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国公労連速報 2007年5月17日《No.1846》
【社会保険庁改革対策委員会ニュースNo.17】
     
 

 

なぜ今までに分限免職しなかったのか
5月16日衆議院厚生労働委員会野党質疑


 衆議院厚生労働委員会は16日、野党のみで審議を行いました。審議は社会保険庁の年金記録管理問題に集中しました。その中で民主党枝野幸男議員は、不正を働いた職員ややる気のない職員を分限免職していないのは、1955年依頼の怠慢と指摘しました。また、共産党高橋千鶴子議員は、国税庁より冷たいと年金保険料強制徴収の実態を指摘、社民党阿部知子議員は「年金運営を社会保険庁にまかせられない」と発言しました。
 この日、社会保険庁職員が収賄で逮捕され、保険局が家宅捜査されたこともあり、社会保険庁に厳しい発言が相次ぐ審議となりました。質疑の概要は以下のとおりです。


【内山 晃(民主党)】
 生年月日の分からない30万件のデータは何故生まれたのか。S55年、紙ベースをデータ化した時のミスだと考える。この30万件は社会保険事務所に責任があるのではないか。

【柳澤厚生労働大臣】
 どのように生まれたのか、被保険者、年金受給者に起因するものか、当局の市町村、社会保険事務所による接点で正しく処理整えたのに、その後の処理に生じたのではないかということ、そういうこともあり得ないことではないと考える。

【内山 晃(民主党)】
 30万件のデータに対し、どこの社会保険事務所の誰々ということを公開すべきではないか。

【政府参考人 青柳運営部長】
 情報が不十分であるが、立派な個人情報であり、公開できないと認識している。本人が申し出したさいに、丁寧につき合わせ統合していきたい。

【内山 晃(民主党)】
 受給者が、役所を訪ねて手続きをするとのことか。データを整理すべき、問い合わせの際に速やかに対応すべき

【政府参考人 村瀬社会保険庁長官】
 厚生年金であれば、従業員の会社、勤務年数の把握はできる。企業名、場所、名前が分かれば、生年月日がなかった場合でも手続きは可能だと考える。
お待たせないようにどうできるのか、5000万のデータの中で30万件のケースの場合特別のデータベースを作成して検索できるようにすることは検討する事項だろう。

【内山 晃(民主党)】
 年金事務費への保険料財源充当の恒久化について、年金制度は国の事業であり、しかも強制加入だ。何故、保険料をつかって恒久的にするのか明確に答えて欲しい。

【政府参考人 清水社会保険庁総務部長】
 民間保険はもとより、公的保険、雇用労災保険、諸外国の例でもあるところ。勘案して提案しているところ。無駄使いはしない、様々な取り組みをすすめていく考え方。

【内山 晃(民主党)】
 年金の財政だって潤沢ではない。年金相談や年金教育、広報、情報提供に使うことはとんでもない。更に年金不振を招くことになる。事務費を恒久化してはだめだ。

【政府参考人 清水社会保険庁総務部長】
 保険料の恒久化にあてるものとして納付書、年金証書、年金手帳やそのための封筒代、切手代など年金給付と密接不可分のもの保険料を当てることをお願いすることは妥当であるとの考え。

【内山 晃(民主党)】
 年金相談の繁忙期には相談員を保険料で雇う、際限なく雇うことになるのではないか、年金相談の場所がなければ新たに建てることになる。歯止め基準は誰が考えるのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 日本年金機構の予算で経費が計上され、チェックを受けることになる。予算は年度により厚生労働大臣が認可する。歳出歳入とも関連であれば国会での審議となる。

【園田 康博(民主党)】
 今までに何があったのか精査をし、何がまずかったのかという反省にたって、ここを直していくのだというメッセージが大臣から伺えればと思う。保険料の件について質問をしたい。事前通告している、グリーンピアの売却の現状について報告をおねがいしたい。

