全厚生労働組合
厚生労働省関係機関(本省、試験研究機関、福祉施設、日本年金機構、全国健康保険協会)に働く職員の労働組合 All Health & Welfare Ministry Worker's Union

 全厚生第72回定期大会


安心して暮らせる年金制度の確立と社会保険庁職員の雇用確保を求める決議

 政府が決定した日本年金機構の「当面の業務運営に関する基本計画」は、社会保険庁を解体して業務を細分化したうえで、基幹的な業務も含め民間委託を拡大するものである。職員採用については、民間から1000人も採用する一方で3000人を超える職員を削減し、機構発足後の合理化を前提に1400人の正規職員を有期雇用化するものである。さらには、記録問題解決の体制確立は棚上げにしつつ、懲戒処分歴のある職員は一律不採用とすることも盛り込んだ。

 老後の命綱である公的年金は、何十年にもわたる加入記録や保険料の確実な管理が不可欠である。受託業者が数年ごとに入れ替わる競争入札による民間委託では、安定的な業務運営の確保は困難である。さらに、受給者・加入者を含めた1億人もの個人情報が正しく管理・保護されるのか、新たな混乱と問題発生は避けられない。これらは、ビジネスチャンスの拡大や年金積立金の市場運用を求める財界・大企業に応えるばかりか、国や大企業の負担と責任を免罪する社会保障解体攻撃と一体となったものである。

 業務に習熟・精通した職員を大幅に削減することも、国民が求める安心・信頼できる年金制度の確立を困難にするものである。また、懲戒処分歴のある職員について、処分の内容や程度、理由の如何を問わず一律に不採用とすることは実質的な二重処分に等しく、公務員の身分保障や労働法理にも反する違法・不当なものであり容認することはできない。
 特に、懲戒処分の多くを占める「業務目的外閲覧問題」や「国民年金不適正免除問題」などは、社会保険庁の管理責任こそが厳しく問われなければならないものである。

 全厚生はこの間、年金業務の安定的運営を確保し、国民の信頼を回復するためにも、職員が安んじて業務に専念することが重要であり、雇用の確保と体制確立を求めてきた。
 国民が求める安心・信頼できる年金制度を確立するためにも、「基本計画」の閣議決定は撤回し、「日本年金機構法」のあり方について国民的な議論を行うこと、政府の責任で記録問題を早期に解決すること、同時に、民間委託の拡大は行わず、業務に習熟・精通した職員の雇用を確保し、安定的・継続的、専門的な年金業務運営を確保することを強く求めるものである。

 「国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会」(安心年金つくろう会)は、消費税の年金財源化に反対し、国の責任による年金運営と最低保障年金制度の創設に向けて国民的な宣伝・署名などのとりくみを進めている。全厚生は、「安心年金つくろう会」が提起した「安心・信頼できる年金国民署名」をはじめとした運動を全国各地で展開するとともに、国の責任による公的年金制度の確立と社会保険庁職員の雇用確保に向けて、全力を挙げるものである。
 以上決議する。

  2008年9月14日
全厚生労働組合第72回定期大会


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