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談話
 「構造改革」の象徴である「官から民へ」を見直せ
 〜「公共サービス改革基本方針」改定に抗議する(談話)〜
     
 

 

2010年7月8日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

 政府は7月6日、「公共サービス改革基本方針」を閣議決定した。2006年6月に施行された「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」(市場化テスト法)にもとづく基本方針は、当初の6分野11事項から、改定方針では公物管理関連業務、施設管理・運営業務が重点とされ、国営公園の管理事務、地方整備局の業務、霞が関8庁舎をはじめとする庁舎の管理・運営業務など14分野90事項にまで拡大された。しかし、この間の市場化テストで以下のような問題点が明らかとなっており、民間委託の拡大は中止すべきである。

 第1に、低価格競争による労働条件の低下・雇用の不安定化が拡大していることである。これまで法務局の証明書交付等事務を担ってきた民事法務協会は、落札できなかったことにより全国的に職員の解雇や賃金切り下げが強行され、派遣会社への移籍を余儀なくされた労働者も有期雇用で大幅な賃金ダウンとなっている。また、国土交通省地方整備局の車両管理業務でも同様の事態が発生している。

 第2に、公共サービスの水準・質的低下が進行していることである。官民競争入札等監理委員会に出された2009年の実施状況報告では、法務局の証明書発行等業務に新たに参入した業者による不適正な処理や、短期間で委託業者が変わることによるサービス水準の低下が指摘されている。
 一方、市場化テストとして行われたハローワークの求人開拓業務は、圧倒的に行政の優位性が明らかとなり、既に対象業務から除外されている。

 第3に、労働者派遣法に違反する事態が発生していることである。市場化テストの対象となった業務の提供責任は行政にあることから、委託業者を監督せざるを得ない。しかし、直接労働者に指揮命令することは労働者派遣法に違反するため、その場に必ずしもいるとは限らない管理責任者に対して指導し、改善させるほかない。労働者派遣法との矛盾が職場に混乱をもたらし、効率的な業務運営を阻害している。

 第4に、前述とも関わって公務部内に長時間労働をもたらしていることである。委託業務の監督責任をもつ職員は、これまでの業務に加えて委託された市場化テストの遂行状況を確認する必要があり、通常業務の残業に加えて長時間労働に拍車をかけている。また、発注・契約担当の職員は、頻繁に「改正」され複雑化する入札業務に忙殺されている。

 市場化テストは「官から民へ」の具体化であり、その拡大は「構造改革」の推進に他ならない。行き過ぎた競争主義は、深刻化している貧困と格差の主な要因である。
 国公労連は、「構造改革」路線を転換して、国の責任で安心・安全を確保するためのナショナルミニマムを再構築するため、職場・地域から広範な国民との対話と共同を広げ、奮闘するものである。

以上



 
 
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