◆全厚生2000年春闘方針(案)◆



1.鮮明になる2000年春闘の対決点

(1)労働者・国民の雇用と暮らし、働き方をめぐるせめぎあい

<1-1> 大企業のリストラ・人減らし政策が、雇用情勢を深刻なものにしています。この政策は、IBMや日産自動車での攻撃に典型的に示されるように、きわめて乱暴なものです。リストラの手口では、「座敷牢」と呼ばれる隔離部屋に入れて退職を強要するなど、陰湿で野蛮な攻撃が起きています。こうした中で、失業者は政府統計でさえ、完全失業率が5%に迫り、すべての労働者が厳しい雇用不安の下におかれています。
<1-2> こうした事態に対して、自自公連立の小渕政権は、国民・労働者の切実な声を聞くことなく、衆議院で7割、参議院で6割をしめる「数の暴力」で悪法を次々と強行しています。自自公3党の政権合意では、大型公共事業を中心とする放漫財政や、消費税の福祉目的税化による、どこまでも続く増税路線と年金・医療など、国民生活を犠牲にする社会保障改悪をめざしています。さらに、有事(戦時)立法化と国連平和維持軍(PKF)の参加凍結「解除」などをめざしています。これは、海外での日本の武力行使に道を開こうとするものです。こうした方向を進める上で、世界に誇る憲法9条がじゃまになった政府は、憲法調査会を両院に設置し、明文改憲をねらった本格的な策動を強めています。
<1-3> 大企業の横暴が放置され、悪政が強行されるもとで、労働者・国民の生活が破壊されています。働くルールが無視され、人間が使い捨ての道具のように扱われています。この異常な日本社会を称して、「ルールなき資本主義」と呼びますが、21世紀に「大企業栄えて民滅ぶ」事態をこのまま放置してはなりません。
 憲法を職場と暮らしに生かす社会を築くための、また、人間らしく働くルールを確立する課題をめぐり、政府・財界と労働者・国民との間の鋭いせめぎあいとなっています。

(2)新たな段階をむかえる行革闘争

<2-1> 21世紀の「この国のあり方」を決める重要な位置にある行政改革とのたたかいが、新たな段階に入っています。なぜなら、政府が一昨年の中央省庁等改革基本法、昨年の通常国会での独立行政法人通則法を含む行革関連法案と地方分権一括法の成立、そして昨年の臨時国会では、独立行政法人個別法をまともな審議をおこなわず、私たちの反対を押し切り、強行したからです。
 中央省庁改革関連法案が成立した時点で、経団連の内田事務総長が、「10年来の経済界の主張。革命でもおこらなければ、実現しないものといわれる省庁の再編に手をつけた」と評価しました。また、小渕総理は、「新しい世紀において、なさなければならない歴史的な責務を果たした」と述べました。このことは、何のための、だれのための行革・省庁再編であるかを、如実に物語っています。
<2-2> 政府や財界は、大企業の利益を最優先する一方、国民には犠牲を強いる悪政を強行し、さらに戦争法にもとづき、日本を戦争する国にかえる準備を進めています。この政府・財界の「国盗り物語」を、国民・労働者の共同した力で「夢物語」に終わらせなければなりません。この春闘は、この意味で国民本位の行財政を確立していくための、新たなスタート地点にたっています。
<2-3> この行政改革の流れに呼応して、公務員制度改革の作業が、人事院や総務庁で進められています。中央省庁再編にともなう行政システムの改革は、公務運営のあり方と相互に関連するものです。民主・効率・公正な公務員制度を確立していく観点から、この動きを注視し、労働組合の側からも議論を深めていく時期に来ています。

