全厚生労働組合
厚生労働省関係機関(本省、試験研究機関、福祉施設、日本年金機構、全国健康保険協会)に働く職員の労働組合 All Health & Welfare Ministry Worker's Union

社会保険庁職員に対する不当な分限免職の発令に抗議する(見解)

 厚生労働省・社会保険庁は28日、社会保険庁の廃止に伴い525人に対し分限免職を発令した。国の行政機関の改廃に伴う分限免職は1964年以来発動されたことはなく、中央省庁の再編や独立行政法人化、さらには郵政民営化においても雇用は原則承継されてきた。民主党中心の連立政権下で、45年ぶりに国策による強制解雇が行われたことに満身の怒りをもって抗議する。
 労働条件や安定的雇用に責任を持つ厚生労働省において、自らの職員の首を切るという長妻厚労大臣の暴挙を断じて許すことは出来ない。

 12月1日に示された長妻厚労大臣の最終雇用対策は、その期間も、具体的内容も極めて不十分なものであった。特に、厚労省の非常勤職員への公募は、大幅な賃金水準のダウンや短期間の有期雇用であるなど分限免職回避の努力には到底値しない。また、前政権の方針を踏襲し、過去に一度でも懲戒処分をうけたことのある職員を年金機構から排除しているが、処分の理由、時期、種類などを全く考慮せず一律的に不採用としたことは明らかに公平性を欠き、平等取扱原則にも反している。さらに、同一の非違行為を理由とする二重処分に該当し、実質的に二重の不利益処分を課すものであり、違法・無効である。
 一方で日本年金機構は、民間から2000名を超える新規採用を行うこと、さらに、発足時から欠員状態であることが明らかにされている。大量の分限免職を行う合理的な理由などはどこにも見当たらない。

 社会保険庁の廃止・解体は、様々な不祥事や、年金記録問題などを契機としているが、その狙いは社会保険行政を分割し民営化する攻撃である。これは、公的年金業務を営利企業のビジネスチャンスに晒す上に、国の責任を放棄するものと言わざるを得ない。
 また、公的年金制度を運営するには、膨大な個人情報の管理と共に、様々な経過措置など複雑な制度に習熟した専門性が求められる。来年1月に発足する日本年金機構は、基幹業務も含めて民間委託を大幅に拡大するとしているが、安定的な年金業務の運営が懸念される。 相次ぐ年金制度の改悪や、記録問題に対する国民の怒りの矛先を社保庁職員のみに転嫁し、自らの責任を逃れようとする政府・厚労省を厳しく糾弾する。

 社保庁改革が始まってから5年半、全厚生は、安心して暮らせる年金制度の確立と共に、すべての社保庁職員の雇用確保を求めて、全力を挙げてきた。道理なき不当な分限免職の撤回を求めると共に、国公労連や全労連などの支援をもとに、法的対抗措置も含めてたたかう決意を表明する。職場では国民の信頼を回復するために、夜間・休日を問わず年金相談や記録整備に全力を挙げてきた。厚労省は、官民人材交流センターによる斡旋や、再就職支援を引き続き行うとしているが、こうした職員の努力を無にすることなく、実効ある支援策を強く求めるものである。全厚生は、憲法25条にもとづく社会保障としての公的年金制度を確立するために、「安心年金つくろう会」の運動を大きく広げ、国民の年金権を守るために全力で奮闘するものである。

2009年12月28日
全厚生労働組合





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