全厚生第66回定期大会議案 《目次》  [第1号議案]2002年度運動方針(案) はじめに〜憲法を生かし、職場と地域に根ざした労働組合を T 情勢を仲間と語り、構えをつくる  1.小泉「構造改革」と対決する労働者・国民の力  2.社会保障改悪を阻止し、再建する推進力  3.行革・公務員制度改革攻撃の本質と労働組合の役割 U たたかいの中心点で活動をふりかえる  1.団結を強め、共同してたたかった1年  2.職場活動を積み上げ、統一行動、中央行動に総結集  3.本部・支部一体の交渉で、要求実現をめざす  4.国民的な課題を真正面から受けとめ、たたかう V たたかいの基本方向  1.職場を基礎に、要求実現めざす志をもって活動する  2.すべての労働者と連帯し、自覚をもって地域でたたかう  3.新しい国民的な共同めざし、創意をもって挑戦する W 民主的な公務員制度を確立するたたかい  1.政府主導の公務員制度改革との対決点  2.公務員制度改革とたたかう基本方向  3.民主的な公務員制度改革をめざす X 生活・労働条件を改善するたたかい  1.「働くルール」の確立をめざす課題  2.期待に応える賃金闘争をつくる  3.残業改善、労働時間短縮のたたかい  4.昇格・諸手当改善、行(二)職、新再任用制度のたたかい  5.職場での健康・安全衛生の取り組み Y 国民の願いに応える厚生労働行政の確立を  1.憲法の精神生かし、行政研究活動を前進させる   2.定員削減反対、国民の立場で増員を要求する  3.国民のための厚生科学研究をめざす  4.国民のための社会福祉施設をめざす  5.国民のための社会保険行政をめざす  6.国立病院の切り捨て反対、国立医療を守る  7.社会保障闘争での全厚生の役割発揮を  8.平和と民主主義、憲法が生きる21世紀に Z 生きいきした組織活動をつくる  1.職場活動を抜本的に改善する  2.元気になる執行委員会をつくる  3.職場から提案型の要求闘争をつくる  4.学習・教育活動を抜本的に強化する  5.職場での機関紙活動を前進させる [ 組織の強化・発展をめざす  1.組織建設の基本方向  2.女性、青年、壮年層のたたかいの前進を  3.国公共済会活動で「働くものの助け合い」  4.組織の発展をめざす 5.臨時・パート労働者を主人公にした組合活動を  6.独立行政法人での労働組合の前進を \ 年間のたたかいを構想し、要求の前進を  1.年間サイクルの活動で要求闘争を前進させる  2.職場で交渉ルールを確立し、交渉の水準を高める   3.闘争戦術と実力行使態勢を確立する課題  [第2号議案]2002年度財政方針と予算(案)  [資料]厚生労働省の定員推移、2001年度〜2002年度定数一覧 [第1号議案]2002年度運動方針(案) はじめに〜憲法を生かし、職場と地域に根ざした労働組合を  主人公は、私たち労働者! 生きいきと働いていますか? 職場で、毎日の仕事で悩んでいませんか? 家族は、地域の仲間たちは元気ですか?   喜びの朝もある 涙の夜もある   長い人生なら さあ 陽気にゆこう (「陽気にゆこう」より・高石ともや)  たたかってこそ、労働組合 動物でも奴隷でもない、「人間らしさ」を取り戻す 資本の論理で、労働者をバラバラにされてなるものか 働くルールのせめぎ合いは、資本の力と労働者との四つ相撲 「ルールなき資本主義」の凶悪なルール破りを許さない   −職場でも、地域でも、国際社会でも、断じて許さない  従来の延長線上でない、新しいたたかいをつくる 肥えた資本の餌食には、ならない−たたかって、追いつめ、包囲しよう たたかいの源泉は「職場の力」「地域の力」「共同の力」 国民総決起のラフ・スケッチを、本物につくりあげよう   この秋から、しっかりと描く   春闘では、鮮やかに色をつける   勇気と知恵の結晶で、力強い作品に仕上げていく   さあ、勝利の土台を築く、この壮大な事業をすすめよう! T 情勢を仲間と語り、構えをつくる 1.小泉「構造改革」と対決する労働者・国民の力 (1)構造改革の破綻と情勢の変化をつくりだす力  小泉内閣の本質がみえてきた  「この政権は、相次ぐ失言と経済の失政で崩壊した森内閣にかわり、財界の期待を一身 に背負い、かつ崖っぷちにたつ自民党が装いを凝らし、必至で局面の転換をはかるために 仕立ててきた政権である」−これは、昨年の大会議案での指摘です。それから1年、小泉 「構造改革」の破綻は、誰の目にも明らかです。小泉首相は、「自民党を変える」「変わら なければぶちこわす」と叫びました。しかし、ぶちこわしたのは、国民生活です。自民党 は、危機と混迷をいよいよ深めています。自民党の腐敗・汚職の中から生まれた小泉内閣 の本質が見え、自民党政治の自浄能力のなさが改めて浮き彫りになっています。自民党政 治の延命をはかる政治には、日本の将来を託せません。  情勢の変化はたたかいでつくる  小泉内閣は、国民犠牲の悪法を通すために通常国会の会期を42日間も延長し、医療改 悪法案は、会期末に強行するという暴挙に出ました。国民の怒りを背景に共同したたたか いは、春闘から継続して取り組まれ、5月の連休明け、夏期闘争にも引き継がれました。 有事法制3法案を廃案にする幅広い共同の取り組みは、小泉内閣を包囲し、法案を継続審 議にさせ、強行を阻止しました。8割にも及んだ小泉内閣の支持率は、決して自動的に低 下したものではありません。この状況は、労働組合のたたかいはもとより、商工団体、農 民団体、女性・青年・学生団体、医療団体などの幅ひろい団体、国民・労働者のたたかい でつくりだした成果です。常に情勢は変化しています。その変化は、労働者・国民のたた かいが背景になって生み出されています。 (2)構造改革に対抗する政治かえるエネルギー  とんでもない骨太方針・第2弾  小泉内閣は6月25日、「骨太の方針・第2弾」(=「経済財政運営と構造改革に関する 基本方針2002」)を閣議決定しました。