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談話
 〈書記長談話〉
 失業率が高く就職困難な時期こそ、公的職業訓練の存続・充実は国の責任
 ――独立行政法人雇用・能力開発機構廃止法案の閣議決定にあたって
     
 

 

2010年10月13日
国公労連書記長 岡部勘市

 菅内閣は10月12日、独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案を閣議決定した。雇用・能力開発機構の廃止は、労働者の雇用確保にかかわって看過できない重大な問題を含んでいることを指摘せざるを得ない。

 第一に、雇用・能力開発機構の廃止に伴い、同機構が運営している職業能力開発大学校(全国10箇所)、職業能力開発促進センター(全国61箇所)などの職業訓練施設が都道府県等に移管されるなどにより、職業訓練・能力開発における国の責任が放棄されることである。
 高い失業率、就職難等雇用をめぐる状況は、2008年のリーマンショック以降一段と厳しくなってきている。失業しても再就職を可能とするには、職業訓練によってスキルアップすることが必須であり、公的職業紹介と公的職業訓練・能力開発が雇用の下支えとしてますます重要となっている。「雇用のセーフティネット」再強化のためにも、中心的な役割を果たすべき職業訓練・能力開発機能を拡充することが求められている。

 第二に、雇用・能力開発機構が運営している職業能力開発大学校や職業能力開発促進センター、地域職業訓練センター等を地方自治体に移管することは、地方の財政負担に拍車をかけることになる。2年間は国からの運営費補助があるが、それ以降は地方自治体が全額負担することとなる。地域における職業訓練・能力開発事業の必要性や重要性は認識しつつも、地域間格差が拡大することが危惧される。富山県が地域職業県連センターの存続を求める意見書を採択しているように、国が引き続き職業訓練・能力開発事業に責任をもつべきとの意見は多くあり、移管を受け入れることを表明している地方自治体は少数でしかない。

 第三に、雇用・能力開発機構で働く職員の雇用を承継しない問題である。法律案では、雇用・能力開発機構の解散の際に在職する職員の「労働契約に係る権利及び義務」は承継されないことが明記されている。職員は一旦解雇され、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構および独立行政法人勤労者退職金共済機構が採用基準を示し、雇用・能力開発機構が作成した採用希望者名簿の中から採用者を選別することになっている。雇用・能力開発機構の事業は二つの機構が承継するが、職員は承継しないとする法律案は、まさしく解雇法案と言える。
 この解雇法案が成立するようなことになれば、独立行政法人の統廃合等「整理合理化」で職員の雇用・労働条件を承継しない初めてのケースとなり、今後、菅政権が押しすすめようとしている独立行政法人改革等の前例となる可能性が懸念される。また、国鉄分割民営化や社会保険庁解体の際に、今回の法律案と類似の仕組みで選別採用が行われ、重大な雇用問題が発生したことは記憶に新しいところである。
 民主党政権となって、労働者の雇用確保・安定等の責務を果たすべき厚生労働省所管の独立行政法人の廃止の際に解雇・雇用問題が発生していることも異常と言わざるを得ない。

 国公労連は、公的職業訓練・能力開発における国の責任を放棄し、職員の雇用破壊となる法案の廃案を求めるとともに、すべての労働者の安定した雇用確保、働きがいがあり人間らしく生活できる「働くルール」の確立をめざして奮闘するものである。

以上



 
 
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