【柳澤厚生労働大臣】
 年金福祉施設は平成17年度廃止。廃止にあたり、各施設を地域で有効に活用の観点から、運用基金により地元の地方公共団体への譲渡を優先することとし、これを優先するため資産全体を一括して譲渡、一定期間保有、職員の雇用が確保されるなどを条件の充足に応じて、不動産鑑定による時価評価額から一定額、最大5割を減額して譲渡したところ。地方公共団体へ譲渡が認められない場合は、公募による競争入札により民間団体への譲渡をおこなった。結果、17年12月に13基地すべての譲渡が完了した。13基地のうち11基地及び1基地の一部を地方公共団体へその他は民間団体へ譲渡。グリーピア建設費支出額1953億円、それに対して譲渡収入は48億。

【園田 康博(民主党)】
(グリーンピア売却等、年金保険料の事務費流用に関する議論、略)

【山井 和則(民主党)】
 老後にとって年金は命綱。5月11日朝日新聞、統合できない個人番号が5千万件あり、受給額が変更になったのが22万件。毎日新聞では、収めたはずが未納になっているデータを社会保険庁は24万件訂正したとのことだ。
 私の元にも相談が寄せられている。「払ったはずの国民年金保険料が5年半払っていないことになっている。領収書は処分されている」「職場を遅刻して市役所国民年金保険料を持って行き、昭和54年6月から昭和59年11月まで支払った。その後再婚し隣の市へ引っ越し、私は65歳になる1月前に行くと、再婚前の記録がないと言われた。しっかり調べて欲しいとお願いしたが、領収書がないからだめとしか答えてもらえなかった」。このような現状をどう考えるのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 これは、5年にわたって払っているとのことですから。再婚前ですから、苗字が変わっているのではないか、旧姓で支払っていれば、記録に当たることにしなければならないと考える。市役所の記録がどのようになっているのか関心がある。現在であれば磁気ファイルの被保険者の名前を調べる。不満であれば、本庁まで事をあげてもらって本庁において、最高のマンパワーを差し向けて徹底的に調査したい。

【山井 和則(民主党)】
 5千万件のうち、今日まで何件統合できたのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 146万件である。統合を要しないケースもある。5千万件全て統合することは要しないと考えている。

【山井 和則(民主党)】
 このまま、新法人になったら政府の監督も国会の関与も減っていく。看板のかけかえ前にけりをつける必要がある。いつまでに、統合されるのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 58歳通知、ターンアラウンド、特別強化体制の実施、45歳通知などが、統合を促す要素と期待できると考えている

【枝野 幸男(民主党)】
 社会保険庁は、5000万件の統合できない年金記録があることを認めている。ということは、社会保険庁が把握をしている皆さんに通知する記録の中に間違いがあるということを認めているわけですよ。だから間違っている可能性のある人は申し出てくださいと言う話でよいならば、生命保険会社も特約などについて見落としていて支払ったケースもあったので、そういう方は申し出てください。とういうことで、イコールフィッテングだと思います。もしも、全ての記録が自信満々です。正確でないことを疑わせるような情報は何一つないと言うことがあるならば、こういうことですから間違っていたら申し出てください。というならあり得るが、間違っている可能のある記録を送っておいて間違いがあったら申し出てください。本人が気づいていないから問題なんです。生命保険だってそうですよ。特約なんか忘れているんです。私だって入っている生命保険の特約なんか分かりませんよ。忘れているわけです。忘れているから申し出がない。年金保険料の納付者だって忘れているんですよ。先ほどのケースのように明確に記憶をしている人もいるが、忘れている人の方が圧倒的に多いのです。3年前の今頃ここでも政治家国会議員だってそうだったんです。一般の国民のみなさんに30年前40年前の記録を管理しろという方が、無責任だと思う。

【柳澤厚生労働大臣】
 先ほども答弁した。
 これから統合の機会を設けて統合していく。できることはした。個別の申し出にもとづいて、統合の進捗を図りたい。

【枝野 幸男(民主党)】
 やれることはやっていない。手書き記録と、マイクロフィルムとデータ入力の記録をつき合わせろと言っているのにやっていないじゃないですか。
 さて、また、社会保険庁の職員が収賄で逮捕されたとのことですが大臣