その冒頭では、「悪化傾向を続ける経済と財政のト レンドに、一定の歯止めをかけることに成功した」と自画自賛しました。労働者・国民の 生活をぶちこわしてきた責任をかえりみない驚くべき認識です。昨年の同時期に決定した 「骨太方針・第1弾」をうけ、あらゆる分野で構造改革を断行すると表明しています。そ の上、経営難で苦しむ中小企業の倒産や大量の失業者をつくり出す不良債権の早期最終処 理を加速させようとしています。  共同の力がエネルギーになる  耐え難い痛みを強いる構造改革は、一方で労働者・国民の不満や怒りを生み出し、雇用 や暮らし、いのちにかかわる切実な要求を実現する共同を広げています。労働組合がすす める共同の取り組みだけでなく、生活や健康、医療をまもる運動、環境や平和を守るたた かいでは、民主団体や女性団体、ボランティア団体など、様々な団体や個人が奮闘してい ます。こうした活動は、国や行政のあり方を問い直し、国政を民主的に転換するエネルギ ーになるものです。こうした様々な運動を一致する要求で束ねていく中央、各県・地域で の創造的な取り組みが重要になっています。 (3)憲法を停止状態に追い込む有事法制を廃案に  危険なねらいを見抜いた国民  有事法制3法案とのたたかいでは、平和を願う行動を全国で展開し、中央・地方での共 同の取り組みを急速につくりあげました。有事法案は、「周辺事態」とも重なる武力攻撃の 「予測」「おそれ」があると首相が判断するだけで、自衛隊の武力行使を可能にする仕組み をもち、アメリカが引き起こす戦争に追随・参戦協力し、自衛隊の海外での武力行使に道 を開くことがねらいです。多くの国民はこの点を見抜きました。有事法制の廃案をめざす 中央集会は、明治公園、代々木公園の集会を続けて成功させ、宣伝行動は全国で無数に行 われました。様々な取り組みの総和は、世論の力をつくり、成立を阻止する重要な成果に 結実しました。法案の反対、慎重審議を求める地方議会の意見書は480を超えました。 廃案めざすたたかいは、引き続き正念場です。憲法を停止状態に追い込む有事法制は、国 民世論の圧倒的な力を背景に、火種を残さず廃案にさせましょう。  憲法9条の平和原則を守る  国会の憲法調査会が発足して3年が経過し、調査活動の折り返し地点にたっています。 改憲勢力は、憲法が古くなったとか、情勢の変化にあわせて改正するべきと主張していま す。諸外国の憲法を改正した事例なども出されています。フランスの現行憲法の前文は「フ ランス人民は、1946年憲法前文で確認され補充された、1789年宣言(=人権宣言) によって定められたような、人権および国民主権の原則に対する愛着を厳粛に宣言する」 と規定しています。憲法を何回も制定し直したフランスですが、基本原理を大切にし、こ だわっています。日本国憲法の第9条は、世界の平和勢力の重要な目標です。憲法第9条 にこだわり、平和原則を何としても守りぬき、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧 迫と偏狭を地上から永久に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占 めたいと思ふ」−この憲法前文の立場で、実践することが重要になっています。 (4)人間を大切にする社会をつくる  経済効率優先の物差しを見直す  小泉「構造改革」は、経済効率をすべてに優先させ、効率をどこまでも追求しています。 これは、資本や大企業による無原則、無制限の活動を優遇することにほかなりません。こ うした中で、競争原理や効率性という物差しが大手を振っています。私たちは、知らぬ間 にこの物差しにならされています。子育てや介護や福祉、教育、生活や文化的な面では、 経済的な効率性や、画一的、均等に物事がすすむことは、むしろ有効ではありません。こ れらは、回り道をしたり、試行錯誤を重ねたり、地域で対話し、協力・共同をつくり、お 互いに成長しあう中で前進します。労働者は、人間を大切にし、高めあう関係をもつこと が重要です。  憲法にもとづき価値判断する  政府・財界の作り出す価値観や物差しを絶対のものとせず、労働者の価値観をたたかい の中で、地域の生活の中でつくりあげることが大切です。その行動基準は、さしあたり、 憲法にもとづき判断すること、憲法が示す理想を生活やたたかいの中に生かすために行動 することです。ドイツでは、日曜・祝日は、一部の例外を除いては、「閉店法」という法律 によって店を開けられません。日本のコンビニが24時間営業でサービスを強調し、運輸・ 流通に携わる労働者が長時間労働を強いられているのとは大違いです。少々不便を感じて も、ゆとりをもち、家族と一緒に過ごす時間を確保することを大切にする価値判断が必要 です。労働組合は、人間を大切にする社会のあり方を探求し、労働者としての文化を創造 していく役割を担います。 2.社会保障改悪を阻止し、再建する推進力 (1)社会保障の攻防を歴史の中で見る  「朝日訴訟」と憲法25条  社会保障の基本理念を示す憲法25条の精神は、小泉「構造改革」の下で、瀕死の状態 に陥っています。かつて、生活保護行政の抜本的改善を要求してたたかった「朝日訴訟」 は、人間裁判と言われ、1960年に東京地裁で大変意義ある判決が行われました。「憲法 25条にいう『健康で文化的な生活』は、国民の権利であり、国は国民に具体的に保障す る義務がある。それは、予算の有無によって決められるのではなく、むしろこれを指導支 配しなければならない」という判決です。最高裁までたたかわれた「朝日訴訟」は、反動 的な判決をもって結審しますが、生存権を日本の社会に根づかせるスタートになった闘争 であり、歴史的な意義をもっています。その後、1970年代には、革新自治体建設がす すみ、全国の人口の過半数の住民が革新自治体に暮らすまでに前進しました。老人医療の 無料化や年金制度の物価スライド制、児童手当の創設など、社会保障の制度改善・拡充は、 こうした時代に実現させました。  