◆号外(1999年1月20日付)◆
99年春闘方針(案)−全厚生第40回中央委員会議案−

●99年春闘方針(案)

T 全厚生の99春闘

1.全厚生としての課題とたたかい
 99年春闘における全厚生の課題は
(一) 大幅賃上げの実現
(二) 厚生省と労働省の統合、独立行政法人化反対
(三) 年金改悪反対
(四) 大幅増員と級別定数拡大
(五) 地方事務官制度問題への取組強化
(六) 平和と民主主義を守るたたかい
 を重点課題として取り組みます。

2.全厚生はどうたたかうのか
(一)職場を基礎に
(1)中央省庁再編、独立行政法人化、地方分権問題など、労働条件・職場環境の大幅な変化が予想され、職場を基礎にした運動の強化を図ります。
(2)職場での切実な要求解決のため、「総対話・総要求運動」を積極的に進め、所属長交渉の強化、上申の取り組みなど、本部・支部の連携を強化しながら、全厚生が一体となった運動へ発展させるとともに、諸要求の前進に全力で取り組みます。
(3)要求課題の解決に向けて、本部・支部一体となった運動を実践するために、本部オルグを配置します。

(二)地域での活動強化を
(1)行政改革問題や年金改悪問題は、国民と一体となった運動が必要です。
(2)県労連・県国公等へ結集し、地域での宣伝活動等に積極的に取り組みます。

(三)「年金改悪反対署名」「行革大規模署名」を「車の両輪」で
(1)「年金改悪反対署名」「行革大規模署名」を「車の両輪」として位置づけ、国民的課題の実現をめざす運動と結びつけて取り組みます。
(2)「年金講師団」活動に積極的に取り組みます。

(四)正しい情報と判断を
(1)「全厚生新聞」「行革闘争情報」等を活用し、タイムリーな情報の提供と、政策提言等に取り組みます。
(2)職場における学習、教宣活動を強化します。
(3)全厚生ホームページ(http://member.nifty.ne.jp/sichi/start.htm)での情報提供の強化を図ります。(Eメール:ZENKOSEI@zks.dp.u‐netsurf.ne.jp)


U 99年春闘のたたかいの基本方向

1.ヤマ場の戦術と行動展開
 国公労連・公務労組連絡会の戦術提起に積極的に参加していくことを基本に、全厚生としては以下の取り組みを重視します。
(1)1月8日に開催した全国支部委員長会議を九九年春闘のスタートと位置づけ、意思統一しました。
(2)全ての組合員が参加できる九九年春闘の運動に取り組みます。
(3)全ての支部・分会で全厚生統一要求書と独自要求を提出し、所属長交渉の実施と所属長からの上申を追及します。
(4)大量宣伝行動や官民の共同行動など、地域での行動に積極的に参加します。
(5)国公労連・県国公などが行う学習会や討論集会に積極的に参加します。
(6)春闘の最大のヤマ場では、早朝時間外職場集会(地域合同集会等)を基本としつつ、圧倒的な組合員の参加できる行動で統一行動を成功させます。
(7)官民一体のヤマ場では、職場からの上申闘争を中心に、中央行動に積極的に参加します。
(8)プレート行動・戦術なども全組合員の参加をめざして取り組みます。
(9)ポスター・ステッカーなど、職場内での目に見えた宣伝行動に取り組みます。

2.官民一体での地域春闘の強化
(一)各支部・分会では、県国公、地域国公等が行う諸行動に積極的に結集します。
(二)地域での春闘討論集会に積極的に参加し、官民一体の共同行動を強化し、ヤマ場での相互激励、共同交渉、国民的制度政策要求での自治体、関係団体への要請行動等に結集します。



V 賃金闘争の重要性

1.賃金抑制は生活悪化に拍車を
 不況が一段と深刻化するなかで、民間ではリストラ「合理化」に加え、賃金の一律削減が深刻化しています。公務においても、財政運営の失政を住民や労働者に転嫁し、東京都、埼玉県、神奈川県、大阪府等の自治体で職員のベア凍結、一時金カットが進められようとしています。
 こうした流れは国家公務員にも大きな影響を与え、99年春闘ではこれまでにない賃金抑制攻撃が強まることが予想されます。
 こうした賃金抑制攻撃は、財政支出の削減を求めるものではありますが、官・民を問わず、購買力を低下させ、個人消費を一段と冷え込ます結果となります。

2.今こそ大幅な賃上げで生活改善を
 出口の見えない不況下で、政府の政策は従来型の公共事業を重視し、全くといって効果が期待できない「商品券減税」等、国民の願いと逆さまの政策を進めており、12月だけで郵便貯金が2兆円以上も増加しています。
 今こそ、官・民問わず大幅な賃上げで購買力の拡大を図ることが求められています。
 公務員労働者にとっても消費税率の引き上げや社会保障制度の度重なる改悪による将来不安から、消費抑制が強まっており、公務員労働者の生活改善と消費不況打開のためにも必要不可欠な課題です。

