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国公労新聞 2009年12月10.25日合併号(第1316号)
 
 

◆国民生活危機を打開しよう
 政治を動かず春闘を

 2010年春闘は、新政権のもとでたたかう初めての春闘です。官民労働者の賃金や一時金の低下で地域経済は冷え込んでおり、各県・地域労連に結集して「目に見え、音が聞こえる」春闘行動が求められます。同時に、この間の総対話MAP運動を思い切って広げ、「総人件費2割削減」や地方出先機関見直しに反対する世論を構築することが重要です。民間労働者や国民との共同を広げ、政治を動かす春闘です。

OECD諸国の中で日本の公務員人件費は最低

= 国民生活の悪化 =

 2010年春闘をめぐる情勢の第1の特徴点は、国民生活や雇用がいっそう悪化し、深刻な状況にあることです。
 09年10月の完全失業者は前年同月比89万人増の344万人です。同月の毎月勤労統計の現金給与総額は26万8,036円(1.7%減)と17カ月連続で減少しています。年収200万円以下の労働者は前年から35万人増加し、1067万人にのぼっています。派遣労働者など非正規雇用の拡大や「派遣切り」、官・民労働者の賃下げ・一時金切り下げによって内需が冷え込み、地域や日本の経済に深刻な影響を与えています。内需の低迷がデフレ経済の主要因です。
 デフレを克服し、地域経済を活性化させるためにも、最低賃金引き上げをはじめ、すべての労働者の賃金改善、安定的雇用の拡大こそが求められています。また、年金や医療、介護などの社会保障の充実も不可欠です。

= 分限改革の局面 =

 第2の特徴点は、地方分権改革・国の出先機関改革が重要な局面を迎えていることです。  鳩山政権は09年11月17日に「地域主権戦略会議」を設置しました。09年にも「地方分権改革推進計画」を閣議決定し、10年の通常国会に関連法案を一括提出する予定です。
 民主党は「中央政府の役割は外交・安全保障などに特化」し、国の地方出先機関の原則廃止と国家公務員総人件費2割削減を政策としています。地方経済の疲弊や国家公務員の削減が地方の安心・安全を危うくしている問題を広く国民に訴え、ナショナルミニマムの確保など憲法にもとづく国の役割を求める世論の構築が重要です。

= 基本権回復を =

 第3の特徴点は、公務員制度改革をめぐっても引き続き重要な局面が続いていることです。
 国家公務員制度改革推進本部の労使関係制度検討委員会は、09年に「協約締結権」付与にかかわる報告を行う予定です。内閣人事局設置等の国公法「改正」法案の動向を注視するとともに、労働基本権の全面回復に向けたとりくみの強化が求められます。
 社会保険庁廃止、日本年金機構設立にあたって長妻厚生労働大臣は、年金機構の準職員と厚労省の非常勤職員あわせて420人の雇用確保策を示しましたが、「無許可専従者」の排除や有期雇用などは容認できません。年金業務体制の充実とあわせて、仮に分限免職行われた場合には法的対抗措置も含め毅然とした対応が求められます。

= 国際的な変化 =

 第4の特徴点は、核兵器廃絶や地球温暖化対策、「カジノ資本主義」からルールある経済社会への転換など、国際社会に大きな変化が生まれていることです。
 2010年5月のNPT(核不拡散条約)再検討会議にむけて核兵器廃絶の世論と運動を盛り上げることや、普天間基地の無条件撤去などのとりくみの強化が重要です。

= 参議院選念頭に =

 第5の特徴点は、民主党中心政権のもとで、政治を動かす春闘が求められていることです。
 「事業仕分け」や普天間基地撤去問題などでの鳩山政権の対応は、国民の願いに反するものと言わざるを得ません。夏の参議院選挙なども念頭に、暮らしと雇用を守る国民的な運動と世論が不可欠です。09年秋の「総対話MAP」運動で公務員と行政に対する理解と共感を広げてきた教訓をふまえ、運動を「点から面へ」と広げることが重要です。

= 国民共同の力 =

 国民の理解と共感を広げるためにも、民間労働者や国民と共同するたたかいが重要です。「安心して暮らせる地域を」「安定した雇用を」「医療や介護の充実を」などの国民の要求は、行政の充実と一体のものです。国公労働者が県・地区労連の運動に結集して、地域での国民との結びつきを強めることが重要です。  地域で「目に見え、音が聞こえる」行動を展開し、政治を動かす春闘が求められています。