社会保障の逆流の歴史をみる  しかし、1970年代の後半から暗雲がたちこめます。不況とインフレが同時進行する 事態の中で、時の政府は、経済・財政危機の原因は、社会保障にあると標的を絞りました。 こうして、老人医療の無料化政策は「枯れ木に水をやるもの」と非難し、この社会を築い てきたお年寄りに対して非道きわまりない攻撃を行い、革新自治体つぶしと社会保障の切 り捨てを強行しました。これは、今の社会保障構造改革につながる新自由主義の経済政策 にもとづく攻撃です。1980年代には「臨調行革」と称し、当時も「行革」に反対する ものは「非国民」との攻撃が吹き荒れ、国鉄の分割・民営化で国有財産を民間に売り渡し、 社会保障制度を連続的に改悪していきました。当時、中曽根首相は、現在の小泉首相と同 様にパフォーマンスを武器とし、アメリカに経済的かつ軍事的に従属する関係の下で、改 憲策動を露骨に表明した張本人でした。その後20年間に及び、社会保障・社会福祉の諸 制度は、後退を強いられています。 (2)労働者・国民のたたかいこそ、社会保障を再建する推進力  この20年間の社会保障改悪の結果、はっきりしたことは、次の3点です。第1は、社 会保障に対する国の負担を大幅に減らしたことです。第2は、国庫負担の引き下げと表裏 一体で労働者・国民の負担増が行われました。社会保険料を引き上げ、医療保険の本人負 担割合は3割負担が強行されたばかりです。第3は、社会保険制度のもとで、公的な社会 保険で担う範囲を極めて限定的なものにしてきました。そのために、社会保障という目標 にむかうのでなく、負担なくして給付なしの保険原理を強く押し出しています。さらに、 営利目的の民間保険の活性化を促しています。福祉の分野では、保育や障害者福祉で、こ れまで公的保障であった措置制度を廃止し、サービス提供者と利用者との直接契約制度に 切り替えました。その結果、行政の公的責任が曖昧にされています。こうして、お金がな いと福祉が受けられない、福祉を買うという事態がすすんでいます。また、社会保障切り 捨ての攻撃の中で導入された介護保険制度は、「社会保障構造改革」をすすめる突破口の位 置づけをもたされている点に注意しなければなりません。  社会保障は、だれかが手当してくれるものではありません。利潤第一の資本主義社会で は、社会保障が自動的に拡充されることはありません。暮らしを守るために、社会保障の 連続した改悪に歯止めをかけ、社会保障を再建させるたたかいを何としても前進させなけ ればなりません。たたかいが、社会保障を拡充させる唯一の方法です。憲法25条の精神 にそって社会保障の水準を高める推進力は、労働者・国民のねばり強いたたかいによって 生まれます。 (3)全厚生運動の神髄は、社会保障闘争の一翼を担うこと  組織的な前進をはじめる中央社保協  小泉「構造改革」は、国民に耐え難い痛みを強いて、社会保障制度をずたずたにして、 国民生活の共通の土台を崩しています。この激痛に対する国民・労働者の怒りは、医療を 守るたたかい、介護保障を求めるたたかい、年金制度の拡充をめざすたたかいなどとして、 社会保障の各分野のたたかいを前進させています。社会保障闘争をすすめるナショナルセ ンターである中央社保協(=中央社会保障推進協議会)は、総評労働運動が解体する際、 その存続が危ぶまれましたが、労働組合、民主団体の献身的な努力で全国的センターとし ての機能を回復させ、新たな前進を築いています。2000年には全都道府県で社保協が 確立され、さらに、地域社保協づくりがすすんでいます。この到達点は、1989年に全 労連を結成し、全国的な社会保障闘争をめざす方針を確立したことが重要な契機となりま した。  社会保障闘争に全力を尽くす  7月末に開催された全労連第20回定期大会は、「小泉改革が、社会保障改悪を最大のタ ーゲットに攻撃を強めているもとで、中央社保協の体制強化のために全労連の役割を発揮 する。地方・地域でも、医療・介護・年金などの社会保障要求は、多くの地域住民の最大 関心事であり対話と共同がもっとも可能な運動課題である。地方・地域社保協の体制と運 動強化にむけ、すべての都道府県労連が積極的な役割をになう」との方針を決定しました。 社会保障闘争を社保協運動への結集を軸に、県段階、地域レベルで労働組合や民主団体と 住民が連携し、自治体にむけた要求運動として展開することが重要です。民主的な自治体 づくりを展望し、社会保障を拡充する政治をめざしてたたかうことも必要です。社会保障 を再建するたたかいは、全厚生運動の神髄となるたたかいです。社会保障闘争の前進のた めに全力を尽くします。 3.行革・公務員制度改革攻撃の本質と労働組合の役割 (1)「国のかたち」を再構築する行革・公務員制度改革の攻撃  2001年1月6日から中央省庁再編が行われ、その後、政府・行政改革推進本部は、 「公務員制度改革の大枠」を公表しました。それ以降、約1年半、公務員制度改革とのた たかいは、国公労働運動の重要な柱になっています。改めて、そのねらいをみておくこと が大切です。「大枠」は、公務員制度改革の意義について、「新たな政府の組織で働くのは 新たな公務員でなければならない」「新しい『器』にどのような『中身』を盛るかが、問わ れている。ハードウェアの改革が一段落した今、改革を真に実効あるものとするためには、 行政改革の第2段階としてソフトウェアの改革に取り組んでいかなければならない。ソフ トウェアの改革の最大の問題は、何よりも行政を支える公務員自身の意識・行動様式を変 えることにある。これが変わらない限り、全ての改革は画餅に帰すといっても過言ではな い」とストレートに述べています。政府・財界は、中央省庁再編を各省庁の単純な再編成 にもとめた分けではありません。21世紀の「この国のかたち」を再構築する目的で、す なわち日本社会全体の社会・経済システムを新自由主義にもとづく弱肉強食型に転換する ための環となる改革に位置づけています。