全厚生労働組合
厚生労働省関係機関(本省、試験研究機関、福祉施設、日本年金機構、全国健康保険協会)に働く職員の労働組合 All Health & Welfare Ministry Worker's Union

 2008年度運動方針


目   次

2008年度運動方針
はじめに
T. 07年度主な取組みと運動の総括
1.社会保険庁の解体・民営化に対する取組み
2. 賃金・時短など労働条件の改善を目指す取組み
3.国民のための厚生科学研究を目指す取組み
4. 国民のための障害者福祉を目指す取組み
5. 本省庁部門の取組み
6. 組織強化・拡大を目指す取組み
7. 運動の総括
U. 情勢の特徴
1.政治をめぐる情勢
2.財界・大企業の動き
3.国民生活をめぐる動き
4.公務員労働者をめぐる動き
5.職場を取り巻く情勢
6.国民的運動の前進を目指して
V. 運動の基本的課題と具体的取組み
1.社会保険庁改革に対する取組み
(1) すべての職員の雇用・労働条件の確保を目指す取組み
(2) 「全国健康保険協会」「日本年金機構」の設立に対する取組み
(3) 「安心年金つくろう会」運動の前進をめざす取組み
(4) 国民本位の社会保険庁改革と業務・労働条件の改善を目指す取組み
2.医療、福祉、年金など社会保障制度の確立を目指す取組み
3.賃金・定員増など労働条件の改善を目指す取組み
(1) 人員増、賃金、労働時間短縮など労働条件改善を目指す取組み
(2) 働くルールの確立を目指す取組み
(3) 労働基本権回復、民主的公務員制度確立を目指す取組み
4.国民のための厚生科学研究を目指す取組み
5.国民のための障害者福祉を目指す取組み
6.本省庁部門の取組み
7. 憲法改悪に反対し、平和と民主主義の前進を目指す取組み
8.「構造改革」に対峙する国民的共同の発展を目指す取組み
(1) 国民生活破壊の「構造改革」に対峙する国民的な運動
(2) 公務の民間開放・「公共サービスの商品化」に対する取組み
9.職場を基礎とした運動の追求と組織の強化・拡大を目指す取み
(1) 社会保険庁改革に伴い設立される新組織での組織確立について
(2) 職場活動の前進、組織強化・拡大を目指す取組み
(3) 学習、教宣活動の取組み
(4) 女性部の取組み
(5) 青年対策部の取組み
10.組織・人事委員会の設置について

2008年度運動方針

はじめに

 海水面の上昇により水没の危機にあるといわれている南太平洋の島国・ツバル、北極海の氷の減少により生存が危ぶまれている白熊、地下水も涸れ果て砂漠化現象の激しいアフリカ、真冬にもかかわらず氷河が大崩壊した南米、――地球上のいたるところで温暖化の影響と思われる環境破壊が進行しています。
 18世紀半ば、イギリスで始まった産業革命は、技術革新、鉄道網の整備などにより急速に発達し、今日の資本主義社会につながっています。一方、経済構造も、金融資本と産業資本が融合し市場が形成され、大企業が数多く誕生しました。資本主義社会でのあくなき利潤追求は、多国籍企業化、経済のグローバル化まで到達しています。こうした市場経済は、地球的規模での環境破壊・温暖化をもたらし、地球の平均気温は、産業革命以前に比べて0.76度上昇し、今世紀末には最大で6.4度上昇すると予測されています。

 こうした市場経済の拡大は、財界・大企業とアメリカの利益を優先する「構造改革」につながっています。大型店舗法の改悪による外資の参入と地場産業・商店の相次ぐ閉鎖、人件費削減のための企業の海外進出と国内産業の空洞化、そしてリストラ「合理化」、労働者派遣法の改悪による日雇派遣や請負などの非正規雇用の拡大、投機マネーの暴走による原油・穀物価格の異常な高騰と物価上昇、短期的な利益だけを追求する株式市場、――こうした中で日本の大企業は、史上空前のぼろ儲けを続けています。しかしその利益は、株主への配当や役員給与に回されているのが実態で、労働者へはほとんど還元されていません。
 一方、国民生活の格差と貧困が拡大しています。民間労働者の給与は9年連続ダウン、また、年収200万円以下のワーキングプアと呼ばれる労働者は1000万人を超えています。生活保護世帯も100万、国保の滞納世帯も450万を超え、10年連続で3万人を超える自殺者が発生しています。

 今、日々の暮らしや老後生活のセーフティネットとして医療や年金制度の拡充を求める国民の声はますます強くなっています。しかし、自民・公明与党は、2004年の年金制度の大改悪に続き、障害者自立支援法の改悪、「姥捨て山」といわれている後期高齢者医療制度の導入と、自立・自助を名目に社会保障分野にも構造改革路線を強行し、国と企業の責任・負担を放棄しようとしています。社会保険庁の解体・民営化もこうした流れと軌を一にしたものであることを捉える必要があります。
 こうした中で、構造改革路線を強行している自民・公明与党に対し、国民的な怒りが湧き上がっています。昨年の参議院選挙での自民党の惨敗、その後の各種選挙での野党陣営の勝利、改憲反対の新たな動き、日雇派遣の原則禁止や最低賃金法改正の動きなど、ルールなき資本主義の暴走に歯止めをかけるという、世論が政治と社会を動かす新たな変化の兆しへとつながっています。
 国民生活のセーフティネットである社会保障行政に携わる労働者・労働組合として、「国民本位の社会保障制度」「国民本位の政治」の実現を目指し引き続き奮闘しようではありませんか。

T.07年度主な取組みと運動の総括

1.社会保険庁の解体・民営化に対する取組み

<07秋期年末闘争期の取組み>
(1) 第71回定期大会(07.9.15-16)で「社会保険闘争委員会」の設置が確認されたことを受けて、問題点の共有と取組みの意思統一を図ってきました。また、国公労連第53回定期大会で、引き続き「社会保険庁改革対策委員会」の設置と運動の強化が確認されたのを受けて、公務産別の課題としての取組みの支援が確認されました。これを受けて、公務労組連絡会に連携している弁護士を中心に、新組織への移行や雇用問題などをテーマに打合せや、職場情勢懇談会(12・14)などが開催されました。そして、雇用や労働条件の確保のためにも、国民の年金権を守り発展させる運動の重要性が強調されました。さらに、行財政総合研究所においては、研究会の学者・研究者による社会保険庁改革、特に日本年金機構の在り方などについての検討会(11/23)なども開催され、全厚生として積極的に参画してきました。

(2) 雇用と労働条件の確保、分限免職の発動などを許さない立場から、社会保険庁や厚生労働省の使用者責任を追及する当局交渉は、厚生共闘の取り組みとしての大臣官房長交渉(08.6.26)、官房人事課長交渉(07.12.4、08.4.25、7.30)、社会保険庁交渉(07.12.19)とそれぞれ実施し、切実な職場実態の改善と雇用確保に向けた使用者責任を追及してきました。官房人事課長は、「法令順守は当然だが、分限回避の努力は庁・省として努め、その上で対処する」と回答しています。また、交渉のつど「健保や年金など専門性を生かす方向を追求していきたい」と考え方を示していましたが、08年度政府予算案では、地方厚生局への転任数として現行人員を上回る803人が認められるなど、要求が一定前進しています。また、社会保険庁総務課長は、「いろいろな努力をし、分限免職にならないように最大限の努力をするというスタンスは変わっていない」「そのために必要な期間が取れるようにスケジュールも前倒しとなっている」と回答するなど、従来よりは具体的な内容となっています。なお、厚生共闘による大臣交渉は、国会情勢などから07年度の中では実施に至りませんでした。
 社保庁改革関連に伴って深刻化している職場情勢の中で、年金記録問題ともあいまって、休日・夜間勤務、ただ働き残業など異常な労働実態が深刻化していることから、超過勤務の改善やメンタルを中心とする健康問題では、人事院に対し社保庁への改善勧告を求める要請を行うなど、職場実態の改善に努力してきました。

<08春闘期の取組み>
(3) 社保庁バッシングの嵐のなか全厚生は国公労連「社会保険庁改革対策委員会」に結集し、国民世論の転換をめざして宣伝行動に力を入れてきました。年金ビラを作成して社会保険事務局前や街頭での宣伝、また、県国公を中心とした社会保険事務局要請などにも積極的に参加してきました。各ブロック国公による人事院地方事務局交渉においては、職場の異常な労働実態を突きつけ、その改善を求めてきました。国公労連による春闘期と日本年金機構の基本計画の閣議決定前段に厚労省と社保庁への申し入れなどにも加わり、特に、春闘期にとりくんだ47,087筆の雇用確保署名を提出して使用者責任とともに、年金業務にかかる行政責任を果たすよう追及しました。

(4) 年金記録問題が政治的にも社会的にも大きな問題となる中で、歴史的な背景や問題点などを中心とした全厚生の基本的な立場を表明する機関紙号外(07.12.20)を発行しました。記録問題を契機に議論が高まった消費税増税による年金制度改革問題と合わせ、社会保険庁改革に伴う雇用や業務運営上の問題点などを内外に発信する目的で2月16日に国公労連が開催したシンポジウム「守れみんなの年金・社保庁改革を考える」には、全体で246名、全厚生からは82名が参加しました。記録整備等に伴う異常な職場実態、労働実態の改善を目指して07.6月から11月を対象に取組んだ「労働実態アンケート」は、人事院や総務省との交渉、厚生労働省や社会保険庁との労使交渉、また、自由法曹団の取組などにも大きな役割を果たしました。全野党への要請なども行いながら取組んだ3月27日の「緊急院内集会」では、こうした実態をもとに職場からの訴えも行い、異常な労働条件の改善を求めました。

