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国公労連速報 2010年6月15日《No.2366》
 国の責任で国民の生存権保障を
 「地域主権戦略大綱」にかかわって戦略会議に申し入れ
     
 

 

   鳩山前内閣が「地域主権改革」をかかげ、昨年11月には内閣総理大臣を議長とする地域主権戦略会議が内閣府に設置されました。地域主権戦略会議では、10年夏に「地域主権戦略大綱」を決定し、13年には「地域主権推進大綱」を決定するとした「工程表(案)」(原口プラン)が示され、この間の議論がすすめられてきました。
 こうしたもと、公務労組連絡会と国公労連は10日、政府が決定しようとしている「地域主権戦略大綱」にかかわって、地域主権戦略会議に対する申し入れをおこないました。

 住民が主権者として参加できる自治体こそ求められる

 地域主権戦略会議への申し入れには、公務労組連絡会からは、野村副議長(自治労連委員長、道州制・地方分権対策委員会委員長)を先頭に、秋山事務局次長、道州制・地方分権対策委員会の小峰(自治労連中執)、磯崎(全教書記次長)、瀬谷(国公労連中執)の各委員が参加し、内閣府地域主権戦略室の吉田参事官が対応しました。
 申し入れにあたり、野村副議長は、「自公政権時代の『地方分権改革』から『地域主権改革』へと変わったが、住民が主権者として参加できる自治体をつくることが求められる。そのためにも、憲法が保障する国民の生存権を守ることができる改革とすべきだ」と求めました。
 秋山事務局次長が公務労組連絡会と国公労連からの申し入れの内容(別掲「申入書」)について説明し、とくに、基本的人権の保障は国の責任であることから、生存権にかかわる規制の強化と社会保障や教育条件の整備を求めました。また、「義務付け・枠付け」や国庫補助金の見直しにあたっては、国の責任を明確にすること、出先機関改革では、地方移管や廃止を前提にしないよう求めました。あわせて、国土交通共闘、全法務、全経済が独自に作成した申入書と、国公労連及び関係各単組が対話・宣伝などのために作成した資料を提出しました。
 磯崎委員は、「少人数学級の実現がめざされているが、国の財政措置が欠かせない。地方が自由に使えるということが教育の拡充につながるか疑問だ」と指摘しました。
 小峰委員は、自治労連が独自に作成したパンフレットを提出して「国の責任放棄があってはならない」と述べました。
 これらに対し、吉田参事官は「申し入れはうけたまわった。いただいた要請の内容については、逢坂誠二総理補佐官(地域主権担当・衆議院議員)を通じて、地域主権戦略会議に伝えていく」とのべました。
 なお、首相が交代したこともあり、6月14日開催で予定されていた地域主権戦略会議は延期され、「地域主権戦略大綱」決定の時期も現時点では未定となっています。



【別掲:申入書】

2010年6月10日
内閣総理大臣(地域主権戦略会議議長) 菅 直人 殿
内閣府特命担当大臣(地域主権推進) 原口一博 殿
公務労組連絡会
議長 山口 隆
地域主権戦略大綱の検討に対する申し入れ

 地域主権戦略会議は、義務付け・枠付けの見直しに係る計画や「ひも付き」補助金の廃止と一括交付金化、国の出先機関改革の基本的な考え方を柱とする地域主権戦略大綱をこの6月にも策定するとしています。
 しかし、義務付け・枠付けの見直しについては、今国会における地域主権改革関連法案の審議において児童福祉法や公営住宅法などに係わる指摘があるとおり、基本的人権や生存権を保障する規制までをも廃止しようとしています。
 また、「ひも付き」補助金の廃止と一括交付金化では、社会保障や教育など国の責任で確実に確保すべき予算項目までをも統合することが検討されています。
 さらに、国の出先機関改革は、国と地方との責任分担の現状や将来的なあり方について十分な検討がないまま、進められようとしています。
 貧困の深刻化や生活格差の拡大など、国民のくらしや地域が危機に直面しているときにも係わらず、基本的人権や生存権などを保障する国の責任を放棄する「地域主権改革」を進めることは、断じて許されるものではありません。
 つきましては、地域主権戦略大綱の策定に向け下記事項を申し入れ、真摯に対応するよう求めます。

1.地域主権戦略大綱を拙速に策定しないこと。

2.基本的人権や生存権などは国の責任で保障し拡充すること。
 (1)基本的人権や生存権の保障に係わる規制を強化すること。
 (2)共通して国民に保障されるべき社会保障や教育条件については国の責任で確保すること。

3.公務労組連絡会との誠意ある交渉・協議を行うこと。

以上


【別掲:申入書】

2010年6月10日
内閣総理大臣(地域主権戦略会議議長)菅 直人 殿
内閣府特命担当大臣(地域主権推進) 原口一博 殿
日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)
中央執行委員長 宮垣 忠
地域主権戦略大綱の検討に対する申し入れ

 地域主権戦略会議は、義務付け・枠付けの見直しと基礎自治体への権限移譲を行うこと、「ひも付き」補助金を廃止して一括交付金化を図ること、国の出先機関改革の基本的な考え方を示すことなどを柱とする地域主権戦略大綱をこの6月にも策定するとしています。
 しかし、今国会における地域主権改革関連法案の審議において、児童福祉法や公営住宅法などに係わる義務付け・枠付けの見直しが、基本的人権や生存権をも危うくするものであることが指摘されています。また、「ひも付き」補助金の廃止と一括交付金化は、社会保障や教育など国の責任で確保すべき予算の統合となり、国民に対するナショナルミニマムが確実に保障されるのか懸念されます。
 国の出先機関改革では、5月下旬に開催された「公開討議」においても、全国知事会の「国の出先機関原則廃止プロジェクトチーム」の中間報告をもとに国の権限移譲ありきの議論であり、国と地方の適切な役割分担に関する議論は十分に行われていません。
 貧困の深刻化や格差の拡大など、国民のくらしや地域が危機に直面しているにも係わらず、基本的人権や生存権などを保障する国の責任をあいまいにする「地域主権改革」には、看過できない問題があると考えています。
 つきましては、下記事項について申し入れますので誠意ある対応を要請します。

1.地域主権戦略大綱の拙速な策定は行わないこと。

2.義務付け・枠付けや国庫補助負担金の見直しにあたっては国の責任を明確にすること。
 (1)基本的人権や生存権の保障に係わる規制は緩和・撤廃しないこと。
 (2)社会保障や教育条件などナショナルミニマムの確保は国の責任で確実に行うこと。
 (3)社会保障等の地方自治に支障が生じないよう必要な財源を保障すること。

3.国の出先機関改革にあたっては地方移管や廃止を前提としないこと。
 (1)出先機関が地方で果たしている役割を十分に検証すること。
 (2)職員の身分・労働条件に影響が及ぶ場合は、慎重かつていねいな議論を行うとともに、国が雇用に責任を持つこと。
 (3)当事者たる国公労連との誠意ある交渉・協議を行うこと。

以上

 
 
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