行政改革とそれに連動する公務員制度改革は、 一体の攻撃としてみなけれななりません。ですから、行革・公務員制度改革の攻撃との対 決は、国民本位の行財政・司法を確立するたたかい、国民の願う厚生労働行政をめざすた たかいと密接に結びついています。 (2)国民が「行政」や「公務員」に望む改革とはなにか  今すすめられている政府主導の公務員制度革は、憲法が定めるこの国のあり方を根本か ら変える攻撃と結びついています。この改革は、日本国憲法が描く公務員制度のあり方に そって、憲法理念にそって改革をすすめるものではありません。国民主権、基本的人権の 尊重、地方自治の本旨といった憲法の基本原理にもとづく、民主的な公務員制度をめざす のでなく、構造改革を推進する行政体制の忠実な担い手となることをめざす制度改悪です。  そもそも、行政や公務員に対して国民が望む改革は、官僚の腐敗、汚職、不祥事をなく す改革です。天下りを廃止し、政・官・財の癒着構造をきっぱり断ち切ることこそ、必要 な改革です。国民の切実な願いを行政に反映させることができる民主的な行政運営を確立 することです。ここでは、行政は、誰のため、何のためにあるのかが鋭く問われています。 時代の流れは、情報公開にむかって進んでいます。職場にあるいっさいの官僚的な行政運 営を改めていく方向こそ、国民の願う公務員制度及び行政改革の中身です。 (3)行革・公務員制度改革攻撃と国公労連・全厚生の役割  全厚生の組合員は、厚生労働行政の担い手として、一人ひとりが、やりがいを持ち、良 い仕事がしたいと願っています。しかし、社会保障を切り捨てる攻撃、定員や予算の削減 の結果、心ならずも本人の意思とは裏腹に、国民にとっては犠牲を強いる結果になってい ます。これこそ、深刻な矛盾です。省庁再編で誕生した厚生労働省は、社会保障構造改革 をすすめることが任務となっています。公務員制度改革は、国民犠牲の行政を推進する枠 組みの中で、職務を忠実に実行するという名の下に、時の政府に奉仕する「物言わぬ公 務員」への改革を迫る危険性を十分にもっています。  そもそも、公務員は憲法15条にある「全体の奉仕者」の立場にたつことが基本です。 さらに、憲法の基本的人権を尊重する立場、憲法25条を厚生労働行政に積極的に生かす 姿勢をもつことが必要です。公務員制度は本来、こうした行政の遂行を保障する制度でな ければなりません。真に国民の立場にたった公務員制度改革を実現することは、公務員の みならず、国民自身にとっての重要な課題です。民主的な公務員制度改革を実現するうえ で、公務労働者がはたす役割は極めて重要であり、国公労連、全厚生はその担い手として 奮闘します。 U たたかいの中心点で活動をふりかえる 1.団結を強め、共同してたたかった1年  この1年間、「憲法を生かし、職場と地域に根ざした労働組合を」のスローガンのもとで、 たたかいを展開してきました。いま、政府・財界が一体となった攻撃に対し、有効な歯止 めがかかっていません。職場から、地域から頼りになる労働組合をすべての労働者を視野 に入れて再生させることが緊急に求められています。2002年春闘方針では、「従来の延 長線でのたたかいでは、仲間たちの要求を実現させることはできません」と率直に指摘し、 あらゆる要求は、「決して職場だけ、『企業内』のたたかいだけでは維持、改善できません。 私たちに求められているのは、職場のたたかいを一層強め、さらに、地域で労働者・国民 の共同のたたかいをつくることです」と基本方向を示しました。切実な要求実現、様々な 課題の前進的な解決をめざし、この1年間は、@人間らしく生き、働くルールを確立する ためにたたかう、A組合員を主人公にした職場活動を活性化するために創意工夫して取り 組む、B国民本位の厚生労働行政の確立めざし行政民主化、研究活動に着手する、Cたた かいと一体で組織の強化・発展をめざす、D従来型のたたかいでなく、職場の団結、地域 の共同を軸に国民総ぐるみのたたかいをめざしてきました。 2.職場活動を積み上げ、統一行動、中央行動に総結集  職場で創意工夫して統一行動をつくる  公務員賃金闘争の山場での政府・人事院との最終交渉日の3月19日、全厚生各支部は 「昼休み職場集会」を全国統一行動として取り組み、22支部1582人が参加しました。 各支部は、集会の事前の準備では、メールを活用した開催案内を出したり、早朝宣伝を行 ったり、本部からのオルグ配置など、集会開催までに様々な工夫が行われています。集会 当日の工夫では、業務センター支部は、「雇用・暮らし・いのち」、そして団結の4テーマ を掛け合いのトークでわかりやすく演じ、好評でした。これまでの活動で、効果あるもの は生かし、さらに組合員が主人公の立場で改善し、創意工夫を行うことが大切です。  執行部の決意と仲間への行動参加の呼びかけ  この1年間、全労連・国民春闘共闘や国公労連の中央行動に全力で結集してきました。 要求実現のために提起される行動は多々ある中で、節目になる行動を重視して取り組みま した。「公務員制度改悪反対11.30中央行動」には、ここ数年来での最大規模の結集の 140人、「マイナス勧告は許さない7.31中央行動」には、猛暑の中で102人が結集 し、ともに全国上京団行動として成功させることができました。支部執行委員会が行動参 加の目標を示して提起し、執行部が自ら参加を決意し、大胆に仲間に呼びかけてきた結果 です。今後も、節目の行動を思い切って重視し、仲間を信頼して取り組みます。 3.本部・支部一体の交渉で、要求実現をめざす  全支部が要求の確立めざし奮闘  全厚生は、職場での対話活動を強め、職場要求を掘り起こし、すべての支部・分会での 要求づくりと所属長交渉の実施に全力をあげてきました。特に春闘段階では、全支部の春 闘要求の確立、要求書の提出、所属長交渉で要求実現をめざしました。