機関紙『国公いっぱん』2012年11月14日付第83号の記事テキスト
▼1面の記事
◆第10回定期大会ひらく
働きがいある職場へ国公一般を大きく
国公一般は10月24日に第10回定期大会を開催。23名が参加した大会では、「メンタル不全の増加への対応が必要」、「国公労連が行った非常勤職員が参加した交渉を引き続き実施してほしい」、「労働組合がない職場も多く、国公一般の役割は重要」、「たたかう労働組合がいま求められている」など活発な発言がありました。
国公一般は、今年で結成10年目を迎えます。①組合員のいのちと生活を守る、②働きやすく・やりがいのある職場をつくる、③仲間を増やし交流し学びあう、ことを目的に、本省庁前宣伝やブログ「すくらむ」による情報発信、労働相談、団体交渉、学習交流会などを行ってきました。
劣悪な状況に置かれている非常勤職員の労働条件改善をめざして宣伝行動や団体交渉などを実施してきました。2008年8月には人事院が非常勤職員の通勤手当や一時金支給に関する指針を発出しました。また、2010年10月からの「期間業務職員制度」導入によって非常勤職員の処遇が一歩前進となりました。その他にも病気休暇、育児休業の取得が可能となるなどの改善が図られましたが、まだまだ十分ではありません。
働くルールの確立、働きやすくやりがいのある職場づくり、長時間過密労働の改善、均等待遇の実現のためにも、労働組合をさらに強く大きくする必要があります。あなたも国公一般に加入して、ご一緒にとりくみを進めましょう。
◆大幅な退職手当削減は許さない
政府は、国家公務員の退職手当の平均402・6万円削減や、45歳以上職員の早期退職募集制度の創設などを盛り込んだ退職手当「改正」法案を11月2日に閣議決定。4月から大幅な賃下げのもとでの退職手当の大幅削減は到底認められません。
国公一般、国公労連とご一緒にこの一方的な退職手当削減を阻止するために力を合わせましょう。
◆霞が関残業実態アンケート②
1割近くが過労死の危険ラインで働く
霞国公の残業実態アンケートでは、過労死の危険ラインとされる「80時間以上」が9.5%(前年7.6%)にのぼり、とりわけ過労死の危険が高い「100時間」以上が4.8%(前年3.7%)となっています。
国家公務員の労働時間は週38時間45分ですが、人事院は時間外労働の上限目安として年間360時間(月平均30時間)を定めています。アンケート結果では、約半数(46.4%)がこの目安時間を超えて働いています。本省庁の長時間過密労働は命にも関わる重大な問題です。業務量に見合った人員を確保し、長時間過密労働を解消するためにも、本省庁の労働組合を強く大きくすることが不可欠です。
◆霞が関メモ(コラム)
社会保険庁廃止に際して525人が整理解雇されてまもなく3年となる。この解雇の撤回を求めてたたかう39人の労働者を支援する決起集会が11月に東京で開かれた▲国民の年金を守るため一生懸命に働いてきた自負が無残に打ち砕かれた悔しさ。たたかう仲間がいて、大きな支援があったからたたかってこられた思いを合唱構成で披露。「絶対に勝たなければ」との思いを一つにした集会だった▲日本年金機構は発足時から年金業務のベテラン職員が不足し、約6割が非正規とされ、業務は混乱している。国による必要のない乱暴な大量解雇は、翌年末の日本航空の大量解雇をうみ、いま、13万人もの電機産業のリストラへとつながっている▲大リストラを強行する大企業には、「産業空洞化」対策として「国内立地推進事業費補助金」が復興予算から注がれている。大企業の利潤拡大こそが「経済成長」と信奉する政府は、財界いいなりに「解雇自由化」を狙っている▲この流れを阻止するためにも、すべての労働者の力を結集して社保庁やJALの不当解雇を撤回させなければならない。
▼2面の記事
◆「99%の一員として」を合い言葉に
国公一般への二重加盟を決定〈全国税〉