(5) 国公労連を中心に公務労組連絡会や中央社保協、国労や年金者組合、婦団連や自由法曹団などの賛同を得ながら5月28日に発足した、「安心年金つくろう会」では中心的役割を担いました。7月末現在で11団体が賛同を寄せていますが、さらにとりくみを強化していく必要があります。「安心年金つくろう会」は、6月20日に年金業務・組織再生会議と厚生労働省・社保庁への要請を実施するとともに、「安心できる年金国民署名」や「安心・信頼できる年金アピール」賛同運動にとりくんでいます。岐阜や京都での学習会、愛知や神奈川などでも年金共同組織の発足に向けたとりくみがすすめられていますが、国民との共同を広げ、安心・信頼できる年金制度の確立とそのための組織のあり方での共感を広げるため、賛同団体の拡大や地方での組織確立と運動展開が急務の課題です。

(6) 労働者や国民の権利擁護を中心に活動している弁護士団体「自由法曹団」は、国公労連と全厚生、公務労組連も含む社保庁問題プロジェクトチームを設置して、社保庁の異常な労働実態の改善や雇用問題への対応を強めています。12月14日の全厚生との懇談会を踏まえ、2月25日には「社会保険庁改革についての意見」を、5月25日に岐阜県で開催された自由法曹団研究討論集会では「社会保険庁の解体・民営化を凍結し、公的年金制度の確立を求める決議」を、6月27日には「社保庁職場の違法状態の是正を求める緊急申し入れ」を、7月19日には「社会保険庁の解体・民営化を凍結し公的年金の保障を」を発表し、年金業務・組織再生会議や厚生労働省に対して申し入れを行いました。
 また、日本労働弁護団は7月25日に「日本年金機構の職員採用基準に関する意見−公務員法と労働法理に則って再検討を−」とする意見書を発表し、厚生労働省と自民党に提出しています。

(7) 年金業務・組織再生会議は、07年8月に発足して以来33回の議論をかさね、6月30日に「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本的方針について」(最終整理)をとりまとめて政府に提出しました。政府は、「最終整理」にもとづいて日本年金機構設立の基本計画を閣議決定しましたが、その内容は、懲戒処分歴のある全職員を一律排除する重大な「修正」を行い、3000人余の人員を削減するとともに、民間委託を拡大するものとなっています。しかし、マスコミが「リストラありきという考えで行えば、仕事量に対して人員が不足する状況になりかねず、国民が迷惑する」「照合作業には専門知識が必要で、外部委託や有期雇用だけで十分な対応ができるのか」(08年7月2日付、毎日新聞社説)と指摘するように矛盾も生まれており、年金業務の安定的、専門的な運営体制を求める取組みの強化が重要となっています。全厚生は安定的な業務運営や雇用の確保などから到底容認できる立場ではなく、閣議決定の撤回と再検討を求める書記長談話を発表しました。
7月30日の官房人事課長交渉で人事課長は、「第一義的には社会保険庁の責任であるが、厚生労働省としても分限免職回避に最大限の努力を行う」と回答しています。新たな攻撃に対し、取り組みを強化する必要があります。

<勤務・労働条件の改善を目指す取り組み>
 2004年の年金制度大改悪のなかで、社会保険庁の一連の不祥事等が明らかになり、いわゆる社会保険庁改革が本格化しました。同時に労働組合に対する厳しい指摘が行われる中で、労使関係や職場実態を無視した一方的な業務運営・職場管理が横行するようになりました。そうした中で、平日の業務延長、休日開庁などが行われ、ただ働き残業や代休取得が困難な実態が指摘され、改善が求められていました。そのため全厚生は、人事院への申し入れや、当局交渉等で実態を明らかにしその改善を求めてきました。同時に具体的な事実関係を把握するために全組合員を対象に「労働実態アンケート」を実施し、実際の働き方がどうであったか検証しました。しかし、記録整備が本格化し、また、特別便の送付が始まった12月以降の職場はさらに異常な事態となりました。
 こうしたアンケート結果などをもとに関係省庁や厚生労働省・社保庁当局を追及しました。当局はメンタルヘルス医の設置、職場復帰支援事業の実施、代休振替可能期間の特例措置など新たな対策を打ち出していますが、長期病休者の実態や退職状況等をみるとますます深刻な状況であり、取り組みの強化が求められます。

<全国健康保険協会の設立に対する取組み>
社会保険庁の解体・民営化の第一弾として2008年10月に設立される「全国健康保険協会」に関わっては、十分な説明と、公正、公平な選考・採用を求める立場から、設立委員会より示された採用基準・労働条件等についての問題点を明らかにした全厚生新聞号外(07.11.16)を発行し、質問事項と当局回答も含めて職場討議を取り組みました。また、非常勤職員の採用計画等についても早期に示すよう求めてきましたが、4月と7月の段階的な募集が行われています。7月に入り内定者に対する研修等が行われています。全厚生は、3月に「労働法制学習会」を開催し、国公法・人事院規則の世界から、労働組合法・労働基準法等の世界になった場合の勤務・労働条件等の学習を深めました。全国健康保険協会における全厚生組織の確立に向けた取り組みが重要となっています。

<年金記録問題に対する取組み>
 老後の命綱である公的年金の業務運営において、@基礎年金番号に統合されていない「宙に浮いた年金」、A領収書があるにもかかわらず社会保険庁に納付記録のない「消えた年金」などの記録問題が明らかになり、07・08年の通常国会及び07年7月の参議院選挙の大きな焦点となりました。こうした年金記録問題の原因究明と責任検証のため総務省に設置された「年金記録問題検証委員会」は10月31日、記録管理に対する厚生労働省や社会保険庁の基本姿勢及び記録管理システム上の問題などをはじめとする最終報告を発表しました。
全厚生は、記録管理は、国民の暮らしを保障する年金制度の根幹をなすものであることから、年金相談や記録の整備などに全力をあげてきましたが、なぜこうした事態が生じたのか、歴史的にどのような経過をたどってきたのか、史実や諸先輩の証言などを踏まえ、検証委員会の最終報告に対する基本的な考え方とともに、憲法25条にもとづく、国民の権利としての公的年金制度のあり方などについて、基本的な考え方をまとめた全厚生新聞号外を発行し、問題点等について内外に発信してきました。また、厚生労働省、社会保険庁に対しては、記録整備のための予算・人員など体制の確保と、国の責任による早期整備を求めてきました。

2.賃金・時短など労働条件の改善を目指す取組み

(1) 初任給など若年層の俸給表改訂などをもりこんだ07年人事院勧告に対しては、9月26日の中央行動など大衆行動に参加してきました。しかし、指定職の改善を1年間凍結するという値切りが行われ、給与法改正法案は11月26日に成立しました。また、「なくせ貧困、ストップ改憲!つくろう平和で公正な社会」をスローガンに取組んだ08春闘では、2月13日の「なくせ貧困、諸要求実現中央総行動」(公務労組連絡会第1次中央行動)、3月5日の全労連・公務労組連絡会の第2次中央行動に積極的に参加し、公務・民間の組合による共同行動を追求しました。貧困と国内消費の低迷が大きな問題となるなか、福田首相が経済界に賃金改善を要望するなどの追い風もありましたが、米国の景気減速や原油・原材料の高騰を受けた財界の賃金抑制策をはね返すことができませんでした。

(2) 春闘期の政府・人事院の最終回答は、「人事院勧告制度を維持・尊重」(政府・総務省)、「官民較差にもとづく適正な公務員給与の水準確保」(人事院)など従来の枠内にとどまる不満なものとなりました。また、人事院は、強い要求は理解しているとしつつも、この時期の1日7時間45分への時間短縮にはふみこまず、初任給改善も勧告時の検討に先送りするとともに、住居手当や特地勤務手当の見直し、本府省手当の具現化に言及しました。
 しかし、職場実態を無視したこうした回答に対しては、人事院勧告に向けた夏季闘争の中でも、粘り強い闘争を展開する中で、人事院は、1992年に週休二日制が実施されて以来、16年ぶりに所定勤務時間の15分短縮を勧告しました。民間均衡とはいえ、休憩・休息時間の見直しに伴う拘束時間の延長によって「昼休みも休めない」実態や、家族的責任を有する職員等の切実な要求に基づき粘り強く取り組みを進めてきた大きな成果です。
 また、非常勤職員の給与等について、各俸給表の初号を「最低基準」として経験年数の加算や一時金、通勤費の支給など「給与決定に関する指針」を策定したことは、貴重な結果でもあります。加えて、休暇や健康診断、任用や勤務形態のあり方などについて、さらなる検討の方向性が打ち出されたことは評価できるものです。

(3) 賃金、昇任・昇格などの労働条件の改善を目指した取り組みは、07秋期年末闘争における昇任・昇格改善闘争、08春闘における民間労働者の賃金引き上げなど、国公労連などの取組みに参加してきました。そうした中で、労働時間短縮や非常勤職員の処遇改善に向けた方向性が示されるなど、一部前進しています。しかし、政府・自民党の意図的な公務員攻撃が依然としておこなわれている状況や、史上空前のぼろ儲けを続けている大企業を中心とする財界の賃金抑制政策の中で、厳しい結果となっています。公務員制度改革に伴う労働協約締結権のあり方が俎上に上るなど、新たに情勢の中で、人事院勧告のあり方も含め、労働者の権利、働くルールの確立と一体となった運動の強化が求められます。

3.国民のための厚生科学研究を目指す取り組み

(1) 政府は07年8月10日、「独立行政法人整理合理化計画の策定にかかる基本方針」を閣議決定し、事務・事業をゼロべースで見直すとして、廃止した場合に生じる問題等の検証を通じて、十分な合理性をもって真に不可欠なものと説明される事務・事業のみ存続を認め、その事務・事業も民営化の検討、官民競争入札の対象、他の独法等への移管・一体的実施も検討するなど極めて強硬な姿勢を打ち出していました。
 国公労連は単組、独法労組、ブロック・県国公とともに、整理合理化計画策定が経済財政諮問会議で浮上して以来、政府機能見直しの第一歩としての攻撃ととらえ、国公労連全体の重要課題として位置づけて、@国民サービス切り捨ての整理合理化計画策定反対、A独立行政法人及び事務事業の存続・拡充を求め、署名、宣伝、政府交渉、政党要請そして、筑波での決起集会などの取組みを展開してきました。