この基本活動をす すめるのが困難な支部では、本部の援助も行い、交渉までこぎつける貴重な実践もうまれ ました。春闘時の要求確立の取り組みでは、22支部で要求を確立し、当局に提出しまし た。切実な要求づくり、要求書の提出、交渉は、組合活動の基礎になるものです。引き続 き、全支部の日常活動の基本として重視します。  職場から積み上げて本部交渉を実施  本部段階の交渉は、各職場、各部門の切実な要求、国公労連の統一要求の実現をめざし、 節目、節目に実施してきました。秋闘時、春闘時に大臣官房人事課、社会保険庁、大臣官 房障害保健福祉部(国立施設管理室)、厚生科学課との交渉、秋には昇格改善の人事院交渉、 概算要求期には諸手当改善で人事院交渉を取り組みました。さらに夏期闘争では、統一要 求にもとづく交渉を大臣官房人事課、社会保険庁に対して実施しました。女性部は、労働 条件の改善をめざし、秋に社会保険庁、夏に大臣官房人事課と懇談を行いました。厚生共 闘(全厚生・全医労)は、秋に厚生労働大臣、夏期闘争の課題で大臣官房人事課長との交 渉を実施しました。本部段階の交渉は、職場のたたかいを積み上げ、要求実現を迫る観点 を重視し、「継続こそ力」を合い言葉に本部・支部が一体となって取り組みます。 4.国民的な課題を真正面から受けとめ、たたかう  国民総行動(4.12)に結集  この1年間のたたかいは、小泉「構造改革」との激しい対決の中で果敢にたたかってき ました。「医療改悪反対、雇用、暮らし、いのちを守る4.12国民総行動」は、23単産、 2,205単組・支部で約50万人がストライキを含む職場集会・宣伝行動などに参加、約1,600 カ所での地方・地域行動に約33.5万人の参加を含めて、延べ約83.5万人が行動に 結集しています。この行動は、自営業者、農民、女性、医療関係団体などとも共同した取 り組みになっています。国公労連は、休暇宣伝行動で結集することを決定し、全厚生は、 242人(内休暇取得者64人)が参加しました。  国民本位の政治めざし奮闘  春闘の中でたたかわれた京都府知事選は、「府民本位の新しい民主府政をつくる会」(日 本共産党)の森川明候補が39万1638票を獲得(得票率39.55%)、政治を国民本位に かえる確かな流れを示し大善戦となりました。自民党府政の継承をかかげる6党(自民、 民主、公明、自由、社民、保守)相乗り、官僚天下り候補を相手に9万票差に迫りました。 全厚生京都支部は、多くの組合員の参加をめざして奮闘し、本部オルグ、大阪支部、滋賀 県支部、愛知県支部、岐阜県支部の代表が結集してたたかいました。  国民とともに社会保障の拡充をめざす  全厚生大阪支部は、大阪医労連、大阪自治労連とともに、医療・介護・年金改悪を生活 者の立場から告発し、社会保障の拡充をめざす3.16シンポジウムを62人の参加で成 功させました。権利としての社会保障制度確立にむけた、労働者・国民の共同の取り組み は今後、益々求められている取り組みです。  医療を守る共同の新たなたたかい  国立療養所秋田病院の廃止反対のたたかいは、「住民投票を成功させる市民の会」として、 廃止計画の賛否を問う住民投票条例制定を求める署名活動を取り組みました。4月8日に 1カ月の収集期間を終え、4月12日に本荘市選挙管理委員会に提出しました。署名数は、 17,377筆を集約(有権者の48%、請求法定必要数725筆の約24倍)しました。残念なが ら住民投票条例は、議会で否決されましたが、住民の圧倒的な支持と共感のもとで地域共 闘が前進した取り組みは、今後の運動の確かな流れをつくりだしています。秋田県支部は、 このたたかいで県国公の先頭にたって奮闘しました。  「知って」「知らせて」「行動にたちあがろう!」  全厚生は、4月20日に開催した全国支部委員長会議で、当面するたたかいの基本方向 を意思統一しました。その中心点は、「有事法制阻止、医療大改悪反対を当面の取り組みで 決定的に重視する」ことでした。一点での共同、それも国民的な共同を大きく広げるため に「知って」「知らせて」「行動にたちあがろう!」と呼びかけました。この提起を各支部 が受けとめ、学習や宣伝行動を全国で展開しました。中央段階の取り組みでは、3月22 日に「陸・海・空・港湾労組20団体」が呼びかけた集会を契機に共同が大きく前進しま した。4月19日には、「STOP!有事法制4.19大集会」(日比谷野外音楽堂・5千人、 全厚生20人)、「同・5.24大集会」(明治公園・4万人、全厚生33人)、「同・6.1 6大集会」(代々木公園・6万人、全厚生43人)、「同・7.19大集会」(明治公園・3 万5千人、全厚生16人)と、国会の最終盤まで、末広がりでたたかいをすすめ、強行を 阻止する成果をかちとりました。引き続き、日本の進路をめぐる重要なたたかいが継続し ています。この間の活動をさらに発展させ、全力でたたかいます。 V たたかいの基本方向 1.職場を基礎に、要求実現めざす志をもって活動する  職場はたたかいの最前線  職場は、労働者が毎日働いている場所です。その中で、さまざまな不満や要求が起こり ます。「私たちは、『こんな労働組合でいいのか』『こんな職場でいいのか』という多くの仲 間の思いを背景に、社会保険に働くすべての労働者とともに、要求で団結する労働組合の 原点にたって全厚生大分県支部を結成する」(2000年7月30日)。これは、大分県支部の 結成宣言の一部です。職場は、組合活動をすすめる、まさにグラウンドです。「職場はたた かいの最前線」との位置づけでたたかいます。  職場の変化をみて活動を探求する  組合は、労働者一人ひとりを一致する要求で束ねて組織します。職場の団結づくりの特 効薬は、ありません。一人一人と地道に、丁寧に職場の仲間と対話するための時間は、ど んなに忙しい中でも確保しなければなりません。組合活動を維持し、活力あるたたかいを 続けるには、執行委員会を軸に日々の努力がどうしても必要です。  