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談話
 国の出先機関の受け皿とはなり得ない広域連合
 ――関西広域連合の発足にあたって(談話)
     
 

 

2010年12月1日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

 本日、総務省は7府県の知事から総務大臣に許可申請のあった関西広域連合の設置について、地方自治法第284条第3項の規定に基づき、申請のとおり許可したことを発表した。「関西広域連合」は、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県及び徳島県で構成され、実施する事務は、@広域防災、A広域観光・文化振興、B広域産業振興、C広域医療、D広域環境保全、E資格試験・免許等、F広域職員研修とされている。また、総務大臣の設置許可を受け、12月4日には初会合が開かれ、連合長、副連合長の選出や内部規定の調整、関連条例案などが議論される予定となっている。

 京都府議会では、関西広域連合への参加を議決したものの、8項目に及ぶ付帯決議をつけている。また、徳島県議会でも3項目の附帯決議が議決された。両議会に共通して「道州制への転化」「一極集中への懸念」が表明されているが、大阪の橋下知事や関西経済団体連合会は、道州制へのステップと考えており、関西広域連合に参加しない奈良県の荒井知事が「組織いじりはなかなかうまくいかない、もめるだけ」と指摘しているとおり、多くの問題を孕んでいる。

 第一に、大阪市、神戸市、京都市など府県と同じ程度の権限を持つ政令市が参加していないことである。加えて、国の出先機関の受け皿になるとしているが、奈良県の不参加や鳥取県と徳島県の参加など、国の出先機関の管轄区域と整合性が全くない。
 第二に、住民の意見が反映されない組織であるということである。関西広域連合に議会を設けるとしているが、各府県議会から選出されたわずか20人の議員で、住民の意見がどうやって反映されるのか。主権者たる国民・住民のガバナンスが働くとは思われない。
 第三に、広域連合協議会に経済団体の代表が参加することである。これでは経済団体の意向が強く働くこととなり、インフラ整備など大規模開発・産業振興に重点が置かれ、医療などの社会保障は非効率なものとして集約されることとなり、周辺部の衰退が進みかねない。また、道州制への移行をめざすあからさまな動きが表面化することは間違いない。

 政府は、11月29日の地域主権戦略会議で、「一の都道府県内でおおむね完結する事務・権限、例えば一級河川が一つの県内で完結する場合等は都道府県へ移譲し、複数の都道府県にまたがるものでも、特区制度等により移譲する方向で進める」ことを確認し、地域主権戦略大綱に基づき年内にも国の出先機関に関する「アクションプラン」を作成することとしている。国の出先機関は、地方・地域で国民の安心・安全を確保し、国民だれもが等しく享受できる住民生活に不可欠な行政サービスを全国で提供する重要な役割を果たしている。出先機関の原則廃止や事務・権限の移譲は、全国一律に平等、公正、継続性をもって提供されてきた必要不可欠な行政サービスが後退する恐れがある。そのことは、基本的人権の侵害に繋がりかねない。

 国公労連は、国民の生存権を担保する権利としてのナショナルミニマムに対する国の責任放棄を許さず、憲法をくらしと行政にいかすため、「地域主権改革」がもたらす問題を広範な国民・地方自治体と共有しながら、国民本位の民主的な行財政・司法の確立にむけて奮闘するものである。

以上



 
 
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