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談話
国の出先機関の統廃合、地方移譲による国の責任放棄は認められない
地方分権改革推進委員会の第2次勧告のとりまとめにあたって(談話)
     
 

 

 地方分権改革推進委員会は12月8日、今年5月28日の第1次勧告に続いて第2次勧告をとりまとめ、麻生首相に提出した。
 第2次勧告は、国の出先機関の見直しでは、(1)出先機関が担う116項目の事務権限を地方移譲などの見直し、(2)国土交通省地方整備局、北海道開発局、農林水産省地方農政局など6機関は、国が行うべき業務について新たに企画部門の「地方振興局」と公共事業執行部門の「地方工務局」を設置してそれぞれ統合、(3)「地方振興局」と「地方工務局」を地元自治体が監視する「地域振興委員会」の設置、(4)厚生労働省都道府県労働局はブロック単位の機関に統合、さらに(5)地方移譲や組織のスリム化などによって出先機関の職員95,836人(2008年度末定員)のうち、34,600人を削減するなどとしている。
 もう一つの柱である、地方自治体の活動を法律や政令で規制する国の「義務付け・枠付け」では、約半数にあたる4,076項目の見直しを上げ、これらについて「廃止」「自治体が条例で国の基準を変更できる」などの具体策を決め、第3次勧告に盛り込むとしている。

 第2次勧告で示された国の出先機関の見直しの問題点は、第一に憲法にもとづく国の責任、例えば都道府県労働局が担っている雇用確保、失業対策などの公共サービスを切り捨てるという国民に対する責任放棄であること。第二に「簡素で効率的な政府」の名の下に出先機関で働く国家公務員の大幅削減を打ち出し、深刻な雇用問題が発生する危険性があること。第三に受け皿となる地方自治体の事務・権限や財源問題も先送りしていること。こうした強権的なやり方は、地域の社会・経済に重大な影響を及ぼすことが危惧される。
 また、「義務付け・枠付け」の見直しでは、関係者が参画した慎重な検証・検討が必要である。例えば、保育所の設置基準は園児の健やかな成長のための安全と保育を保障する最低の基準であり、地域性や待機児童の解消などを理由とした安易な基準の廃止・緩和であってはならない。

 地方分権改革推進委員会の検討は、憲法・地方自治法で規定された団体自治および住民自治が基礎となる地方分権の実現にむけたものではなく、国の役割とりわけ憲法が保障する国民に対する責任を放棄するものである。そして、「地方分権改革の取り組みを推進していくことが、将来の道州制の実現に向けて確かな道筋をつけることになる」と明記しているように、財界が「究極の構造改革」と位置付けている道州制導入と関連づけている。道州制は、国の役割を外交や防衛、治安などに限定する「小さな政府」のもと、本来国が責任を負うべき国民の基本的人権の保障を「地方政府」に押し付けるものであり、財界の意向にそった大企業のもうけ優先の国づくりであり、到底容認できない。

 この間の「構造改革」によって自由競争の弊害が明らかとなり、格差と貧困の拡大や雇用不安が社会問題化している今日、政府に求められているのは、雇用の確保や社会保障の拡充、中小企業の経営安定など国民の生活破壊を防ぐセーフティーネットをはじめとしたナショナルミニマムを保障することである。憲法を具現化する国の行政機関が、その責任を果たすために必要な行政体制の確立・拡充こそ求められている。
 麻生首相が「大胆な行政改革を行って、3年後に消費税を引き上げる」と表明し、今回の「改革」促進を求めたことに象徴されるように、国民の批判をかわす「増税の地ならし」という点でも本末転倒と言わざるを得ない。

 勧告はまた、2008(平成20)年度内に「工程表」を策定するよう政府に求めているが、国民的な開かれた議論が保障されなければならない。もとより、当事者である国公労連ならびに関係単組との十分な交渉・協議も不可欠である。
 国公労連は、直ちに政府との交渉配置を求めるとともに、政府・財界がすすめる「構造改革」路線にもとづく一連の「改革」に対し、国民の権利と暮らし、地域を守る共同の運動を全国で強化する決意を表明する。

2008年12月9日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

以上

 
 
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