仕事のシステムや流れ、職場組織が常に変化しています。人の異動が団結をバラバラな ものにします。このことに労働組合は、注意をはらわねばなりません。団結を壊す要因を 丹念に見抜き、手だてを講じていくことが必要です。労働組合は、常に目的意識をもって、 要求実現をめざす志をもって活動することが基本です。「職場を基礎に労働組合をつくる」 ことを基本的な課題にし、職場の変化をしっかり見て、活動を探求します。 2.すべての労働者と連帯し、自覚をもって地域でたたかう  みんな同じ働く労働者  日本の人口は、いま約1億2700万人です。就業者は6300万人であり、そのうち 雇用者は約5300万人になっています。この数は、労働力人口の84%を占めています。 要は、労働者は主権者国民の中心的な勢力です。その勢力がバラバラにされています。  公務・民間を問わず職場には、臨時、パート、派遣、契約社員などの形態で働く、非正 規労働者の数が増加しています。その原因は、政府・財界の戦略として、企業の側が正規 雇用の労働者を意図的に減らし、安上がりで、無権利な労働者に置き換えてきているから です。その数は、いま1300万人を超え、雇用労働者の27.7%、4分の1以上の割 合になっています。こうしたもとで、どの職場、どの地域からも、低賃金で無権利な状態 におかれている労働者をなくすたたかいが必要です。民間か公務かの違い、雇用の形態を 問わず、同じ働く労働者として、団結し連帯しなければなりません。さらに、失業統計に 表れているだけでも350万人、これらに示されない実質700万人をこえる失業者も、 働く権利をもつ私たちの仲間であることを大前提にしてたたかいます。  地域で対話し、いっしょに行動する  地域でのたたかいは、地域の労働組合と交流し、恒常的につながり、統一行動などでい っしょに行動することが大切です。県国公や地区国公への結集を強め、県労連や地域労連 の提起する運動、課題を受けとめたたかいます。まずは、地域での対話を重視します。  現時点での労働組合の組織率は21.5%であり、8割にもなる圧倒的多数の労働者が 未組織の状態におかれています。労働者は、多数であるだけでは、社会的な力にはなりま せん。労働者のたたかう力は、団結してたたかう時のみ、すばらしい力を発揮します。「職 場の力」「地域の力」のハーモニーをつくりあげるために、自覚を持って地域での運動を探 求します。 3.新しい国民的な共同めざし、創意をもって挑戦する  構造改革との対決は、やっつけ仕事ではできない  21世紀初頭は、日本の進路をめぐる激しいせめぎ合いになっています。どのような国 にするかで、政府・財界と労働者・国民の要求とが鋭くぶつかっています。これが、構造 改革との対決の本質です。大企業の利益を代弁し、政治を食い物にしてきた支配層は、小 泉内閣を生み出し、権力の維持にやっきになっています。私たちは、行き詰まった社会、 腐敗した自民党型の政治を国民が主人公の政治に転換することを要求します。このたたか いは、小手先の、やっつけ仕事でできるものではありません。この事業は、国民・労働者 によって担われ、職場と地域でたたかいを発展させる中で前向きにつくるものです。職場 でのたたかい、地域での共同の力、これらを束ねた全国的な共同の取り組みが必要です。  労働者の団結した力がまだ弱い  2001年春闘は、従来の延長線ではないたたかいをはじめました。このたたかいの方 向は、構造改革とたたかう全労連運動の基本にすわるものです。なぜなら、私たちが痛み を強いる構造改革との激しい対決になっているからです。国のあらゆる規制を緩和し、大 資本・大企業の活動を最大限に支える政策により、大企業はむきだしの資本の本性を出し ています。この改革の行き着く先は、競争と市場原理を最優先する弱肉強食の社会です。 こうした攻撃のもとで、人間らしく働くルールや人権が無視されています。これは、労働 者の団結した力の総和がまだまだ弱いためです。  2年目の挑戦を創造的に  「いのち、雇用、暮らし」を守るためには、決して職場だけ、すなわち「企業内」のた たかいでは、維持することは困難です。日本の労働組合は、多くが企業別に組織されてい ますが、企業や産業の枠をこえて地域での共同の取り組みを基礎にして、国民的、社会的 な運動をつくることです。こうした運動をすすめるには、職場での団結をいっそう強める ことが必要です。多くの仲間が結集するために、機械的でない創造的な行動の工夫を生み だし、共同の力で春闘総決起の2年目の取り組みに挑戦します。 W 民主的な公務員制度を確立するたたかい 1.政府主導の公務員制度改革との対決点  政府・行革推進事務局は、昨年12月25日に「公務員制度改革大綱」を閣議決定しま した。「大綱」は、「公務員制度改革の大枠」(2001年3月)、「公務員制度改革の基本設 計」(2001年6月)をふまえて、提起されています。「大枠」の決定から今日まで、約 1年半の間、公務員制度改革とたたかってきましたが、今一度、政府がねらう公務員制度 改革との対決点を鮮明にさせることが大切です。  この間、政府は、中央省庁再編や地方分権の改革、規制緩和や公務の民営化を急テンポ ですすめました。制度的な枠組みをつくった後、中味である公務員のあり方を変える仕上 げの作業が公務員制度改革です。その改革は、一方的なものです。具体的な改革方向は、 @職階制にかえ能力等級制度を導入し、公務員の人事管理における能力・業績主義の徹底、 A人事院の権限縮小・形骸化と併せ政府・各府省の人事管理権限の強化、B労働基本権の 制約を維持する、政治活動禁止の維持、C天下りの規制緩和や官民人事交流の規制緩和、 D特権的なキャリア制度を温存し合法化する「国家戦略スタッフ」の創出、などです。  政府・行革推進事務局は、「公務員制度大綱」にもとづき、2003年度中の国家公務員 法等「改正」法案の国会提出を目標に作業を進めています。