全厚生第73回定期大会議案 《目 次》  [第1号議案]2009年度運動方針(案) はじめに〜労働者の誇りと希望をもって、たたかう・・・・・・・・・・・・・・・・1 T 労働者・国民の反撃と労働組合の役割・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2  1.鮮明になる国の進路をめぐる対決軸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 2.貧困な社会保障の根源に迫り、国民本位に再生させる・・・・・・・・・・・・2 3.未来を切り拓く確かな力−日本労働運動の到達点に確信を・・・・・・・・・・3 U 全厚生運動の原点と旬の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6  1.全厚生運動の原点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6  2.憲法25条を行政に活かす・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6  3.組織整備で、要求を前進させる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 V 社会保険庁改革に対するたたかい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 1.たたかいの基本方向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7  2.雇用確保のたたかいに全力をあげる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 3.業務体制を確保するたたかい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11  4.「安心年金つくろう会」の全国展開をめざす・・・・・・・・・・・・・・・・11  5.全国健康保険協会での組合活動の前進を・・・・・・・・・・・・・・・・・・12  6.日本年金機構での組合活動を準備する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 W 働くルールの確立、公務員制度改革の取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・14  1.健康で働ける職場をつくる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14  2.身近で、切実な労働条件の改善をめざす・・・・・・・・・・・・・・・・・・14  3.真の男女平等をめざし、男女共同参画社会の実現を・・・・・・・・・・・・・15  4.人事評価制度の本格実施にむけた取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・16  5.民主的な公務員制度の確立をめざす・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 X 本省庁の課題と取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 Y 国立福祉施設の課題と取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 Z 厚生科学研究の課題と取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 [ 憲法・社会保障・平和を守る取り組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 1.改憲を許さず、草の根の憲法闘争を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21  2.社会保障闘争で役割を発揮する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22  3.平和を守る取り組みを重視する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22  4.権利をめぐる裁判闘争をたたかう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23  5.労働者・国民の願いに応える社会を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 \ 頼りになる労働組合をつくる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25  1.たたかいの中で、仲間をふやそう・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25  2.国公共済会の加入を促進させる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25  3.職場を基礎にした組合活動を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26  4.非常勤職員のたたかいの前進を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 5.学び、交流する運動を力に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27  6.青年を活動の主人公に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27  7.女性の活動を生き生きと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28  8.勇気が湧く学習活動を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28  9.職場を元気にする情報・機関紙活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29  10.県・ブロック国公・県労連への結集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 ] 全厚生の団結と機能を高める・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30  [第2号議案]2009年度財政方針と予算(案) T 2008年度会計決算報告・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 U 2009年度財政方針と予算(案)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 [第1号議案]2009年度運動方針(案) はじめに〜労働者の誇りと希望をもって、たたかう〜   たたかってこそ、労働組合。  「派遣切り」という首切り。人間を使い捨てる大企業の無責任さ    貧困と格差の異常な拡大。国民にだけ犠牲を押しつけた構造改革     社会保険行政の解体・民営化。この攻撃は、公務と雇用を壊している  こんな社会でいいはずはない。誰もが、そう気づいている   この国のあり方をかえる。労働者・国民の力で歴史をつくる      雇用を守る。働く者の団結の力で、仲間の笑顔を取りもどす   道理ある要求。勇気をもって主張しよう   全厚生63年の歴史で大切にしてきた原点は、憲法25条    憲法の精神を胸に刻み、憲法を活かす立場で主張していく!    社会保険労働者の雇用を守り、希望を見いだす     社会福祉施設の現場から、福祉の心とは何かを語る      厚生科学研究の使命を国民の視点にたち、示していく  国民の幸せに生きる権利を守る−これが全厚生労働運動の役割   団結して、人間の尊厳をかけて、道をひらく  「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、 これを保持しなければならない」(日本国憲法・第12条より)    反撃の大きな流れをつくる−国民とともに前進させよう     揺るぎない決意を固める−社会保障行政を担う者の誇りをかけて       まさに正念場の瞬間(とき)−団結と共同の力で、たたかい抜く T 労働者・国民の反撃と労働組合の役割 1.鮮明になる国の進路をめぐる対決軸  ●構造改革に対する労働者・国民の反撃  貧困と格差が拡大し、人間らしい生活が根底から脅かされています。雇用破壊と社会保 障解体によって、国民生活が深刻な危機に陥っています。大企業は、史上空前の収益をあ げてきた一方、景気悪化を口実にして、派遣労働者、期間労働者などの大量首切りを次々 と進めています。生身の人間を使い捨てています。職を奪って寒空に放り出す、こんな大 企業の身勝手、横暴は許されません。  厳しい状況の一方で、国民・労働者の怒りと反撃が始まっています。労働組合を結成し、 雇用を守る取り組みが始まっています。貧困と格差をなくし、雇用破壊を止めさせる国民・ 労働者のたたかいが前進しています。  ●国の行方を左右する歴史的転換点  国民無視の政治が行き詰まり、麻生内閣は末期的状態です。