安心して暮らせる年金制度を
共同の輪を広げようと「安心年金つくろう会」発足



2008年5月28日
「安心年金つくろう会」発足会 5月28日、公務労組連絡会や自由法曹団など9団体の呼びかけで、「国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会」(略称:安心年金つくろう会)が国公労連会議室で発足会を開催しました。発足会には、呼びかけ団体などから47人が参加。「会」の目的や組織と運営、当面のとりくみについての申し合わせ事項を確認しました。

●「安心年金つくろう会」申し合わせ事項
●国の責任で、安心して暮らせる年金制度の実現にむけて力を合わせましょう 〜「安心年金つくろう会」の運動への賛同・協力を呼びかけます〜

[呼びかけ団体]
公務労組連絡会
厚生省労働組合共闘会議
国鉄労働組合
自由法曹団
全国生活と健康を守る会連合会
全日本年金者組合
中央社会保障推進協議会
日本国家公務員労働組合連合会
日本婦人団体連合会
(50音順)

安心年金つくるために広範な国民運動を
 冒頭、呼びかけ団体を代表して、国公労連の福田委員長があいさつ。「社保庁職員にすべての責任を押しつけて、年金記録問題を未解決なまま社保庁解体をすすめようとする政府の動きにブレーキをかけ、憲法25条にもとづく社会保障としての公的年金制度を実現するために奮闘しましょう」と呼びかけました。
 つづいて、会発足までの経過報告と申し合わせ事項を国公労連の川村副委員長が提案。政府の責任による年金記録の完全解決と消費税によらない信頼・安心できる年金制度の確立を求めて広範な国民運動を進めることを目的として、社会的アピールや宣伝・署名に取り組むこと、日本年金機構法の凍結と記録問題の解決、老後の生活を保障する年金制度のあり方「提言」など、当面の取り組みを提案しました。

年金記録問題の解決へ社保庁解体凍結を
 意見交換では7人が発言しました。
 愛知「年金をよくする会」(準備会)・杉崎さんは、「社保庁が解体・民営化されることがまだ広く知られていない。シンポジウムを開催し、問題の本質への理解が深まった。愛知でも『会』を正式発足させ、宣伝行動を強化しながら、全厚生の仲間を激励していきたい」  自由法曹団・加藤事務局長は、「年金記録問題は歴史的、構造的な問題であり、いま現場で働いている職員に責任はない。社保庁を解体すれば年金制度が良くなるという保障も全くない。いま現場では人手不足が深刻で違法な労働実態が横行している。そのことを世間の人は知らない。当面は職場の労働実態の調査にとりくんでいく。全国各地で共同の運動をつくっていきたい」
 国労・小池中央執行委員は、「国鉄を解体し、働かない職員を一掃すれば、サービスが良くなる、借金がなくなると言われた。国鉄の分割・民営化から22年が経ったが、借金は25兆円から28兆円に増えている。また安全性でも大きな問題を抱えている。決して分割・民営化は成功したとは言えない。社保庁の問題についても共通点を感じる。決して人ごとではない。第二の国鉄にはしない。全労連には加盟していないが、みなさんとしっかり連帯してたたかっていきたい」
 全生連の前田さんは、「憲法25条『健康で文化的な最低限度の生活』という文言が空文化しつつある。『最低限の生活』で『相互扶助』が強調される。社会保障の改悪が進むほど『生活保護はいいわね』と言われる。弱者の分断を許さず、がんばっていきたい」
 全厚生神奈川県支部の川名書記長は、「神奈川県は欠員が130人。事務所には1日200人程度が相談に。この間、自由法曹団や年金者組合との対話を重ねてきており、職場の違法状態の告発も検討している。非常勤職員の雇止めを許さないことが正規の雇用を守ることに繋がる。大規模な団地での宣伝行動や年金相談にも取り組む」
 全厚生杉浦副委員長は、「年金制度をしっかりと支える体制づくりが求められている。社保庁解体の本質と狙いを明らかにしながら運動を進めていく。職員の雇用を守り抜くたたかいを労働組合として全力をあげる」
 全厚生OBの廣部さんは、「国民は『自分の年金はどうなるのか』という身近な問題に関心がある。憲法25条の観点からというマクロな視点も大切だが、あわせて、国民の切実な関心に応える運動も求められているのではないか」
 自由法曹団の尾林弁護士は、「社保庁の業務委託先の社員募集には『回答マニュアルあり』と書いてある。何の専門知識もない労働者が電話の対応をしている。これが年金機構の将来の姿だ。自由法曹団の研究集会で社保庁解体の凍結を求める決議をあげた。各団体でこうした決議をあげて政府に届けよう。このような運動が広がれば必ず変化が生まれる。職員の雇用問題について自由法曹団として申し入れをしたら、再生会議の議論にブレーキがかかった。必ず情勢は変えられる。このことを確信に全力を尽くそう」

専門知識と経験もつ職員の雇用の確保を
 意見交換の後、申し合わせ事項と、賛同・協力の呼びかけ文を全体の拍手で確認しました。
 最後に、年金者組合の久昌中央執行委員が「元気の出る集いとなった。特別便さえ送れば、政府の責任は終わったとお茶を濁されてはたまらない。現場には過酷な労働を押しつけておきながら、社保庁改革スケジュールだけはすすめていく、そして雇用不安をあおる、こんなことは許されない。専門知識と経験をもつ職員がいてこそ国民の年金が守られる。この世論を大きく広げていくことが『会』の大きな役割だ」と閉会のあいさつを行いました。

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