(3)社会保障の総改悪攻撃と全厚生の役割

<3-1> 21世紀を目前にした今、社会福祉・社会保障は重大な岐路に直面しています。政府・財界が社会保障構造改革と称して、社会保障の各分野の制度改悪を次々に強行しているからです。そのねらいは、この20年間におよぶ医療、年金、福祉制度の改悪にみられるように、国が責任をもっておこなうべき社会保障の範囲をごくわずかに限定させ、国と大企業の負担を大幅に削減する一方、規制緩和をすすめ、民間資本を積極的に参入させることにあります。これは、憲法25条がうたう、国民の権利である社会保障制度を解体し、儲けのための制度につくり変えようとするものです。
<3-2> 私たちの先輩は全厚生結成にあたり、その目的の一つに、「社会保障の確立のために行政の反動化に反対し、わが国の平和と民主主義の確立に寄与する」(規約第3条)ことをかかげました。また、1954年に時の政府が厚生省予算を大幅に削減しようとした時、厚生省玄関前に「国民のための厚生行政守れ」、庁舎には、「再軍備より社会保障、厚生行政を守れ」の懸垂幕を垂らし、国民にアピールしてたたかいました。これこそ、全厚生運動の積極的な伝統です。さらに、現在の中央社保協(=中央社会保障推進協議会)の前身である「社会保障を守る会」を組織する上で、重要な役割を果たしたことも、歴史に刻まれています。
<3-3> こうした歴史に学び、年金、医療、介護、福祉の拡充を求めて、同じ願いを持つ地域の仲0間とともに、共同してたたかうことが求められています。そもそも社会保障は、競争原理による弱肉強食の世界や、民間活力や規制緩和の路線とはまったく相いれません。全厚生は、厚生行政の担い手として、仕事への誇りと生きがいを真に取り戻すことを願って、国民とともにたたかう「出番の情勢」を受けとめます。

(4)国民春闘を前進させる条件と可能性

<4-1> 政府・財界は、「人間らしく生きたい、働きたい」という労働者・国民の切実な願いや声を完全に無視しています。憲法が保障する基本的人権を平気で踏みにじっています。こうした大企業の横暴と悪政の強行は、職場や地域で、労働者の意識を確実に変えています。「企業は、生活を守ってくれない」、「企業のいいなりで、泣き寝入りしたくない」と、県労連が企業の門前でまいたチラシを握りしめ、労働相談に訪ねてくる仲間が後をたちません。リストラ・首切りに反対してたたかう労働者、さらに、職場に労働組合をつくってたたかう労働者が次々とうまれています。
<4-2> この間の運動の最大の特徴は、幅広い共同のたたかいが様々なかたちで生まれたことです。昨年1年間でみても、戦争法反対の一点で「5.21集会」を成功させ、盗聴法に反対する共同行動をつくりました。労働法制改悪や年金改悪に反対するたたかいでは、全労連と連合の「共同歩調」となりました。こうした共同の取り組みは、参加した仲間を大きく激励しています。
<4-3> 日産のリストラ攻撃に対し、全労連は「雇用と中小企業、地域経済を守り、大企業の横暴を許さない」たたかいの最大の焦点に位置付けてたたかっています。日産村山工場のそばに、「現地闘争本部」を置き、JMIU(=全日本金属情報機器労働組合)日産自動車支部が中心になり、日産の労働者、下請け・関連企業いじめを許さず、地域経済を守るために地域住民の支持を広げながら、たたかっています。昨年末の12月23日には3500人の決起集会を成功させ、「リストラ反対」の国民的世論をつくる重要な一歩を築いています。
 さらに、思想差別や人権侵害に対して、提訴以来28年にわたってたたかってきた関西電力争議が12月8日、全面勝利しました。「将来にわたって、憲法と法律に従って公平に取り扱う」「基本的人権を尊重する」との和解条項は、東京電力、中部電力に続き、労働者側の画期的な全面勝利となりました。憲法は、大企業の門前から職場の中にも確実に入り、職場の自由と民主主義を確立する流れを促進する力になっています。
<4-4> 全国いたる所で、労働者・労働組合のたたかいがおきています。悪政を強行する自自公3党の体制は強固に見えますが、悪政を強行すればするほど、国民・労働者の怒りを呼び覚まし、自らの基盤を掘り崩しています。大企業の横暴、悪政への怒りを大きく結集すれば、国民春闘で国民的共同を飛躍的に前進させる条件と可能性が、私たちのまわりにはあるのです。