国民無視の政治が行き詰ま る下で、真夏の政治戦、解散・総選挙は、国の進路をめぐる激しいせめぎあいになってい ます。  社会を少しでも良くし、明るい未来を指し示すことが政治の役割です。後期高齢者医療 制度で、お年寄りの命と希望を奪ってはなりません。派遣切り・期間工切りで、労働者と その家族の生活基盤を崩壊させてはなりません。労働者・国民が国民に激痛を強いる構造 改革の本質を見抜けば、政治の流れを変え、要求を前進させる絶好のチャンスです。  今まさに、国民の世論と運動によって、希望のもてる政治、政治の中味を変える−この 瞬間を迎えています。 2.貧困な社会保障の根源に迫り、国民本位に再生させる  ●構造改革路線の根本を問う  構造改革の影・歪みの部分が浮き彫りになっています。この路線が、社会保障制度の改 悪・解体を迫ってきたのです。社会保障を担うべき厚生労働行政が機能していないことが 問題なのです。貧困と格差の正体は、自己責任などではありません。原因は、社会的な責 任であり、社会問題なのです。それ故、一人ひとりのレベルで解決することはできません。 構造改革が、国民の暮らし、安全・安心を奪うことを明確につかみ、貧困と格差を拡大す る社会か、安心・安全・平和な社会かを根本から問うことが大切です。  ●憲法25条を活かす社会保障制度の確立を!  「構造改革」によって壊された雇用、暮らし、社会保障、地域社会を再び取り戻し、元 気な姿にもどすこと、これは国民共通の願いです。貧困な社会を変え、生活危機を突破す るために、社会保障のたたかいを前進させることです。その担い手は、労働者・国民です。 とりわけ労働組合は、たたかいを持続的に、かつ共同の取り組みとして発展させる推進者 の役割を果たすことが期待されています。  憲法25条を活かす社会保障制度の再建は、年金、医療、介護保障、生活保護などを含 む総合的な政策として練り上げ、国民が主人公の政治をめざすたたかいと結びながら、国 民・労働者の総意でつくりあげる大事業です。構えを大きく、社会のあり方を変える展望 をもちながら、意気高くたたかいましょう。 3.未来を切り拓く確かな力−日本労働運動の到達点に確信を  ●「蟹工船」が現代に蘇っている  若い労働者の間で、日本プロレタリア文学運動の中で生まれた小林多喜二の小説「蟹工 船」が読まれています。雇用が破壊され、労働者の権利が侵害され、生活が脅かされ、激 しい競争社会の渦の中にある現代社会が、多喜二が1929(昭和4)年に描いた蟹工船 の労働者状態を見て、まさに「私たちのことだ」と共感しているのです。  蟹工船の中で、労働者が過酷な労働に耐えながらストライキで立ち上がる場面では、バ ラバラにされた労働者が団結する姿に拍手を送り、自らの働き方、生き方と較べているの です。こうして、「蟹工船」は、新たな生命力をもって現代に蘇っています。  その蟹工船の主題は、過酷な労働条件の下で、いかにして労働者が団結して立ち上がっ ていくかです。日本労働運動の「旬の課題」も、ズバリそこにあります。  ●労働組合の原点−それは団結すること  いま、無権利で過酷な労働現場で働く労働者が、一人でも入れる地域労組(ローカルユ ニオン)に参加し、元気にたたかっています。残業代未払い、有給休暇を取らせない、社 会保険未加入など、劣悪な労働現場から、勇気を出して現状を告発し、たたかっています。 労働相談にきた青年が、直ちに組合に入り、団体交渉の段取りをつけ、待ったなしの活動 が始まります。バラバラの状態に置かれていた青年たちが、労働者であることを実感し、 地域の仲間の存在を意識し、耐えるだけでなく、団結の力で立ち上がっています。労働組 合の原点が、ここにあるのです。  ●団体交渉の魅力の再発見!  人間らしく生き、働くために、労働組合の出番です。なぜなら、この課題を真正面に据 えてたたかう組織は、労働組合以外にないからです。  団体交渉は、労働組合に認められる特別な権利です。この権利は、労働条件の改善のた めに役立てなければなりません。団体交渉の基本を学び、交渉の現場で活かし、少しでも 目の前の労働条件を良くし、働くルールを確立することが大切です。  これからのキーワードは、“団体交渉の魅力の再発見”です。労働者と使用者が「対等の 立場」で団体交渉ができる凄さを再認識しましょう。  ●労働法を学び、活かそう!  労働法は、労働者の立場にたつ法律です。その基本は、労働組合法と労働基準法です。 全厚生には現在、2つの独立行政法人研究所と全国健康保険協会(公法人)が存在します。 さらに、2010年1月には日本年金機構(公法人)が設立されます。これらは、労組法や労 基法が適用されます。労働者がこれを知らずにいれば、武器のある相手に素手で挑むよう なものです。また労働法は、公務労働者にとっても、労働条件の改善をめざす上で、基礎 となるものです。知って、学んで、活かすことが大切です。 〔団体交渉に強くなる〕  団体交渉権は、労働組合が使用者と交渉する権利です。当然、使用者には、団体交渉に 応ずる義務があります。使用者との間で合意した事項は、労働協約として取り決めます。 この「労働協約締結権」は、団体交渉権に含まれた権利です。権利は、行使してこそ機能 します。  団体交渉は、単なる話し合いではありません。労働条件をめぐって使用者と労働者が対 決する場です。労働組合が使用者と団体交渉を行うには、準備が必要です。職場の様々な 問題を労働者が話し合い、要求書をつくり、それを使用者側に提出することから始まりま す。交渉日時などを決め合い、労使双方の代表が交渉のテーブルにつき、交渉に入るのが 一般的なやり方です。団体交渉に強くなることは、組合役員の必須条件です。 〔労働基準法をたたかいの武器に〕  労働基準法は、労働条件の最低限の基準を定めたものです。「この法律で定める労働条件 の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を 低下させてはならないことはもとより、その向上を図るよう努めなければならない」(1条)、 「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無 効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による」(13 条)と規定しています。労基法以下の労働条件を定める労働契約は無効であり、労基法を 下回る労働条件で労働者を働かせた使用者には、刑事罰が科せられます。労働組合は、こ の基準をスタートラインにして、職場や企業ごとに、労働条件の維持・改善のため にたたかうことが必要です。  ●全労連結成20周年−希望に輝く未来のために  労働組合のナショナルセンター全労連が結成されたのは、1989年11月21日です。 その行動綱領「希望に輝く未来のために」には、次のことが宣言されています。「全労連は、 労働者の切実な要求実現と働く人びとの希望に輝く未来のために、すべての労働者・国民 とともにその歴史的役割を果たすことを最大の目的とし、行動します」。その宣言から20 年が経ちました。全労連は、階級闘争の荒波を乗りこえ、職場で、地域で、本来の役割を 自覚し、頼りになる労働組合をつくりあげています。私たちも、その一員として、日々活 動しています。これが、日本労働運動の歴史的な到達点です。  ●たたかってこそ、労働組合! 労働組合の結成も、労働基本権の確立も、団体交渉の権利も、「人類の多年にわたる自由 獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え」(憲法97条)てき たものです。だから、「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」(憲 法12条)のです。権利は、絵にかいた餅ではありません。使ってこそ、権利です。  働くものが要求を実現する唯一の力は、団結の力です。労働者はたたかってこそ、人間 らしい生き方ができるのです。労働者の働く権利と社会進歩のために、新たな歴史を築こ うと日夜奮闘している勇気ある仲間たちと思いを共有しながら、たたかいます。 U 全厚生運動の原点と旬の課題  1946年4月20日に結成された全厚生(当時は、厚生省職員組合)は、今年(20 09年)、結成63周年を迎えました。これまでの歴史を踏まえ、全厚生運動の基本方向を 確認し、新たな情勢のもとで、たたかいを前進させるために英知を結集します。 1.全厚生運動の原点  全厚生(当時は、厚生省職員組合)は結成当初から、社会保障闘争の分野で重要な役割 を担ってきました。1954年、吉田内閣がすすめた再軍備策動に反対し、社会保障を守 れの行動を起こした歴史は、全厚生運動の原点です。  そして、労働条件の改善と共に、厚生労働省(旧厚生省)で働く職員で組織された労働 組合として、一貫して行政の民主化、社会保障を守るたたかいを重視して取り組んできま した。さらに、社会保障を守る共同のたたかいの一翼を担い、中央社保協(=中央社会保 障推進協議会)をつくる上で一定の役割を果たした事実は、先輩たちの重要な貢献です。 全厚生運動の歴史と原点を知り、たたかいを一歩一歩、着実に前進させていきましょう。 2.憲法25条を行政に活かす  憲法15条は、公務員を全体の奉仕者として位置づけています。また、第99条によっ て、公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負っています。これは、極めて重要な規定です。  