【柳澤厚生労働大臣】
厚生労働省として、報道のあった事実について把握していないが、取調べをうけているということは遺憾千万のことである。捜査当局に全面的に協力すると共に事実関係の解明をまって厳正に対処する所存です。

【枝野 幸男(民主党)】
 逮捕をされたとの報道です。日本年金機構になった場合、収賄ですから。これは、公務員の地位にもとづく犯罪です。同じようなことが年金機構の職員に起こった場合は犯罪になるか

【柳澤厚生労働大臣】
 なると考える

【枝野 幸男(民主党)】
 年金の保険料の徴収業務とは公の勤めではありませんか? 

【柳澤厚生労働大臣】
 公共的な仕事として組み立てられている。

【枝野 幸男(民主党)】
 色々な辞書があるが、公務員とは、国又は地方公共団体の公務を担当するもの、公務とは公の勤め、公の勤めを担当するものは公務員、日本語としては公務員。年金の徴収を担当するものは、日本語としては公務員ではないですか?

【柳澤厚生労働大臣】
 枝野委員も同じ立場で行政改革にあたっていただいた。
 公務についてですね。現在、行政官庁が行っている執行事務については、エージェンシー化すると、いうことをイギリスの例などを見習って、そういうことを構想することがあった。そういう中で、公務なんですが、公務のうち執行の事務については、エージェンシーは確定的な名称がつき独立行政法人となった。それに当たる職員は公務員もあるのだが、非公務員もある、公務についても独立行政法人の中で非公務員もあると考えている。

【枝野 幸男(民主党)】
 国家公務員法上の公務員でなくします。年金機構の職員は、公の勤めを果たすことになる。問題は、国家公務員法上の公務員でなくなるということに、どんな意味があるかということが、問われるんではないですか?

【柳澤厚生労働大臣】
 社会保険庁が問題を露呈してきた。これを改革するにはいかなる面の努力をしたら良いのか模索をした。その中で、前回の機構も一案でしたが、さらに進めて組織改革案を提出させていただいた。これは、厚生労働大臣の権限とされる事務を、全面的に委任を受けてやるということですから、公務を行うわけですが、これを非公務員型でやることによって、これに当たる職員の意識であるとか、業務運営の弾力化などを取り入れることによって、改革に実をとると考えている。

【枝野 幸男(民主党)】
 何で、国家公務員法上の公務員でなくなると効率的になるのか、小学生でも解るように答えてください。

【柳澤厚生労働大臣】
 公務員となりますと、分限というものでしか降任降格、あるいは解任と言うようなことができないという仕組みになっている。それに対して、民間的な手法を入れた職員については、人事面での制約から解放される。合理的な理由ということは判例でしめされているがかなり自由度の高い人事管理ができる。弾力的に仕事に対応できる。なるほどとの事例もある。期待できると考えている。

【枝野 幸男(民主党)】
 そんなに民間のほうが立派だったら、自衛隊も警察も民間にすれば良いのにと思うが、今の話はうそですよね。人事院に聞きます。国家公務員法、勤務成績が悪いものサボるもの、あるいは能力に欠けるもの、的確性を欠くもの降格できますよね?あるいは、予算財源の関係でこのままでは財政が破綻する、首にできますよね?人事院。

【政府参考人 鈴木人材局長】
 国家公務員が免職されうる場合は、職務上の義務違反の場合、国家公務員法第82条にもとづいて懲戒処分として免職等がおこなわれる場合がある。ほか、懲戒の意味をもたない分限処分として、免職などが行われうる理由を国家公務員法は明記しています。これは成績主義の原則の下、職員が全体の奉仕者として情実に左右されずに職務を行い、恣意的にその職を奪われるということが無いようにする、公務の中立性適正化安定性を確保するものです。78条では、降任及び免職などは人事院規則に規定しているところです。いずれにしても個別の処分に対しては、法律や人事院規則にのっとって事実にもとづいた判断により裁量権の乱用にならないように適正におこなうことが必要と考えています。

【枝野 幸男(民主党)】
 いい加減な職員を首にしなかったのは管理者ですよ。
 大臣であり長官であり、地方では知事であり市長である行政責任者の責任が問われている。制度のせいにしてはだめ。通用しない職員がいるなら規定があるんだから首にすればよい。
 逆を聞きます。民間企業だったら勝手に首をきれるんですか?