3.調整手当の改悪を許さない
 人事院は、調整手当の「見直し」について、「基本方向はいまだに定まっていない」としています。しかし、見直しの方向については、「三つの指標(賃金・物価・生計費)を精査し、支給地域、支給区分(率)を決定する」としています。
 全厚生は、人事院に対して、「調整手当の見直しは行わない(見直しを断念させる)」ことを求めます。

4.99年春闘賃金要求について
 国公労連の統一賃金要求は、12月17日に開催された第104回拡大中央委員会で「統一要求(案)」の基本的考え方を確認し、職場討議を経て、2月3〜4日に開催される第44回臨時大会で決定されます。
 全厚生は、この「統一要求(案)」を職場討議し、討議結果を国公労連臨時大会に反映させていきますが、この「統一要求(案)」が組合員の要求アンケート結果を踏まえたものであることから、全厚生は基本的にこれを支持し、その実現のために奮闘します。


W 「ニセ行革」との全面対決

1.国民本位の行財政確立を
 中央省庁等改革基本法が成立し、中央省庁等改革推進本部が中央省庁再編、独立行政法人の導入、地方支分部局の整理・統合等の事務局原案を示す中で、公務の減量化・効率化を求め、国家公務員の20%定員削減や公務員制度の改悪など、公務員攻撃が激しさをましています。
 私たちは、国民不在の「ニセ行革」を阻止し、国民本位の行財政確立の運動を広く進めます。

2.財政破綻を国民負担に転嫁
 国と地方自治体の借金が天文学的な額になり、国家財政が硬直化している中で、99年度予算案は、財政構造改革法の実施が凍結されたにも関わらず、社会保障関係費で名目8.4%増となっていますが、98年度まで停止していた厚生年金に対する国庫負担繰り入れを実施するため、伸び率が高くなっていますが、実質は、3.7%の伸びとなっており、当然増をカバーする程度の伸びです。医療では、70歳以上のお年寄りの外来薬剤費一部負担を免除するものの、自己負担は外来でこれまでの1回500円から530円に、入院も1日1100円から1200円に引き上げられます。年金給付額の改定では「賃金スライド制」廃止を見込んで物価スライドのみとし、0.6%増となっています。文教等予算では1.4%増となっていますが、国立大学の入学料を2000年4月の入学者から値上げすることや、公立看護大学への経常費補助を「国と地方の役割分担」を口実に廃止しています。一方で、軍事費削減は僅か0.2%の削減にとどまり、他省庁に振り分けた研究開発費等を合わせると0.7%増となっており、駐留アメリカ軍への思いやり予算は2765億円、8.6%の大幅な伸びとなっています。
 98年度第三次補正予算での整備新幹線の着工費用の計上に見られるように、99年度予算案での公共事業関係費は、あいかわらずの大企業重視、ゼネコン重視の予算配分となっており、使途を限定しない「公共事業等予備費」を含め10.5%増と突出した伸びとなっています。
 こうした結果、新たに30兆500億円もの国債を発行し、九九年度末の国と地方を合わせた長期債務の残高は、600兆円程度に膨らむ見込みです。
 また、小渕内閣が公約した減税は、法人税率の大幅な引き下げを図る一方で、所得税率等の最高税率の引き下げが図られたものの、年収800万円程度以下では実質増税となり、今の消費不況が一段と深刻化する恐れがあります。

3.国民的課題に積極的参加を
 橋本・小渕内閣が進めてきた政策は、消費税率の引き上げ、医療費自己負担の引き上げ、金融機関救済の60兆円もの公的資金導入、景気対策と称した大企業・ゼネコン重視の公共投資の実施、労働基準法の改悪など、国民の多くの願いと逆行した政策を強引に推し進めています。
 今多くの国民が求めていることは、消費税の3%への引き下げ、社会保障制度の充実等にあり、将来不安を解消するための年金・医療・介護保険制度等の拡充が必要です。
 こうした課題は、公務員労働者の要求でもあり、自らの運動と位置づけ積極的に取り組みます。

4.中央省庁等再編について
 中央省庁改革推進本部は、11月20日に「事務局原案」を公表し、各省設置法、独立行政法人、地方支分部局部局問題等についての考え方を示しています。
 一方厚生省当局は、全厚生本部との交渉等において「情報提供や協議」を約束しておきながら、「秘密主義」の中で本省庁の局の再編、独立行政法人化等を進めてきました。
 こうしたことは、労使間の約束を反故にするもので極めて問題です。

【行政改革全体への取り組み】
(1)全厚生独自の議員要請・政党要請に取り組みます。
(2)全労働・全医労(3団体対策委員会)との共同の取り組みを追求します。
(3)大臣官房・社会保険庁等、当局交渉を強化します。
(4)2月・4月を新聞投書行動月間として積極的に取り組みます。
(5)「行革大規模署名」に総力を挙げて取り組みます。
(6)「行革」課題での学習会等に取り組みます。
(7)各種諸行動に積極的に取り組みます。
 ○国公労連が提起する宣伝行動等に積極的に結集します。
 ○「2.7国民大集会」に積極的に結集します。
 ○「2.25地域総行動」に積極的に参加します。
 ○5月に各県国公が取り組む「網の目キャラバン行動」に結集します。
 ○2月・5月に予定されている各戸配布を基本とした2回のビラ配布行動に取り組みます。
(8)厚生行政に関する労働組合・諸団体との意見交換に取り組みます。