(2) 全厚生は、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の2つの研究所が見直し対象となっていることから、国公労連に結集し、独法2支部との情報交換を密にして、取り組んできました。行政減量効率化有識者会議が行った各省・個別独法とのヒアリングでは、研究所の規模が小さいことでターゲットになり、整理合理化計画策定が強く迫られ、かつ国民生活センターを中心にした統合構想などの対象にも浮上しました。独立行政法人整理合理化計画の策定に関する指摘事項(11.27)を通じて、国立健康・栄養研究所が廃止・民営化の計画対象の一つに絞り込まれていきました。

(3) 全厚生は、は栄研支部と一体で、行革推進本部事務局交渉(11.28、12.22)や自民党要請(中馬行革推進本部長、11.29)、民主党要請(松本行政改革調査会会長、12.12)、大臣官房人事課長交渉(12.4)、厚生科学課長交渉(12.10)など、精力的に交渉や要請に取り組みました。特に12月3日の閣僚折衝で舛添厚労大臣が政治決断し、国立健康・栄養研究所の「統合」をいち早く打ち出したことで、その後の焦点は統合先に移るなど、短期間で状況が変化する、まさに政治課題としての対応が求められました。こうした下で、整理合理化計画を策定させないという原則的な立場を堅持しながら、国立健康・栄養研究所が歴史と伝統を踏まえ、国民の健康の保持及び増進、栄養と食生活の改善などに寄与する研究体制と環境を維持すること強く求めました。
 12月24日に閣議決定した整理合理化計画では、統合先は医薬基盤研究所で確定しました。計画そのものは、到底容認できるものではありません。しかし、廃止や民営化攻撃の下で、これをはね返し、かつ他省庁でなく同じ厚生労働省を主務省とする研究所との統合を含む合理化計画としたことなど、国公労連に結集して取り組んだ運動が一定反映していることは事実です。

(4) 国民のための厚生科学研究を目指す立場から、政府の独立行政法人整理合理化計画に対しては、「守ろう!社会の基盤を支える独立行政法人〜一方的な整理合理化を許さない・つくば集会」へ参加しました。集会では、独立行政法人化により、独法化の当初の期待とは裏腹に、政府や主務省の方針に強く従属させられ、研究所運営がトップダウンにより決まり、研究予算の極端な重点化と運営交付金の一方的削減、人材流動化政策による不安定雇用の増大、業務の肥大化、新規採用の抑制、公平性に欠けた個人業績評価などは、基礎的基盤的研究の脆弱化を招き、長期的視野に立った研究が困難な状況にあることなどが報告されました。
 政府の第3期科学技術基本計画(2006〜2010年)に基づく科学技術政策では、さらに競争的な環境や効率化が求められ、研究者の流動化が進められています。国立試験研究機関でも定員削減計画による恒常的荷重労働と研究支援部門の縮小、人当研究費の代わりに導入された基盤的研究費の減額、人事評価制度の2008年度内のリハーサル試行と2009年度からの本格実施、人材流動化政策による任期付研究員制度などさまざまな攻撃がかけられています。
 このような中で、全厚生試験研究機関支部連絡協議会(厚研連)の活動を再開し、5月26日に感染研で支部の活動交流や試験研究機関交流集会の検討などが話し合われました。また7月25日には、池袋サンシャインシティで全厚生試験研究機関支部交流集会を5支部18名の参加で開催し、国立試験研究機関、独立行政法人をめぐる情勢と基本課題、厚生科学課長交渉の報告、各支部の活動状況や研究環境などの意見交換を行うとともに、医療、公衆衛生の向上を図り、国民のための厚生科学研究を発展させるため、また誇りと働きがいの持てる研究所・職場を作るための討議を深めました。
 2007年12月10日と2008年7月10日に大臣官房厚生科学課長と試験研究機関の重点要求に基づき交渉を行い、その実現のため積極的な対応と誠意ある回答、独立行政法人の主務省としての役割の発揮を強く求めました。
 また、春闘期には、国民の安全・安心と社会の基盤を支える各独立行政法人の役割を訴える統一宣伝行動、や行革推進本部事務局への申し入れや、国公労連研究機関対策委員会に結集し、6月23日には「研究機関の評価を考える」をテーマにした第26回国立試験研究機関全国交流集会などに参加しました。

4.国民のための障害者福祉を目指す取組み

 福祉部門では、秋(07.11.26)・春(08.6.30)の施設管理室との交渉、3回(07.11.25、08.1.27、08.6.29)の厚社連の支部代表者会議、施設管理室との懇談会(07.9.27)などを取組み、要求の前進を目指しました。特にあり方検討会や宿日直体制の見直し問題等では、申入れ(07.9.12、08.3.3)を行うなど厚社連の基本課題として重視しました。
 交渉では、あり方検討会に係る有識者会議の構成員については、「障害者団体も含めて幅広い構成とする」、「高等課程募集停止の結果発生する余剰人員については、再理療教育、理療教育の質の向上等を早急に検討するよう各センターに指示する」などの具体的回答がありました。また、宿日直勤務については、重度センターでは4月から廃止、夜勤体制(3人体制)へ一定の前進がありました。女性対象職員(民生専門職、教官)の宿直業務を行うことについては、先行実施している国リハ、6月実施の塩原を除き、4月から函館、神戸、福岡で実施されましたが、各視力センターでは、検討委員会等を立ち上げるなど、一定の意見集約が行われたことや、施設長会議において管理室から「女性職員からの要望はまちまちであるが、今後とも様々な要望等については、丁寧な説明ときめ細かい対応をお願いする」との表明があったことなどは運動の成果です。文科省がすすめる教員免許更新に関する取扱についても交渉議題とし「センターでは更新の対象にはならない。認定規則上問題は生じないと文部科学省から聞いている」との回答を得ています。

5.本省庁部門の取組み

 本省庁部門は、月一回の本省庁協議会での学習・議論を旺盛に展開しながら、11月29日には統計支部が3年ぶりに定期総会を開催するなど、組織の前進を目指し取組んできました。
 また、本省の職場は通常業務に加え、国会、法改正、予算などにより長時間過密労働が恒常化していることから、本省に働く組合員・職員の命と健康を守り、働きがいのある職場とするため、労働条件の改善を求め本省支部、統計支部、全労働本省支部による「厚生労働本省労働組合共闘会議」として、11月21日、官房人事課に要求書を提出しました。
 本省庁における異常な超過勤務の実態は、依然として厳しいものがあります。霞国公が08春闘時に行った残業アンケートの結果では、月75.8時間(本省支部)と中央省庁全体平均37.7時間をはるかに超えています。こういう状況で、中央省庁全体で月80時間以上の残業があると答えた人のうち「過労死の危険を感じたことがある」、「感じている」と答えた人は、54.1%にものぼっています。残業になる原因は、64%の人が定員不足としています。また、休息時間の廃止によって拘束時間が延長されたため、一般職員はもとより、子育てや介護にあたる職員の負担はさらに厳しいものとなっています。疲労の蓄積、健康不安が広がり、メンタル系の疾患も増えています。
 男女ともに家族的責任を担い、人間らしく、健康的に生き働くためにも、残業の縮減・所定内労働時間の短縮が喫緊の課題であり、機械的な定員削減を廃止し、業務に見合った人員の配置が強く求められています。国公労連や東京国公などの提起する昼休みの関係省庁前の決起集会などに参加しました。新たな人事評価制度が社会保険を除くすべての職場で、リハーサル試行として全職員を対象に実施されようとしています。公平性、客観性、透明性、納得性を追求した制度となるよう取組が求められます。

6.組織強化・拡大を目指す取組み

 総人件費削減、定員合理化攻撃、社保庁改革などの中で、どの部門も組合員の減少に歯止めがかからない深刻な状況が続いています。また新たに地方分権や道州制が俎上に上るなど、組織への影響が予想されます。しかし、この間開催が困難であった統計支部、業務センター支部では新たな決意で支部大会を開催し、運動前進の機運をつくりだしています。また、支部青年部学習会などを契機とした原水禁世界大会や日本平和大会への参加など、厳しい情勢の中でも、青年を中心に平和への関心も高まっています。さらに部門での連絡協議会の再開や交流集会の開催、レクリエーション活動や継続的な機関紙の発行、非常勤職員の大会参加など、困難な職場実態の中でも役員の献身的な努力もあり、地道な活動も前進しています。
 物資斡旋活動やアンケートなど女性部の継続的な取組みと、多くの参加者に感動を与えた女性交流集会の成功、青年対策部の役員学習会など専門部の取組みも今後への展望になっています。
 10月には「全国健康保険協会」及び2010年1月には「日本年金機構」が設立されます。いずれも国家公務員法・人事院規則から労働組合法・労働基準法等の適用になります。新組織への移行など様々な課題の中で、全厚生のあり様が問われています。先駆的に非常勤職員集会を開催し、要求の前進と組織強化などを目指した支部もありますが、すべての組織で実現することが緊急の課題です。支部分会活動とあわせ、日常的な活動強化が急務の課題です。

7.運動の総括

(1) 全厚生は、社会保険庁解体・民営化阻止の闘いは、「社会保障の解体を許さず、老後の命綱=公的年金を守ろう」をキャッチフレーズに、全国各地で運動を展開してきました。特に、自由法曹団のアドバイス・支援を受けての「年金を守ろう」運動は、主要な中央の労組、民主団体などの賛同のもと、「安心年金つくろう会」を立ち上げるまでに前進しました。
 制度改善とあわせ雇用と労働条件の確保を目指す取り組みのなかで、民間労組等の協力も得ながら、47083筆の署名が集約されたことは大きな意義があります。基本的人権を無視するような日本年金機構への職員採用条件が閣議決定されましたが、不当な攻撃には毅然とした反撃が必要です。困難な状況はありますが、すべての社保関係支部で共闘組織の結成に努力する必要があります。こうした運動の前進に確信を持ち、全国規模のたたかいに発展させるために、引き続き取り組みを強化しましょう。