全国税は8月19日から20日の3日間、全労連会館(東京都文京区)で第70回定期大会を開催し、「『99%』の一員として公務員攻撃をはねかえすたたかい」を中心とする運動方針案を満場一致で可決しました。大会では、2008年の大会以降、4年間の全国討議を経て、「新たな個人加盟の産業別組合について」の方針で、「国公一般への二重加盟」を組織方針にしました。
全国税が、この「新たな個人加盟の産業別組合について」の議論を始めてすぐに、リーマン・ショックが起こり、世界的に新自由主義を放棄し、グローバル企業を包囲する大衆運動が巻き起こりました。
日本でも、2009年の年末から「年越し派遣村」が起こりました。1997年の労働法制改悪(同時に、消費税率は5%に引き上げられました)によって不安定雇用が広がるなか、「自己責任」論によって、ナショナルミニマムというセーフティネットをずたずたに切り裂き、「派遣切り」などで職を失った労働者が直ちに生活困窮に陥ることなどが新自由主義に端を発するものであることが可視化されました。
世界では、中東地域の「アラブの春」や米ウォール街から世界に広がった「オキュパイ運動」(いわゆる「私たちは99%」運動)、ヨーロッパの「緊縮財政ノー」が広がる中で、政治を変える力となっています。
賃下げで連合・国税労組脱退が急増
話を戻して、2011年5月に、政府が東日本大震災への復興財源を口実にして提案してきた違憲賃下げをめぐって、国公労連が労働者の生活と公務労働のあり方を全面にだして反対したのに対し、連合はたった10日間で妥結しました。
税務署の職場では連合・国税労組への加入者が大半を占めていましたが、都市部はもとより、これまで「保守的な職場」と言われてきた地方局でも、連合・国税労組を脱退する労働者が後を絶ちません。賃金という基本的な労働条件のたたかいで信用を失った連合・国税労組に対する国税労働者の審判です。
二重加盟、変化をチャンスに
一方で、全国税は当局の長年にわたる差別のなかで、組織減少というきびしい状況が続いています。大会では、今後の組織運営や財政に及ぶ真摯な議論が行われました。
しかし、一歩職場をでると、原発再稼働推進の「原発利益共同体」に対して、空前の規模の市民が、連日、全国各地でたたかう、「日本版99%運動」が広がっています。
きびしい職場情勢や組織減少のなかで、国税職場に「たたかう労働組合」を大きくするチャンスがあり、職場の外の変化を自分たちのものにすることと同時に、国税労働者もその「99%の仲間の一員」としてたたかいます。「国公一般への二重加盟」は、こうした全国税の強い決意をあらわしています。(全国税労働組合)
◆労働相談メール
【ひとりで悩まず相談ください】soudan@kokko.or.jp
「新たな再任用」制度って?
Q 年金と雇用を接続するために政府は「新たな再任用」制度を導入するようですが、どうなっていますか。
A 年金支給開始年齢の繰り延べと雇用の接続について人事院は定年延長を求めましたが、政府は「新たな再任用」による「国家公務員の雇用と年金の接続に関する基本方針」を3月に決定しました。
いま政府が提案している「新たな再任用」制度は、定員と予算の範囲を前提にした制度設計であり、希望者が定員数を上回る場合は再任用されないものです。また、再任用後の処遇や配属地も当局の裁量に委ねられているなど、雇用と年金を確実に接続する制度とはなっていません。
民間では高年齢者雇用安定法の改正によって再雇用を希望する労働者を使用者の都合によって排除できないしくみとなっています。
国公労連は定年延長の実現を求めていますが、当面「新たな再任用」制度とする場合でも、雇用と年金の確実な接続を強く求めています。
政府の閣議決定は遅れており、私たちが「公務員の権利を守れ」の声を上げることが重要です。国公一般に加入して一緒に力をあわせましょう。