景気後退でも大企業の内部留保は増加

◆2010春闘 変化をチャンスに
 総人件費2割削減、出先廃止許さない

社保庁職員の雇用確保せよ
 「地域主権」に十分警戒を

 新たな政権の下で、国家公務員を取り巻く情勢はさらに厳しさが増しています。
 地方分権「改革」では民主党はマニフェストで「地域主権」の確立を掲げています。
 それは、財界や自民党の地方分権と対立するものでなく、むしろより強引に進めようとし、国の出先機関を原則廃止としています。人口30万人程度の基礎的自治体とその上に都道府県を廃止した広域自治体を置き、国の役割を外交、防衛、危機管理などに限定するなど、多国籍企業がグローバルに経済活動しやすい道州制の国づくりをすすめた小泉「構造改革」に回帰する危険性を持っています。
そのため11月に設置した「地域主権戦略会議」を年明け早々にも始動させようとしています。
 民主党は、国家公務員の総人件費2割以上削減は大胆な地方分権などで可能としています。
 そのためにも、社会保険庁廃止による分限免職を許さず、それを突破口とした地方出先機関の廃止強行を許さないたたかいがきわめて重要になっています。
 独立行政法人も原則廃止とされ、行政刷新会議は2010年早々から検討を開始する「独立行政法人の抜本的見直し」を決定しました。
 鳩山内閣は、「国民の目線で無駄を排除」を口実に、「政治主導」で行うとしていますが、行政サービスの低下を招いては国の責任放棄になることは明らかです。

行政サービス・公務職場の拡充を
 「総対話MAP」運動を継続

 「総対話MAP」運動を継続し、行政サービスの拡充をめざすとりくみを強化します。
 春闘地域総行動(2/15〜3/5)に結集し、自治体要請・請願をとりくみます。民間・公務労働者が共同して地域と公務の再生のとりくみを行います。
 中央では、2月12日の中央行動に結集し、地方出先機関や独立行政法人の原則廃止、国家公務員総人件費2割削減などの具体化阻止にむけて、国会議員・政党要請などをとりくみます。
 社保庁職員の分限免職を許さないため、政府の使用者責任を徹底追及します。また、自由法曹団等と連携し、差止請求訴訟の検討や人事院に対する不服申し立てとともに取消し訴訟の準備をすすめます。
 5月16日の科学技術政策シンポジウムにむけて「若手研究者(ポスドク等)問題の解決に向けて」の政策提言を確立します。
 3月15日に全労連公務部会がとりくむ非正規労働者交流集会に参加し、また、年度末の非常勤職員に一方的傭い止めを許さないため、各級機関での使用者責任を追及します。
 市場化テストや競争入札による落札業者の更新ごとに発生する有期雇用労働者の解雇や労働条件の切り下げに対し、公務・民間労組と共同したとりくみを強化します。

国の借金と国家公務員の数/国の行政機関にも不正規社員が14万3千人

◆労使協定締結できる過半数の組織建設を

◇基本権回復を念頭に
 4〜6月組織拡大強化

= 労働者の団結で =

 民主党は、公務員制度改革において、労働基本権の回復に向けた議論を加速させることを打ち出しており、この機会に長年の「悲願」であった労働基本権を奪還するチャンスです。
 労働条件は、本来、労使対等の交渉によって決定するものです。だからこそ、労働者が団結することが重要となります。
 労使協定の締結を行えるのは、労働者の過半数以上を組織している労働組合の代表、もしくは過半数以上の信任を得た労働者です。過半数以上の組織は、使用者に対抗する大きな力です。労働基本権の回復が目前に控える今、組織の強化・拡大はなんとしてもやり遂げなければならない課題です。
 正規・非正規を問わずすべての公務労働者の生活改善、国民のための公務・公共サービスの拡充を求めた運動前進と組織強化・拡大が不可欠な課題となっています。

= 戦略目標をもって =

 非正規職員の組織化、本省庁や沖縄等の未組織職場対策など、戦略目標を各単組各級機関で具体化し、国公労連の組織拡大リーフ「Join Us(ジョイナス)を活用し、とりくみを強化します。
 各県国公は春闘地域討論集会を1月末までに開催します。地区国公の再建や活性化も視野に入れて地区・地域(単組複数以上)での討論集会をめざし、昨年度実績の拡大開催地域数と参加者数を追求します。