全厚生は、憲法25条を行政に活かすために、「何のため、誰のため」に厚生労働行政が あるかを真剣に問い続け、国民の願いに応える厚生労働行政の確立をめざし奮闘してきま した。今後とも、この立場を堅持し、考え、行動するために、知恵と力を結集します。 今 の課題は、社会保険庁改革の本質を明らかにし、社会福祉の再編成や厚生科学研究のあり 方を問い、憲法25条を活かす厚生労働行政を再生させることです。9条改憲がねらわれ ている下で、歴史的な使命を受け止め、その役割を発揮する瞬間(とき)です。ここに、 全厚生の存在価値があるのです。 3.組織整備で、要求を前進させる  2010年1月に、日本年金機構が設立されます。これにより、全厚生の構成員は、国 家公務員、独立行政法人、全国健康保険協会(民間型公法人)、日本年金機構(民間型公法 人)となります。それぞれの労使関係を構築するために、全厚生の組織形態を抜本的に見 直します。これは、働くルールを確立し、要求実現のための最良の組織づくりをめざす ものです。国民本位の厚生労働行政をめざす、公務労働運動の基本は何ら変わりません。 すべての職域・部門で、たたかう体制を確立します。この秋、この組織の見直しの事業を 全力でやり抜きます。 V 社会保険庁改革に対するたたかい  社会保険庁改革が始まって5年。来年1月には、日本年金機構が設立されようとしてい ます。この改革は、社会保険行政の民営化攻撃です。業務は承継するにもかかわらず、職 員の引き継ぎ規定がない異常な枠組ですすんでいます。老後が安心の年金制度をつくり、 職員の雇用を守るために、まさしく正念場です。組織の総力をあげて、たたかいます。 1.たたかいの基本方向  ●社会保険庁改革の本質  社会保険庁改革は、社会保険行政を解体・分割し、民営化する攻撃です。その攻撃は、 国の責任を放棄して、社会保障を解体するものです。さらには、保険資本が侵入し、大企 業のビジネスチャンスを拡大する仕掛けと一体ですすめられています。当然のことですが、 公的年金制度を改善・拡充する改革ではありません。  その特徴は、@官から民への一方的な攻撃の実験場、A社会保障を解体する攻撃の環、 B公務破壊・雇用破壊トップナンナーの位置づけ、C公務バッシングの格好のモデルにな っている、Dこれらが政治的な意図をもってすすめられています。  ●意図的なバッシングだまされない  バッシングについて改めて、強調しておきます。政府は、年金制度や記録問題など、国 民の不信・不満を逆手にとり、すべての責任を職員に転嫁するために、社保庁バッシング を意図的に行ってきました。そのバッシングを最大限に利用して、国民と公務員・社会保 険庁職員・労働組合との間を分断させ、民営化を推し進めてきたのです。郵政民営化の見 直しの議論も、民営化のねらいや陰が浮き彫りになっているからです。民営化を止めさせ、 職員の雇用を確保するためにも、この巧妙な偽装トリックにだまされてはなりません。  ●たたかいの基本方向  大仕掛けをはね返すには、安心できる年金制度を確立するために奮闘し、かつ一律不採 用という雇用問題の違法性を主張し、国民的な共同を大きく広げることが必要です。社会 保険行政と雇用を守るために、次の基本方向でたたかいます。 @社会保険行政の解体・民営化ではなく、日本年金機構の凍結を求めます  A働くルールを守らせ、職員の首切り・リストラを許さず、雇用を守ります  B年金記録問題の歴史的・構造的要因を明らかにし、政府の責任で解決をめざします  C国の責任で年金制度を改善するために、社会保障闘争に結集します  D社会保険庁バッシングの巧妙なねらい・誤解を解くためにたたかいます 2.雇用確保のたたかいに全力をあげる  ●雇用問題をめぐる現局面  社会保険庁改革の異常さは、職員の雇用問題に象徴的に現れています。業務は継続する にもかかわらず、職員の引き継ぎ規定が全くありません。国鉄「分割・民営化」の時と同 様な枠組みです。  5月19日には、日本年金機構への採用内定や厚生労働省への転任内定者の数が公表さ れ、6月25日には本人に伝達されました。全体状況は一切公表されていません。今、把 握する努力を行っていますが、全国で1000人弱の職員が不採用とされ、分限免職の可 能性があることが新聞でも報道されています。  これから年末まで、厚生労働省や他の省庁への転任、再就職の斡旋などの努力を行って も、どこにも行けない職員は、組織改廃に伴う分限免職、すなわち公務リストラ(解雇) となる枠組みです。 分限免職の回避は、政府の責任です。この使用者責任を明確にさせて、取り組みを強化 します。雇用を守るために、引き続き、厚生労働省・社会保険庁との労使交渉や、各県で の社会保険事務局要請、宣伝行動など、様々な取り組みを行います。この秋が正念場です。 世論と運動を更に広げ、雇用確保のためにあらゆる努力を行います。  ●要求の正当性  日本年金機構の採用基準は、懲戒処分を過去に受けた人は一律不採用。この方針は、閣 議決定です。これで、すでに約800人の職員が日本年金機構から除外されています。さ らに、採用基準には、改革に後ろ向きな言動のあった者、改革意欲に乏しかった者を厳正 に審査するとか、改革に前向きでないことが明らかになった時は、採否を再検討するとな っています。選別採用を強行する一方で、7月28日、民間から1078人の正規職員の 採用内定を発表。更に50人を追加募集するとしています。社会保険の職場で、年金記録 問題の対応をはじめ、人が全く足りない職場で、今いる労働者の首を切り、さらに新しい 人を民間から千人も採用していく、こんな枠組みは到底、認められません。日本弁護士連 合会が出した意見書(08.12.19)でも、基準は直ちに見直すことを求めています。  年金業務を安定的にすすめるには、複雑な制度に習熟し、実務経験の蓄積が必要です。 国民の信頼を回復するためにも、専門性の確保が不可欠です。非常勤で働く仲間も含め、 業務に精通した職員の雇用確保は、どうしても必要です。 〔日弁連の意見書の抜粋〕 ◎我が国の労働法制では、客観的合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ、労働者 の意に反してその職を失わせることは許されない。これは、生存権保障を定める日本国憲 法第25条及び勤労権等の保障を定める同法27条の理念から要請される法理でもある。 ◎日本年金機構の採用基準は、解雇法理である客観的合理性及び社会通年上の相当性の要 件を満たすとともに、法定事由該当性、平等取り扱いの原則(同法27条)及び均衡の原 則(事実と処分内容との均衡、二重処分の禁止)など、処分の公正性を担保するものでな ければならず、これは法治主義からの当然の帰結となる。 ◎ところが「基本的考え方」(08.7.29閣議決定)の上記基準は、過去一度でも懲戒処分を 受けておれば、その処分の基礎となった事実の性質・態様や被処分者の勤務歴などの一切 を考慮することなく、一律に不採用・分限免職とするものであるから、上記労働法制・国 家公務員法が求めている規範的要請を無視するものである。また、同一の非違行為を理由 とする二重処分に該当し、実質的に二重の不利益処分を課すものといえ、違法無効の疑い が濃厚であるばかりか、ひいては法治主義の原則にも背馳するものと危惧せざるを得ない。 ◎また、被処分者を不採用・分限免職としつつ、他方で1000名の職員を新規採用とす るとされているが、法的にはこのような場合、現職員に対する人員削減の必要性、分限免 職回避努力、人選基準の合理性などを充たすことが求められており、上記基準によって一 律に不採用・分限免職とすることは疑問である。 ◎以上の理由から、将来に禍根を残さないためにも、労働法制や国家公務員法に抵触する 疑いのある上記基準は直ちに見直し、法令に適合しかつ合理的な人選基準を設定するよう 求めるものである。  ●雇用確保の取り組み  @雇用確保のたたかいを最重要課題と位置づけ、全力で取り組みます。厚生労働省・社  会保険庁に対し、職員の雇用に万全を期し、組織改廃に伴う「分限解雇」を行わないよ う 最大限の努力を求めます。  A全厚生として、希望者全員の雇用確保を追及する立場から、すべての組合員の状況を  把握し、総対話の活動を基本に据えて取り組みます。  Bこの間の交渉(社会保険庁交渉、大臣官房人事課長交渉、大臣官房長交渉)の到達点  を踏まえ、09秋闘で、厚生労働省、社会保険庁との交渉を強化します。  C厚生労働省への転任を希望する者に対し、厚生労働省への定員配置を確実に行うなど、  雇用確保のために使用者として責任を果たすよう追及します。  D再就職支援は、本人の希望を最大限尊重し、実効ある支援となるよう取り組みます。  E社会保険庁PT(自由法曹団、国公労連、公務労組連絡会、全厚生)を通じて、弁護士、  法律家等の協力を得て、雇用確保の取り組みを強化します。不当な分限免職に対しては、  労働者の権利を守るためにたたかいます。 F雇用確保のために、秋の段階での国会闘争を重視します。  G「国公労連・2009年度運動方針」に結集し、全力でたたかいます。  ●全厚生不当処分撤回闘争で必ず勝利を  社会保険庁は、昨年9月3日、東京、大阪、京都で「無許可専従行為者」、「無許可を惹 起させた者」及び管理者ら41人に対して、減給などの懲戒処分を行いました。京都支部 でも2人の組合員が処分を受けました。支部では、処分に至る調査は極めて杜撰であるこ と、正当な交渉や準備行為まで違法な組合活動としたこと、その処分が新組織からの排除 や分限免職の可能性を含むあまりにも過酷なものであり、不当な労働組合攻撃であること を確認し、裁判でたたかう方針を確立。