【松野厚生労働大臣政務官】
 労働基準法の第18条の2に規定されている。具体的には解雇は客観的に合理的に理由を欠き、社会通念上、相当であると認められない場合はその権利を乱用したとして無効とする。とされている。このように労働者を解雇できるかはこの規定の沿って最終的には個別具体的に判断される。

【枝野 幸男(民主党)】
 勘違いはあるんです。民間企業だから首をきりやすい。大きな間違いです。 行政担当者のやる気と能力と意欲の問題です。やればいいんです。社会保険庁でも不正が起こっている、やる気が無くいい加減な人がたくさんいるんですよ。分限処分してないではないか?分限処分してください。1955年以降、自民党がやる気がなかった。
 制度のせいにしてごまかすな。そのほか民間だったらよいことがあるのか?給与は誰が払うのか確認しますが、

【柳澤厚生労働大臣】
 独立行政法人といえども行政事務を運営交付金で人件費をまかなうことは現におこなわれていること。同様の考え方で交付金を通じて給与をまかなう。

【枝野 幸男(民主党)】
 公務員でなくしても仕事の中身は公務なんです。給与は全額税金。あるいは一部保険料。
 公金でまかなわれる。売り上げからではないんです。一方、国家公務員でなくなることで何が起こるのか、天下り規制が及ばない。社会保険庁から関連する公益法人、関連する様々な民間企業へ、非公務員かということでいくらでもできるようになる。国の関与や責任は間接的になる、国会への出席義務がなくなる。焼け太りです。何かプラスがあるんですか。
 首にする降格することは民間も公務も同じような制度で担保されている。やってこなかっただけ。結局同じやり方じゃないですか。私は民営化できる役所は民営化するべきと思います。徹底的に小さな政府にするべきだと思います。一般的に民間の方が役所より効率的だと思います。これには理由があります。民間は競争にさらされている。日本年金機構は競争関係にある組織機関はありますか

【柳澤厚生労働大臣】
 目標管理をやる、中期的な目標をたて遂行度でチェックしようとすること。

【枝野 幸男(民主党)】
 民間企業はしっかり競争しないと別のところに移る。NTT、JRは競争がある、がんばらなければならないんですよ。大体があるんですよ。
 民間じゃないんですよ。どんなにいい加減な仕事をしても国会のチェックはきかなくなる。
 国民から益々見えなくなる。でも給与は税金で払う。民間企業はいい加減なことをしたら、倒産して失業するんです。民営化、非公務員かというなら倒産法制をくっつけてください。

【柳澤厚生労働大臣】
 飛躍がある。国家機関と比較するのは民間会社ですが、独立行政法人が存在している。
 特殊法人とは独立行政法人の一形態です。なぜ独立行政法人の名をとらなかったかといえば厚生労働大臣の権限を行わせるわけですので、総務省で監督すことはふさわしくない、厚生労働大臣が監督しなければならない。こういうことで特別の法律を制定するということです。

【枝野 幸男(民主党)】
 答弁は良いと思います。結局、厚生労働省から手放したくなかったということですね。
 厚生労働省の利権はなくなる。だから厚生労働省のもとの機関とする。名前と肩書きを変える。でも中身は一緒ではないですか。何が変わるんですか?一切説明されていない、看板のかけかえで何がよくなるんですか?

