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国公労新聞2011年11月10日号(第1359号)
 
 

◆憲法違反、人勧無視の暴挙
 人勧にもとづく賃金改定見送り 閣議決定に強く抗議

 政府は10月28日、今年度の人事院勧告の実施見送りを閣議決定しました。国家公務員給与を2013年度まで平均7・8%引き下げる「給与臨時特例法案の早期成立を期し、最大限の努力を行う」(官房長官談話)というものです。国公労連中央闘争委員会は同日、憲法違反、人勧無視の閣議決定への抗議声明(以下全文)を発表しました。

◇国公労連中闘が抗議声明

 政府は本日、2011年人事院勧告にもとづく賃金改定を見送り、6月3日に国会提出を強行した「国家公務員給与の臨時特例に関する法律案」(以下「賃下げ法案」)の早期成立をめざすことなどを閣議決定した。
 国公労連は、現行制度にもとづく人事院勧告を無視した政府による憲法違反の暴挙に断固抗議する。政府に対し、「賃下げ法案」の撤回を改めて強く求める。
 公務員労働者には、すべての労働者に保障されている労働基本権が憲法に反して不当に制限されており、その「代償措置」の一つが人事院勧告であると言われてきた。政府は「人事院勧告制度尊重」の立場を公言してきたにもかかわらず、今回、人事院勧告を無視したこと、さらに、現行制度にもとづかない「賃下げ法案」を強行しようとすることは「二重の憲法違反」である。
 しかも、3年度にわたって人事院勧告を無視することとなる賃下げ法案の違憲性は、「人事院勧告が将来への明確な展望を欠いたまま相当の期間にわたり完全に実施されないような状況に陥った場合には、実際上画餅に等しいとみられる状態になったもの」との判例からも明らかである。
 また、政府は「賃下げ法案が11年人事院勧告の内容及び趣旨を内包している」として、人事院勧告無視ではないと強弁しているが、全くの詭弁であり屁理屈をこねているにすぎない。
 国家公務員法第28条は、「勤務条件の基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない」と定めている。人事院勧告は、国家公務員の給与を、社会一般の情勢に適応させるべく行われるもので、勧告を超える引き下げが行えないことは法文上も明らかであり、「賃下げ法案」には何ら根拠がないことを逆に証明している。
 さらに、「賃下げ法案」提示の際の理由は、「国の厳しい財政事情」と「総人件費2割削減の政権公約」であり、ここにきて「震災への対処」を理由とすることは、憲法違反との批判をかわし、正当化しようとする姑息な態度と言わなければならない。
 歴代政権の政策にもとづく財政悪化の責任を公務員労働者に転嫁する「賃下げ法案」は、1、国家公務員総人件費2割削減には何の道理も根拠もないこと、2、625万人労働者に波及して経済をいっそう冷え込ませ、震災復興にも逆行すること、3、全国で行政を支え奮闘している公務員の士気を下げること、など重大な問題があることを重ねて指摘する。
 「賃下げ法案」は、大企業には減税する一方で、復興財源確保を口実とした庶民増税や「社会保障と税の一体改革」による国民負担増の押しつけ、TPP交渉参加など、国民生活破壊に向けた露払いであることは明らかであり、断じて認められない。
 国会では、第3次補正予算と一体での「賃下げ法案」の審議が想定される。国公労連は被災者本位の震災復興などの国民的課題とも結合させ、「賃下げ法案」の廃案をめざしていっそう広範な労働者・国民との共同を広げ、全力で奮闘するものである。


◆安心・安全に不可欠な 国の出先機関
 移譲・廃止の動きにストップを

 昨年12月、菅直人前内閣は「アクション・プラン〜出先機関の原則廃止に向けて〜」を閣議決定しました。政府は、7月に開いた「アクション・プラン」推進委員会と地域主権戦略会議において、9月に「中間とりまとめ」を行い、12月に移譲対象出先機関と移譲対象事務・権限を閣議決定する、とのスケジュールを確認しました。しかし、この計画は私たちの運動も反映して大きく遅れています。これに対する財界からの巻き返しも起こっています。いまこそ、職場と地域からの運動の強化が求められています。