2月27日に処分取消しを求めて、京都地裁に提 訴しました。  第1回口頭弁論(4.23)、第2回口頭弁論(6.25)では、傍聴行動を積極的に取り組み、 2回以降は100席の大法廷に変更させています。第3回口頭弁論(9.10)も、傍聴席を 満席にして奮闘します。6月25日には、「全厚生不当処分撤回闘争を励ます会」を結成し ました。この裁判闘争は、公務員労働組合の基本的な権利、組合活動の保障に関わる根本 問題が問われる重要は裁判です。全厚生の重点の取り組みと位置づけ、勝利のためにた たかいます。  〔国公労連・2009年度運動方針−社会保険庁改革での取り組み〕  社会保険庁の解体に伴う分限免職や深刻な雇用問題が発生する危険性が高まっている。 日本年金機構の発足凍結を求めるとともに、政府・厚生労働省・社会保険庁の使用者責任 を徹底して追及し、分限免職を許さず仲間の雇用を守るために全力を上げる。  @社会保険庁で働くすべての職員の雇用確保と、一人の分限免職も許さないたたかいを  強化する。社保庁による再就職等支援のとりくみが本人希望を尊重した実効あるものと  するため、使用者責任の追及を強化する。また、全厚生京都支部の仲間の処分撤回裁判 闘 争を支援するとともに、自由法曹団などとの連携を強化する。  A記録問題解決の目処もたたないもとでの日本年金機構の発足に反対する世論づくりに  むけて宣伝行動を強化する。同時に、拙速な記録問題の処理は、正確な記録の整備を阻 害 するものであることを社会的に告発し、政府の責任での解決を追及する。  B「安心年金つくろう会」の全県での結成をめざす。未確立の地域では、早急に県労連  や年金者組合、社保協などに働きかけて準備会を立ち上げ、学習会や宣伝行動、社会保 険 事務局申し入れなど、共同のとりくみを強化する。  C2010年1月の日本年金機構発足までに年金記録問題を処理することなど、過重労働の  押しつけを許さず、職員の労働条件と健康管理、業務体制の確立にむけた社保庁当局追 及 を強化する。  D年金機構における全厚生組織の確立と整備にむけて支援するとともに、各県国公とも  連携して全厚生組合員を激励するとりくみを進める。 3.業務体制を確保するたたかい 09年の年末まで、あと4カ月です。社会保険行政は、国民のためのものです。国民に 責任を負うことのできる体制確保を要求して、最後まで取り組みを強めます。  職場では、厳しい、過酷な労働実態が続いています。年金記録問題の対応、年金相談、 苦情処理など、国民の信頼を回復するために、命を削る思いで業務に従事しています。健 康破壊、退職者の急増で、欠員状態が拡大し、恒常的な残業、土曜・休日出勤が強いられ ています。体制強化は、待ったなし、緊急の課題です。年金記録の適正化、国民の権利保 障のために必要な予算及び人員など充分な体制を確保すると共に、職員の健康管理及び安 全対策の強化を要求して、取り組みます。 4.「安心年金つくろう会」の全国展開をめざす  ●岐阜・愛知・香川・愛媛で設立、準備会の取り組み  2008年5月28日に結成した「安心年金つくろう会」(=国の責任で、安心して暮らせる 年金制度をつくる連絡会)は、安心して暮らせる年金制度の確立という、旬の課題を担う 組織です。  県段階では、08年秋年闘争の中で岐阜県、愛知県、09春闘では、香川県、愛媛県で 連絡会を結成。さらに、神奈川、京都、大阪、兵庫、東京などで準備会としての活動がす すめられています。「安心年金つくろう会」のこれまでの到達点にたち、全国展開にむけて、 地道な組織づくりと共同の運動を繰り広げていくことが重要です。  ●「安心年金つくろう会」の重要な役割  「安心年金つくろう会」は、国民的な共同の取り組みを広げる重要な組織です。併せて、 全厚生の奮闘次第で、社会保険庁改革の本質、社会保険庁の解体・分割・民営化のねらい を国民的に明らかにすることも可能となる共同の組織です。  中央では、年金法廷、院内集会、街頭宣伝、様々な要請行動を展開し、「安心年金つくろ う会」の活動の幅を広げています。憲法25条にもとづき、老後が安心して暮らせる年金 制度をつくる課題は、“今こそ旬”の課題です。また、政府の基本計画に基づいて日本年金 機構が発足すれば、公的年金業務の専門性と安定性が損なわれることは明白です。国民の 願いは、国の責任で、安心・信頼できる公的年金制度を確立することです。「基本計画」の 閣議決定を見直し、日本年金機構の凍結を求める上でも力になる組織です。  安心年金つくろう会に結集し、会の活動を全国に広げ、たたかいを前進させるために奮 闘します。  〔安心年金つくろう会の賛同団体−2009年8月現在(50音順)〕 公務労組連絡会、厚生省労働組合共闘会議、国鉄労働組合、自由法曹団、全国商工団体連 合会、全国生活と健康を守る会連合会、全日本金属情報機器労働組合(JMIU)、全日本建設 交運一般労働組合、全日本年金者組合、中央社会保障推進協議会、日本国家公務員労働組 合連合会、日本婦人団体連合会  ●全国で活動を広げよう!  @「安心年金つくろう会」の活動を全国展開できるように、組織と運動を飛躍的に前進  させるために奮闘します。すでに結成された岐阜・愛知・香川・愛媛では、会の運動を 持 続させるために努力し、先進県の役割を担います。  A準備会及び県組織の設立にむけて活動している、神奈川、京都、大阪、兵庫、東京で  の結成にむけて、取り組みをすすめます。更に、社会保険各県支部のある秋田、静岡、 滋 賀、大分での活動を協議してすすめます。ブロック・県国公とも協力して、全厚生  組 織のない県でも準備会・県組織設立の取り組みをすすめます。また、「安心年金つく ろう 会」の地域段階での取り組みもすすめます。業務センター支部は、東京・杉並区で の活 動をすすめます。  B「安心年金つくろう会」の県組織づくりに至らない場合でも、同趣旨での様々なシン  ポジウムや学習会、宣伝行動など、様々な活動を展開します。  C「安心年金つくろう会」(中央)で行う宣伝、要請行動、日本年金機構設立委員会へ の 要請、厚生労働省・社会保険庁への要請などに積極的に結集します。 5.全国健康保険協会での組合活動の前進を  ●この間の取り組み  昨年10月1日に全国健康保険協会が設立して以降、各県での労働組合の確立、労使関 係の構築に全力をあげてきました。神奈川、岐阜、京都の各支部で労働組合が過半数代表 者になり、秋田、愛知、愛媛、香川で組合員が労働者代表になり、36協定をはじめ労使 協定の締結の取り組みを行いました。また、3月20日には、健康保険協会分会全国交流 集会を愛知で開催し、8支部29人が参加して、職場実態の交流や要求討議を行いました。  また、本部段階では、団体交渉での合意事項を労働協約にするための努力を重ね、6月2 9日付で合意に至りました。 〔合意事項−09.6.29〕  @超過勤務については、職員の健康や家庭生活にも配慮し、必要最小限とする。超過務  手当の支給については、職員給与規程第19条の規定を遵守する。  A各事業所に「衛生委員会」を設置し、労働者委員の意見も踏まえて労働者の安全と健  康の確保に努める。  B労働条件に係る様々な課題について、引き続き、労使双方で真摯に話し合う。  ●職場から、取り組みを強める  この間の到達点に立ち、働くルールを確立し、働きがいある職場をめざし、奮闘します。  @職場要求を集約して、要求書を提出し、本部・支部一体でその実現をめざします。  A引き続き、交渉ルールの確立をめざし、労働協約闘争を前進させます。  B各支部で組織拡大を積極的にすすめ、すべての支部で過半数をめざします。  C引き続き、健康保険協会分会全国交流集会を開催します。  D国民本位の協会けんぽをめざす取り組みを開始します。 6.日本年金機構での組合活動を準備する  ●この秋に、活動準備を行う  2010年に日本年金機構が設立されます。雇用の確保と併せて、日本年金機構で労働 組合を確立することは、全厚生の重要な組織課題です。先行して取り組んだ全国健康保険 協会での様々な労使関係構築の経験を活かし、すべての社会保険関係支部で必要な準備を 行います。この準備は、09年秋に行うものです。そして、現在の社会保険各県支部・分 会で権利に強くなる学習活動と一体で行います。また、組織の拡大・強化の課題とも結び つけて取り組みます。  ●組織整備の基本方針 @日本年金機構及び全国健康保険協会に勤務する職員を対象に、ブロック単位での「社  会保険支部」を結成します。  A社会保険支部のもとに年金事務所及び健保協会単位の分会を設置します。  B年金機構本部には、「年金機構本部支部」を結成します。  C健保協会本部には、「健保協会本部支部」の結成をめざします。  D県単位で年金機構分会及び健保協会分会を対象に「県連絡会」を結成します。  E社会保険庁から地方厚生局へは転任となります。各地方厚生局を束ねた全国一本の地  方厚生局支部を結成します。(第72回定期大会・08.9.13)  ●組織整備の具体的な取り組み  組織整備は、09年秋に行います。各支部大会で確認し、ブロック単位の社会保険支部 を結成します。その具体的な準備・段取り等は、09年秋季年末闘争方針(案)で提起し ます。 W 働くルールの確立、公務員制度改革の取り組み 1.健康で働ける職場をつくる  ●働くルールの基本を重視する  働くルールを確立することは、労働組合の最も重要な仕事です。一人ひとりの労働者の 生活を守る基礎になるからです。労働条件は、人間らしく生きる基本であり、その後退や 変化に対して、労働組合は機敏に対応しなければなりません。