= 新採・非正規重点に =

 4〜6月を国公労連「組織拡大強化月間」に設定し、新採と非正規職員の拡大を重点にします。協約締結権回復にむけた過半数組織確立を念頭に目標を設定して、異動に伴う脱退を防ぐための具体的手立てを講じます。組織拡大と一体のものとして、ワンコイン共済を活用した国公共済会の加入拡大も追求します。

= 青年・女性組織強化を =

 09国公青年交流集会で築き上げたつながりを生かし、県国公で新人歓迎会や学習会などの開催を追求し、ブロック・県国公青年協の確立や運動の活性化をはかります。2月6日に国公労連第5回青年セミナーを開催します。
 女性組織確立、活性化、女性参画を進めるために、各単組・ブロック県国公の機関会議や春闘討論集会等に多くの女性参加を追求します。

= 教育・学習・宣伝 =

 すべての組合員を対象にした学習・教育活動を重視します。
 勤労者通信大学受講を積極的に受講します。
 次世代育成を目的に「国公労連第5回青年セミナー」を2月6日に開催します。
 組合員学習テキスト「WITH YOU(ウィズユー)」(改訂版)を活用します。
 国公労連第24回労働学校(8ブロック)を5月〜6月に開催します。
 全労連が作成する春闘ポスター普及・張り出し、全労連と連携作成する春闘ビラの全国配布を実施します。
 2〜4月に『国公労調査時報』の定期購読者の拡大キャンペーンを実施します。


◆貧困・格差の解消

◇2010春闘 変化をチャンスに

◇内需拡大・雇用確保を
 健康で働き続ける職場を

 政府は、経済見通しで「デフレ」にあることを認めるなど、景気悪化が深刻な事態となっています。こうした中、労働者の賃金水準は低下し続けているほか、非正規労働者が拡大する一方で、正規労働者の長時間過密労働が深刻な事態となっています。公務職場も例外ではなく、健康で安心して働き続ける職場を確立する労働組合の役割発揮が求められています。
 10春闘では、「変化をチャンスに」をキーワードとして、総対話MAP運動などを通じて公共サービスの実態を訴え、公務職場の拡充に向けた運動を前進させることで労働条件の改善を図ることが必要です。
 とりわけ重視したいのは、賃金の底上げです。初任給水準は民間と比較しても低い水準にあります。初任給は、非常勤職員の給与の指針ともされており、均等待遇の観点からも底上げが必要です。
長時間過密労働の解消も欠かせない課題です。依然として、定員削減に対する強い圧力がかかっています。自殺者や多くの病休者など、複雑・困難化する業務は、私たち働く公務員労働者の健康を蝕んでいます。
 安心して働き続けることができる職場を確立するためにも、重要な労働条件として、とりくみを強めなければなりません。

◇民間労働者との連帯を
 非常勤職員雇い止めに

 公務・民間の分け隔てなく、一体となって春闘にとりくむことが必要です。公務員バッシングを受ける恐れから、民間労働者との交流に足を踏み出せなくなっていませんか。多くの民間労働者は、公務員労働者の専門性に期待し、ともにたたかうことを待っています。
 ストライキを構えてたたかう民間労働組合への支援、メッセージの送付ではなく、現場に足を運び、連帯の意を示すこと、国公労働組合の旗がひらめくことが大きな勇気を与えます。
 民間賃金の相場が上がらなければ、公務員労働者の賃金引き上げもままならないことからいっても、連帯したたたかいが重要です。
2月12日、3月4日に予定されている中央行動に結集しながら、3月18日にストライキを予定している仲間に連帯して、全国津々浦々で職場集会を開催し、雇用確保と賃上げへの熱い思いを仲間と共有しましょう。
 職場に非常勤労働者はいませんか。雇い止めへの不安を抱えているはずです。同じ職場で働く仲間として、非常勤労働者に加入を呼びかけ、3月13日に予定されている公務労組の「非常勤集会」に参加しましょう。
 長時間過密労働で苦しんでいる仲間はいませんか。勤務時間管理者に対し、勤務時間管理を徹底するよう申し入れ、健康を守るよう求めましょう。年度末で忙しい部署が増加します。こんな時だからこそ、みんなで仲間の命と健康を守ることが必要です。