◇震災で見直された役割
 遅れだした出先改革スケジュール

 関西広域連合と九州地方知事会は連携して、経済産業局と地方整備局、地方環境事務所の3機関を先行して丸ごと地方に移譲するよう求めています。
 「アクション・プラン」推進委員会は9月中に、この3機関の移譲対象事務・権限の範囲の整理、広域実施体制と人員移管の枠組みの確認、移譲対象出先機関検討の「中間とりまとめ」を行う予定でした。
 しかし、東日本大震災の影響もあり作業は遅れ、7月1日に開かれた推進委員会では、関係府省政務官等から、「地方に丸ごと移管したら、緊急時に国民の生命・財産をどう守るのか」、「出先機関の移管先に広域連合がふさわしいのか」、「市町村の意見をよく聞く必要がある」との意見が出されました。
 それは、東日本大震災など緊急時の国の出先機関の奮闘ぶりが国民に改めて認識され、国民の安心、安全にとっての役割が認識されるようになっているからです。
 10月7日の推進委員会では、内閣府地域主権戦略室が提出した「広域的実施体制の基本的枠組みに係る検討課題」(下記参照)についての議論が白熱し、「7月1日以前に戻ってしまった。進め方に不快感を持っている」、「いろんな意見が出てきて、事務方ではどうにもならない状況になった」など、紛糾する事態になりました。
 しかし、10月20日に開催された地域主権戦略会議で野田佳彦総理は、出先機関改革について、「この会議を機に川端地域主権推進担当大臣、政務三役中心に、お尻を叩いて進めたいと思っており、来年の通常国会には法案をだしていきたい」と発言し、法案化に前向きな姿勢を表明しました。
 背景には、「地域主権改革」の後退に危機感を抱いた財界の巻き返しがあることを見ておかなければなりません。

◇利益を求め財界が後押し
 関西広域連合でねらうもの…

 関西広域連合で、出先機関対策委員会の委員長をつとめてきた橋下前大阪府知事が代表を務める大阪維新の会は、「関西州への道筋」(大阪府自治制度研究会)を政策として掲げ、関西広域連合が「関西州」設立への過渡的な形であることを明らかにしています。
 こうした「関西州」設立の動きは、日本経団連が、道州制導入を「究極の構造改革」と表現しているとおり、財界主導で進められてきた規制緩和や民間開放などの「構造改革」路線に沿うものです。財界は、東日本大震災からの復興に向けた提言などでも道州制導入の推進を強く主張しています。
 関西経済連合会は今年5月、「関西版ポート・オーソリィティ(港湾の事業主体)構想」を発表しました。構想では、「国、地方公共団体から責任・権限と事務の移譲を受け」た関西広域連合が、一元的に広域交通・物流基盤を担い、「直轄事業でなく、民間事業者が事業運営を行う」「産学官共同で戦略、諸施策を立案する」ことを提言しています。
 出先機関廃止などによる公共サービスの削減と公務員の大リストラで、「パブリック・ビジネス」(官業の規制緩和は50兆円ビジネス)として営利追求の機会を増やすことを狙っているのです。

◇生存権保障の責任を
 国と自治体の二重の保護でこそ

 野田政権に交代後、マスコミは、一斉に「地域主権改革に後ろ向き」などと批判し、出先機関改革の推進を求めました。肥大化した省庁縦割り型組織の弊害や、二重行政のムダと非効率などを指摘し、「出先の地方移管が必要」とするものです。
 しかし、東日本大震災での被災者救援や道路復旧などでの出先機関の役割は関係自治体も評価しています。出先機関の拡充の声を「既得権擁護」として批判することは的外れです。
 また、この間の定員削減で、出先機関には縮小と統廃合が押しつけられ、行政サービスに支障を来している実態は黙殺しています。
 河川や道路は、地方も管理しているので「二重行政」と批判します。しかし、国の管理は、河川については一級河川の国土保全や国民経済で特に重要な区域であり、道路については幹線道路に限られています。多くの市町村が国の直接実施を求めていることからも、こうした批判は論外です。
 橋下前大阪府知事や上田埼玉県知事などは、ハローワークの丸ごと移管を求めています。地方も職業紹介事業を行っていますが、若年者などごく一部で、実施は人材会社に民間委託がほとんどです。地方移管すれば、ハローワークと福祉の一体化ができると強調しますが、生活保護費の削減が狙いです。
 いま、義援金などを口実にした被災地の一部自治体での生活保護の打ち切りが問題になっていますが、実施機関が知事や市町村長であることと、自治体財政による負担に起因しているものです。
 生存権や基本的人権を保障する国の責任を、「地域主権改革」によって地方に丸投げしては国民の命は守れません。
 国と自治体による二重の保護こそが必要ではないでしょうか。

【関西広域連合とは】
 2010年12月1日、大阪、兵庫、京都、滋賀、和歌山、徳島、鳥取の7府県で発足(連合長は井戸兵庫県知事)。奈良県は不参加。関西広域連合議会があり、定数は20人。それぞれ府県の議会で当該議員から選挙される。

【九州地方知事会とは】
 広域九州地方の9県(山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)の各知事で構成。経済界と一体となって九州地域戦略会議でのとりくみを進めている。