(2) 国公労連に結集した賃金などの労働条件改善闘争では、昨年の若年層の賃金改善に引き続き、勤務時間の短縮や超勤縮減に向けた対策、非常勤職員の賃金の最低基準を打ち出させるなど、貴重な成果を勝ち取っています。特に、16年ぶりに所定勤務時間の短縮を勧告させたことは、職場の切実な要求の前進として、全体で確認する必要があります。
 一方、国民総犠牲の構造改革に対峙する取組では、「不払い残業」や「名ばかり管理職」などの違法行為や資本による異様な職場支配に対する国民的反撃の中で、貧困や雇用破壊の問題を改善するために、政府自身が最低賃金の改善や、日雇い派遣の禁止を打ち出さざるを得ない状況になっています。こうした世論と情勢の変化を生み出した一つの要因・背景に、職場と地域で地道に活動してきた私たちの運動があることに確信を持つことも重要です。

(3) 相次ぐ定員削減の下で長時間労働を余儀なくされ、職場でのコミュニケーションが失われ、心身の疲労が組合員をおそっています。同時に、嵐のような公務員バッシングのもとで利用者・国民とのあつれきも強まっています。この閉塞感と無力感が職場を支配し、労働組合の活動を困難なものにしています。
 しかし、様々な困難のなかでも、組合に結集し、団結を深めようとする多くの仲間がいます。これらは、労働組合の必要性や重要性を認識した役員や組合員が自らの言葉で労働組合を語り、職場の仲間に働きかけた結果であり、どの組織・職場にもその可能性は存在しています。組織拡大と職場中心の組織づくりを、従来の延長線としてではなく、新たな決意で取組みましょう。

(4) 自らの生活と労働条件の改善とともに、国民の暮らしや権利の擁護を一体のものとしてたたかう公務労働運動は、新自由主義にもとづく「構造改革」にストップをかけるためにも、また困難な職場状況と労働条件を改善するためにも欠かせないし、国民からも求められています。自らの仕事を通じて国民の信頼を勝ちとり、たたかいと運動によって国民の共感を得る国公労働運動を大きく展開していかなければなりません。
 この一年間のたたかい通じても、「国民の中へ、国民とともに」のスローガンを、文字通り実践することの重要性がより浮き彫りになっています。

U.情勢の特徴

1.政治をめぐる情勢

 昨年の参議院選挙では、安倍自公政権が歴史的な大敗を喫しました。これは国民の「憲法を守れ」「構造改革」路線ストップの運動が世論を変えた結果でもあります。安倍首相の突然の辞任の後を受け発足した福田政権は、海上自衛隊がインド洋から撤退したにもかかわらず、アメリカとの約束から、臨時国会の再延長を強行し、新テロ特措法の再議決を行うなど国民要求に背を向け、9条を焦点とする改憲、格差と貧困の拡大や地方切り捨てに象徴される弱肉強食の「構造改革」路線、自衛隊の海外派兵恒久法制定の狙いなど財界・大企業、アメリカ追随の基本路線は、従来の政権と何ら変わるものではありません。
 こうした国民生活の実態と要求を無視する福田政権に対しては、衆議院山口補選、沖縄県議選などでの野党勢力の勝利、首相問責決議案が参議院ではじめて可決されるなど、あらたな動きも現れています。また、「戦争する国づくり」への国民の危機感と「9条の会」などによる全国的な草の根運動の広がりの中で、読売新聞世論調査でも、改憲反対が賛成を15年ぶりに上回ったことが明らかになりました。支持率は6割台で発足してわずか半年で「政権の危険水域」といわれる3割を切っています。
 衆議院の任期は来年秋です。解散・総選挙がいつ行われてもおかしくない状況の中で、国民の世論と運動が政治を動かす情勢を意識した運動が求められています。

2. 財界・大企業の動き

 日本の大企業は、バブル期を超える空前の利益をあげています。資本金10億円以上の企業の経常利益は、01年から06年までの5年間で約2倍に増えました。役員報酬も5年間で約2倍、株主への配当金は約4倍に増えています。大企業は217兆円もの膨大な内部留保を溜め込んでいる一方、労働分配率は下がり続けています。いざなぎ景気を超える長期の景気回復のもとで、大企業と一部の資産家等がその果実を手中にしています。
 一方、日本経団連など財界は、現在の都道府県を廃止し、日本を道州に再編成する道州制を「究極の構造改革」と位置づけ、2015年の導入に向けて遅くとも2013年までに関連法案を制定することを求めています。そのために、「中央政府の再設計」をはじめとする政策提言や、地方出先機関の「10万人縮減試算」を発表するなど、財界主導で「改革」を先導しています。また、グローバル化・国際競争力強化の名のもとに、リストラ「合理化」、コスト削減を際限なく追求するために、政党の政策を通信簿で評価して競わせ、意に沿う政党・政治家に企業献金を行うという、事実上カネで政治を買収する実態となっています。

3. 国民生活をめぐる情勢

 日本は世界第二位の経済大国であるにもかかわらず、9年連続で労働者の賃金が下がり続け、年収200万円以下の人が1000万人を超えています。労働法制の改悪で非正規労働者が1730万人に増え、労働者の3分の1をこえ、青年や女性では過半数となっています。偽装請負など違法な働き方をさせられる労働者も急増しています。構造改革は、中小業者を廃業に追い込み商店街をシャッター通りにし、地場産業は衰退の一方です。反面、外資系企業の参入は凄まじいものがあります。これらは農業、漁業も含めあらゆる国民生活に深刻な影響を及ぼしています。
 生活保護の受給世帯が100万を超えるなかで、保護辞退(打ち切り)や就労の強要など人権侵害の事例が頻発しているほか、文部科学省の調査で授業料の免除・減額を受ける高校生は、全生徒の1割に相当する23万人を超えています。厚生労働省調査によって「ネットカフェ難民」が全国で5,400人も「確認」され、「経済的理由」が3分の1に上る自殺者は1998年以降9年連続して3万人を超える異常事態となっています。また、正規労働者は成果主義賃金や裁量労働制などの広がりとも相俟って際限のない長時間・過密労働を強いられ、命も健康もすり減らす状態悪化が進んでいます。

4.公務員労働者をめぐる情勢

 地方分権改革推進委員会は11月16日、「中間的なとりまとめ」を公表し、「自立と責任」の名のもとに医療計画や福祉制度、義務教育、道路や河川管理などの業務を自治体へ委譲することを打ち出しました。そして、「推進計画」作成のための具体的な指針の勧告を順次行い、2010年春までの「新分権一括法」制定をめざすとしています。こうした動きにあわせ、全国知事会は、地方厚生局、職業安定所、労働基準監督署などの全面地方移管を打ち出し、2万人以上の人員削減が可能とするなど、地方分権に向けた新たな動きが現れています。また、政府は地域医療の崩壊を促進させる公的病院の統廃合、自治体財政の再建を口実とした税制「改正」、労働者派遣法「改正」や混合診療の解禁などの規制緩和、市場化テストの拡大など「公共サービスの商品化」を強引に進めようとしています。これらは、さらなる儲けの自由拡大を狙う財界の意向も受けて行政の責任を放棄し、全面的な公務と公務労働の破壊を目論むものです。
 労働基本権を含む労使関係について検討してきた行政改革推進本部専門調査会は10月19日、非現業国家公務員に一定の範囲で協約締結権を付与し、人事院勧告制度を廃止する一方、争議権や消防職員などの団結権は両論併記とする「報告」を行いました。また、2月には、公務員制度の総合的な改革に関する懇談会が、報告書を首相に提出しましたが、重大な労働条件の不利益変更を求めるなど、専門調査会の報告を尊重せず、問題を含んでいます。
 これらの動きを受けて政府は、4月「国家公務員制度改革基本法案」を国会に提出しました。専門調査会報告から大きく後退した労働協約締結権付与問題をはじめ、国家戦略スタッフ等の政治任用の拡大や内閣人事庁による人事管理の一元化など問題点を含んでいますが、衆議院段階で急遽自民・公明と民主が修正合意を行い、可決されました。労働基本権問題を棚上げしたまま基本法は成立しましたが、必要な法整備を3年以内に行うことになっています。国民本位の行財政を確立する運動とともに、民主的な公務員制度の確立を求め引き続き取組みが求められます。
 一方、昨年の国家公務員法の改正に伴い、新たな人事評価制度が来年度施行される状況にあります。政府は、そのために全職員を対象とした「リハーサル試行」を行うとしています。国公労連は、総務省と人事院に要求書を提出し、公平性、客観性、透明性、納得性の追及を基本に取り組みを進めています。しかし、政府はスケジュールありきの姿勢を強調していることから取り組みの強化が求められます。

5.職場を取り巻く情勢

(1) 今年10月に設立される全国健康保険協会については既に採用内定者が決定し、地方厚生局への転任についても内内示が行われています。しかし、移行に伴う業務対策や勤務・労働条件の細部等については、いまだに示されないなど、職場に不安がつのっています。また、就業規則、労使協定に関わる問題なども一向に明らかにされていません。身分も労働条件も引き継がない異常な措置とはいえ、円滑な業務運営と働くルールの観点からも問題があります。早期に明らかにさせる取組が重要です。
 一方、2010年1月に設立される日本年金機構の職員採用基準や業務委託の範囲等について検討していた年金業務・組織再生会議は6月30日、その基本方針について最終取り纏めを行い政府に報告書を提出しました。その内容は、民間委託、人員削減ありきでさらに懲戒処分を受けた職員を排除するなど、異常な内容となっています。さらに自民党は、昨年の参議院選挙惨敗の恨みとも思われる異常な攻撃を行い、懲戒処分を受けた職員については、日本年金機構への採用を一律排除する方針を決定し、政府は、それらを受入れ、不当な閣議決定を行いました。急増する平常業務の中で、年金記録の整備に全力をあげている職場には激しい憤りがわいています。
 人事院が5年ごとに実施している06年度の長期病気休暇取得者実態調査では、社保庁職員の取得者は、公務全体の1.7倍にも及んでいます。しかもその7割はメンタル系疾患です。記録問題が表面化した07年度はさらに厳しい実態と思われます。こうした健康破壊は退職者の急増となって現れ深刻な状況です。また、欠員状態も拡大し、矛盾は深まる一方です。さらに、記録整備に伴う業務量増は、行政サービスの低下をもたらし、国民との矛盾も深刻です。
 こうした中で、労働組合に対する疑問や新組織への採用問題などから、組合脱退者も少なからず生じています。国家公務員法、人事院規則から、労働組合法、労働基準法等の世界に移行する新組織にあっては、非常勤職員も含めた全ての労働者の団結が決定的に重要であり、組織化は緊急の課題です。

