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国公労連速報 2010年11月15日《No.2439》
 雇用・能力開発機構の廃止法案が衆議院で可決
 補正予算案審議中異例の厚生労働委員会開催、審議わずか3時間余で
     
 

 

 2010年11月12日、衆議院において補正予算案審議中では異例の厚生労働委員会が開催され、職員の雇用を承継しない規定などを盛り込んだ「独立行政法人雇用・能力開発機構を廃止する法律案」をわずか3時間余の審議で、賛成多数(【賛成】民主、自民、公明、【反対】共産、社民、みんな)で可決しました。

 質問には民主2名、自民3名、公明、共産、社民各1名が立ちました。(主な質疑答弁は以下のとおり)
【宮崎岳志議員(民主)】 「行政のスリム化が目的のひとつだが、吸収側は増員となる。都道府県の雇用開発協会が行っていた業務の統合によるコスト削減効果は?」「新法人(独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構)」の名称が長い」
《小林政務官》「雇用開発協会全体301名の業務を吸収後は108名体制で実施し、その人員は他の業務従事者の配置換えで確保する」「名称についてはわかりやすい略称を考えたい」
【山崎摩耶議員(民主)】 「地域職業訓練センターの存続を求める声が大きい。全国82カ所のうち80カ所は無償譲渡か?」「大規模修繕への国の費用負担はどうなる?」
《小林政務官》 「無償譲渡は82ヵ所中80ヵ所」「譲渡後の負担が大きくなるとの声があることは承知している。譲渡前に必要な修繕を行い、平成23年度から一定期間は激変緩和措置をとる。その後も一定の補助はしていく」
【加藤勝信議員(自民)】 「今回の廃止・移譲・吸収は、独法改革として掲げた廃止も含む抜本見直の結果、当面存続させるということか?」「新法人に求職者支援制度の機能を担わせるとのことだが制度について何も示されず議論にならない」
《小池副大臣》 「2度の事業仕分けや省内仕分けにより、予算・人員とも効率化を図っている」
《細川大臣》 「職業訓練は国の責任でしっかりやらねばならない。質の高い訓練を行うよう変えていく。求職者支援制度については今回の廃止法案の考え方からはずし、改めて提案・審議いただく」
【木村太郎議員(自民)】 「自公政権時に、利用率の目標を達成している施設は引き続き国の責任で運営する旨を通達していたが、青森、八戸、五所川原などの目標達成施設も含め全国一律一刀両断としているのは何故か?」「自治体以上措置の中で1/3より高率とされている内容の具体は?3年経過後、利用率の高い施設は国の責任で運営することはあり得るか?」
《細川大臣》 「もともとは地方自治体に運営を委ねていた施設。独法をとりまく環境が厳しいなか、業務・予算のスリム化が求められており、目標達成如何に係わらず対象とした」「高率の内容は3年間全額国費負担。3年経過後は補助金での支援などはあり得るが、国の責任で運営することはない」
【あべ俊子議員(自民)】 「新機構に就職できなかった職員については、十分に対応してほしい」
《細川大臣》 「雇用のセーフティネット、ものづくり技術の向上は国の責任でしっかりやらねばならない。そこの職員が職を失う事になってはならない」
【古谷範子議員(公明)】 「特別会計の事業仕分けでジョブカードが廃止と判定された、『新成長戦略』と矛盾する」「能開機構の事業を地方に移管することで地域間格差が生じてはならない。運営費補助の引き上げが必要」
《細川大臣》 「ジョブカードは重要。廃止の意味は、宣伝・啓発事業のムダを指摘したもの」
《小林政務官》 「訓練指導員も一体として移管されることが適当。国立病院の地方移譲を参考に、必要な条件整備がされている。」
【高橋千鶴子議員(共産)】 「憲法27条やILO142号条約・195号勧告に照らしても職業訓練は国の責任で行うべき。日本の職業訓練への国費支出はGDP比でドイツの1/10、フランスの1/8」「移譲の際の条件としている機能維持とは、今の職業訓練の内容が維持されるということか?」「2年間の特例措置後はどのような財政支援を行うのか?都道府県で存続できない場合は国が引き取るのか?」「機構解散に際して労働契約を維持しないのは初めてのケースだが、なぜそのようにするのか?実質的に不利益変更は生じさせないということでよいか」
《細川大臣》 「機構は廃止するが、職業訓練は引き続き国が責任をもってあたっていく」
《小林政務官》 「機能維持の要件は従前の科目・定員を充足することで、基本的には現在の職業訓練の内容が維持されると考えている」「特例措置後は現行の都道府県大学校と同様に5割補助。都道府県で存続できないことがないようにとりくむ」「労働契約を維持しないのは非公務員型独法では初めてのケースだと承知している。組織を抜本的に見直し、解体的な出直しを行う趣旨から採用方式とした。実質的な不利益変更は極力生じさせないようにする」
【阿部知子議員(社民)】 「在職者の職業訓練もますます重要。新法人の名称は求職者に矮小化しており不適当」「法案の第14条第4項(大学校の機能を真に高度なものに限定)は問題。あらゆる人に門戸を開かねばならない」「雇用問題を生じさせないことは『できる限り』ではなく『原則』とされたい」
《小林政務官》 「在職者の能力開発も大事だと認識しているが、主たる対象は求職者」「大学校の機能はさらに充実を図る。4年制は高卒者年間120人に限定し、民間経験者は1ヵ月〜2年間のカリキュラムで年間200人、これまで年間1,600人だった再訓練は段階的に5,000人まで増やす」
《細川大臣》 「意欲・能力のある職員に問題が生じないよう最大限に努力する」 【柿澤未途議員(みんな)】「昨年11月の事業仕分けの結果は法案にどう活かされたのか?」「ポリテクセンター移譲の進捗状況は?」
《細川大臣》 「廃止も含め見直すとの仕分け結果に基づき、徹底的にスリム化したうえで新法人に移行」
《小林政務官》 「ポリテクセンターの移譲は本法案成立後につめるが、現時点では14都道府県より受入意向が示されている」

 その後、民主党の賛成討論、共産党と社民党の反対討論を経て採決に移り、民主、自民、公明各党の賛成で法案が可決されました。また、民主、自民、公明から「職業訓練の必要性が高まっているなか、能力開発に国が責任を持つこと。意欲・能力のある職員が就職できるよう努力すること等」の付帯決議が出され、民主・自民・公明の賛成で可決されました。
 国公労連と特殊法人労連は今回の審議に先立ち、11月11日に厚生労働省に対して「独立行政法人雇用・能力開発機構を廃止する法律案要綱」に関する要請書(団体署名)」996団体分(累計)を提出しました。

以上

 
 
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