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国公労連速報 2009年3月19日《No.2148》
地方分権・道州制の正体が鮮明に!広範な運動を前進させよう
―中部ブロックで「市民対話集会」を名古屋・金沢で開催し237名が参加
     
 

 

【中部ブロック国公発】 中部ブロック国公は、「地方分権・道州制を考える『市民対話集会』」を3月7日に名古屋市内で、14日には金沢市内でそれぞれ開催しました。「市民対話集会」は、公務労組連絡会・自治労連東海北信ブロック・中部ブロック国公の三者が共催し、名古屋会場では155名、金沢会場では82名が参加しました。

名古屋
 道州制は、財界が求める「グローバル国家」づくり

【名古屋会場(3月7日)】
 司会・進行は、中部ブロック国公の丹羽事務局長がつとめました。冒頭、主催者を代表して自治労連東海北信ブロックの伊藤慎次事務局長が「大企業の得て勝手で労働者を使っている状態に怒りを感じる。道州制は行政の中のくくりで行われるもの。勤務条件の目ではなく、大くくりのところから見た一つのきっかけの集会としたい」とあいさつ。

「究極の構造改革」は「改憲」と一体

 続いて、京都大学大学院の岡田知弘教授より、「道州制で日本の未来はひらけるか」と題して、講演が行われました。
 岡田氏は、「麻生内閣は道州制議論を前倒しした。各県は道州制が導入されれば『地方は豊かになる』との期待論と待望感を高めている。財界は、大きな政界再編があってもプログラムは生かす方針だ。民主党にあっては、今の与党と同じかそれ以上の構想を持っている」と情勢を分析。
 地方分権・道州制の正体については、「財界が求めた『グローバル国家』を忠実に実行するためのもの。経団連も『究極の構造改革』と述べているように、憲法の改正と同時に進められる。府県がなくなり、基礎自治体も800ぐらいに統合され、広大な面積の基礎自治体が出現する。現在でも、岐阜県高山市の面積は東京都に匹敵するが、人口は3割減少し10万人に。まさに、『足もとが見えない自治体』にしようとしている」と指摘。
 二重行政については、「国と地方で全く同じ仕事はしていない。地域住民への直接的な行政サービスを自治体が担っており、ナショナルミニマム的な行政サービスを国が行っている。道州制推進論者は、役割分担論を振りかざしているが、本音は国家戦略本部と連携した『改憲』である。基礎自治体がおおもとにあり、それを助けるのが県、ナショナルミニマムを国で行うべきである」と説明されました。
 岡田氏の講演に対し、いくつかの質問がありました。その中でも、名古屋市長選の太田候補を取材した愛知国公の仲間は「地方分権・道州制は国の責任の放棄。小さな政府では人を幸せにしない」と太田氏のメッセージを紹介しつつ、「道州の首長はどうなるのか?府県の職員の将来は?」と質問。岡田氏は「現行憲法との関係もあり決まっていない。議員内閣制や政治家登用の意見もある。府県の職員は州都に統合され大幅に削減されるだろう」と回答されました。

合併で病院も減り、人口も減った。いまこそ世論形成を!

 続いて、国・県・市の立場から問題提起がありました。国公労連中央執行委員の杉山氏は「一級河川の木曽川は長野・岐阜・愛知と流れ、水利権も複雑。中部電力だけでなく関西電力も入っている。二重行政の解消と推進派は言っているが、国と自治体の二重行政は全くない」と述べられました。
 愛知県職員の仲間は「この5年間で職員は1500名削減され、組織の再編もされた。愛知県は道州制に積極的で、特別チームを作っている。職員間で議論する時間もない。将来のある若い仲間たちが、この討議に参加することを期待する」と、県の実態を述べられました。
 豊橋市職員の仲間は「豊橋市長は『東三河市構想』で当選した人。経済界の思惑に乗っかった人。合併された奥三河の村は、病院も減り、人口も減った。世論形成が重要だ」と訴えられました。

「地方分権」第2次勧告に対する反論と、職場実態の告発が

 引き続き、会場から7名の方が発言されました。
 国公関係では、労働・建労・厚生・医労・法務から、地方分権改革推進委員会の第2次勧告に対する反論と職場実態の告発がされました。年金者組合の方は「後期高齢者医療制度の反対運動のとりくみもそうだったが、地域住民の一人ひとりの意見を吸い上げる仕組みが必要だ」、全港建の仲間は「市町村合併の時、推進者は『夢を与える』と言ったが、そうなったのか。道州制が導入されれば、自治体が大きくなり地域住民の声は小さくなり、国が見えなくなる。主権主として声をあげる必要がある」と述べられました。
 集会は、組織された仲間の参加ばかりでしたが、受け付け名簿の中には三重県のとある町議会議員の方のお名前も拝見しました。会場の収容人数をオーバーした集会となりましたが、もっと多くの市民の方の参加が求められます。今後は、各県国公や地域での開催を追求していかなければなりません。

金沢
 主権者として国や自治体の在り方を変えよう!