すでに、4月25日には、「行 政職の新人事制度の2次原案」を各省、国公労連に提示しました。しかし、その内容は、 「大綱」決定時には「労働基本権制約にかかる相応の措置」を検討するとした労働条件決 定の仕組みは、全く明らかにしていません。行政職以外の国家公務員、さらに地方公務員 などの「新人事制度」は示すこともできないままです。改革内容の具体的作業は、当初の 予定から見れば遅れがでています。これは、労働組合の筋を通した交渉やたたかいの反映 です。さらに、公務員制度改革が理念なき改革であることを示しています。 2.公務員制度改革とたたかう基本方向 (1)公務員制度改革大綱の撤回・修正をめざす  6月3日から開催された第90回ILO総会では、ILO98号条約(団結権及び団体交渉権 の適用)に関する個別審査が「条約勧告適用委員会」で審議されました。日本の公務員の 労働基本権問題が公務員制度改革との関連で扱われ、政府主導の公務員制度改革に対する 批判が集中しました。政府代表は、「日本の公務員の権利は十分に保護されている。人事院 勧告制度をはじめとする人事院の代償機能を維持することにより、労働基本権の制約の代 償を確保していくつもりである。職員団体とは誠実に交渉・協議しており、現在まで91 回の交渉・協議を行ってきたところである」と強弁しました。これに対し、日本の労働団 体代表やアメリカ、ドイツ、フランスをはじめ、各国の労働組合代表から強い批判が集中 しました。公務員制度改革は今後、国際的にも監視していく条件をつくることができまし た。公務員制度改革に対する基本要求は、公務員制度改革大綱を撤回・修正することです。 その上で、公務の特性、公共性を損なう「能力・業績主義」強化の「能力等級制度」を柱 とした任用・給与制度の改悪を行わないことを要求してたたかいます。 (2)3つの基本要求をかかげてたたかう  今後の日程では、来年の通常国会で国公法等改正法案の国会提出をもくろむなら、秋に はその骨格をかためる必要がでてきます。この秋から2003年の春闘は、重要な段階を 迎えます。公務員制度改革のたたかいは、@民主的な公務員制度の確立をめざす、A労働 基本権の保障を基本要求とし、一方的な労働条件決定を許さない、B競争原理の導入で差 別と選別を強化する人事管理制度に反対する、この3つの要求をかかげたたかいます。  この3要求の実現をめざして、@国民的な支持と共同を大きく広げるために運動する、 A政府・当局の使用者責任を徹底して追及する、B労働条件の一方的変更に反対する職場 からのたたかう態勢をつくっていく、この取り組みを並行してすすめます。 3.民主的な公務員制度改革をめざす  歴史的に検証する視点が重要  政府の専門的調査機関である公務員制度調査会は、「公務員制度改革の大枠」がだされる 以前、1999年3月に基本答申を出しました。答申は、「現行の公務員制度においては、 行政に常に求められる専門性、中立性、能率性、継続・安定性を確保するため、その基本 的な枠組みとして、能力の実証にもとづく任用、職務への専念と政治的中立を基本とする 服務規律、適切な勤務条件の保障等を定めている。これらは、我が国のみならず、先進諸 国において職業公務員に関する基本的な枠組みとして歴史的に確立してきたものであり、 民主主義の下における公務員の特性に由来するものとして今後とも維持されるべきもので ある」と重要な見識を示しました。本来、公務員制度改革は、歴史的な検証抜きにはでき ません。行政改革は何をしてきたか、行政に対する国民の不満や怒りの原因はどこにある か、制度上の問題点はどこか、などをあらゆる角度から掘り下げることが重要です。  国民の立場で公務員制度を見直す  公務員制度改革で真に必要なことは、憲法の理念をさらに発展させる方向にたち、現行 制度を改革することです。@公務員は国民全体の奉仕者であること、A公正で科学的・客 観的な基準にもとづいて人事行政が行われること、B労働基本権や政治活動の自由など、 公務員の基本的人権を保障することなど、未だ不十分な制度上の課題をより具体化する方 向で改革がなされるべきです。国公法第1条にある「公務の民主的且つ能率的な運営を保 障することを目的とする」との規定こそ、改革の基礎にすわらなければなりません。この 方向は、真に国民本位の行政、私たちは厚生労働行政を実現させる立場にたつことです。 全厚生は、国民の立場にたち、民主的な公務員制度の確立をめざしたたかいます。 X 生活・労働条件を改善するたたかい 1.「働くルール」の確立をめざす課題  働くルールは一旦獲得しても、たたかいの水準が弱まれば、すぐに奪いとられてしまい ます。「資本というものは、社会によって配慮を強制されないかぎり、労働者の健康と寿命 にたいして配慮しない」(資本論第1部・第8章「労働日」より)の指摘どおり、働くルー ルは、政府・財界と労働者とのたたかいによって獲得し、確立するものです。  リストラ「合理化」の激しいたたかい、大企業の横暴を許す規制緩和の攻撃、労働法制 の改悪の流れの下で、働くルールを確立するためには、職場でのたたかいとともに、国レ ベルでの働くルールを確立するたたかいがどうしても必要です。具体的には、ルールにふ さわしい立法措置が求められます。労働基準法の改悪を阻止したり、労働者の権利を守る 立場で改正するなどの措置とともに、根本的な立法闘争も必要です。全労連の立法要求は、 @解雇規制法、A企業再編に伴う労働者保護、B不払い残業を根絶するための特別立法の 3本柱です。働くルールの確立のたたかいは、「人間らしさ」を取り戻すたたかいそのもの であり、かつ戦争でなく平和で豊かな社会の実現していくたたかいです。人間らしく生き、 人間らしく働きたいとの願いを実現させるために、この流れを大きくすることが必要です。 ルール破りは許さず、働くルールを確立するために力を尽くします。 2.期待に応える賃金闘争をつくる (1)賃下げの悪循環を断ち切る  要求実現をめざす労働組合の統一闘争を中心にたたかわれてきた春闘は、90年代以降、 さまがわりしています。