(2) 福祉施設職場では、障害者自立支援法の本格実施以降、民間一事業体としての運営が求められています。その結果、歳入・歳出のバランス、費用対効果、コストに対する意識が強まり、歳入を増やすために利用者負担を増加させ、歳出を減らすために人員を削減するという流れがあります。具体的には宿日直体制の見直し、視力障害センターの高等課程の段階的廃止など業務運営や施設のあり方など基本的な問題への影響が表れています。とりわけ、障害者自立支援法の本格実施以降、利用者の減少傾向が著しく、視力センター、国立リハビリテーションセンターのあはき養成課程で顕著になっています。
 理療教員連名調査部が毎年行っている「盲学校実態調査」によると、平成17年度から19年度にかけて、全国の盲学校には高卒課程で約330名、中卒課程で約100名の生徒が1年生に在籍しています。年齢的には30〜50歳代が約60%を占めています。盲学校への入学者には、大きな減少が見られないことから、国立施設を利用したくても利用できないでいる視覚障害者が大勢いることが推察されます。
 こうしたなか3月に、総務省が発表した平成20年度の減量・効率化方針において、初めて援護機関について記述され、定員管理等実態調査(国リハ、塩原、神戸、秩父)を行うなど、関心が高まっています。財務省主計局が7月に発表した予算執行調査資料の中では、国リハの運営費について報告され、国立として政策的役割について一定理解を示しながらも、歳入割合が4割、人員配置が基準の1.5倍、施設の利用状況が6〜7割(全国平均9割)、と指摘されています。
 国リハでは、本年10月から、障害者自立支援法に対応した組織改編が行われるとともに、事業拡大に伴って重度センター、秩父学園との関係も新たな展開が予想される状況になっています。昨年秋には、内部資料としながらも「国立身体障害者リハビリテーションセンターの今後のあり方に関する検討会報告」が発表されました。また、昨年3月にまとめた「国立更生援護機関に関する今後のあり方検討会中間報告」を受けて、今年9月には国立施設のあり方を検討する外部組織として「有識者会議」を設置する予定となっています。
 前出の「検討会報告」を受け、今年度より視力センターでは高等課程の募集を停止し、国リハに機能を集約のうえ、事実上の事業の統合を実施するとしています。その結果、視力センターでは、クラス数の減に伴って教官の余剰が必至となり、再理療教育、臨床研修、質の向上等新たな事業の検討が求められています。

(3) 厚生労働省(旧厚生省)の試験研究機関は、4つの国立試験研究機関(=国立研)と2つの独立行政法人が併存しています。国立試験研究機関の圧倒的多数が独立行政法人に移行した下で、「国立研」が軸で運営されるという他省庁にはない特徴があります。
 政府は、すべての独立行政法人(101法人)について、民営化・廃止を含む整理合理化計画を打ち出し、最終的には、全厚生関係では、基盤研と栄研の統合が決定しています。現在その内容等についての検討が行われていますが、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究の前進をめざす取り組みは、益々、重要になっています。
 
(4) 本省庁の職場では、長時間残業問題が依然として深刻です。08春闘期に霞国公が取組んだ残業アンケートでは、昨年2位であった旧厚生省関係がもっとも多い結果となっています。こうした地道な取組みとともに、改善に向けた具体的な行動も求められます。当面、国公全体での改善要求の実現のため、総務省や財務省、人事院等への取り組みの強化が求められます。

6. 国民的運動の前進を目指して

 国公労働運動の基本は、労働者と家族の生活や労働条件を維持向上させ、平和と民主主義を守るという労働組合共通の任務とともに、公務労働に携わる労働者としてのその専門的な知識や能力・条件をいかし、国民のための行財政・司法の確立、教育・医療・福祉の拡充を目指し、国民とともにたたかう責任があります。とりわけ厚生行政に従事する職員で構成する私たちは、国民生活のセーフティネットである医療、年金、福祉、厚生科学、研究などどの分野でも、その存在がますます重要になっています。
 こうした中で、政府・財界の「構造改革」路線を転換させるためにも、「国民の中へ、国民とともに」をスローガンに外に打って出る取組みの強化が求められています。そして、小泉・安倍・福田と続く自公政権が軍事的にも経済的にもアメリカ追従を強めるもとで、9条改憲と「戦争する国づくり」に反対する闘いと、憲法25条に基づく国民の権利としての社会保障制度を守り・発展させるために、行政研究活動の展開などとともに職場・地域から運動を進めていく必要があります。
 とりわけ、社会保険庁改革に伴う雇用確保の取組では、広範な世論の支持と運動がなくては前進しないことは明らかです。厳しい困難な職場実態ではありますが、当局の使用者責任を徹底して追及するとともに、国公労連の提起する「国民の中へ国民とともに」をスローガンとした運動の意義をしっかり捉え、全力をあげることが求められています。

V.運動の基本的課題と具体的取組み

1.社会保険庁改革に対する取組み

 

 (1)すべての職員の雇用・労働条件の確保を目指す取組み

 政府は7月29日、社会保険庁の廃止・解体に伴い、2010年1月に設置される日本年金機構の職員採用基準や外部委託の推進等に関する基本計画を閣議決定しました。基本計画は、6月30日に「年金業務・組織再生会議」が取り纏めた「最終整理」を踏まえたものですが、業務量に見合った適正な人員配置をまともに検討することもなく、人員の大幅削減や外部委託の拡大を打ち出しています。また、懲戒処分を受けた職員については、理由の如何を問わず日本年金機構への採用を一律排除するなど、極めて不当なものです。基本計画は、機構発足後の合理化を前提に1400人を有期雇用職員化する一方で、千人もの民間人を採用するとしていますが、処分理由の如何を問わない一律不採用方針は、業務運営や公正・公平性の観点からも極めて問題です。特に、年金個人情報の業務目的外閲覧では、端末操作に必要なカードの杜撰な管理がその背景にあり、また、国民年金の不適正免除では、収納率アップの至上命題のもと、業務命令として実施したのが実態です。これらはいずれも社会保険庁の管理責任こそが厳しく問われなければなりません。同一理由で重ねて不利益を強いることは二重処罰そのものであり、全く不合理・不当なものです。
 社会保険庁、厚生労働省そして政府責任を追及し、雇用確保と分限免職の発動を許さない取り組みに全力をあげます。また、法的対抗措置について組織的な検討を行います。 
 
〈1〉 組織改編を理由とした分限免職を発動することは、社会保険庁のみならず、公務全体に仕掛けられた政府・財界の狙いであることを明らかにし、分限免職を許さないたたかいに全力をあげます。公務産別はもとより全労連にも支援を要請します。
〈2〉 弁護士・法律家等の協力を強め、雇用確保に全力をあげます。
〈3〉 厚生労働省、社会保険庁、総務省などに対する取組みを強化します。
〈4〉 議員、政党などへの働きかけを強めます。
〈5〉 情勢の推移等をみながら、個人署名、要求ハガキ等の行動を具体化します。
〈6〉 国公労連(県国公)をはじめ「安心年金つくろう会」などの支援をえながら、制度改善、雇用問題などを中心とする全国的な宣伝行動を強化し世論構築を目指します。
〈7〉 処分理由の如何を問わない一律不採用方針や、二重処罰問題等について、上部団体、および法曹関係者等との協議を行い取り組みを強めます。また、国公労連等を通じ自治労との連携を検討します。

(2) 「全国健康保険協会」「日本年金機構」の設立に対する取組み

 今年10月に「全国健康保険協会」が、そして2010年1月には、「日本年金機構」が非公務員型の公法人として設立されることで、社会保険庁は廃止されることになります。両法人とも適用法令は、国公法・人事院規則等から、労働組合法・労働基準法等の世界に大きく変わることになります。
 全国健康保険協会については7月の社会保険庁の人事異動により、政管健保公法人準備室の体制も強化され、採用予定者も内定しています。こうしたなか職場では、具体的に業務はどうなるのか、サービス体制は後退しないのか、労働条件の詳細は、など様々な疑問が出されています。移行スケジュールと業務分担、労働条件の確立、労使協定問題などの具体化などとりくみを強化します。
 また、日本年金機構については、基本計画の閣議決定をうけて、設立委員会が設置されます。設立委員会での議論を踏まえ労働条件等が正式に示され、希望者の募集が行われる予定です。国公労連を通じ労働条件の確保に向けて設立委員会への申し入れを取組みます。

〈1〉 全国健康保険協会の具体的な勤務・労働条件等について、早期に明らかにさせるとともに、改善・前進に向けて取り組みます。
〈2〉 2008年10月に全国健康保険協会、2010年1月に日本年金機構が設置されることから、それぞれに全厚生に結集する単位組合を確立し、非常勤職員も含めた組織強化・拡大を目指します。
〈3〉 当面、全国健康保険協会本部との労使関係の構築を追求します。
〈4〉 日本年金機構設立委員会に対し、労働条件の確保などを中心に申し入れを行います。(国公労連)
〈5〉 日本年金機構の労働条件、募集の基準等が示された段階で、社会保険庁に質問書を提出します。