2.秋季年末闘争の到達点を踏まえ、たたかいを発展させよう

 全厚生は、秋季年末闘争方針にもとづき、以下の10の重点課題、a定員削減計画の具体化に反対して諸行動に取り組む、b独立行政法人個別法案の問題点を明らかにし、当局交渉、国会闘争を強化する、c地方事務官制度廃止にともなう要求実現のたたかいを強化する、d実質賃金の切り下げを許さず、公務員賃金改善の勧告部分の早期確定をめざす、e調整手当改悪に反対する取り組みを強化する、f福祉職俸給表の切り替えについての取り組みを強化する、g昇格改善、超過勤務を規制する取り組みを強化する、h介護保障の確立、年金・医療改悪反対などの取り組みを強化する、i戦争法の発動を許さず、憲法擁護、平和・民主主義を守る「憲法遵守・平和職場宣言」運動に取り組む、j2000年春闘の準備を進める、取り組みに全力をあげました。
 これらの重点課題に即して、たたかいの到達点や教訓を以下に示します。

(1)統一行動に結集して、産別および国民的課題でのたたかい

<1-1> 全厚生は、9月28日の国公労連第1次中央行動を皮切りに、10月28日の第2次中央行動・昇格改善行動、11月17日の第3次中央行動、12月3日の行革闘争中央行動などに結集してきました。こうした行動参加を通じて、賃金改善のたたかい、「25%定員削減」反対や独立行政法人個別法に対する国会闘争、年金改悪や衆議院の比例定数削減など、臨時国会を舞台にした悪法阻止のために力を尽くしました。そのうち、11.17と12.3の行動は上京団行動で結集しました。
 秋季年末闘争の大衆的な結集は、国公労連が行革闘争の節目と位置付けた「12.3中央行動」が全厚生として最大の取り組みとなりました。昼休み国会請願デモと総決起集会の参加者は、延べ42人になっています。
 また、社会保険の各支部を中心にして、積極的に県国公が提起する行動に結集してきました。
<1-2> 署名の取り組みは、「25%定員削減に反対する政府宛署名」(6504筆)、「年金改悪に反対する請願署名」(6494筆)、「介護保険の緊急改善を求める請願署名」(6540筆)、「核兵器廃絶を要求する署名」(3214筆)に加え、国公労連が新たに提起した「独立行政法人個別法審議に当たり、研究労働条件の維持・向上を求める請願署名」(1747筆)、緊急課題として提起された「衆院比例定数削減に反対する請願(団体)署名」(36団体)を集約しました。「25%定削反対署名」は、1500人が結集した12.3中央行動で、国公労連全体では28万5487筆(1人10筆目標で28.6%の達成率)の署名を総務庁に提出しました。
<1-3> さらに、議面集会、国会座り込み行動、議員要請行動などに、積極的に結集しました。とりわけ、全労連・中央社保協が緊急に提起する諸行動は、本省支部、統計情報支部、人口研支部など、霞ヶ関にある支部を軸に在京・近県支部で取り組みました。

(2)年収レベルで初の賃下げになった公務員賃金

<2-1> 9月21日政府は、閣議で99年人事院勧告の完全実施を決定しました。国公労連は同日、「年収ベースで賃金水準がマイナスとなる一時金切り下げ決定は納得できない」、「当面、一時金の引き下げ反対、賃金改善部分の早期実施、定員削減・行政減量化反対などの諸要求を掲げて国会闘争を強化する」との中央闘争委員会声明を発表しました。
<2-2> 国公労連は、職場の声を背景に中央行動を展開しましたが、政府は11月5日、給与法案を閣議決定しました。政府・与党は11月18日、衆議院本会議(給与法案は参議院先議となった)で、一時金0.3月の切り下げ、史上最低の「平均0.28%・1054円」のベア勧告を内容とする給与法「改正」案を、わずか衆・参半日づつの審議で採決を強行し、共産党を除く各政党の賛成で成立させました。
<2-3> 法案審議の中で連合・公務員連絡会は、賃金水準引き下げの99年勧告を評価し、「勧告完全実施」を政府に迫っていたことが明らかになりました。国公労連は、「マイナス勧告さえ想定される現状では、単純な『勧告完全実施』の要求が、公務員労働者の労働条件改善を阻害しかねない」と批判するとともに、国公労連・春闘方針案で、「生活悪化に苦しむ労働者の生活実態に目を向け、賃下げに反対する一致点で、すべての公務関連労働者と労働組合の大同団結の呼びかけを強める必要がある」と、今後のたたかいの方向を提起しました。