◆核兵器廃絶を現実課題に
 沖縄の米軍基地を撤去しよう

◇集団的自衛権行使 ねらう民主派政権

 総選挙で改憲議員が大量落選という情勢変化をもたらしました。一方、民主党政権は、「官僚答弁の禁止」を口実に海外での武力行使は「憲法上できない」との見解を持つ内閣法制局の発言を封じようとしており、その焦点は自衛隊の海外における武力行使であり、集団的自衛権行使にあります。
 今年は、安保50周年やNPT(核不拡散条約)再検討会議など、憲法や平和と民主主義にとって大きな節目となります。オバマ大統領のプラハでの演説など、核廃絶の運動も世界でかつてなく盛り上がろうとしており、核兵器廃絶を世界の草の根の運動で現実的な課題にしなければなりません。沖縄の米軍基地撤去にむけたたたかいも本格化します。
 国公労連は、毎月の「9の日」宣伝行動を中央、地方で継続し、宣伝行動や「憲法署名」運動に結集します。また、NPTニューヨーク行動への代表派遣にむけて、新国際署名(反核署名)一人あたり5筆達成のため、1月〜3月をとりくみ期間とします。
 引き続き、3・1ビキニデー、各地で開催される憲法集会、平和行進など、平和と民主主義を守る運動に全力をつくします。


◆2010年 国公労連統一要求案

要求傾向値/初任給の官民較差

 国公労連は、2010年春闘に向けた要求づくりのため、この秋に組合員の1割を対象に「要求・意識アンケート」を取り組みました。
 賃金闘争は給与水準の引き下げ原資の獲得(ベースアップ)要求と、その原資の配分要求という両面があります。ベースアップ要求は、できるだけ多数を結集できる要求でなければなりませんが、アンケート結果では、賃上げ要求額の「3分の2ライン」が9940円(昨年 1万790円)であり、「1万円」を要求します。
 配分要求に関しては、国公労連がこれまで賃金闘争の基本目標として堅持してきた、<1>初任給水準の底上げ、<2>ライフサイクルに応じた生計費確保、<3>熟練や専門性の正当な評価による給与体系――という方針を情勢にふさわしく具体化します。
 とりわけ初任給は、今年の人勧での引き下げは何とか避けられたものの、民間の初任給が伸びているために、官民較差は広がっています。この較差解消につながる俸給改善を重視します。
 初任給の改善は、人事院の非常勤給与に関する「ガイドライン」が出されたこともあり、非常勤職員給与へのプラス効果を促します。地域別最低賃金や非正規労働者の賃金の賃上げは最重要課題であり、全労連は時給100円以上の引き上げを提起しています。官製ワーキングプアといわれる臨時・非常勤職員の処遇改善を実現するため、時間給や日額の改善を重視します。

春闘賃上げ要求額

◇2010年国公労連統一要求(案)抜粋・要約

1. 賃金等の改善について

(1)国家公務員の賃金を月額10,000円(行政職(一))臨時・非常勤職員の時給を100円以上引き上げること。
(2)民間初任給との格差を是正するため、行政職(一)高卒初任給(18歳)を159,000円、大卒初任給(22歳)を198,000円に引き上げること。
(3)臨時・非常勤職員をはじめ、公務職場で働く労働者の最低賃金を「時給1,000円」「日額7,500円」「月額150,000円」以上に引き上げること。

2. 労働基本権、民主的公務員制度の確立について

(1)国家公務員の総人件費2割削減を行わないこと。
(2)「地域主権」の名の下に、国の責任を放棄することにつながる事務・権限の移譲や地方出先機関・独立行政法人などの廃止・自治体への委譲を行わないこと。
(3)「定員外職員の常勤化の防止について」の閣議決定を撤回すること。

3. 労働時間短縮等について

(1)所定勤務時間を「1日7時間、週35時間」に短縮すること。
(2)勤務時間管理を徹底し、超過勤務の大幅な縮減と不払い残業を根絶すること。

4. 民主的な公務員制度と労働基本権の確立について

(1)公務員労働者の労働基本権を全面的に回復すること。
(2)65歳までの定年延長を行い、定年まで働き続けることができる制度設計を行うこと。

5.健康・安全確保等について

(1)職員の健康・安全を確保すること。
(2)一般健康診断・特別健康診断を充実させること。

6. 非常勤職員の処遇改善について

(1)非常勤職員制度を抜本的に見直すこと。
(2)非常勤職員の休暇等を常勤職員と同等の制度に改善すること。

7. 独立行政法人の運営等について

(1)「独立行政法人の抜本見直し」による整理合理化を行わないこと。
(2)独立行政法人・国立大学法人の人員削減や人件費削減を強行しないこと。


◆2010国民春闘の主な行動展開

2010春闘行動展開図(PDF)


 
 
 
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