健康で働き続けることは、 労働者の権利です。どの職場でも、労働条件、労働環境を厳しくチェックし、健康で働け る職場づくりの知恵を出し、改善の取り組みに力を尽くします。  ●メンタルヘルス(心の健康づくり)対策を重視する  どの職場でも一人当たりの業務量は増え、業務内容は複雑になっています。一人ひとり に掛かる責任は重くなり、精神的・肉体的な負担が大きくなっています。長時間労働に加 え、過度のストレスを生む職場環境は、労働者のいのちと健康を蝕んでいます。現在、メ ンタルコールド(心の病)による病休者がいない職場はない、と言っても過言ではありま せん。健康で働ける職場づくりは、労働組合の重要な役割です。メンタルヘルスの基礎知 識を職場に徹底させ、相談しやすい環境づくりを積極的にすすめます。メンタルコールド による病休者を出さない職場、病休者が復帰できる職場をめざします。また、職場環境と ともに、社会環境を変える取り組みも重視します。 2.身近で、切実な労働条件の改善をめざす  ●要求を鮮明にして、職場を基礎にたたかう  要求確立は、たたかいの出発点です。労働条件、労働環境を厳しくチェックし、全厚生 の全ての職場で労働条件の改善の課題を鮮明にさせて取り組みます。活動を進める極意は、 「みんなで討議し、みんなで決め、みんなで実行(実践)する」ことです。職場討議は、 厳しい環境だからこそ、創意工夫して取り組みます。春闘や夏季闘争、秋のたたかいなど、 全厚生統一要求を軸に、支部独自要求も確立し、所属長への提出、団体交渉を実施します。  ●国公労連に結集して、要求実現をめざす  国公労連は、国家公務員及び独立行政法人でつくる国家公務員の産別労働組合です。 賃金や労働時間、休暇制度の改善、国民本位の行財政・司法の確立と要員確保、民主的公 務員制度の確立、非常勤職員の処遇改善、独立行政法人の運営等、国公労働運動のすべて の仲間を視野に入れ、使用者である政府及び人事院に対して、要求行動を展開しています。 公務員の働くルールの確立をめざし、国公労連に結集してたたかいます。  ●本部交渉を配置して、要求前進をめざす  切実な要求の実現をめざし、本部・支部が一体で取り組みます。本部段階の交渉で、要 求実現を迫ります。大臣官房人事課長交渉、社会保険庁交渉、社会福祉支部の重点要求で の施設管理室長交渉、試験研究機関の重点要求での厚生科学課長交渉、全国健康保険協会 との交渉を実施します。更に、新たに日本年金機構との交渉ルールの確立をめざします。  また、厚生共闘(厚生省労働組合共闘会議)として、厚生労働大臣交渉、大臣官房長交 渉等を実施します。 3.真の男女平等をめざし、男女共同参画社会の実現を  ●真の男女平等は、全体・共通のルール  真の男女平等、健康で働き続けることは、女性の切実な要求であり、労働者の基本的な 権利です。生き生きと働き続けるための全体・共通のルールにしなければなりません。  女性差別撤廃条約(=女性にたいするあるゆる形態にたいする差別撤廃に関する条約) が国連総会で採択されたのが1979年です。日本での批准は1985年であり、この年 に男女雇用機会均等法が制定されました。1999年に施行された「男女共同参画社会基本法」 は、男女が互いに人権を尊重しつつ、仕事も家族的責任も分かち合い、性別にかかわりな く、その個性と能力を発揮することができるように男女共同参画社会の実現をめざしてい ます。  ●女性の採用・登用の拡大を  人事院は2005年12月、「女性国家公務員の採用登用の拡大に関する指針」(2003年11 月策定)を改定。これを受けて厚生労働省は2006年4月1日、「厚生労働省女性職員採用 登用拡大計画」(2003年11月策定)を改定、2010年度までの目標を設定しました。全厚生 は、これまで、「計画」に「数値目標」「ポジティブアクション」「働き続けられる職場環境 の整備」などより具体的に要求を盛り込むよう、大臣官房人事課に申し入れてきました。  引き続き、女性の採用・登用を進めるよう働きかけていきます。健康破壊・家庭破壊に つながる恒常的な残業をなくし、働きやすい勤務環境をつくるため、男も女も人間らしく 働くルールの確立をめざしてたたかいます。 4.人事評価制度の本格実施にむけた取り組み  新たな人事評価制度の本格実施を前提にして、「人事評価のリハーサル試行」が全ての機 関、全職員を対象にして実施されました。その上で、厚生労働省は、2009年10月か ら本格実施に入ります。リハーサル試行の結果は、充分に検証されなければなりません。  人事評価制度の基本要求では、公平性・客観性・透明性・納得性を備えた職員参加、育 成重視型の仕組みとすることを要求します。さらに、評価結果は全面開示し、労働組合が 参加する民主的な苦情処理シムテムを確立することを要求します。評価結果を直接給与決 定に反映する仕組みとしないことを要求します。  @これらの基本要求を堅持し、その実現のために国公労連に結集して取り組みます。A 厚生労働省での具体化にあたり、本部・支部の各段階での交渉で追及し、公平な運用、基 準の明確化、制度改善をめざします。 5.民主的な公務員制度の確立をめざす  定員合理化計画や公務員制度改革など、公務をめぐる厳しい情勢が続いています。政府 は、2010年度から2014年度までに今年度末定員の10%以上を合理化する新たな定員合理 化計画を閣議決定(09.7.1)しました。地方分権改革では、国の出先機関の廃止・地方委 譲が中心課題とされています。  政府は、中央省庁再編後、新たな政府の組織で働くのは、新たな公務員でなければなら ないとして公務員制度改革を始めました。公務員への労働基本権保障を明確にしないまま、 使用者である首相の権限を一方的に強化する改革をすすめています。08年に公務員制度 改革基本法を強行した政府は、通常国会に「公務員制度改革」関連法案を提出。衆議院の 解散とともに法案は廃案となりました。また、労働基本権問題は、公務員制度改革基本法 にも、「労働協約権付与」が盛り込まれ、労働基本権回復への新たな局面を迎えています。  その一方、公務員制度改革推進本部が決めた工程表では、労働協約締結権が保障される見 込みの2012年までの2年間は、公務員の「代償措置」すら奪われた状態になっています。 公務の民営化や民間委託がすすめられている下で、公務・公共サービスの拡充と一体で労 働基本権の回復をめざすことが重要です。公務員は、全体の奉仕者です。その役割を発揮 することのできる民主的な公務員制度改革の確立をめざし、奮闘します。 X 本省庁の課題と取り組み  1.長時間残業の改善をねばり強く  霞国公が行っている「第17回残業実態アンケート」の結果(09.7.1発表)は、不夜城 と称される霞が関・本省職場の異常な実態が浮き彫りになりました。多くの職員が過労死 ギリギリの過酷な残業を強いられています。本省支部分の集計は、アンケートを実施した 霞国公に加盟する労働組合の内、月平均残業時間数は、2年連続のワースト1(全体平均 =36.3時間、旧厚生本省=71.2時間)で、最悪の結果が示されました。 本省・統計支部では、早朝宣伝、庁舎内での鐘ならし、ハンドマイクでの呼びかけなど、 恒常的な残業を改善するために活動しています。しかし、改善がすすまず、職員の健康問 題やメンタルヘルスの課題は深刻です。  本省庁職場における恒常的で異常な残業実態を改善することは、健康で働き続けられる 職場をつくる基本の取り組みです。誇りをもって、健康で働き続けられる職場づくりをめ ざし、ねばり強く取り組みます。 2.霞国公で交流し、日常活動の工夫・改善に努める  霞が関の本省庁職場は、長時間残業の原因も、組合活動の悩みも共通しています。本省 庁の恒常的残業は、本省特有の業務に起因しています。通常業務である各種施策の企画、 各都道府県等への指導・監督的な業務はもとより、国会開会中に法案の所管局・課及び関 連部署が国会対応の業務を担い、予算関係の業務がダブルで加わり、膨大な業務量になっ ています。本省庁の組合活動を前進させるために、霞が関の他の組合の経験に学び、交流 しながら進めます。東京国公や霞国公への結集を強め、組合の日常活動の工夫と改善に努 めます。本省庁協議会の活動を軸に、本省支部、統計情報支部、業務センター支部の執行 委員会の学習・交流を強め、お互いに激励しあい、活動をすすめます。 3.非常勤職員との交流・懇談の場づくり  非常勤職員は、劣悪な労働条件と環境の下で働いています。国公一般(国家公務員一般 労働組合)は、あらゆる機会を通じて交流をすすめ、組合加入を訴えています。全厚生も、 この取り組みと連携して、交流・懇談の場づくりに努めます。 4.本省庁3支部は、新たな位置づけをもって交流する  社会保険庁改革で、社会保険業務センターは廃止され、日本年金機構(本部)が設立さ れます。本省庁の3支部で行ってきた本省庁協議会は、本省組織と日本年金機構(本部) という新たな位置関係のもとで、交流を深めます。 Y 国立福祉施設の課題と取り組み  1.この間の取り組み  国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会が、2008年10月から、2009年3月ま で、5回にわたり開催されました。厚社連は、国立福祉施設のあり方にとって、極めて重 要な検討が行われる委員会であり、傍聴行動を3回にわたり行いました。第3回(1.28− 14人)、第4回(2.27−10人)、第5回(3.25−11人)の参加で、厳しい情勢の下で も、元気のでる取り組みとなりました。