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国公労連速報 2011年1月12日《No.2472》
労働基本権はたたかいで勝ち取ろう
――関東ブロックで労働基本権シンポひらく
     
 

 

 【関東ブロック国公発】
 関東ブロック国公は12月4日、東京国公、東京地評、東京春闘共闘会議と共催で、東京・日本青年館で「労働基本権問題を考えるシンポジウム」を開催し69名が参加しました。
 シンポジストとして専修大学法学部の晴山一穂教授、全日本金属情報機器労動組合(JMIU)の生熊茂実委員長、公務労組連絡会の黒田健司事務局長、自治労連の猿橋均書記長が参加し、進行役を関東ブロック国公の野仲徹事務局長が務めました。このシンポには、国公労働者43名ほか、地方公務員、教職員、地域の民間労働者も含めて参加。会場からの発言もあり、熱い論議を交わしました。以下、シンポジストの発言の一部要旨を紹介します。

 ■公務員の権利が保障されなければ、国民の権利も守れない【晴山教授】

 公務員制度の現段階だが、戦後の歴史の中でこの問題をとらえることが重要だ。憲法の制定から遠からず国公法が制定されたわけだが、憲法の規定を受けて国公法も制定され、そこに原点があることを確認したい。その中でも罷免権と全体の奉仕者の2つが法の原点だ。15条が大原則で、1項(国民の罷免権)と2項(全体の奉仕者)がセットになっている。国民主権あっての公務員ということだ。全体の奉仕者で一部の奉仕者ではないことは、天皇の官吏という戦後の教訓から生まれた。公正・中立は国際的な大原則であり、そのことを担保するのが身分保障だ。官と民の分離があって、天下りは原則禁止も。これらの原則には公正・中立の第3者機関が不可欠だ。
 公務員の権利保障の問題では、憲法上は21条1項の表現の自由と28条の労働基本権であり、3つの地位と権利がある。市民としての地位(市民的権利)、労働者としての地位(労働基本権)、公務担当者としての地位(職務上の権利)である。公務員だから制限という規定は憲法には一切ない。専門知識があり、専門にモノを言わなくてはならない。
 国公法は公務の民主的・能率的運営に資することが目的で、地公法は地方自治の本旨の実現が究極的な目的になっている。
 労働基本権の制限はじめ政治活動の大幅制限には刑事罰も規定され極めて抑圧的だ。あまり議論されないが職務命令への意見具申も奪われた。占領政策の転換でゆがんで制限が加えられた。それは強権的な歪みでありこれを取り除く必要がある。
 ここ10年の改革の動きは、戦後の原理をいかに壊すかであった。橋本行革以降、政治主導の公務員制度改革に大きく転換した。改革派官僚が大枠を決めてきたが、それには批判が強く頓挫した。2007年国公法改正は大きい。天下り禁止を撤廃し、職階制も廃止された。
 改革の内容は、「全体の奉仕者」から「時の政権に忠実な公務員」にすることにある。最大の特徴は、公務の公正・中立の否定である。成績主義を大きく崩してきた。身分保障の問題では社保庁の分限免職は重大問題。官と民の融合が強調され、天下りが公認された。それは戦後の原則からするとむしろ逆行だ。谷前総裁の攻防が象徴的だったが、人事院つぶしと機能の縮小が狙われている。なぜ労働基本権問題が出てきたか。運動の成果という面とILO勧告という力もあるが、それだけでなく混然としている。公務員制度改革基本法では、費用と便益を問題にするなど「権利制限に問題あり」という感覚ではない。公務員総人件費の削減等、さらに攻撃を強めるためにやろうとしている。生き生きと権利を保障されて働くことが必要だ。公務員自身がそうならなければ国民の権利も守れない。国民のための行政に必要なことだ。