(3)国会闘争で果敢にたたかい、奮闘した秋年闘争

<3-1> 昨年10月22日に開会した臨時国会は、賃金や行革課題、国民的な諸課題などのたたかいの本舞台となりました。10月5日に発足した小渕第2次改造内閣は、衆議院で7割、参議院で6割をしめる危険きわまりない「多数与党」です。しかし、「数の暴力」での悪法強行を許さない労働者・国民の共同した力は、年金改悪法案を参院段階で継続審議にさせ、冒頭処理を掲げた衆院比例定数削減法案は、衆院段階で継続審議に押しととどめ、成立を阻止しました。
 年金改悪反対のたたかいでは、国会前での座り込みや諸行動を通じて全労連と連合が、事実上の共同行動を実現させました。こうした運動の広がりの中で、強大にみえる自自公政権も、まさに迷走を繰り返し、国民の反撃の前にたじろぐ姿も見せました。これは、国民の審判を一度も受けずに成立している政権のもろさを一面で示すものです。
<3-2> 平和と民主主義の課題でも、取り組みをすすめました。全厚生は、10月28日〜31日に山口県岩国市で開催した99日本平和大会に参加しました。本部、香川県、神奈川県支部から代表が参加して交流を深め、平和への思いを新たにしました。
<3-3> また「国旗・国歌(日の丸・君が代)法」が成立し、「日の丸掲揚、君が代斉唱」を強制する動きが強まっています。11月12日には、政府主催の「天皇在位10年記念式典」が行われる状況のもとで全厚生は、11月5日付けで中央執行委員会「見解」を発表しました。あらためて戦争法を発動させないために、平和と民主主義を守るために、「憲法遵守・職場平和宣言」運動に結びつけていくことが求められています。

(4)本部・支部が一体になった交渉で要求実現を迫る

<4-1> 全厚生は、各職場、各部門の切実な要求を実現させるために、本部段階での団体交渉を実施しました。11月4日の人事院交渉では、職務の正当な評価をめざして昇格改善を迫りました。続いて11月16日には大臣官房人事課長交渉をおこない、中央省庁再編等の課題や、定員削減政策の撤回をはじめ、重点を絞り要求実現を迫りました。さらに、11月25日の社会保険庁次長交渉や、11月29日の大臣官房障害保健福祉部・国立施設管理室長交渉では、支部代表を交渉団に加えて要求実現を迫りました。
<4-2> 各部門の要求では、組織や機構の「見直し」問題が共通に出されています。この課題は、職員の勤務条件に密接にかかわっています。支部・分会段階からトップ交渉に至るまで、情報のすみやかな公開を迫り、有効な協議をおこなうことが重要です。人事課長交渉での回答でも情報公開の要求に対して「早めに、必要な情報は伝える」と回答しました。労働条件の後退を許さず、改善を図るために、事前の準備を重視して交渉に臨むことが大切です。