(3) 「安心年金つくろう会」運動の前進を目指す取り組み

 日本の年金制度は、無年金者が100万人を超えると推計され、国民年金のみの平均受給額は4万8千円にも満たないものです。高すぎる国民年金保険料が払えない国民が5割を超え、厚生年金の未加入事業所も多数にのぼっています。公的年金制度は、国民の老後の生活を保障することができなくなっているといわざるを得ません。
 このもとで、「宙に浮いた年金」や「消えた記録」の解決もないままに、社会保険庁が解体・民営化されようとしていますが、政府の責任による年金記録の完全解決と、信頼・安心できる年金制度の確立が緊急に求められています。また、年金財源に消費税を充てるのではなく、応能負担・累進課税による全額国庫負担の最低保障年金制度を作り上げることが求められています。
 こうしたなかで、政府の責任で年金記録問題を完全に解決することと、憲法25条にもとづく社会保障制度として、国民の老後の生活を保障する公的年金制度を広範な国民の要求と運動によって実現することなどを目的に「安心年金つくろう会」(国の責任で安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会)が発足しました。会の運動の前進を目指し積極的に参画します。

〈1〉 連絡会は、年金制度の現状や問題点、改善方向についての学習会やシンポジウムの開催、国民世論を喚起するための宣伝行動や署名、社会的アピール、政府や自治体、政党、議員等への要請行動などを取組み課題としています。全厚生として、主体的に参画していきます。。
〈2〉 連絡会の目的を踏まえた国民署名にとりくみます。また、署名推進のための宣伝ビラを作成します。
〈3〉  「安心年金つくろう会」の運動への賛同拡大にとりくみます。同時に、地方での年金共同組織の立ち上げに努力します。
〈4〉 連絡会として、公的年金制度の現状と問題点、老後の生活を保障する年金制度のあり方などについての「提言」をめざしていることから、政策活動を強化します。

(4) 国民本位の社会保険庁改革と業務・労働条件の改善を目指す取組み

 年金記録問題等の責任を一方的に職員に押しつけるとともに、政治的に場当たり的な対応策が打ち出される中、社会保険の職場では過酷な労働条件が蔓延し、職員は無権利状態に置かれています。また、通常業務とともに年金記録問題への対応業務のために、連日の超過勤務や休日勤務を余儀なくされています。超過勤務手当の不払い問題とともに、代休も取れずに健康を害する職員が増大しており、業務執行体制の確立と健康管理の徹底は急務の課題です。
 こうした不正常な職場環境を改善し、職員の不安を解消すべく、厚生労働省や社会保険庁の当局追及を強化するとともに、総務省、財務省、人事院等への要請など対外的な取組みも強化します。

〈1〉 法令遵守、働くルールの確立を目指す立場から、異常な労働実態をもとに法令違反を告発し改善を目指す立場から、自由法曹団や「安心年金つくろう会」などの運動に積極的に参画します。
〈2〉 執務環境、労働条件の改善に向けて社会保険庁や厚生労働省の当局追及を強化するとともに、総務省、財務省、人事院等への要請など対外的な取組みを強化します。
〈3〉 勤務を要しない日の出勤や、連日の超過勤務に対しても、超過勤務手当が支給されていないことから、休日の確保や適正な賃金支払いを、当局追及はもとより行政措置要求など、あらゆる手段を使って求めます。
〈4〉 ただ働き残業や代休取得も困難な中、健康悪化と早期退職が急増しています。同時に欠員も増加しています。欠員補充など体制確保に向けた当局追及を強化します

2. 医療、福祉、年金など社会保障制度の拡充を目指す取組み

  格差拡大社会の中で、老後の命綱としての年金制度や安心してかかれる医療制度の実現を求める国民の声がますます強まっています。しかし、政府・与党は、年齢差別、医療差別として国民的な批判を浴びている後期高齢者医療制度の実施を強行し、選挙等で国民の怒りが明白であるにもかかわらず、一部の手直しなど姑息な手段に出ています。また、本格実施された障害者自立支援法は障害者の自立を支援するどころか、自立を阻害し生活を破壊するものです。最後の命綱である生活保護についても老齢加算や母子加算の削減・廃止、基準引き下げにとどまらず、生活保護を必要とする人々を窓口で追い返すような異常な事態も発生しています。介護保険制度の改善などと共に、広範な運動に結集します。
 一方、公的年金の業務運営において、宙に浮いた年金や消えた記録などの記録問題が表面化し、社会保険庁に対する怒りが集中しました。国民の立場に立った早期の記録整備が求められますが、十分な予算や体制の確保が行われていないことから、全国各地で大混乱が発生しました。また、こうした記録問題などを契機に、財界や一部マスコミからは、年金制度改革論が浮上しています。最低保障年金制度の創設や資格期間の短縮などを提言しているところもありますが、その狙いは消費税増税による財源確保は明らかです。こうした消費税増税を許さず国の責任で安心して暮らせる年金制度の確立に向けて広範な運動に参画します。

〈1〉 年金記録問題の発生原因と責任の所在を明らかにせず、記録整備を完了しないまま、社会保険庁を解体することは、国の責任放棄に等しいものであることから、当面、日本年金機構法の凍結を求め、公的年金業務の運営をバラバラに民間委託することの問題点や、事務費等への保険料流用問題などを明らかにしながら、国の責任による充実と直接運営を求めます。また、政党への要請や国民的宣伝行動を強化します。
〈2〉 今秋に開会される臨時国会でも年金問題が引き続き焦点になると思われます。安心して暮らせる年金制度実現のため、全労連、中央社保協、年金者組合などを中心とする全国的な年金制度改善闘争の前進を目指し、運動に積極的に参画します。
〈3〉 「安心年金つくろう会」の運動に積極的に参画するとともに、国公労連の一員として事務局団体の任を担います。制度改善を求める宣伝ビラの作成・配付、マスコミ等への発信、シンポジウムの検討、国会議員要請など、世論を攻勢的に転換する取組みをすすめます。
〈4〉 消費税増税に反対し、全額国庫負担による「最低保障年金制度」の実現に向けて、広範な労組・民主団体等との共闘を職場・地域から展開します。また、報酬比例部分も含めた年金制度のあり方等について「安心年金つくろう会」の政策活動に参画し、研究・討議を深めます。
〈5〉 憲法25条に基づく国民の権利としての社会保障制度の確立、医療、年金制度の改善、介護保険、障害者自立支援法の改善などを求める広範な運動に結集します。
〈6〉 年金講師団活動を強化します。

3. 賃金・定員増など労働条件の改善を目指す取組み

 公労連は、アンケート調査の結果もふまえて職場と仲間の意識の変化、労働実態の困難性の高まりなどを反映した「国公労連統一要求」にもとづき、政府・人事院との交渉を強化しています。 要求は、全労連の統一要求目標とも整合させた生活改善を求めるベア要求を掲げるとともに、所定勤務時間の短縮と超過勤務割増率の引き上げ、民間との格差が顕著な初任給改善、非常勤職員をはじめ委託・請負など公務職場に働くすべての労働者の賃金、労働条件の底上げを重点に、職場段階からとりくみを強める内容です。
 また、新たな段階を迎えた公務員制度改革の中で、財界の「行政乗っ取り」を許さず、労働基本権回復を軸とする公務員労働者の「働くルール」確立に向けた運動が求められています。とりわけ、「市場化テスト」「民間委託」が進行するもとで、憲法にもとづき国民の権利保障と公共の福祉を目的として行われている行財政・司法の業務体制確立、拡充をめざすとりくみの強化が必要です。そのためにも、憲法の完全実施をめざす「新たな行政民主化闘争」として、定員削減やIT「合理化」、官民競争入札の拡大など公務の民間開放による実態と問題点を検証・告発し、国民のくらしを守る行政と、それを支える公務員労働者のあるべき姿を広く明らかにする運動が大きな課題となっています。

(1) 人員増、賃金、労働時間短縮など労働条件改善を目指す取組み

〈1〉 連年にわたる員削減に加え、5年間5%以上純減が強行される中で、労働強化はもとより、職員の健康悪化が進行し、行政サービスの確保にも大きな支障が生じています。行政需要に見合った人員の確保に向けて、国公労連の各省要請などに参加すると共に、厚生労働省、社会保険庁当局の追及を強化します。
〈2〉 秋期及び春闘における職場・地域からの取組みを重視し、全労連、国公労連等が提起する諸行動に積極的に取組みます。
〈3〉 国公職場から時給1,000円以下の労働者を根絶するため、職場段階で非常勤職員等の  処遇改善の取組みを重視します。
〈4〉 「2009年統一要求書」(案)について、秋期年末闘争段階での職場討議を踏まえ、09年1月の第50回中央委員会で決定し、春闘期及び人勧期をはじめ通年で要求前進を目指します。
〈5〉 新たな人事評価制度の設計に向けて、評価結果を賃金に直結させる活用を許さず、差別のない公平な処遇、職員参加、育成重視型の公務にふさわしい制度の確立をめざし、国公労連の対政府交渉に参加します。特に、秋から実施される「リハーサル試行」での検証結果を十分反映させるよう取り組みます。
〈6〉 春闘期要求組織に向けて、国公労連が提起する「賃金要求アンケート」と「労働条件改善意識調査」を取組みます。
〈7〉 国公労連の級別定数の改定等を求める昇格改善闘争に結集するとともに、全厚生として人事院交渉を取組みます。
〈8〉 被用者年金一元化法案の動向を注視しつつ、新公務員年金制度の創設に対する取組みを強めます。

(2) 働くルールの確立を目指す取組み

〈1〉 長時間過密労働の解消、ただ働き残業根絶に向け、引き続き厚生労働省通達に準じた勤務時間管理の徹底と「超過勤務縮減対策」を政府・人事院、厚生労働省、社会保険庁に迫るとともに、実態把握など職場段階での取組みを強化します。
〈2〉 過労や対人関係に起因すると思われる「メンタルヘルス」問題が深刻になっていること から、対策の強化を求めます。
〈3〉 非常勤職員等の処遇改善を求め、制度と運用の両面から取組みを強めます。
〈4〉 希望者全員の再任用をめざし、雇用と年金の連携を具体的に保障するよう求める取り 組みを進めるとともに、65歳定年制の実現を追求します。
〈5〉 公務における男女共同参画の前進、及び女性の採用・登用の拡大に向けて取組みを進めます。