(一) 本省庁等の再編成
 厚生省は、労働省と統合され「労働福祉省(仮称)」が設置されることとなっています。
 この統合により、厚生省(1官房9局)、労働省(1官房5局)が1官房11局に再編成されようとしています。同時に、各課・室の整理・統合等も実施されることが明らかです。そこに働く職員の労働条件、職場環境等を守る取り組みを進めます。
【具体的取り組み】
 (1)本省庁連絡会議の活動強化を図ります。
 (2)全労働本部、本省支部との連携を強化します。

(二) 独立行政法人化問題
 中央省庁改革推進本部は、国立健康・栄養研究所、国立感染症研究所、国立医薬品食品衛生研究所、社会保険業務センターについて、独立行政法人化の検討対象機関としてきました。一部マスコミによると国立健康・栄養研究所以外については、独立行政法人化困難と報道されていますが、予断は許されません。
 国立健康・栄養研究所については、行政改革会議最終報告で独立行政法人化の検討対象機関とされ、「事務局原案」においても引き続き対象機関とされていますが、全厚生は、独立行政法人化反対の立場で運動を強化します。
【具体的取り組み】
(1)大臣官房、厚生科学課交渉を配置し、独立行政法人化阻止に全力を挙げます。
(2)独立行政法人化阻止に向けて、独自の議員要請・政党要請に取り組みます。
(3)独立行政法人化の諸問題解決に取り組みます。


X 年金制度改悪阻止のたたかい

1.年金制度改悪に固執する政府・厚生省
 政府・自民党は、12月16日に公的年金制度の「改悪」にむけた最終方針を確認し、自由党、公明党に示しました。政府・自民党がまとめた「改悪」にむけた最終方針では、(1)給付について、ア)給付水準を現役手取り年収の60%程度に抑制する。イ)厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢を2013年度から2025年度にかけて60歳から65歳に段階的に引き上げる。ウ)裁定後の年金は原則として物価スライドにとどめる。(賃金スライドの停止)(2)保険料負担等については、ア)基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる。イ)来年度の保険料引き上げは凍結する。ウ)基礎年金の国庫負担割合の引き上げと保険料凍結解除の時期は同時とし、2004年までの間に実施する。(3)その他として、基礎年金の国庫負担割合(3分の1)に消費税を充当することを明記し、事実上の目的化を図る。ことなどとなっています。
 また、小渕首相の諮問機関である「経済戦略会議」(議長・樋口広太郎アサヒビール会長)は12月23日に会議を開き、消費税増税を「不可避」とする中間報告(「日本経済再生への戦略」)を取りまとめました。この中で年金制度にかかわって、「基礎年金部分は、全国民に必要な最低水準の国による保障と考え、税方式に移行するのが望ましい。」「報酬比例部分については、30年後に完全民営化をめざした本格的な制度改正に着手」とし、介護や医療問題では、「税によって国民にサービスを保障できる制度を基本」としています。
 こうした考え方は、経団連が今年7月に発表した「基礎年金部分は、税による賦課方式に移行させるべき」「国民全体で負担を分かち合うという観点から間接税が望ましい」との考え方を全面的に取り入れたものとなっています。

2.年金改悪阻止に向けて
 全厚生は、公的年金制度の運営に携わる労働者・労働組合として、政府・厚生省が予定している「年金改悪」に反対です。
 また、厚生年金保険の民営化や基礎年金の福祉目的税化も検討対象とされていますが、いずれも企業が社会保障分野から撤退した分を税でまかなうことになり、結局、消費税増税という形で国民に負担を押しつけるもので、国と使用者の責任を放棄す考え方には反対です。
 政府・厚生省が進める年金改悪は、少子・高齢化を理由として、将来の公的年金の安定化のために給付の抑制と負担の引き上げを求めています。
 1985年以降、制度の根幹に関わる「改悪」が相次ぎ、国民の公的年金制度に対する信頼は崩れ去っており、今また「制度改悪」を強行することは、公的年金制度の解体を意味します。毎年10兆円もの積立金が増加する財政構造や160兆円にも及ぶ巨額の積立金の民主的運営により、公的年金制度の運営は可能です。
 全厚生では、99年の年金制度「改悪」を阻止するために、職場・地域から「年金改悪反対署名」に総力を挙げて取り組みます。

【具体的な取り組み】
(1)「年金改悪反対署名」に総力を挙げて取り組みます。
(2)県国公・県労連等に結集し、年金改悪阻止に向けて主体的に運動に参加します。
(3)社会保険支部を中心とした「講師団」活動に取り組みます。
(4)各地域での宣伝、年金相談、シンポジウム活動等に取り組みます。


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