総務委員会で議論してきたにもかかわらず、野党の総務大臣の出席要請に与党が応じないなどで、委員会は混乱しています。

強行審議にも不真面目=自民・委員の出席数不足でたびたび審議中断

 衆議院内閣委員会で質問に立ったのは、寺田稔・赤澤亮正・橋本岳・中森ふくよ(以上、自民)、田端正広(公明)、鷲尾英一郎・松野頼久・松原仁・川内博史(以上、民主)、吉井英勝(共産)の10名の議員で 、再就職規制(天下り規制)や官民人材交流、能力実績主義などで質疑が行われました。
 自民党の寺田議員は、能力実績主義の能力部分の適正評価(結実前の担当者の評価)を確認。また、前日の参考人質疑での全労連小田川事務局長提出資料にも触れ、キャリア特権人事の撤廃を確認。
 赤澤議員は、効率・生産性向上の必要性を強調し、官民人材交流の促進を主張。その上で、天下り禁止は職業選択の自由を奪うもので、バランスに配慮した天下り斡旋実施を主張。
 橋本議員は、民主党案について政府案より厳格としながらも、法案根拠となる実態調査が不十分であり、非現実的と批判し、少しずつ強化して政府案が妥当と主張。
 中森議員は、官民交流はあっていいが、定年まで働くことができることが本筋とし、10年後に勧奨退職を廃止する考えがあるかを確認。さらに総量規制に向けた考えを確認。
 公明党の田端議員は、改革の成功は、官民人材交流センターにかかっていると評した上で、センターの予算と人員を確認。さらに公務員の意欲、労働基本権付与について考えを求めました。
 民主党の鷲尾議員は、Yahoo、帝国データバンクの世論調査で官民人材交流センターについて国民は天下り、談合の根絶はできないと考えているとして、再就職は民間と同様に自己責任でやるべきだと主張。また、天下りの実態を紹介しつつ、経団連が「さらなる行政改革の促進に向けて」で、肩たたきの廃止と専門スタッフ制の導入を提言しており、これを重く受けとめるべきと付け加えました。
 松野議員は、国家公務員に関する制度の企画及び立案に関することが総務省設置法第4条第一号にあり、国公法は、総務大臣の所掌事務であること、これまで国公法の改正は総務委員会で行ってきたこと、特命担当大臣はいずれいなくなることを指摘し、官房長官(センターの所掌)と総務大臣の所掌に切り分けが必要と主張。さらに国家公務員の人事管理は総務省が所掌していたが、今回の公務員制度では内閣府の特命大臣が主導し、政府内の所掌が不明確となっている点を整理すべきと主張しました。また、政府案は、天下り根絶よりも再就職支援の色合いが強いと評し、押しつけが無くなっても公益法人等との癒着は無くならないと批判。
 松原議員は、総務省が行っている現行の人材バンクの運営を人材派遣企業(パソナ)が受注したことに関し、民間人材関連企業の活用も必要であり、センター運営を議論する有識者懇談会に民間人材企業からも人選することを否定しないと表明。また、国土交通省による斡旋調査報告が、省の顧問に就任した者まで「斡旋の有無不明」としている不合理を指摘し、原因確認と再調査を求めました。さらに国会内閣委員会と有識者懇談会の位置づけの確認を求め、課長以上は政治任用すべきと主張。
 川内議員は、天下りを無くすと国民に宣伝しながら、官民人材交流センターをつくり米国的な官民交流を行おうとすることは癒着が進むだけだと再就職規制を批判。また、ODAに絡む天下りと渡り斡旋の実態を示し、再調査の実施を強く求めました。
 吉井議員は、法案提出は行革大臣、国公法や公務員制度の所管は総務大臣、官民人材交流センター長は官房長官であり、委員会に総務大臣の出席は欠かせないと指摘。また理事会や総務委員会でも、本法案は内閣委員会と総務委員会の連合審査が必要とする提起があるとし、委員会運営の改善を求めました。あわせて、国公法上に無いキャリアシステムの扱いについての考えを確認。さらに、国公法第27条の平等取扱の原則について、人事管理の前提となる大事な原則として、それに反する差別人事の実態を示し、根絶に向けた対応が必要と指摘しました。

 これらの質問に対し渡辺行革担当大臣らは、以下のとおり回答しました。
・ 試験制度のあり方は有識者懇談会での検討課題であるが、法案で試験区分にとらわれない人事管理を盛り込んでおり、これまでのような任用はありえない。
・ 官民人材交流センター設置の目的は、職員の再就職支援及び円滑に官民人材交流を進める窓口であるが、詳細な制度設計は有識者懇談会で検討。その規模については、各省の行ってきた斡旋実績の合計(5600人(03年度)、3500人(04年度)、3600人(05年度))を一つの目安として、有識者懇談会で検討し、概算要求時までにとりまとめる。
・ 総量規制については、人事の一環としての押しつけ的斡旋がなくなれば枠の確保の必要性が無くなり、天下り先として用意している法人等の削減につながる。
・ 試験区分にとらわれない能力実績主義の人事が実現すれば職員の意欲喚起につながる。
・ 労働基本権については、一定の範囲で付与する考えで10月を目途に結論を出すよう専門調査会に要請している。
・ 国会の議論を集約しそのエッセンスを抽出して有識者懇に伝え検討する。有識者懇には少なくとも官房長官は入る。適切なタイミングで立ち上げたい。
・ 政治任用も一つの見識。政治任用の場合には身分保障はない。官民の癒着防止を同時に行いながら、民間の人材も活用する。人事権は大臣にある。
・ 団結権の侵害で国の主張が認められなかったのは事実だが、職員の任用については、国公法の平等取扱の原則にもとづき公平公正にやっている。

 また、委員会運営については、理事会で協議することになりました。

以上

 
 
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