(3) 労働基本権回復、民主的公務員制度確立を目指す取組み

〈1〉 ILO勧告に沿った公務員の労働基本権回復運動の本格的構築をめざし、全労連、国公労連の提起する諸行動を取組みます。
〈2〉 「改正国公法」にかかわる人事評価制度の詳細設計等に対する総務省及び人事院との交渉に参加します。また、厚生労働省当局にも必要に応じ申入れ・協議を行います。
〈3〉 「国公法弾圧・堀越事件」及び「世田谷国公法弾圧事件」の二つの裁判支援を強めると共に、公務員の政治的市民的自由を求める運動に参加します。
〈4〉 一審の不当判決に対し、東京高裁での控訴審をたたかっている全医労の「賃金職員雇い止め・不利益是正裁判」勝利をめざし、支援の取組みを強めます。

4. 国民のための厚生科学研究を目指す取組み

 独立行政法人整理合理化計画の閣議決定の具体化は、「原則として平成22年度末までに措置する」となっています。独立行政法人全体の運動は、引き続き、国公労連に結集して取り組みます。国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所との統合は、今後具体的な内容と段取りが示されてきます。当然、法改正のための国会審議も必要です。全厚生は、2研究所の双方の役割が従前に増して果たすことができるように、各研究所の機能が充分に活かされるよう、組織や運営並びに労働条件の面での要望をとりまとめ、早い時期からその実現をめざし取り組みを強化します。
 国立試験研究機関では、定員削減計画による恒常的荷重労働と研究支援部門の縮小、人当研究費の変わりに導入された基盤的研究費の減額、人事評価制度の2008年度内のリハーサル試行と2009年度からの本格実施、人材流動化政策による任期付研究員制度などさまざまな攻撃がかけられています。このような課題に対処するため、厚生科学課長交渉や人事課長交渉を行うとともに、厚研連や研究機関交流集会を開き、国民の健康と福祉の向上・発展させる厚生科学研究を目指し、かつ誇りと働きがいの持てる研究所を作るための活動を強化します。

〈1〉 国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所との統合にむけた課題等を中心に、厚生科学課など関係当局との交渉・協議を強めます。
〈2〉 国公労連の宣伝行動等に参加し、独立行政法人が担う国民生活への影響・問題点などについて発信します。
〈3〉 各支部の問題を持ち寄って、支部(各研究機関)で対処できる問題、本部(厚生科学課、人事課)で対応を取る問題、国公労連(試験研究機関全体)に結集する問題を分類し、それぞれの対処法を講じるなど、政策活動を強化します。
〈4〉 基本的な要求課題として(1)独立行政法人の労働・研究環境の整備と「整理合理化計画」の阻止、(2)国立健康栄養研と医薬基盤研の組織再編について、(3)国立医薬品食品衛生研究所の府中移転計画について、(4)国立保健医療科学院の教育研究、(5)ハンセン病研究センターの定員確保、運営委員会の再開、病理医の確保、(6)基盤的な研究費の確保、(7)任期付研究員制度について、(8)非常勤職員の改善、(9)パワー・ハラスメント防止、(10)人事評価について、(11)新再任用制度などの前進に向けて取組みを進めます。
〈5〉 研究機関支部の横の連携を深めるために、今年度も交流集会の開催をめざします。
〈6〉 国公労連等の提起する集会・学習会・シンポジウム等に参加します。

5. 国民のための障害者福祉を目指す取組み

 社会保障構造改革の一環でもある障害者自立支援法は障害者の自立を支援するどころか、自立を阻害し生活を破壊するものです。法案の審議段階からも様々な問題点が指摘されてきましたが、実施以降も改善を求める全国的な運動が広がっています。与野党が逆転した参議院において民主党が1割負担の実施凍結法案を提出するなど新たな情勢も生れています。
 一方、障害者自立支援法の本格実施は、民間並の運営を求めるとともに、その目標は唯一コスト削減です。先行する介護施設では、昨年度の全国調査で在宅系3事業(訪問介護、居宅介護支援、通所介護)を行う318法人のうち37.4%は赤字経営。厳しい労働条件や低賃金により平均離職率は、25%に達しています。(介護保険制度研究会調)。このことは国立社会福祉施設のあり方にも大きく影響し、職員の労働条件問題にも直結します。現に、利用者減による施策の見直しなども具体的課題にあがっています。憲法25条に基づく社会福祉は、コスト優先の一方的な進め方では、到底実現することは出来ません。これまで国立施設で進めてきた福祉施策は、長い労働組合運動の成果であり、日本の福祉水準そのものです。原点に立った検討と、職員や労働組合の意見を十分組み込んだ対応を求めて、全厚生の持つすべての窓口を活用して運動を展開します。

〈1〉 「国立更生援護機関に関する今後のあり方検討会」(中間報告)に対して政策対応及び具体的取組みを行います。
〈2〉 施設ごとに段階的実施に入っている「宿日直体制の見直し」について、検証・検討を行い、当局へ申入れ等を行います。
〈3〉 視力障害センター高等課程(中卒5年)の「段階的廃止」に対し、問題点の分析と要求課題について取組みを強化します。
〈4〉 コスト重視の定員削減、人事評価制度に反対し、働きがいのある国立施設であるため職員の処遇や労働条件の改善に取り組みます。
〈5〉 障害者福祉施策の拡充めざし、厚社連(全厚生社会福祉施設支部連絡協議会)の政策活動を強化すると共に、障害者の権利保障等を目指し、取組みを進めます。
〈6〉 障害者自立支援法の改善等を求める取組みに参加します。

6. 本省庁部門の取組み

   今年3月に霞国公が実施した「第16回残業実態アンケート」によれば、1ヶ月の平均残業時間は旧厚生省本省が75.8時間でワースト1(昨年は2位)となりました。過労死ラインである月80時間を超える残業者は9.3%となっています。人事院の調査でも心の病で病気休暇をとった中央省庁の職員は、在職者の1.3%にあたる563人に及んでいることが明らかにされています。年齢別では、30歳代が半数近くを占めているのが特徴です。
 来年には、新たな人事評価制度が施行され、全職員を対象に実施されます。すでに本格実施が行われている社会保険庁の現状や問題点などを参考に必要な改善を要求していきます。

〈1〉 人員増、時間短縮、残業問題の改善、非常勤職員の処遇改善、人事評価制度など切実な諸課題の前進に向けて、人事課長交渉を取り組みます。また、国公労連等の提起する諸行動に参加します。
〈2〉 霞国公が実施する残業実態アンケートを取組みます。
〈3〉 定時退庁を促す宣伝行動、鐘鳴らしなどを引き続き取組みます。
〈4〉 新たな人事評価制度について学習と問題点の把握等に努め、当局交渉を行います。

7. 憲法改悪に反対し、平和と民主主義の前進を目指す取組み

 参議院選挙の結果、1990年代後半から続く規制緩和、市場万能主義の「構造改革」路線を修正し、労働者・国民の要求を現実の政治に反映させる新たな条件が生まれています。
 この条件を生すためにも、「なくせ貧困、ストップ改憲!つくろう平和で公正な社会」に象徴される、「構造改革」の強行によって破壊された労働者の雇用や権利、国民のくらしや社会保障、地域社会の再生に向けた社会的な運動としての国民的運動の構築をめざすとりくみに結集していく必要があります。同時に、アメリカ追従の改憲発議を許さない世論構築とイラクからの自衛隊撤退、新テロ特措法阻止など憲法と平和を守り、発展させる運動の強化が求められています。
 また、改憲手続法=国民投票法の成立という新たな段階のもとで、改憲発議を許さない世論構築のため、広範な運動に結集します。とりわけ、憲法第99条において憲法尊重擁護の義務を負う公務員労働者として、職場からの憲法闘争を強化するとともに、「9条の会」や地域の共同センター、広範な民主団体等との共同などを取組みます。
 組合員を対象とした学習資料の配布や、憲法改悪反対署名運動への結集、職場・地域での「9条の会」の結成促進などを柱に、自衛隊のイラク派兵反対、在日米軍の再編強化反対など、平和と民主主義を守る運動を強化します。
 そして、予想される解散・総選挙において、財界やアメリカの利益を優先する自民党中心の政治に終止符を打つため、公務員の政治的市民的自由を求める運動とも一体で国民本位の政治を目指した取組みに参加します。

〈1〉 改憲手続き法において、改憲法の協議と国民投票が解禁となり、自民党が改憲の発議を行うとしている2010年をにらみ、9条改悪反対、改憲反対の過半数世論の形成をめざす様々な行動に参加します。
〈2〉 憲法改悪の争点でもある「海外で戦争する国づくり」を許さない点での学習・宣伝などに積極的に参加し、弱肉強食の構造改革が社会保障、労働基本権、教育、公務のあり方などの憲法原理と激しく矛盾してきているもとで、組合員・国民の要求と憲法のかかわりを重視して取組みを推進します。
〈3〉 全組合員の学習・意思統一を重視します。
〈4〉 国公労連の提起する「9の日」宣伝行動などに参加します。
〈5〉 日本平和大会や3.1ビキニデー集会、原水爆禁止国民平和大行進、09年原水爆禁止世界大会(長崎)などへの参加を取組みます。
〈6〉 イラク特措法反対、在日米軍基地の再編強化反対、基地撤去などを求める集会等に参加します。

8. 「構造改革」に対峙する国民的な共同の発展を目指す取組み

 「構造改革」路線の強行によって格差と貧困が拡大し、ワーキング・プアの増大など社会的セーフティネットが破壊されつつあるもとで、これに正面から対峙して、年金、医療など社会保障改悪や増税反対など国民・労働者の生活と権利を守り、労働条件を改善する国民的な運動を構築するため、全労連、国公労連、中央・地方社保協などの運動に結集します。
 地球温暖化対策は待ったなしの問題であることから、全労連などが提起する「地球にやさしい働き方」などについて、宣伝・啓蒙を取り組みます。