【柳澤厚生労働大臣】
 中期目標、基本計画、年度計画をたて計画管理をする。
 人事を公務員法の枠組みから離すことによって意識の改革を呼び起こしたい。仕事の仕方、民間の弾力的仕事を共有することによって改革の実を挙げていきたい。

【枝野 幸男(民主党)】
 役所でも計画管理できる。やってこなかっただけではないか。厚生労働省では、やれてこれなかった。厚生労働省は万々歳ですよね。

【柳澤厚生労働大臣】
 枝野議員も独理法人は認めるといいました。私どももその形態をとるという事です。
 特殊法人ですが、考え方としては独立行政法人した、一般名詞としての独立行政法人としているとのことです。

【枝野 幸男(民主党)】
 競争原理を働かせる行政はあるんです。国立大学などはあるんです。
一定の意味はあるんです。この法案はそもそも厚生労働省の利権を守りたいのです。
 まやかしだ、よくなるどころか、今より悪くなるんです。大改悪法案である。あと5時間くらいは審議をしたい。終わります。

〜休憩〜

【長妻 昭(民主)】
 5,000万件の宙に浮いた年金記録を年齢階層別に見ると、65〜79歳で1,400万件ある。既に受給している年齢層であり、政府がこの間、「裁定時に統合する」と繰り返した答弁は通用しない。既裁定者にも納付履歴を送付し、確認を促すべきだ。

【柳澤厚生労働大臣】
 裁定の際、社会保険庁と被保険者の双方で確認して受給額を決定している。必要があれば裁定変更で対応しており、納付履歴を通知することは考えていない。

【長妻 昭】
 この件は、あきらめずあらためて追及する。
 社会保険庁が入力ミスをして、名前の読みが違って読みが違って記録されている。どういう誤りが考えられるかを例示して、注意喚起すべきことを指摘する。
 我々は電磁データと、保存されている紙台帳の全件照合を求めている。窓口で、本人からの申し出によって納付履歴が変更されたもののうち、電磁データに記録が無く、紙台帳に記録が残っていたものは何件あるのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 内訳は把握していない。

【長妻 昭】
 社会保険事務所の人に聞くと、内容を把握しており上から指示があれば報告できると言っている。裁定変更に至る端緒の比率がわかれば、手も打ちやすくなる。政府は発表すると騒ぎになるので意図的に隠しているのではないか。

【柳澤厚生労働大臣】
 私どもの使命は国民からの申し出にしっかり対応することであり、同時に管理に必要な資料を準備することも強うと認識している。しかし社会保険庁にそうした風土が無く、管理事務が手薄であった。ようやくそうした体質になりつつあり4月以降の資料ならお出しできる。しかし、以前のデータとなると、通常の業務に加え、新たな労働を課すことになる。磁気ファイルの作成にあたっては、市町村で保管されていた名簿や紙台帳を、磁気データと2回チェックし作成した。100万件の中で、十数件の不突合が見つかった。1億近いデータをひっくり返すのか、現にある申し出に誠実に対応するかを考えると、責任者として後者を優先すべきと考える。

【長妻 昭】
 忙しいからやらないとはどういう神経か。5,000万件の突合ができないなら、サンプル調査を実施すべきだ。

【柳澤厚生労働大臣】
 個々の権利者を大切に考えたとき、起きていること、申し出、照会に応えるべきだ。あらためてサンプル調査することにどれほどの意味があるのか。

【長妻 昭】
 この点も引き続き求めていきたい。
 他人の納付記録が自分の記録に紛れ込んでいるケースも指摘されている。どのくらいの件数なのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 年金相談の特別体制強化の中で判明した件数は把握していない。ただ18年4月から12月の間に、申請者の申し出によって統合した記録を再確認した中で、4件存在した。同姓同名、同一生年月日であったり、同姓同名で同一事業所であったものが、誤って統合されたものだ。

【長妻 昭】
 きちんと統合すると言いながら、社会保険庁のミスで、赤の他人の記録が統合されている。4件は氷山の一角で水面下にかなりある。調査を行われたい。

【柳澤厚生労働大臣】
 申し出をいただければしっかり調査したい。年金記録の8項目についても、一部が欠けているケースが考えられるが、申し出いただければ他の項目で手がかりを得て統合したい。