(5)本省庁職場での恒常的残業を規制するたたかい

<5-1> 本省庁職場の無定量で恒常的な残業実態は深刻かつ異常であり、本部段階の交渉でも重点課題に位置づけて追及しました。人事課長も「厚生省は残業が多く霞ヶ関のなかでもワースト3にはいる。依然として恒常的に長時間残業がある」との実態を認め、「超勤縮減はきわめて重要課題の一つとして取り組んでいる」と回答しています。
<5-2> 11月24日夜には、国公労連・東京国公・霞国公共催の「長時間残業の改善をめざす交流決起集会」が開催され、産別レベルで本腰を入れて取り組む決意を固めあいました。こうした取り組みを継続させ、本省支部、統計支部、業務センター支部の交流を一層深め、長時間労働の渦中の仲間たちが、改善を要求し続けていく運動にすることが求められています。
 この課題は、定員削減と表裏一体の関係にあります。さらに、国会待機をはじめ、国会運営上の行政の対応の仕方などを改善させる政策課題でもあります。引き続き、国公産別に結集してたたかうことが重要です。
<5-3> 全厚生は、コンピュータが誤作動を起こす恐れがある、いわゆる2000年問題で12月9日、厚生省・社会保険庁当局に申し入れをおこないました。内容は万全を期した体制で臨むために、勤務する職員が年末年始の特別体制になることから、対応する職員の健康に充分配慮し、勤務実態にもとづく処遇の確保などを要請しました。

(6)独立行政法人「個別法」段階のたたかい

<6-1> 全厚生は、臨時国会での独立行政法人「個別法」の審議にあわせ、国会闘争を強化してきました。独立行政法人化に反対の立場にたち、個別法案の問題点を明らかにするよう徹底審議を要求し、国公労連が緊急に提起した国会請願署名に取り組みました。さらに、傍聴行動、議員要請、議面集会に結集しました。また、独立行政法人の問題点を改めて検証し、たたかいの意思統一をおこなった「学習決起集会」(10月23日・東京)にも参加しました。
<6-2> こうした取り組みの中で、短時間ではありましたが、省庁グループ毎に法案審議が行われ、衆院段階での委員会審議では11月19日、日本共産党の瀬古由紀子議員が、国立健康・栄養研究所の独立行政法人化にともなう問題点を質しました。また、衆議院での強行採決にあたって、全厚生として「徹底審議を要求する」書記長談話を発表しました。
<6-3> 衆参あわせて32時間という短い国会審議の中でも、「25%定員削減」目標やその達成のための独立行政法人化であることが一定程度浮き彫りになりました。独立行政法人「個別法」は、12月14日、自自公3党と社民党の賛成(徹底審議を求める共産党、行革の姿勢が弱いとする民主党が反対)で強行成立しました。独立行政法人化のたたかいは、新たな段階に移ります。

(7)福祉施設の政策課題を深め、福祉職俸給表の課題での取り組み

<7-1> 厚社連(=全厚生社会福祉支部連絡協議会)を中心に、11月16日の人事課長交渉、11月29日の国立施設管理室長交渉で、昇格改善や切り替え要求をはじめ、職場の切実な要求実現を迫りました。とりわけ、2000年1月の福祉職俸給表への切り替えにあたって、支部と本部が一体になり、その職務の専門性にふさわしい処遇になるよう交渉を強化しました。
<7-2> 社会福祉の分野で進められている「社会福祉基礎構造改革」は、社会福祉の措置制度を契約制度にかえるものです。これは、福祉の分野で民間企業の参入を促進し、人権が最も尊重されるべき仕事を、歪めかねない危険性をもつものです。こうした動きは、国立の福祉施設の運営や機構にも影響を与えるものです。現在、国立更生援護機関のあり方について、検討が進められています。これに対し職場を基礎にして、厚社連で討議をすすめ、組織再編について職員の声を反映するために、引き続き交渉を強めることが重要です。
<7-3> 全厚生は11月29日、「2千円札」問題で、衆院大蔵委員会の理事を中心にした各党委員に対して要請しました。内容は、7月に開催する九州・沖縄サミットにあわせ、2千円新札を発行するという政府の計画に対し、視覚障害者の願いを実現するために新札発行を取りやめることや、やむをえず発行する場合でも確実に識別できるように、各党議員の国会での尽力を要請しました。12人の委員のうち、3人の議員に直接要請も出来、全厚生として社会的にアピールする有効な機会となりました。