 ■公務労働者の団結が問われる労働基本権問題【JMIU 生熊委員長】

 地域主権問題など、国民への影響を分かりやすく語らなければ運動にならないのではないか。公務員バッシングが社会的問題になっているが、国民と公務員が分断されている。なぜ、公務員攻撃が国民に受けるのか、全体で考えなくてはならない。私も悩んでいる。そしてなぜこの時期に労働基本権付与なのか。確かに運動や国際世論の反映もある。しかし、権力がかつて力で奪ったものなのになぜ戻すのか、それだけの運動がこちらにあったか。なにをやろうとしているのか。真剣に考えなくてはならない。いま国公労働者はストを打てるか。国公労働者は法律で縛られているからその枠内で考えがち。要求がありストライキを打つ。はじめに要求がある。法律的には制約があるが、基本は要求とたたかい。それに見合う法をつくらせることではないか。
 社保庁の大量解雇。あれは指名解雇ではないか。焦眉の課題だ。JALもそうだ。雇用を守ることは労働組合の生命線だ。JMIUはビラをまく。三池闘争も解雇4要件が当時あったわけではない。法律が先にあったわけではない。
 大量指名解雇時代が来ようとしている。そういう視点で考える必要がある。労働基本権の回復と同時に、雇用や賃金が大幅に奪われる危機にあるのではないか。そういう不安がある。JMIUは純粋民間だ。解雇や買いたたきなど不当なことが当たり前のように行われている。そういうときに団体交渉権は大きい。どういう団結をもつか、いつも問われている。背景にスト権がなければだめではないか。

 ■財界奉仕ではなく「全体の奉仕者」の公務員に【公務労組連 黒田事務局長】

 公務員制度改革闘争本部で10年近く運動を続けてきた。労使関係制度検討委員会には全労連か委員を出せなかったが、ヒアリングには参加してきた。改革の目的は全体の奉仕者の性格を財界奉仕に変える目的だ。
 給与法改悪に向けて通常国会に法案が出てくる。これは人事院勧告に基づかない賃下げは、明らかに憲法違反だ。11月24日に政府は争議権懇談会を立ち上げたが、使用者の対抗手段、違法な争議行為の防止などが検討されており注意が必要だ。人勧制度があった方がという意見が出てきている。凍結や値切りの歴史の上に最近では給与構造改革や比較企業規模、55歳以上の賃下げなど勧告制度が代償措置足り得たのかということを考えなくてはならない。
 オーストラリアに視察に行ってきたが、公務員にもスト権含めて労働基本権が認められている。当たり前の話だ。今後、職員団体制度の廃止、管理運営事項と交渉事項、第三者機関の問題などが出てくる。加えて人事院の役割を今後どう考えるか。勧告制度は廃止されても人事行政の中立公平のために役割は必要である。

 ■自治体労働者の権利問題は重要課題【自治労連 猿橋書記長】

 都道府県、政令指定都市、市町村など規模が様々ある。ややこしいのは交渉に応ずべき登録団体がいろいろあるということ。現業、臨時的任用職員、消防、警察などが地公法や公企法、労基法との谷間におかれていて、団結権なしなど適用法律がそれぞれ違う。
 代償措置の第三者機関については都道府県、政令指定都市では人事委員会があるが、仲裁、斡旋、調停等の機能がない。条例制定・改廃の意見の申し出の機能はもっているが、現状は自治体での人事委員会の機能強化など2006年勧告以降変化はあるが、事実上は労使交渉である。町や村では公平委員会がるが、これが不公平である。措置要求だけで、あそこから意見がありましたとか不利益に関わる審査で、拘束力はない。臨時職員は不服申し立ての権限すらない。国よりも代償措置は低いのが地方だ。当局の裁量権が大きい。
 革新自治体の時代は逆にその裁量権を使い、人事などでコネを使わせないなど民主的に行わせた。当時はある意味で労使協議制を確保していた。今は自治に乱暴に介入してくる。国と違う手当などがあるとなくさないと交付税に手をつけてくる。
 そういう中で権利問題が浮上してきている。当局も行政機関の改廃なども管理運営事項だとしてくる。また、役員メンバーに文句をつけ登録団体と認めないと言ってくる場合もある。三位一体改革以来、自治体の財政状況を理由にした賃金削減も激しい。


以上

 
 
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