機関紙『国公いっぱん』2011年8月3日付第68号の記事テキスト
▼1面の記事
◆被災地復興へ最賃アップ・貧困解消を
震災口実に低額の最賃答申
中央最低賃金審議会が7月27日に厚労省に答申した2011年度最低賃金の目安額は、神奈川(18円)、東京(16円)、北海道(13円)、広島(6円)、埼玉(5円)、千葉・愛知・大阪(各4円)、兵庫(2円)を除き、他府県はわずか1円の引き上げです。 審議会の使用者側委員が「震災」や景気後退を口実に「ゼロ円」を主張した結果ですが、早期の800円実現や生活保護費より低い最賃問題の解決は先送りされました。最賃の格差が拡大していることも問題です。
被災地の復興に最賃引き上げ必要
被災地をはじめとする多数の地域の最低賃金は600円台であり、フルタイムで働いても月10万円程度です。震災後の雇用問題は深刻になっており、求人は派遣やパート、契約社員などほとんど非正規労働者です。被災地域の復興のためにも、最賃の大幅な引き上げが必要です。 今後、地方の最低賃金審議会で目安を乗り越えて引上げを求める運動が必要です。公務員の賃金引下げを阻止するたたかいとも結合してとりくみを強めることが求められます。
賃金抑制許さない人勧期の運動を
今年の人事院勧告では、精確な官民比較にもとづく勧告とともに、55歳超の賃金抑制の撤回、給与構造改革での賃下げにかかる現給保障の継続などが重要課題です。また、定年延長問題も焦点であり、職務・職責が変わらないのに60歳以上の賃金を大幅に引き下げるとする人事院を追及しなければなりません。 非常勤職員の処遇改善と均等待遇実現、安定した雇用を確保する運動も待ったなしです。非常勤職員の夏季休暇の制度化や、年次休暇の採用時からの付与を求めて交渉と運動を強めます。
なくそう! 官製ワーキングプア
7月3日には自治労連などの実行委員会による「なくそう!官製ワーキングプア第3回反貧困集会」が開かれ、国公一般の仲間も参加しました。国や自治体で働く非常勤職員に広がる低賃金や雇い止めを解決するため、非常勤職員の仕事の誇りと怒りを行動に変え、組織化と要求実現の運動が全国に広がっています。 国公一般は、公務・民間の労働組合・民主団体・国民とともに世論で財界・大企業と政府を包囲し、「最賃・均等待遇・公契約」の前進のために夏季闘争をたたかいます。国公一般に加入して、あなたもこのとりくみに参加しましょう。
◆霞が関メモ(コラム)
通常国会の会期末が迫っているが、大震災の復旧・復興より党利党略の政争による国会運営が続いている。予断は許さないが、国会に提出されて2カ月になる公務員の賃下げ法案も審議の見通しは立っていない▲現行制度にもとづかない政府の賃下げに遺憾の意を表した人事院は、6月下旬から民間給与実態調査を開始し、9月中下旬にも勧告を行うとしている。政府の圧力に屈することなく毅然とした勧告を期待したい▲今年の勧告作業は、官民賃金の比較だけでなく、高齢期雇用にかかわる問題でも行われている。定年延長と引き替えに60歳時賃金から3割もの賃下げと、50歳台後半層の賃金をさらに抑制するための検討だ▲人事院は、厚労省の賃金構造基本統計調査を引き合いに民間での高齢層の賃金低下と官民賃金の較差を口実にしている。しかし、同調査でも25年以上の長期勤続者の賃金は必ずしも下がってはいない▲役職も職務・職責も同じなのに、年齢が55歳を超えた賃下げに道理があるのか。公務員の賃下げ法案阻止とともにこの夏のたたかいの重要課題である。
▼2面の記事
◆救援物資輸送の拠点となる港湾施設を早期に復旧 国の出先機関の重要性が震災で明らかに〈全港建〉
甚大な被害を自ら受けながらも 不眠不休で地方整備局の役割発揮
3月11日に発生した東日本大震災は未曾有の大災害となり、一刻も早い被災地及び被災者の立場に立った復興が求められています。しかし、財界や政府は、この機を利用して道州制もにらんだ「分権改革(地域主権改革)」などを一気に推し進めようとしています。 私たち全港建の職場では、港湾施設はもちろん、各事務所・出張所などの庁舎も甚大な被害を受けています。そうしたなか、自らも被災した東北や関東の職場の仲間の不眠不休の奮闘により、救援物資輸送等の拠点となる港湾施設を早期に復旧させ、地域に出先機関の存在意義と役割を示すとともに、地方整備局の必要性を明らかにしてきています。また、全国の仲間も応援・救援活動に奮闘し、今こそ行政の一層の体制拡充が必要であることを明確にしてきています。
公務員賃下げ法案は震災復興を妨げる暴挙
しかし政府は、公務員制度改革に盛り込んでいる労使の「団体交渉」による賃金決定を先取りした形で一方的な話し合いを行い、国家公務員の「賃下げ法案」の国会上程を強行しています。これは復興のために最前線で奮闘している公務労働者への暴挙であり、デフレ経済をより悪化させる愚策以外のなにものでもありません。
賃下げや国の出先機関廃止を 跳ね返す仲間の輪ひろげよう
正念場となっている「国の出先機関原則廃止」等に対峙するためには、その役割を一番よく知っている私たちが、国民に訴えて理解と共感を広げることが必要です。そして同時に、すべての要求の前進には、今後労働組合の力量が大きく問われることになります。そうしたことから私たち労働組合は「一人の百歩よりみんなの一歩」をめざして、6月から全国63全支部(職場)の管理職や組合未加入の常勤・非常勤職員にも呼びかけた「職場懇談会」を展開して、組合への結集と理解・協力を呼びかけています。 (全運輸省港湾建設労働組合)
◆労働相談メール 現給保障がなくなる?
Q 50代半ばの国家公務員です。現給保障が打ち切られるのではないかと耳にしましたが?
A 05年人勧において、民間賃金の地域間格差や中高齢層賃金の民間との逆格差を口実に、俸給表水準の大幅(平均4.8%、最大7%)に引き下げる「給与構造改革」が強行されました。 現給保障は、国公労連などのたたかいにより、経過措置として制度改変(06年4月)前の給与額を保障させたもので、今でも40代以上を中心に行(一)職全体の4分の1程度が対象となっています。 しかし人事院は、給与構造改革による制度改正の終了(2010年度)などを事由に、経過措置の廃止を狙っています。 現給保障は、労働基本権制約のもとでの一方的な賃下げの損失を代替する保障であり、どこかの時点で打ち切られてはなりません。不当な賃金引き下げをさせないため、あなたも国公一般に加入しご一緒にとりくみましょう。
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