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国公労連速報 2010年7月15日《No.2387》
 ナショナルミニマムの確保は国の責任・地方出先機関は不可欠
 −「地域主権改革」関係で民主党へ要請 −
     
 

 

 国公労連本部は関係各単組とともに「総対話MAP運動2010」のとりくみとして、「地域主権改革」にかかわる民主党への要請を行いました。今後も各政党をはじめ「地域主権改革」関係法案を審議中の衆議院総務委員会の理事などへの要請を追求します。

 民主党への要請は、7月14日13時から30分間行い、政策調査会長代理を務める城島光力衆議院議員が応対しました。国公労連の川村副委員長を責任者に、国公労連の高木中執と全法務、全経済、全運輸、全通信、全建労、全労働の代表の総勢8名が参加しました。
 冒頭、国公労連の川村副委員長から、地方出先機関ではたらく組合員が多いことと国公労連の紹介につづき、要請書(別添)に沿って「地域主権改革」は国が果たさなければならない本来の責任と役割を地域住民の自己責任や地域の責任に置き換えるものだと指摘。国民のナショナルミニマム保障は国の責任であり、そのために地方出先機関が設置されていることを主張しました。また、厚生労働大臣のもとに設置されたナショナルミニマム研究会の中間報告でも、「国の定めるナショナルミニマムは地方自治体の判断で下回ることのできない最低基準」であり、「国はナショナルミニマムの維持に常に注意を払うことで、国民の信頼を高めていくことを期待する」と結ばれていることを紹介し、国公労連の考え方の正当性を訴えました。

 各単組が慎重な検討を求める

 つづいて、地域主権戦略大綱に示された「国の出先機関の原則廃止」について、各単組から慎重な検討を求めました。
 「交通量が多い基幹的な国道、周辺資産や水利用が大きい河川の維持管理を国の責任として地方整備局が担っている。防災対策や公共構造物の老朽化対策など大きな課題について地域は国の責任で行うことを望んでおり、地方整備局のあり方は慎重に検討して欲しい」(全建労)、「経済産業局は大まかに地域経済振興と規制行政を担っている。不況脱出に向けた対応が求められているなか、地域経済振興のため全国的規模で一体的な産業政策の実行が望まれており、経済産業局の人材と知恵を生かし国の責任を果たす必要がある」(全経済)、「交通運輸行政の根幹は『安全』であり、交通対策基本法検討会が開催されているように移動にかかわる国民の権利保障も極めて重要な課題となっている。こうした国の責任を果たすには中央と地方の一体性が極めて重要であり、地方運輸局の見直しはこうした視点を忘れずに臨んで欲しい」(全運輸)、「財産確定のための地籍整備をはじめ権利関係の公示や取引の安全は国が保障する信用制度。不動産登記法第14条に基づく地図作成では、法務局による実施を地域住民や自治体から喜ばれている。登記制度の運営など法務局の事務は国が責任を持つべき」(全法務)、「総合通信局は、情報化の推進をはじめ混信回避の監督や違法電波の監視など、地域の実情に応じながら総合的な情報通信行政を行っている。こうした事務・事業は、全国的な調整や国際的なルールのもと統一された規律で公平に運用する必要があり、国の責任で担うべき」(全通信)、「仕事に就きたい人の約半分が無職の状況で、昨年は全国で約114万件の総合相談に対応した。ハローワークが担う勤労権の保障や労基署が担う最低労働条件の確保は国の重要な責務であり、労働行政のあり方は憲法やILO条約も踏まえて検討して欲しい。検討にあたっては労政審等の機関に諮るなど、労働者と使用者、専門家の全ての意見を聴いて進めて欲しい」(全労働)など、国の出先機関が各地方で果たしている役割や、今後も国の責任で担う必要性を訴えました。

 意見・要望の基本的なことは党内で論議、政府にも伝える

 これに対し城島議員は、「個別の発言も含め要請のポイントはメモした。基本的なことは党内で論議もするし政府にも伝える」、「『地域主権改革』は大きい流れとして進めているが、『国民のため』がベース」、「『国民主権』実現のためのゼロベースからの見直しの一環であり、この目的が阻害されるようなことは論外」、「私、そして党としても国民にとってプラスになるのかどうかを見極めながら進めていく」と述べました。
 最後に、国公労連から「地域主権改革」担当の政務三役との協議などの場を設けるよう要請し、城島議員はその旨政府に伝えると答えました。


〈別添〉

2010年7月14日

民主党
 代表 菅直人 殿
 政策調査会長 玄葉光一郎 殿
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
中央執行委員長 宮垣 忠

「地域主権改革」に関する要請

 政府は、義務付け・枠付けの見直しと基礎自治体への権限移譲を行うこと、「ひも付き」補助金を廃止して一括交付金化を図ること、国の出先機関の原則廃止などを柱とする地域主権戦略大綱を6月22日に閣議決定しました。
 しかし、先の通常国会における地域主権改革関連法案の審議において、児童福祉法や公営住宅法などに係わる義務付け・枠付けの見直しが、基本的人権や生存権をも危うくするものであることが指摘されています。また、「ひも付き」補助金の廃止と一括交付金化は、社会保障や教育など国の責任で確保すべき予算が統合され使途の自由度が拡大されることから、優先度や緊急度など地方自治体の判断如何により国民に対するナショナルミニマムが確実に保障されないことが懸念されます。
 国の出先機関については、5月下旬に開催された「公開討議」においても、全国知事会の「国の出先機関原則廃止プロジェクトチーム」の中間報告をもとに国の権限移譲ありきの議論であり、国と地方の適切な責任分担に関する議論は十分に行われていません。
 貧困の深刻化や格差の拡大など、国民のくらしや地域が危機に直面しているにも係わらず、基本的人権や生存権などを保障する国の責任をあいまいにする「地域主権改革」には、看過できない問題があると考えています。
 貴職におかれましては、以上の考えにご理解をいただき、下記事項の実現に向けてご尽力いただくとともに、今後も国公労連との懇談・意見交換の場を設けていただくよう要請します。


 1.義務付け・枠付けや国庫補助負担金の見直しにあたっては国の責任を明確にしてください
 (1)基本的人権や生存権の保障に係わる規制は緩和・撤廃しないでください
 (2)社会保障や教育条件などナショナルミニマムの確保は国の責任で確実に行ってください

 2.国の出先機関は原則廃止を前提としないででください
 (1)出先機関が地方で果たしている役割を十分に検証してください
 (2)職員の身分・労働条件に影響を及ぼすことから、慎重かつていねいな議論を行うとともに、国が雇用に責任を持つようにしてください
 (3)政府が当事者たる国公労連と誠意ある交渉・協議を行うようにしてください

以上

 
 
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