【長妻 昭】
 当初柳澤大臣に期待したが、一連のやりとりでは、官僚の抵抗に手を貸して、大臣が被害者救済のストッパー役になっている。そういうことなら大臣には辞めていただきたい。引き続き追及する。

【筒井 信隆】
 年金受給権は、25年保険料を納めたとか、65歳に到達することで発生する。この受給権だけでは年金を受けられず、裁定請求を社会保険庁に提出し、社会保険庁が裁定し、通知を出して支給する順序と理解している。請求の有無にかかわらず、自動的に受給権が発生するという理解でよいか。

【政府参考人 青柳社会保険庁運営部長】
 基本権は法定の受給要件を満たすことにより発生する。受給開始には裁定という確認行為が必要となる。

【筒井 信隆】
 請求の有無にかかわらず受給権は発生するものであり、社会保険庁は権利を確認するものである。社会保険庁には納付期間に対応した受給権を確認する法的義務があり、実際の納付に照応しなければ、その確認は違法・不当ではないのか。

【政府参考人 青柳社会保険庁運営部長】
 受権者本人に確認し、共同で裁定を行うものであり、一方的に実施庁に非があることにはならない。

【筒井 信隆】
 5千万件の宙に浮いた年金記録について、庁が保管するマイクロフィルムや市町村の名簿と突合し、内容を確認する義務が社会保険庁にあるのではないか。

【政府参考人 青柳社会保険庁運営部長】
 一義的にはオンライン管理している電磁気録の原簿にもとづいて確認している。原簿以外の記録が正しいとする根拠はない。原簿の記録以外にも加入の疑念があれば、他のデータと突合して裁定を行っている。

【筒井 信隆】
 裁定後、本人が請求し、確認したとこと記録に誤りが判明しても、5年が経過していれば時候と判断するのか。

【政府参考人 青柳社会保険庁運営部長】
 会計法で国に対する金銭債権の時効は5年とされており、特段の時効中断理由がない限り時候が成立する。

【筒井 信隆】
 請求権の行使が期待できない場合には、期待できる状況になってから時効は進行するという考え方は認めないのか。

【政府参考人 青柳社会保険庁運営部長】
 一般論として反論しない。社会保険庁が権利行使を著しく困難にしたということであれば時効進行は行われないと考えるが、どのような事情で権利行使が期待できないかは個別判断による。

【筒井 信隆】
 社会保険事務所に何回請求しても相手にされないと言った場合は該当するのでは。

【政府参考人 青柳社会保険庁運営部長】
 社会保険事務所の窓口は、村瀬長官就任以前は評判の悪いものであったが、個別の事情を見てみないと軽はずみには答えられない。相談者から材料を示し、ヒントをいただき、記録を統合・復元する必要がある。一件一件、ていねいに対応したい。

【筒井 信隆】
 証拠がないと、納付がなかったという考え方か。言葉で説明しただけでは他の記録と突合しないのか。突合する基準はあるのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 ケースバイケースで、心証の問題だ。言葉だからだめかと言われればそうではない。具体性があると感じ取れる内容であれば、ていねいな対応の一環として調査を行うこととなる。

【筒井 信隆】
 支給に関し言われることなら、記録が無ければ支給できないと理解するが、調べることは社会保険庁の責任ではないか。これまで社会保険庁は、言葉だけではだめで、証拠書類を示せと対応してきた。説得力があれば言葉だけでも調査し、支給に結びつくことがあるのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 絶対にだめとは言えない。

〜休憩〜

【高橋 千鶴子(共産)】
 健康保険証の取り上げで、病院に行けず、命を落としている人が実際にある。個別事情を勘案する旨の文書が発出されてはいるがそうなっていない。今回の法改正では国民健康保険料を満額納めている人に対しても、短期の健康保険証を出すのか。