貴重な成果としては、相手を知る、政策づくりの 方法・実態をつかむ、たたかいの構えをつくる、施設当局以上にこの問題での見識を深め る、国民のための国立福祉施設のあり方を深く考え、行動する取り組みとなりました。  また、第4回検討会の前日には、厚社連として、「国立更生援護機関の今後のあり方に関 する検討についての意見」を施設管理室に提出したことも、重要な取り組みでした。  これらの取り組みの到達点にたち、今後の国立施設のあり方に対する取り組みを強める ことが大切になっています。 2.「あり方検討」の課題と取り組み  あり方に関する検討会の報告書には、国立更生援護機関の機能の一元化では、「国立更生 援護機関の機能を一元化することにより、四つの類型・8施設を一つの組織体とすること が可能であり、一つの組織体とすることによって、現在、施設類型ごとに定められている 予算や職員定員等を一体的に管理することが可能となる。そのことによって、事務事業の 効率化が図れるとともに、その時々のニーズに応じて、迅速かつ適切に対応する体制を整 えることができる」「今後、リハセンターを中心とする機能の一元化を図る中で、国立更生 援護機関の利用実態等を踏まえ、全国的な視野に立って施設の統廃合を含む再配置を考え るべきである」と記しています。  国立リハセンターの機能強化を図る一方で、国立施設総体としては機能と役割を縮小す る方向に導くことになりかねず、「自立した生活が送りたい」という多くの障害者の要求や 希望に逆行しないか危惧するものです。  施設管理室長交渉(7.13)では、「報告書・提言を受け、大切な時期だと考えている。な ぜ国立かという意味・必要性が問われている。管理室も意味づけをしていくが、現場から も声を出して欲しい」と回答。今後5年間、年次方針で具体化することになり、09年秋 は、その基本構想を固めていく重要な局面にあります。福祉充実の視点や障害者の立場に 立ち、@厚社連(=全厚生社会福祉支部連絡協議会)として政策活動の強化を図り、あり 方検討での対応を強めます。A当面、秋に行う施設管理室長交渉について、あり方検討の 課題を最重要の課題と位置づけ、各施設・職場支部での要望・意見を取りまとめ、障害者 の立場にたち、障害者福祉を拡充するために交渉を行います。 3.障害者自立支援法に対する取り組み  障害者自立支援法が実施されて3年。2009年度は、施行後3年の見直し(付則第3条) の時期です。この法律は、障害者団体の反対を押し切って強行しました。自立支援とは名 ばかりで、最低限の支援を「益」とみなし、原則1割の応益負担による負担増を課してい ます。障害を「自己責任」とみなし、障害が重い人ほど負担増を強いる制度は、国の責任 放棄です。法施行後に噴出している数多くの矛盾、障害者福祉の基盤を崩壊しかねない深 刻な実態をみれば、抜本的な見直しが必要です。  障害者の権利を保障し、障害者福祉の拡充となるよう、中央社保協や障全協(障害者の 生活と権利を守る全国連絡協議会)の取り組みに結集します。 Z 厚生科学研究の課題と取り組み 1.試験研究機関を拡充させる基本方向  厚生労働省(旧厚生省)の試験研究機関は、4つの国立試験研究機関(=国立研)と2 つの独立行政法人が併存しています。数と規模では、「国立研」が軸になっています。他省 庁では、圧倒的多数が独立行政法人になっていますので、この状況は、試験研究機関をも つ他省庁と較べて、大きく違っています。  現在、当局は「4つの試験研究機関は、@政策研究所、A公務員の研修機関、B緊急時 に国の責任において直接実施すべき健康危機管理を担っている等の理由により、独立行政 法人化されなかったもの。現在でも、状況の大きな変化はないと考えている」と回答し、 現行体制を維持する立場です。全厚生も、少なくとも4つの国立研究機関については、国 が責任をもち、国立研として維持し、拡充するよう求め、独立行政法人化を行わないよう 要求します。「4つの国立研究機関」と「2つの独立行政法人」は、ともに、医療や公衆衛 生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究を担う研究所である ことには変わりません。  運営の枠組みは異なりますが、誇りと働きがいの持てる研究所・職場をつくるために、 予算と体制確保を要求します。また、誇りと働きがいの持てる研究所・職場をつくるため に、予算と体制確保、研究所の民主的な運営を要求します。 2.独立行政法人に対する取り組み  独立行政法人の「整理合理化計画」として、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の 統合方針が閣議決定(07.12.24)されました。計画は、「原則として平成22年度末までに 措置する」となっており、「統合」協議は、厚生労働省及び各独立行政法人ですすめられて います。全厚生は、「統合」にあたり、国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究 をめざし、当該法人及び労働組合の意向を尊重して具体化・実施することを求めてきまし た。この基本方針を堅持して対応します。今後の政治情勢の変化により、独立行政法人の 政策、整理合理化計画の変更があった場合、情勢を見極め対応します。  @「統合問題」対策会議を開催し、要求を更に練り上げ、厚生科学課長交渉を実施する  A両独立行政法人支部が連携しながら、独法での申し入れ・団体交渉等をすすめる  B「統合」のための法案審議を想定し、国会闘争の準備をはじめる 3.厚研連の活動を重視し、厚生科学研究の拡充めざす  この1年間、厚研連(全厚生試験研究機関支部連絡協議会)の活動を軸にして、厚生科 学課長交渉を準備してきました。職場の交流をしながら、要求を練り上げ、交渉を準備し ていった経験は、貴重であり、今後も活かす活動です。引き続き、厚研連活動を重視し、 交流し、要求実現と組織強化をめざします。  @国立医薬品食品衛生研究所の府中移転問題を重視します。現在、労働組合に随時情報  提供を行うとともに、実行にあたっては当該職員、労働組合と十分な協議のもとで進め る ことを要求します。老朽化している現在の研究施設について、必要な整備を継続して 行 うことを要求します。移転に伴い転居を強いられる職員のために公務員宿舎を必要戸 数 確保することを要求します。  A国立保健医療科学院の教育研修について、各機関・研究者との協力体制をはじめ、充  分な体制を確保することを要求します。教育研修の業務を適正に評価することを要求し  ます。  B国立感染症研究所における研究・業務体制及び労働条件の拡充・改善を図ることを要 求します。新型インフルエンザに対応する緊急業務体制及び労働条件確保のための予算 措置を行うこと、検査検定や品質管理に関わる研究・業務体制を抜本的に強化すること を 要求します。  C任期付研究員、非常勤職員の処遇改善、パワー・ハラスメントを防止する課題などに  取り組みます。  D厚研連交流集会を開催し、科学技術政策の動向をつかみ、試験研究機関支部の交流や  要求討議を深めます。 [ 憲法・社会保障・平和を守る取り組み  平和な社会なくして、社会保障の前進はありません。全厚生は、憲法闘争、社会保障闘 争、平和を守るたたかいの相互の関係を深く理解し、その前進をめざします。9条改憲を 許さないためにあらゆる努力を行います。 1.改憲を許さず、草の根の憲法闘争を  ●憲法をたたかいの土台に  憲法を守るには、憲法に確信をもつことが大切です。私たちは主権者として、借り物で はなく、自分自身の言葉で、憲法を語ることが大切です。憲法がこの社会でいかに積極的 な役割を果たしているかを探求することが重要です。毎日の暮らし、働き方、教育、政治 にいたる様々な問題を「憲法のものさし」で見つめ直します。たたかいの土台に憲法を据 え、要求の前進をめざします。  ●憲法9条と25条の価値を探求する  憲法の第9条と第25条、すなわち平和探求の理念と社会保障の理念は、密接に結びつ いています。「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生 存する権利を有することを確認する(憲法前文)」は、そのことを見事に表現しています。 第2次世界大戦(戦争)の多くの犠牲と深い反省にたち、この理念がつくられています。 改憲勢力は、この双方を邪魔者扱いし、「戦争する国」づくりと「福祉や社会保障の縮小・ 解体」を同時にすすめようとしています。全厚生は、憲法9条と25条の意義や相互の価 値を探求し、積極的に活かすために、あらゆる機会を通じて、その価値や凄さを語る活動 をすすめます。  ●「9条の会」の運動に学び、たたかいを広げる  憲法を活かすには、憲法に確信をもつことが大切です。2004年6月10日に結成さ れた「9条の会」の運動が大きく広がっています。「日本国憲法を守るという一点で手をつ なぎ、『改憲』のくわだてを阻むため、一人ひとりができる、あらゆる努力を、いますぐ始 めることを訴えます」との呼びかけに応え、地域・職場・分野ごとに、多様な「9条の会」 が全国で7443(09.6.2の発表)にも広がっています。この草の根の運動は、9条改憲 の危険な策動を阻む大きな力になっています。全厚生は改憲阻止のたたかいを広げ、職場 や地域で憲法を活かすために奮闘します。具体的には、次の取り組みをすすめます。  @国公労連の「9の日」宣伝に積極的に参加します。  A憲法学習を重視します。支部・分会単位で、執行委員会で、組合員が集まる場など、  あらゆる機会に憲法学習を行い、学び、たたかいます。  