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談話
 国民的要求にそむく公務・公共サービスの解体・民営化は許されない
 改正PFI法の成立にあたって(談話)
     
 

 

2011年5月25日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

 改正PFI法案(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案)が、4月1日の国会への提出以降、東日本大震災に係る法案の合間をぬって審議され、5月24日の衆議院本会議で日本共産党と社会民主党を除く与野党の賛成により可決・成立した。PFIは国民の生命と暮らしを守る公務・公共サービスを解体・民営化し、経済的利益追及の手段に変質させるものである。国公労連は、その対象を拡大し推進体制を強化する法改正に断固抗議するとともに、東日本大震災からの復興とも合わせて法施行の凍結と公務・公共サービスの拡充を求めるものである。

 PFI法は、公共施設の設計・建設・管理運営を一体的に民間事業者に委ねる制度として、公的な財政負担を軽減しサービスを向上させるとの政財界主張のもと、1999年に制定された。今回の改正は、(1)対象施設の拡大、(2)民間事業者による提案制度の導入、(3)コンセッション方式の導入、(4)民間事業者への公務員の派遣等についての配慮、(5)民間資金等活用事業推進会議の創設、を主な内容としている。  対象施設の拡大については、従来の「公営住宅」を「賃貸住宅」に改め、公営住宅法にもとづく住宅困窮者向け住宅のみならず、富裕層向けの高級賃貸住宅にまで公的資金の投入を可能としている。さらに、船舶や航空機、人工衛星など、およそ公共施設とはかけ離れた機器の製造にまで拡大している。くわえて、民間事業者からの提案制度の導入により、対象事業の選定を行政主導から民間事業者主導へと転換し、経済的利益追求の機会の増加が狙われている。

 公共施設等の運営権を民間事業者に与えるコンセッション方式の導入は、経済的利益の追求姿勢を強め、サービス水準の低下や利用料の値上げなどが危惧される。また、庁舎や医療施設などに限定されていた運営権の対象が、道路や河川、港湾や空港、上下水道や工業用水道など、インフラの整備・管理を担う行政の職場にまで拡大する道が開かれた。あわせて、即戦力となる労働者を確保するため、公務員を民間事業者に派遣するなどの人的援助の努力義務も規定された。これが現実になると、不採算地域でのインフラの劣化が進むなど、地域間格差や住めない地域が拡大する危険がある。また、公務労働者が一方的に民間労働者へと転換され、その仮定で分限免職が強行されるおそれもある。

 これまで300を超すPFI事業が実施され、高知医療センターや近江八幡市立総合医療センターなどで運営破綻が次々と発生したにもかかわらず、PFIの有効性がまともに検証されないまま今回の法改正はなされた。一方、日本経団連は「震災復興に向けた緊急提言」(3月31日)で「新しい地域と街づくり」として「復興特区やPFI手法の大胆な活用」を提唱し、経済同友会は「東日本大震災からの復興についての考え方」(4月30日)で「復興計画の具体化に向けて」として「特区制度やPPP/PFIの活用」を提起するなど、財界本位の震災復興を進めるためにPFIの活用を狙っている。くわえて、政府が東日本大震災からの復興に際しPFI事業を積極的に行っていく方針を決めたとの報道もある。

 大震災からの復興にあたって最も重要なことは、被災者本位の生活再建、住民本位の被災地復興であり、公務・公共サービスの拡充による役割発揮が不可欠である。大震災を巧みに利用した財界本位の復興やPFIの推進など、新自由主義による「構造改革」を加速させることは許されない。  国公労連は、改正PFI法の施行による公務・公共サービスの解体・民営化を許さないために広範な労働組合、国民と共同して奮闘するものである。同時に、生存権などの国民の基本的人権を保障する憲法を真正面に据え、その実現のために必要な公務・公共サービスの拡充と国民本位の民主的な行財政・司法を確立するために力を尽くすものである。


以上


 
 
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