(1) 国民生活破壊の「構造改革」に対峙する国民的な運動

〈1〉 国民生活を守る立場から、規制緩和・民間開放の問題点を具体的に検証し、広く国民に明らかにする全労連や国公労連の取組みに参加します。
〈2〉 労働法制の更なる規制緩和などの議論が具体化されることが予想されます。こうした攻撃を許さないため全労連、国公労連等の提起する行動を取組みます。
〈3〉 国民生活が厳しさを増す中で政府・財界は消費税増税と大企業に対する法人税減税を狙っていることから、国民生活を守り、民主的税制の確立を目指す立場から、国民的運動に参加します。
〈4〉 衆議院選挙の実施が確実な下で、労働者・国民の生活と権利を守り、社会保障制度の拡充など国民本位の政治の実現を目指し、組合員の政党支持の自由、政治活動の自由を基本に取り組みます。

(2) 公務の民間開放・「公共サービスの商品化」に対する取組み

〈1〉 市場化テストが本格実施され、公務員バッシングを強める与党の動き、国・地方財政の悪化などから、公務の民間開放が一層加速される方向です。「モデル事業」における民間の非効率性等を分析・研究し、問題点を発信します。
〈2〉 地方分権改革に伴う国の出先機関の見直しが「地方分権改革推進委員会」で議論され、法制化の動きが強まっています。地方支分部局の廃止・縮小、「道州制」導入なども動きも具体化されようとしており、国や自治体の行政サービスのあり方、そして職員の雇用問題にも直結する内容です。国公労連等の国民的立場からの検証活動等に参加します。
〈3〉 民間委託による非常勤職員や外郭団体等での「雇い止め」を許さない立場から当局に対する取組みを強めます。

9. 職場を基礎とした運動の追求と組織の強化・拡大を目指す取組み

 激しい公務員攻撃や連年にわたる賃金抑制などのもとで、職場の中にはあきらめと無力感が顕在化し、長時間過密労働やメンタルヘルスの深刻化など労働条件・環境の悪化も相まって職場活動が停滞し、取組みへの結集が弱まっている状況が広がっています。
 一方、職場で悪戦苦闘している組合役員の多くが「働く仲間の労働条件を改善したい」「働きがいのある職場をつくりたい」という熱い思いを持ち、献身的に活動していることも事実です。この意識の隔たりを埋めるためには、「労働組合とは何か」「労働組合活動には、どんな意義があるのか」「労働組合活動は何をめざすのか」という点を今一度大いに議論し、組合民主主義の追及など原点に立った取組みが求められています。
 そのため、職場のすべての労働者を視野に、一人ひとりの悩みや要求に誠実に向き合い、その解決に向けて話し合いながら実践し、信頼関係を高めていくことが何より求められています。運動を職場内に止めることなく地域に展開し、「構造改革」による貧困や負担増を強要されている労働者・国民の理解と共感を広げ、連帯を築くことが職場活動の活性化にもつながります。全組合員参加の要求づくりと職場討議(総学習)を重視し、労働者としての権利意識の高揚、職場からの権利闘争を強化しながら、それぞれの条件のもとで可能な全員結集の取組みを追求します。また、専門部活動、レクリエーション活動などの取組みを強化します。

(1) 社会保険庁改革に伴い設立される新組織での組織確立について

〈1〉 全国健康保険協会及び地方厚生局における全厚生労働組合の確立を目指します。
 ア 組織確立・強化に向けて労働関係法の下での、労使関係の構築、労働条件改善等を中心とするリーフレットを作成します。 イ 各県協会支部を全厚生労働組合各社会保険支部の分会として位置付け、引き続き全厚生労働組合の対象職場とし、国公共済会の加入も可能とします。
 ウ 中央に設置される協会本部については、単独の支部として位置付け組織化を目指します。
〈2〉 地方厚生局における組織化を取組みます。
 社会保険庁から地方厚生局へは転任となります。各地方厚生局を束ねた全国一本の地方厚生局支部結成を目指します。
〈3〉 日本年金機構の発足に伴い、日本年金機構、全国健康保険協会をそれぞれ独立した労働組合とすることでの組織確立を目指します。
 その方向性については、独法組織を含めた現在の全厚生労働組合については、人事院登録団体である全厚生職員労働組合(国公部門)、独法組織、全国健康保険協会、及び日本年金機構の連合体として構成する方向で検討します。
 そのうえで引き続き国公労連に加盟し、国公共済の加入も可能となるように検討します。
〈4〉 ブロック単位での協議会、県段階での共闘組織など必要に応じた組織のあり方等について検討します。

( 2) 職場活動の前進、組織強化・拡大を目指す取組み

〈1〉 職場討議を重視し、秋期年末闘争、春闘と制度要求・職場課題を中心とした学習・討論集会を展開し、情勢の認識と取組みの課題等について共有します。行動の具体化を含めて成功をめざすため、オルグの配置など本部、支部段階での連携を追求します。
〈2〉 国公労連の「組織拡大強化月間」にあわせ、通年的な拡大運動の前進も含め、具体的な目標を確立し拡大運動を強めます。
〈3〉 新規採用者、未加入者、異動者、などすべての労働者を対象に組合加入の取組みを強めます。そのため、国公労連のポスター、「加入の呼びかけ」リーフ、全厚生のリーフなどを活用します。
〈4〉 非常勤職員の組織化は、業務センター支部をはじめ一部の支部で具体化されていますが、全体のものにはなっていません。社会保険部門での新たな動きや社会情勢などを踏まえ、支部、ブロックでの非常勤集会などの開催を目指し取組みを強化します。
〈5〉 国公共済会の加入拡大を「組織拡大強化月間」の取組みと一体で追求します。また、  組合加入者に対するワンコイン共済の6カ月プレゼントも活用します。
〈6〉 生命共済加入率が5割を切る支部の底上げを図ります。具体的には、執行委員会、新入組合員教室、支部、分会学習会等での国公共済・組織強化の取組みを提起し、要請に応じて国公共済と全厚生で協力して本部オルグを積極的に行います。
〈7〉 組合役員の国公共済加入率100%を目標に働きかけを強くおこないます。
〈8〉 新規採用者歓迎会、レクリエーション活動の機会を捉えて積極的に加入促進を図ります。
〈9〉 広域異動などにより全厚生支部がない職場への異動者について、組織強化と国公共済会の継続を保証する観点などから、本部直轄組合員として対応します。
〈10〉 国公労連などが開催する各種労働学校や、国公女性交流集会、国公青年交流集会、などに参加します。
〈11〉 本省庁協議会の定期開催を引き続き取組むと共に、東京国公、霞国公への結集を強化します。
〈12〉 厚生労働大臣との交渉や政策研究などを中心とする厚生共闘(全厚生、全医労)の運動を強化します。また、厚生労働省関係3単組(全厚生、全医労、全労働)の連携を強化します。
〈13〉 各県国公、ブロック国公との連携を深め、国公産別への結集を強化します。

(3)学習・教宣活動の取組み

〈1〉 現在開校されている勤労者通信大学の「新・労働組合コース」の受講生全員の修了を目指します。
〈2〉 機関紙(全厚生新聞)や、職場討議資料、宣伝ビラなどを活用し、学習・職場討議を強化します。
〈3〉 機関紙の定期発行、全厚生情報の機敏な発行を目指し、本部と支部、組合員の連携を深めます。
〈4〉 機関紙フェスティバルを開催します。
〈5〉 「全厚生ホームページ」「全厚生組合員のページ」の充実を図ります。
〈6〉 本部、支部役員を対象に「学習の友」の普及拡大を目指します。

(4) 女性部の取組み

〈1〉 働き続けられる職場へ、環境改善に全力をあげます。
〈2〉 女性部総会の開催、幹事の選出、幹事会の定例開催で安定的に女性部活動を担います。
〈3〉 女性の要求アンケートを実施し、つぶやきを要求へ、女性の要求実現をすすめます。
〈4〉 女性の人事課との懇談を実施します。
〈5〉 全厚生女性交流集会を実施します。専門部の活性化を目指し、青年との合同開催を検討します。

(5)青年対策部の取組み

〈1〉 「青年役員学習交流会(仮称)」を開催します。支部青年部の活動交流と、次代を担う役員育成にむけ学習を強化します。
〈2〉 青年部活動は、青年の要求に応え、生き生きとした組合活動を展開するために重視します。また青年部がないか休眠中の支部では、再建の努力を開始します。
〈3〉 青年同士が本音で思いを交流し学習できる場を意識的に作ることが大切です。各支部青年部は、労働組合の意義・全厚生の役割と任務・その歴史など多彩な学習活動に取り組みます。
〈4〉 深刻な雇用問題や労働条件など、青年の現状や共通する課題を交流し、深く学び、要求実現の共同を広げる取組みに結集します。
〈5〉 ビキニデー集会や「原水爆禁止世界大会」「日本平和大会」など平和の取り組みに積極的に参加します。
〈6〉 青年対策部は、支部青年部間の連帯強化・情報の共有を目的として、定期的な幹事会の開催、青対部ニュース「あおぞら」の定期発行につとめます。
〈7〉 青年交流集会について、女性交流集会との合同開催について検討します。

10.組織・人事委員会の設置について

 今年10月に「全国健康保険協会」が、そして2010年1月には、「日本年金機構」が非公務員型の公法人として設立されることで、社会保険庁は廃止されることになります。
 適用法令は、国公法・人事院規則等から、労働組合法・労働基準法等の世界に大きく変わることになります。
 組織の団結強化、及び仲間たちの利益を守ることを基本に、新たな事態に的確に対応するために、全厚生組織のあり方、確立と強化、役員体制の再構築が求められます。一方、組合員の減少傾向は一段と厳しさを増し、専従役員体制をふくめた書記局のあり方の検討が緊急の課題です。組織の確立・強化と中期的な本部役員体制を検討するため「組織・人事委員会」を設置します。




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