(8)地方事務官制度の廃止にともなう諸課題、社会保険労働者のたたかい

<8-1> 今年4月から地方事務官制度が廃止され、社会保険労働者は名実ともに厚生事務官、国家公務員になります。全厚生は、これに伴う諸課題の前進的な解決にむけて、社会保険庁に繰り返し要求してきました。この積み上げのもとで11月25日、社会保険庁との交渉を実施しました。地方社会保険事務局の設置では、「都道府県の最高責任機関であり、それにふさわしい組織を要求している」と全厚生の要求の立場に沿った考え方を明らかにしました。また、人事については、「一方的、強制的な人事をしていないことは認識している。地方社会保険事務局の設置でこれを変えるつもりはない」と明確に回答しました。4月までに、山積する諸問題の解決のために、社会保険各支部の交流をはかり、当局との交渉を強化することが重要になっています。
<8-2> 4月から発足する新共済組合の運営審議会が昨年、2回開催されました。労働者側委員5人のうち、全厚生・社保共闘(=全国社会保険労働組合共闘会議)から山本書記次長が、委員として出席し、共済組合の民主的な運営を要求して力の限り奮闘しています。
<8-3> 12月11日に大阪府職労社会保険支部の仲間が、全厚生と大阪府職労との二重加盟を決定し、全厚生大阪支部を結成しました。社会保険では、10府県目となるものです。結成宣言では、「私たちは、『こんな社会保険職場でいいのか』との思いに応え、すべての社会保険に働く労働者とともに、要求で団結する労働組合の原点を堅持した全厚生大阪支部の発展に全力を尽くす」と結んでいます。全厚生は、大阪支部の結成を心より歓迎します。

(9)女性部、青年部の取り組み

<9-1> 女性部は、第4回総会を10月15日に38人の参加で実施しました。当日は、社会保険庁との懇談、昼休み人事院前要求行動への結集とあわせ、限られた時間を最大限に有効に活用した、1日行動として成功させました。総会は、この1年間の昇格改善、男女共通の労働時間規制、母性保護の充実、分煙・お茶くみ・セクハラ改善など、健康でいきいきと働き続ける職場環境づくりへの取り組みを、全国の仲間が報告し、お互いの成果を力に、99年度は男女共同参画社会基本法の制定を機に、真の男女平等をめざす運動を、具体的にかつ積極的に強く押し進めていくことを確認し合いました。
<9-2> 青年(対策)部は10月16〜17日に青年(対策)部長会議を開催しました。会議では、各支部の取り組みを交流し、今年2000年10月に神奈川で開催する全厚生青年交流集会を成功させるために、奮闘しあうことを確認しました。当日は、横浜緑区のジェット機墜落事件の被害者で米軍を相手に裁判闘争でたたかってきた椎場さんの講演、中華街での交流、横須賀米軍基地前での要請行動を成功させるなど、有意義な交流、取り組みになりました。

(10)職場を基礎とした取り組みの展開

<10-1> 各支部は、職場での地道な対話活動、懇談会に取り組みました。社会保険職場での分会活動を重視した対話の取り組み、階層別などで工夫した本省支部の対話活動の取り組みなど、貴重な活動です。労働組合の日常活動は、団結を強める基礎をつくります。支部や分会での不断の努力の積み重ねは、執行部と組合員、組合員相互の信頼関係を築きます。職場の切実な声、不満や怒りを、こうした活動の中で聞き出し、要求に練り上げていくことが重要です。
<10-2> 国公労連は12月16〜17日、「いま、国民の中へ、国民とともに」をスローガンに全国活動者会議を開催しました。21世紀にむけて、国民とともに、憲法の平和的・民主的原則にのっとり新しい「国づくり」をめざし奮闘する意思統一をおこないました。全厚生はこの集会に、8支部から15人(本部役員の参加を含む)が参加しました。今後、地域に足を踏み出していくためにも、地道な職場での活動を一層重視していくことが大切です。



Back  to HOME