【政府参考人 青柳社会保険庁運営部長】
 今回の法改正により、対象者とはなるが、実際に出すかどうかは市区町村の判断による。

【高橋 千鶴子】
 国民健康保険料を満額納付している人に対しては、市区町村の判断で短期健康保険証の発行を拒否できると考えて良いか。

【政府参考人 青柳社会保険庁運営部長】
 最終的には市区町村の判断だが、国民健康保険料を満額納めていても、国民年金保険料を滞納している方に対してアプローチすることで、年金支給に結びつけるとともに、市区町村が徴収すべき各種保険料の業務も円滑に行うとの趣旨であり、趣旨に則った市区町村の運営を求めたいと考える。

【高橋 千鶴子】
 滞納と言っても、健康保険証がないと病院にも行けず、年金保険料にまでまわらない中で、国民健康保険料を必死に納めている実態だ。全額納めているのに短期保険証が送られてくれば、「なぜだ」と思って市役所に行くと、年金保険料を納めなさいと言われる。ていねいな対応を言うが、これでは市役所からも足が遠のくのではないか。

【青柳社会保険庁運営部長】
 年金保険料を何らかの経済的事情によって払えない人に対しては、年金支給に結びつけるため、免除制度、段階的免除制度も用意されている。所得要件に合わせた納付をお勧めするもので、懲罰的なところに着目されたご発言であったが、年金受給権の確保を狙った趣旨であることをご理解いただきたい。

【高橋 千鶴子】
 今回の措置により、短期保険証の規定が省令から法律事項になり、国民健康保険制度においても、収納強化を行うものと指摘する。
 現場では、制裁となっていることに目を向けるべきだ。黄色と赤と黒の封筒を持ってきた。黄色は会津若松市の国民年金保険料の督促状で、赤は同じく会津若松市の市税の差押予告だ。受け取った人は、見るだけで動悸が激しくなった。脅迫状のように思えた。いつも気にしており、年末には払おうと思っていたが、心ない封筒にショックと怒りを覚えた。住民団体から抗議があり地元紙にも紹介され、議会でも取り上げられた。真っ黒の封筒は山梨県韮崎市で税金滞納者に送ったもの。受け取った人はこんな気味悪いものを誰が送ったかと見たら市役所だった。市議会でとりあげ、次回から使用しないこととなった。当局は、インパクトが強すぎ、行政が使う色ではなかったと認めた。市民を震え上がらせるやり方はあってはならない。

【柳澤厚生労働大臣】
 ショッキングな色づかいだ。地方公共団体として、地方税や保険料の確保の努力を強めないとならないが、しっかりと住民サービスをして応益負担を促すなど、別途の工夫で確保されるべきと考える。

【高橋 千鶴子】
 国税庁でも人権無視の取り立てはやめるべき。国税に準じ、社会保険庁も徴収業務を行っているが、生業や生活にかかわる最小限の部分は差押えすべきでない。兵庫のある社会保険事務所では、夫婦二人でやっている旅行会社の口座が差押えられ、110万余が引き出された。3ヵ月滞納しただけで、通知もなしの差押えだ。顧客から預かった費用のため、切符も買えず業務は停滞し、生活も出来ない。土下座して解除を求めたこの人に対し、社会保険事務所徴収課長は、「あんたが払ってくれなければ私がクビになる。私の家族を路頭に迷わせるのか。どうしてくれる」と怒鳴りつけ、「自殺しようと倒産しようがいいということか」と聞くと、「そうだ、知ったこっちゃない」、ここまで言い放ったそうだ。「私にも生きる権利がある」と支援団体とともに交渉し、差押えを解除することが出来た。国税よりひどいこのようなことは許されないと確認して良いか。

【柳澤厚生労働大臣】
 いろいろな法律上決まった枠内で、苛斂誅求(かれんちゅうきゅう:租税などをむごくきびしくとりたてること。苛求。、広辞苑)のそしりを受けないよう対処する所存である。