【金沢会場(3月14日)】金沢会場も名古屋会場と同様の内容で進めました。司会・進行は、中部ブロック国公の空副議長がつとめ、主催者あいさつは海野鐘弘議長が行いました。
 記念講演も、岡田知弘教授にお願いしました。
 岡田教授は、九州や関西での道州制推進論者の動きや、宮崎県綾町でのとりくみを紹介しつつ「『小さいからこそ輝く自治体』作りに向けて、地域住民との協同のとりくみが必要だ。自治体労働者・学校教職員・国家公務員の労働組合、市民・経済団体と協同し、一人ひとりが輝く地域づくりへ向けての奮闘が必要だ。国家や地方自治体を、一部の大企業のものではなく、主権者である住民のものにしていく必要がある」と、力強く訴えられました。

「地域住民が立ち上がった結果、景観保護を守らせることができた」

 参加者から、「合併された住民から後悔の声を聞く。元に戻すことはできるのか」「アメリカの州政府とどう違うのか」と質問がありました。岡田教授は「法案の中に、元に戻す仕組みも示すべきだ。アメリカは連邦制で、州独自に法律が制定でき、州政府の力は大きい。人口規模も大きくなく、重層構造となっている」と説明。さらに、大分県由布市の事例で「湯布院町時代の景観保護に関する条例が反故にされたが、地域住民が立ち上がった結果、守らせることができた」ことを紹介。
 参加者の石川県自治体問題研究所の武田さん(金沢大学教授)からは「これ以上合併すべきではない。道州の中の中心市が周囲の自治体を従属化する恐れがある。地域で自由に物事が決められる『地域自治組織』があったらいい」と、エールを送りました。

「小さな政府」は、市民・労働者に何もいいことはない!

 続いて、国・県・市の立場から問題提起がありました。国公労連中央執行委員の瀬谷氏は「小さな政府は、市民・労働者にとって何もいいことをもたらさない。国民の生存権と国の責務を明記した憲法25条や、公務員を『全体の奉仕者』が一部(財界)の奉仕者に変質させる憲法15条など国のかたちを変える憲法改悪が狙われることになる」と問題提起。
 福井県職員の仲間は「知事は北陸新幹線を福井まで引っ張ることに懸命。駅舎もそのために改築したが目処はたっていない。道州の州都がもし金沢になれば、何かあるたびに金沢に行くのか。これが名古屋だったらぞっとする。県税事務所や土木事務所も減らされ、まともなサービスができない。地に足付いたサービスをどうやっていくのか、とりくみを強めていきたい」と述べられました。
 富山県自治体問題研究所の仲間は「2年前の県政世論調査では道州制賛成が21%、反対が42%あった。知事は、地方分権は評価するが(1)進め方が不明確、(2)自主的財政が確保できるのか、(3)ある程度のデメリットは避けられない、との意見をHPに掲載している。富山市は1市6町村合併、方や新潟県の上越市は14市町村が合併。上越市は、地域自治区をもうけ、住民参加の協議会で地域のことを考えている」と紹介されました。
 この後、全建労の仲間は「全国が対象の公共工事。ブロックごとで整備が異なることが恐ろしい。先生の講義を聞いて、私たちの運動は正しかったと、スッキリした」、自治労連長野の仲間は「62町村で運動を進めている。地域住民と共に考える集会が必要だ」、全司法の仲間は「子供の権利条例作りに参加している。先生の話を聞いて希望の道が見えた」、保育ネット石川の仲間は「先生の話を聞いてビックリした。保育所がどうなるか心配だ」と、発言されました。

 集会の最後に岡田教授は「国公労連と自治労連の集会は、福岡・大阪・名古屋、そして金沢と4回目。はっきりしていることは、政府が求めるものは『小さな政府』『2重行政の解消』だ。独立行政法人は民営化・廃止のためのもの。県職員の問題が一番大きくなるだろう。小さな自治体は、国や県の支援がなければ成り立たない。主権者として国や自治体の在り方を、自ら変えていく必要がある。今日参加された方はほとんどが行政マンであり、住民でもある。これからのご奮闘を期待します」と締めくくられました。

以上

 
 
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