◇意見書採択などねばり強く
 秋年末のとりくみがカギに

 閣議決定と法案提出を断念させるたたかいは、来年3月までが大きな山場となり、この秋から年末にかけてのとりくみがカギをにぎります。
 国公労連の秋季年末闘争方針で確認した、1、行政関連の業界団体や商工団体、市民団体などへの出先機関廃止・地方移譲反対の賛同署名(団体・個人)、2、出先機関が所在する地方議会の過半数で意見書採択、3、全国会議員への直接要請、4、政府など使用者責任の追及、5、世論構築の新聞投書活動等、6、共同で市民対話集会や行政相談活動などのとりくみをやりきることが求められています。とくに、地方議会での意見書採択は重要です。
 国土交通労働組合の九州建設支部では12月議会に向けてすべての地方議会議員と懇談するとりくみをすすめています。近畿建設支部でも沿川・沿道市町村の首長要請、駅頭街頭宣伝行動などのとりくみを全分会で展開しています。


◆「構造改革」型の復興を批判
 【全労連】「地域主権改革」シンポひらく

 全労連は10月30日、都内で「地域主権改革」を考えるシンポジウムを開催し、130人が参加しました。
 コーディネーターを渡辺治氏(一橋大学名誉教授)がつとめ、シンポジストとして碇川豊氏(岩手県大槌町長)、綱島不二雄氏(復旧・復興支援みやぎ県民センター代表世話人、元山形大学教授)、尾林芳匡氏(弁護士、自由法曹団)が行いました。
 碇川氏は、「住民参加の復興計画づくりをすすめている。『地域主権改革』は議論が深まらないなかですすめられているのでは」と疑問を述べ、綱島氏は「震災では住民に即した対策が行われずに、『構造改革』型の復興が推進されている」と被災地の実態を明らかにし、尾林氏は「公務・公共サービスの拡充こそが住民を幸せにする」と述べました。
 フロア発言では、「地域主権改革」による様々な問題点が国土交通労組、全労働など各分野の代表から報告されました。
 渡辺氏はまとめで、「社会保障など行政に求められていることは、国と地方自治体が重層的な責務を共同して担うことであり、分担論ではない。本日のシンポジウムの発言で、運動の方向性と共同の必要性が確認できた」と述べました。


◆「共存できない命と原発」
 「なくせ!原発」福島大集会に1万人

 「なくせ!原発 安心して住み続けられる福島を! 10・30大集会インふくしま」が10月30日、福島市の「四季の里」で開かれました。集団呼びかけ人と団体、個人などでつくる実行委員会が主催した集会には1万人が参加がしました。
 福島県農協中央会の庄條徳一氏、浪江町長の馬場有氏、飯舘村長の菅野典雄氏、福島県前知事の佐藤栄佐久氏、日本共産党委員長の志位和夫氏らがあいさつしました。
 集会参加者は「ふくしまに生き、明日につなぐ」と題したアピールを採択。
 集会後、「なくせ原発」「徹底した除染を急げ」「ふるさとを返せ」「全面賠償を行え」などとシュプレヒコールをしながらパレードをしました。


◆人勧尊重"憲法上の課題"
 人事院総裁"遺憾"表明

 政府が今年の人事院勧告を見送ることを閣議で決定したことに関して人事院の江利川穀総裁は10月28日、「人事院勧告と給与臨時特例法案は、趣旨・目的を全く異にするもの」であり、「国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告は完全実施するとともに、給与臨時特例法案については別の問題として検討されるべき」との談話を発表しました。
 談話では、「国家公務員給与の改定に当たり人事院勧告を尊重することは、憲法上の責務というべきもの」とし、「現行の憲法及び国家公務員法の体系の下で人事院勧告を実施しないことは、極めて遺憾」と表明。
 さらに「一部の職員団体との合意を重視し、多くの国家公務員の理解を得るための手続は採られておりません」と批判しています。

◇"適切な対応"
 連合事務局長談話

 特例法早期成立、人勧見送りの閣議決定に対し
 連合の南雲弘行事務局長は10月28日、政府が給与臨時特例法案の早期成立を期して、人勧見送りの閣議決定を行ったことに対し、「この間の連合の要請に沿うものであり、適切な対応」とする談話を発表しました。 
 談話は、「政府・与党がリーダーシップを発揮し、良識ある判断を行ったことは評価できる」とし、「連合は、引き続き、政府及び与野党に対し、給与臨時特例法案と国家公務員制度改革関連4法案の速やかな成立にむけ働きかけていく」ことを表明しています。


◆未来開く 全国青年大集会4800人

 「若者の使い捨て労働はやめろ」などの要求をかかげ、貧困と格差に反対した全国青年大集会2011が10月23日に東京・明治公園でひらかれ、全国から約4800人の青年が参加しました。


◆独法労組代表者会議ひらく

 独法労組代表者会議が10月22日に都内で開かれました。賃金改善をはじめとした要求書の提出や独立行政法人見直しに対する国会対策、組織拡大などの秋闘方針について意思統一を行いました。 


 
 
 
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