全厚生労働組合
厚生労働省関係機関(本省、試験研究機関、福祉施設、日本年金機構、全国健康保険協会)に働く職員の労働組合 All Health & Welfare Ministry Worker's Union

政府・厚生労働省は旧社会保険庁職員の分限解雇を撤回せよ 〜人事院による4回目の判定をうけて(声明)

2013年10月28日
国公労連中央闘争委員会

 人事院は10月24日、旧社会保険庁職員の分限免職処分取消請求事案について第4次となる判定書を24人に交付し、残されていた全厚生組合員17人のうち京都3人と香川1人の4人の処分を取り消した。全厚生以外の7人のうち4人も処分取消となった。一方、全厚生組合員13人を含む16人については処分を取り消す特段の事情はないとして不当にも処分取消を行わなかった。

 人事院によるこれまでの処分取消の可否判断は、厚生労働省への転任面接での評価結果を基準としていたが、今回の判定ではこれと異なる判断を行ったことが特徴である。時間内組合活動を惹起したとして受けた懲戒処分が取り消された京都の北久保さんについては、懲戒処分を理由に応募できなかった日本年金機構に採用される可能性があったとして処分を取り消した。また、転任面接時の病気が公務災害と認められた香川の綾さんについては、公務災害を前提に面接していれば評価結果は異なるものとなった可能性が高いとして処分を取り消したものである。

 人事院による分限免職処分の取り消しは、70人の判定のうち24人にのぼっている。その論拠は、分限免職回避努力が不十分なままの処分は裁量権の濫用と定義し、厚生労働省が相当数の新規採用をおこなっていること、他府省の受入が9人にとどまっていること、残務処理の113人の暫定定員を活用しなかったこと、回避努力のとりくみ開始が遅かったことなどを指摘し、社会保険庁と厚生労働省の解雇回避努力の不十分さを認定したことにある。この点は、2009年末に分限免職された525人すべてに当てはまるものであり、厚生労働省への転任面接の評価結果のみで処分取消の対象者を絞り込むことは「妥当性」を欠き不当であることをあらためて指摘する。

 人事院判定の最大の問題点は、省庁間配転などによって分限免職を回避する政府の責任を不問にしていることである。とくに、「分限免職回避のとりくみの方法には裁量」があり、雇用調整本部による他省庁配転以外の方法を採ったことについて「平等取扱原則違反とはならない」と断じていることは言語道断である。雇用調整本部のもとで厚生労働省は2010年4月1日に20人もの農水省職員を受け入れており、これほど明白な不平等、差別的取り扱いは前代未聞である。分限免職回避にかかる政府の責任を不問にすることは絶対に許されない。

 判定では、定員事情などを口実に厚生労働省の配転受入枠の拡大を著しく狭め、そのもとでの救済者の選定をわずか10分程度の配転面接の評価結果のみに求めている。しかし、審理で明らかになったこの評価結果は、国家公務員法が規定する能力主義の原則及び人事評価にもとづく評価を適用することなく、面接官の主観や恣意的な判断によって行われたものである。国家公務員法にも違反した今回の転任手続きで、個人の一生を左右する分限免職処分を強行した厚生労働省の行為は断じて認められない。

 3割を超える前代未聞の処分取消は、今回の分限免職そのものの正当性を否定するものであり、政府・厚生労働省はただちに全員の分限免職処分を撤回し、雇用と身分を回復するよう求める。同時に、年金記録の未解決が2千万件超も残っている中、年金記録問題の早期解決をはじめ日本年金機構の業務体制を確立するためにも、「懲戒処分歴のある職員は年金機構に採用しない」との閣議決定を撤回し、本人の希望にもとづいて経験ある職員を年金業務に活かすことを求める。

 旧社会保険庁職員の分限解雇撤回のたたかいは、人事院判定を踏まえ、政府の責任を明らかにする法廷闘争へと移ることとなる。国公労連は、JALの不当解雇や日本IBMでのロックアウト解雇をはじめとする雇用破壊と解雇自由化を許さないたたかいと結んで、政府・厚生労働省による国家的不当解雇を撤回させるまでたたかう決意を表明する。
 この間の全国からのご支援にあらためて感謝の意を表するとともに、勝利するまで引き続きのご支援を心から呼びかける。




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