【阿部 知子(社民)】
 社会保険庁の不祥事に甘い体質で、看板掛け替えで済まそうとすることは信じられない。
 5千万件の消えた年金記録は深刻な問題だ。大臣の答弁の姿勢では解決しない。社会保険庁による業務上の誤りが噴出している。にもかかわらず大臣は業務が忙しく手が回らないと言う。操作ミスによって抜け落ちた記録は違法な処理だ。それを認めないのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 記録を電磁化する過程で誤りが生じたものがある。私どもの記録に腑に落ちないとお感じの方はお申し出いただきたい。磁気ファイルとのチェックを一義的に行っているが、なお腑に落ちないという場合には、マイクロフィルム化した台帳や市町村の名簿ともチェックし、丹念に対応している。

【阿部 知子】
 正確な記録は方が求めている。移行時のミスは起こりえること。サンプルを摘出して調査するよう求められている。ミスは、85年前後の磁気データ化した時に多いのか、市町村から社会保険庁に移管した時に多いのか、傾向を把握して対策を立てるべきだ。大臣は、「申し出てもらえれば」と、みずからの誤りを受給者に転嫁している。そんなにずさんな省庁には、年金を委ねられない。

【柳澤厚生労働大臣】
 電磁化した際の大量ミスとのご指摘のように聞いたが、そうではない。転記の際に生じたものは、わかっている範囲で何十件という程度であり、5千万件は、基礎年金番号を付番したときに、それ以前に切れていることがわかったものだ。統合されるのを待っているデータだ。社会保険庁でも必死に統合している。氏名と住所、生年月日があっているものはただちに統合し、さらに、「この記録で間違いないか」と提示し、確認いただいている。申し出に従って統合しているものである。

【阿部 知子】
 データもなくなぜ言えるのか。転記ミスは起こるので、長い記録管理が求められる年金記録では、紙台帳は残すべきだ。サンプル調査の求めに対し、資料もなく推測で答弁している。

【柳澤厚生労働大臣】
 共済年金や厚生年金、国民年金の制度を過去に渡り歩き、基礎年金番号に付番・統合する際、住所、氏名、生年月日が一致しなかったものが5千万件であり、いろいろ失敗の多い社会保険庁でも、入力ミスを5千万件もしていては原簿を作れない。電磁ファイル化で生じた問題でないことをご理解いただきたい。

【阿部 知子】
 大臣は、申請してくださいと言うが、申請したくても、認知症等で言えない人は切り捨てて良いのか。一人暮らしの方もいる。年金権をどう担保するのか。

【柳澤厚生労働大臣】
 近くに誰もいないとなれば答えようがないが、年金額の通知の際、注意喚起をするので、近隣の方に働きかけていただきたい。そうした方には特にていねいに対応したい。

【阿部 知子】
 基礎年金番号に統合したのは社会保険庁だ。それを確認してくれと言うのではなく、まず社会保険庁が、一気にできなくても動くべきだというのが、午前中からの一致した指摘だ。あらためて追及する。
 社会保険庁の謝金職員の費用は、公務員と違い年金事務費から支払われる。平成15年から倍増している。倍増の意味は、地方自治体の事務を社会保険庁に引き上げたからと聞いた。午前中の審議で、謝金の総額は18年度で24億円との回答だが、資料では54億円となっている。この差はどこから来るのか。

【政府参考人 清水社会保険庁総務部長】
 この数字は、謝金と旅費を合算したものだ。54億円のうち謝金だけでは31億円となっている。

【阿部 知子】
 この旅費は、国家公務員の旅費も含まれている。いつの間にか滑り込ませている。

【政府参考人 清水社会保険庁総務部長】
 正規職員の旅費も含まれるが、大部分は保険料徴収に関するものだ。概ね毎年の数字も横ばいだ。

【阿部 知子】
 横ばいならいいというものではない。知らないうちに保険料をあれもこれも事務費に恒久的に充当するのは大問題だと言っている。

【柳澤厚生労働大臣】
 機構では、どういう事務費を保険料から使うか、厳格に審査し、給付に必要なものに限定し、それ以外は国費で充当すべく対処したい。

【阿部 知子】
 何から何までルーズでずさんで、追及されればあれもこれも出てくるようではとても国民は納得しないことを指摘して発言を終える。

以上

 
 
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