B国公労連の提起する憲法闘争を全力で実践します。  C「9条の会」のアピールを深くかみしめ、全国の「9条の会」の運動に学び、活かし、  運動の担い手となるために奮闘します。「職場9条の会」は、その趣旨に沿い、創造的 に 探求します。 2.社会保障闘争で役割を発揮する  社会保障を切り捨てる攻撃に対し、国民の怒りが沸騰しています。後期高齢者医療制度 を始めとする医療制度改悪、年金、介護、生活保護、障害者福祉など、社会保障が解体の 危機に瀕しています。憲法25条がありながら、貧困と格差が社会問題になること自体が 問題です。  全厚生規約第3条は、「社会保障の確立のために行政の反動化に反対し、わが国の平和と 民主主義の確立に寄与する」と記しています。これまでも、行政民主化のたたかいを積極 的に位置づけ、社会保障の拡充めざし国民的なたたかいに結集してきました。引き続き、 社会保障闘争での役割を自覚して、たたかいます。  @憲法25条にもとづく、安心できる医療制度確立、老後が安心して暮らせる年金制度  の確立、介護保険制度や障害者自立支援法の抜本的な見直し改善など、国民の権利とし て の社会保障制度の確立のために、中央社保協(=中央社会保障推進協議会)に結集し て、 国民的な共同の力でたたかいます。  A年金・社会保障講師団について、04年の年金大改悪の際に組織的に活動を展開し、  共同の広がりをつくった教訓に学び、安心できる公的年金制度の確立の課題と社会保険  庁改革の課題を語る講師団として、活動します。 3.平和を守る取り組みを重視する  全厚生は、これまで平和問題を重視し、取り組みを行ってきました。戦争と福祉は共存 できない、平和でなければ福祉は守れないという理由からです。核兵器を地球上からなく すため、毎年開催する「原水爆禁止世界大会」への参加や、日本から米軍基地をなくすた めにおこなう「日本平和大会」、太平洋ビキニ環礁沖でアメリカの核兵器実験により被災し たことから始まった「3・1ビキニデー」など、色々な大会に参加しています。「原水爆禁 止世界大会」の成功にむけて取り組む「国民平和大行進」には、東京から神戸まで全厚生 の通し行進旗をとぎれることなく、つないでいます。また、各地の平和集会に参加し、の ぼり旗を掲げています。  全厚生は、今後も平和活動に積極的に参加します。引き続き、地域の平和運動の中に、 いつも全厚生の旗が立つように、重視して取り組みます。各支部は、多くの組合員が参加 できるように創意工夫して奮闘します。憲法遵守義務がある国家公務員だからこそ、憲法 について学び、活かすために奮闘します。 4.権利をめぐる裁判闘争をたたかう  ●裁判闘争の重要な意義  労働者の権利侵害や不当弾圧に対する裁判闘争は、権利をめぐる最前線でのたたかいで す。公務をめぐる裁判闘争は、公務員の権利や公務のあり方、この国の行方に直接かかわ る課題ばかりです。労働者の権利を守る裁判闘争は、大衆的な裁判闘争として、運動を広 げることが勝利のカギを握ります。特に、公務員労働者の権利にかかわる裁判闘争を全力 でたたかいます。  ●全医労不利益雇い止め是正裁判で勝利を  全医労は、独立行政法人移行時の一方的な賃金引き下げと賃金職員の雇い止めの是正を 求めて、裁判闘争をたたかっています。06年12月27日、東京地方裁判所は、04年4月に 独立行政法人に移行する際、国立病院機構が一般の定員職員の賃金を約10%引き下げたこ と、また賃金職員を一方的に雇い止めしたことに対して、全医労が是正を求めた請求を、 いずれも棄却するという極めて不当な判決を行いました。  東京地裁の不当判決を不服とした控訴審では、これまで東京高裁で5回の口頭弁論、8 回の進行協議が行われています。09年度中には、東京高裁の判決が出されることが確実 視されています。この裁判の動向は、行政機関から独立行政法人へ移行する際の賃金・労 働条件決定システムに大きな影響を及ぼすものです。兄弟組合である全医労のたたかいの 勝利めざし、全力で支援します。  ●国公法弾圧事件で勝利をめざす  国家公務員法違反で起訴された2つの弾圧事件は、日本国憲法と国際人権規約が保障す る結社の自由、言論・表現の自由を侵害する政治弾圧であり、許せません。裁判を支援し、 勝利をめざしたたかいます。  国公法弾圧・堀越事件は、第1審の不当判決(罰金10万円、執行猶予2年)に抗議・ 控訴し、たたかいの場を東京高裁に移してたたかっています。世田谷国公法弾圧事件は昨 年9月19日、東京地裁(刑事第11部)が不当な有罪判決(罰金10万円)を行いまし た。これに対し、9月22日に東京高裁に控訴して、たたかっています。言論表現の自由 を守り、公務員の政治活動禁止の違法性を問い、公務員の市民的、政治的な自由の権利を 勝ち取るために、「国公法弾圧を許さず、言論・表現の自由を守る会」「世田谷国公法弾圧 を許さない会」に結集します。 5.労働者・国民の願いに応える社会を  政治の行方は、私たちの暮らしと働き方に直結します。貧困と格差をなくし、雇用破壊 をやめさせ、働くルールを守り、生活危機を打開するには、政治の中身を変えることです。  09年夏は、激しい政治戦がたたかわれています。7月21日に衆議院が解散し、8月 18日公示、同30日投票の選挙戦がスタートしました。さらに、2010年夏には、参議院 選挙が行われます。政治の中味をかえて、国民が主人公の政治をつくる絶好のチャンスで す。  こうした情勢の下で、憲法が保障する国民の政党支持、政治活動の自由を守り、職場で も地域でも家庭でも、政治の風をさわやかに吹かし、政治を語ります。全厚生は、国民・ 労働者の切実な願いや要求が届く政治を実現させるために奮闘します。 \ 頼りになる労働組合をつくる 1.たたかいの中で、仲間をふやそう   労働組合の力は、団結の力です。切実な要求を実現するためには、その団結を強化す ることが必要です。組織拡大こそ、最大の要求(を実現させるための)闘争だといって過 言ではありません。全厚生を当面、2200人の組織にすることは、掛け値なしに正念場 の課題です。通年を通じて、要求のたたかいと一体で、仲間を増やす取り組みを強めます。  @この秋、すべての職場・支部で、非常勤職員を含む職員の過半数を組織する組合をめ  ざします。この過半数組合は、労働基準法に基づく労使協定の労働者代表に組合がなり、  極めて重要な役割を果たすための条件です。この趣旨を活かし、全厚生のすべての支部 の 基本となる組織目標とします。過半数を超えている支部は、更に高い峰をめざします。  A全厚生は、4月〜6月を「春の組織拡大特別期間」に設定し、事前の準備を行い、組  合加入の運動をすすめます。新規採用者はもとより、職場のすべての仲間を対象にして、  組合加入をすすめます。 2.国公共済会の加入を促進させる  国公共済会は、少ない掛け金で大きな給付を目的とした「助け愛」事業です。民間の生 命保険会社とは異なり、もうけ第1主義ではなく、組合員による、組合員のための共済で す。  現在加入者は、約3万人強おり、安定的な運営がなされています。加入促進のために、 国公共済会では、新入組合員に対し「ワンコイン共済」のプレゼント(半年間)を行って います。全厚生独自では、4月新入職員への組合加入対策として、新たに全厚生に加入し た職員に対し、「セット7型共済」の最長2カ月分をプレゼントしています。団結の力を強 めるために、組合員と家族の安心をつくるために加入を促進させます。  また、全厚生として、各支部での事務負担の軽減をはかるために、口座振込の活用を呼 びかけてきました。支部での検討を得て、現在6支部が実施しています。引き続き、口座 振込の積極的な活用を呼びかけます。 3.職場を基礎にした組合活動を  ●組合民主主義を重視する  組合への信頼と強い団結なしには、たたかいを前進させることはできません。結成63 周年を迎える全厚生の団結の質がためされる時です。「一人はみんなのために、みんなは一 人のために」です。全厚生労働運合の原点である憲法25条を大切にし、仲間の輪を広げ ながら、たたかいます。生き生きと組合活動をすすめるために、組合民主主義を重視しま す。職場では、本音で話し合い、交流を大切にします。忙しい中だからこそ、人間らしさ を失わず、文化やレク活動を重視して取り組みます。  ●支部・分会体制を確立する  定員削減が徹底的に推し進められ、仕事に追われ、毎日がギリギリの状態におかれてい ます。一人ひとりは、自分のことで精一杯で、気持ちの余裕もなくなっています。組合員 も支部・分会役員も忙しい中で、みんなが担う組合活動づくりは、すべての支部に共通し た課題です。執行部のがんばりは必要ですが、請け負いの活動では、運動は広がりません。 厳しい中だからこそ、支部・分会の体制確立が必要です。「急がばまわれ」の観点にたち、 最優先の課題として取り組みます。特に、社会保険各支部では、分会活動をすすめる体制 を再構築することが課題です。厳しい時だからこそ、支部・分会活動を基礎から立て直す ために努力します。 4.非常勤職員のたたかいの前進を  非常勤職員は、同じ職場で働く仲間であり、ともに行政の担い手です。しかし、正規職 員と比べて、劣悪な労働条件の下で働いています。非常勤職員の労働条件の改善は、職場 全体の課題です。  全国健康保険協会の設立にあたり、契約職員の組合加入を精力的にすすめた神奈川・岐 阜・京都の各支部では、労働組合が過半数代表になり、労働条件改善の取り組みをリード しています。  各部門ごとに、勤務条件や契約関係を把握し、処遇改善の課題や組織化の条件を探求し、 働きかけを強めます。非常勤職員との交流・懇談の場をつくり、あらゆる機会を通じて交 流を深め、組合加入をすすめます。本省庁で働く非常勤職員に対しては、本省支部の取り 組んでいる交流・懇談の場づくりを積極的に活かします。試験研究機関(国立研、独立行 政法人)での取り組みを強化します。日本年金機構の設立にむけて、非常勤職員の組合加 入の取り組みは、この秋から2010年春闘での取り組みを重視します。 5.学び、交流する運動を力に  ●交流集会運動を前進させる  全厚生は、この間、独自の交流集会運動を重視して取り組んできました。今年度は、全 国健康保険協会分会全国交流集会(08.3.20)、青年女性交流集会in神戸(09.6.20〜21)、 厚研連交流集会(09.7.24)を開催しました。事前の打ち合わせ、企画づくりなど、実行委 員会による1年間かけて取り組んだ青年女性交流集会をはじめ、交流集会づくりは、みん なで担うことで力が発揮されます。交流する、学ぶ、そして遊ぶ、みんなで行うなど、魅 力ある企画で、実りある集会づくりをめざすことが大切です。こうした観点に立ち、交流 集会運動を引き続き重視します。  とりわけ、実行委員会形式で取り組む際は、民主的な運営に努め、実行委員会のメンバ ーの成長を図りながら、取り組むように努力します。  ●共同を広げる交流集会に参加を  国公労連では、各種の交流集会を継続しています。今年度は、国公青年交流集会200 9in沖縄(09.6.4〜6)、第39回国公女性交流集会(今年は中止)、第27回国立試験研 究機関全国交流集会(09.6.12)などに結集してきました。引き続き、共同を広げる交流集 会に積極的に参加します。 6.青年を活動の主人公に  青年は、学び、たたかう中で成長します。厳しい情勢をはね返す取り組みの中で、青年 との対話を重視します。特に、若い仲間を育てる視点をもって対話します。各支部は、若 い組合員を主人公にして活動できるように援助します。青年自らで考え、創意工夫して活 動できるよう、青年層の団結が強まるように先輩組合員の援助を惜しみなく行います。  青年(対策)部は、6月4日(木)〜6日(土)の国公青年交流集会2009in沖縄に、 青年の代表3人を派遣し、平和を学び、国公青年との交流を深めました。更に女性部と合 同で、6月20日(土)〜21日(日)に第33回全厚生女性交流集会を成功させました。  @これらの経験を活かし、青年層に対して、学び、交流する取り組みを重視します。  A青年の要求実現のために国公労連青年協議会の取り組みに結集します。  B平和の取り組みに積極的に参加するように援助します。  C青年(対策)部とも協力し、労働組合の基礎を学ぶ学習講座を開催します。  D青年(対策)部の活動への援助を行います。  Eあらゆる機会を活かし、青年を取り組みの中心になるように努力します。 7.女性の活動を生き生きと  女性部は、昨年11月9日に第13回総会を開催し、恒久平和のもとで、安心な子育て や教育、介護や福祉、暮らしや文化など、生活にとってかけがいのないものを守るために、 「集まる・しゃべる・食べる・学ぶ・知らせる・行動する」をモットーに、女性の力を最 大限に発揮する活動方針を決定しました。  09春闘では、つぶやきを要求へと「女性の要求アンケート」に取り組みました。その 結果を要求に反映させ、職場から交渉を積み上げ、大臣官房人事課との懇談に活かします。  6月20日(土)〜21日(日)に神戸で開催した第33回全厚生女性交流集会は、青年と の合同開催で、成功させました。 〔女性部の取り組み〕  @働き続けられる職場の環境改善のために、全力をあげます。  A第14回女性部総会を開催します。幹事の選出、幹事会の定例開催で、安定的に女性  部活動を担います。  B女性の要求アンケートを実施し、つぶやきを要求へ、女性の要求実現をめざします。  C女性部として、人事課との懇談を実施します。  D全厚生女性交流集会を実施します。 8.勇気が湧く学習活動を  ●学習の場を積極的につくる  学習は、たたかう力の源泉です。職場で積極的な学習の場をつくることが重要です。昼 休みや退庁時での学習会は、しっかり準備して、効果的に配置し、みんなに呼びかけます。 これまでの組合活動の学習スタイルにこだわらず、あらゆる工夫を行います。20分程度 のミニ学習会、必要な場合には休日を利用しての本格的な学習会など、組合員の様々な条 件を活かし、学ぶ活動を重視します。  学習教育活動で重要なことは、持続的・計画的な取り組みにすることです。とりわけ青 年層は、学ぶことが成長に結びつく世代です。新入組合員教室や労働組合の基礎を学ぶ学 習会を各支部で積極的に開催します。  各県・地域の学習会には、支部・分会役員をはじめ、多くの組合員が積極的に参加しま す。支部・分会執行委員会は、学習活動の先頭に立ち、職場での活動をすすめます。  ●労働学校、勤通大に取り組む  要求実現の道筋や展望を見いだすには、社会のしくみや矛盾を深く理解するための基礎 学習が必要です。この学習には、様々な労働学校や大衆的学習教育運動を活用することが 効果的です。各支部は、「学習の友」を積極的に活用します。地域の労働学校に積極的に参 加します。「勤労者通信大学」の受講組織は、支部での集団受講に努めます。国公労連の労 働学校をはじめ、各種学校に積極的に参加します。  特に、勤労者通信大学では、支部やブロック規模での集団受講を組織し、これまでの勤 通大の修了生がチューター役を努めるように働きかけます。 9.職場を元気にする情報・機関紙活動  ●職場機関紙活動は、組織活動の生命線  組合員の心と心を結ぶ機関紙は、職場を元気にし、要求を実現していくためには、なく てはならない存在です。機関紙活動は組織活動の生命線、機関紙は最大の組織者と言われ ているように、組合活動における機関紙の役割は大切です。しかし、ますます仕事が忙し くなる中で、機関紙を発行し続けることは、たいへんな努力が必要です。機関紙の役割や 忙しい中でも定期発行を続けられるコツを学習して、仲間を激励する機関紙を発行するよ うに努めます。  ●中央機関紙「全厚生」を月2回で発行する  中央機関紙「全厚生」新聞は、たたかいをリードし、仲間を激励し、職場を元気にする 紙面で、月2回刊で発行してきました。「全厚生ホームページ」は、誰もがアクセスできる 「全厚生」の情報発信の場として、また、全厚生の発文書や要求書を掲載する「全厚生組 合員のページ」は日常的に本部と支部、組合員の連携を強める場として、充実させてきま した。全厚生闘争情報は、速報性を重視して発行しました。  ●具体的な取り組み @すべての支部で機関紙の発行をめざします。 A社会保険庁改革など、重点課題での「全厚生」新聞「号外」を発行します。 B「全厚生」新聞は、引き続き、月2回発行とします。 C「全厚生ホームページ」「全厚生組合員のページ」を充実させます。 D全厚生闘争情報を随時発行します。 E機関紙フェスティバルを開催します。 10.県・ブロック国公・県労連への結集  地域運動は、「国民の中へ、国民とともに」のスローガンを活かす出発点です。国公労連 は、国公労連(本部)、各単組、ブロック国公及び県・地区国公の三位一体で活動していま す。県・地区国公は、地域での国公産別運動をすすめる母体です。県労連は、共同を広げ るために、ローカルセンターの役割を担います。全ての支部は、地域でのたたかいを積極 的にすすめるために、県・ブロック国公、県労連に結集してたたかいます。 ] 全厚生の団結と機能を高める 1.各職域、部門の活動を強化する  全厚生は、本省庁、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険の4つの部門(職域)で構 成しています。この4部門の運動を推進するための体制を強化し、会議配置を効果的に行 い要求前進をめざします。  @本省庁支部は、本省庁協議会の定期開催を軸にすすめます。  A試験研究機関支部は、試験研究機関支部委員長会議を軸にしてすすめます。  B社会福祉支部は、厚社連(=全厚生社会福祉施設支部連絡協議会)を軸にすすめます。  C社会保険支部は、社会保険支部代表者会議(日本年金機構設立以降は、ブロック支部  代表者会議)を軸にたたかいを前進させます。運動の企画や政策活動の分野では、全国 健 康保険協会、日本年金機構に対応して、対策会議などを設置します。 2.ブロック協議会の活動を前進させる  全厚生第70回定期大会で、ブロック機能を強化するために、規約上も地方協議会と位 置づけました。部門をこえた団結強化、人事院地方事務局交渉、地方厚生局との対応など、 ブロック機関としての活動を強めます。 3.厚生労働省の3組合の連携を強化する  2001年1月の厚生労働省の発足以降、3単組(全厚生、全医労、全労働)は一貫し て、労働条件の改善や国民の願う厚生労働行政の確立をめざし、協力・共同の取り組みを 行ってきました。  全厚生本省支部、統計情報支部、全労働本省支部は、2001年2月に本省共闘(厚生 労働本省労働組合共闘会議)を結成して以降、交流を力に、恒常的な残業改善の要求を中 心にして大臣官房人事課長交渉を行っています。引き続き、本省で働くすべての職員を視 野に入れ、働くルールの確立をめざして取り組みを強めます。 4.組織・人事委員会を設置する  昨年に引き続き、組織・人事委員会を設置します。検討課題は、@次期の専従役員体制 及び書記局体制、A組織整備の見直し後の課題、B諸規定の見直しの3点です。今後、第 74回定期大会にむけて、集中して検討・協議を行います。