財界は、国際的な産業再編や競争力強化をうたい、終身雇用制や 年功序列賃金の廃止、能力・成績主義賃金への移行、雇用のあり方をかえて総人件費の抑 制攻撃を強めています。2002年春闘では、@定昇凍結や賃金体系の改悪、一時金や退 職金をふくむ賃金引き下げ、A能力・成果主義賃金の導入、B臨時、パート、派遣など不 安的雇用や低賃金労働者への置き換えがすすんでいます。このままでは、春闘・賃金闘争 がさらに形骸化しかねない厳しい情勢です。その上、春闘結果が、公務員賃金の切り下げ に連動し、2002年人事院勧告(8月8日勧告)は、史上初の「月例給を切り込む賃下 げ勧告」という結果になっています。まさに、賃金切り下げの悪循環のサイクルが大手を ふっています。こうした下では、賃下げを許さず、すべての労働者の賃金底上げをはかる ことが、資本側と労働者・労働組合との最も鋭い対決点になっています。民間労働者も公 務員労働者も力をあわせ、基礎的な労働条件の底上げ、改善をめざしてたたかうことが大 切です。「賃金最低基準の確立」「パート労働者の賃金底上げ」などをめざすたたかい、す べての労働者に適用される全国一律最低賃金制の確立のたたかいを重視します。 (2)国民春闘の前進の中で賃金・生活改善をめざす  春闘は、賃上げをはじめ、労働条件を改善させるために労働者・労働組合が「春に」「統 一して」「たたかいの山場を決めて」総結集してきた闘争です。さらにこの春闘は、国民的 な諸課題や政治課題を積極的にかかげ、結合することで、国民春闘として発展してきた歴 史をもっています。  公務員の賃金改善のたたかいは、賃金の底上げや最賃闘争と結びつけ、人事院勧告の影 響をうける750万人の労働者をはじめ、すべての労働者・国民の理解と共感をつくりあ げ、民間労働者と積極的に連帯して、地域での共同を広げてたたかうことが重要です。全 厚生は、生活改善をめざす賃金要求を積極的にかかげ、春闘期を決定的に重視してたたか います。また、「ゆきずまった政治の流れをかえたい」「深刻な不況を打開したい」「消費税 の減税や医療、年金、福祉、介護要求の実現」「平和と民主主義を守ろう」など、国民的な 要求・課題は様々です。全厚生は、こうした労働者・国民すべての要求の実現をめざし、 労働者・労働組合の共同を広げるとともに、国民総決起型の新たな春闘、国民的な共同を つくるために奮闘します。 3.残業規制、労働時間短縮のたたかい (1)「ただ働き、サービス残業」の根絶をめざす  働くルールの中で、とりわけ労働時間のルールは、曖昧にしてはなりません。「サービス 残業」は、純然たるタダ働きであり、違法行為そのものです。「何人も労働時間の合理的な 制限と定期的な有給休暇を含む休息および余暇を得る権利を有する(世界人権宣言・第2 4条)」のです。労働時間の短縮は、たたかって実現させるものです。職場での労働条件や 働くルールを点検し、その改善に力を入れます。公務員労働者の働く権利を見つめ直し、 権利闘争に強くなる労働組合をめざします。すべての職場から、「ただ働き、サービス残業」 の根絶はもちろん、労働時間の短縮の流れをつくるために力を尽くします。 (2)働き続けられる本省庁職場をつくる  本省庁職場の無定量で恒常的な残業実態は、深刻かつ異常です。今年3月に、霞国公が 実施した「残業実態アンケート」の結果は、省庁再編から1年半がたった時点で、引き続 き、長時間の拘束を伴う深刻な実態実態が浮き彫りになりました。人事院の指針の年36 0時間以内(月30時間以内)にあてはまる回答者は、わずか16.4%です。月平均残 業時間では、100時間以上と回答した人が11%にも達しています。その上、超過勤務 手当の支給率は、6割以下と回答した人が64%をしめました。定時退庁できない理由で は、業務量が多いためと回答した人が6割にもなり、定員不足が残業の主要な原因となっ ています。  残業規制のたたかいは、国会待機や国会対策など、国家行政の中枢機関として行政対応 の仕方を改善させていく、政策的かつ政治的課題とも結びついています。3月におこなっ た人事課長交渉では、「昨年9月に省としての縮減対策要綱を策定し、周知をはかっている。 週2回メールで早期退庁を呼びかけている。引き続き重点的に取り組んでいきたい。業務 の簡素化、効率化等もあわせて考えていきたい」と回答しています。具体的な対策で協議 し、一歩一歩前進をはかる取り組みが重要になっています。本省支部は、定時退庁を呼び かける早朝宣伝、退庁時に庁舎を回り鐘を鳴らし、ハンドマイクで訴える退庁時行動をね ばり強く、継続して実施しています。生きいきと働き続けられる本省庁職場をつくるため に、重点課題に位置づけ改善をめざします。 4.昇格・諸手当改善、行(二)職、新再任用制度のたたかい (1)昇格改善、諸手当改善の取り組みを重視する  昇格改善の要求は、職員一人ひとりの賃金を規定するとともに、職務の正当な評価につ ながるものです。安定した公務を遂行し、民主・公正な立場にたった行政サービスを国民 に提供するためにも、業務内容と経験の蓄積にみあう公平な処遇をめざします。  この間、職場からのたたかい、本部・支部一体での交渉を通じて、大分県支部のたたか いでは、長年の昇格差別に伴う5級枠外からの昇格改善、業務センター支部での女性の8 級への道筋をつくったことなど、切実な昇格改善をかちとる成果を生んでいます。引き続 き、標準職務表の抜本的改善、深刻な昇格の頭打ちの解消、長年の昇格・昇任の非民主的 な運用によって取り残されている男女較差の是正、行(二)職をはじめ少数職種の改善、 研究職の2級から3級昇格、社会保険の職務と機関の評価を引き上げるたたかいなど、ね ばり強くたたかいます。  諸手当改善や調整額を適用させることは、職務の正当な評価を求めるたたかいです。福 祉施設の調整額の全職員への適用や夜間特殊業務手当の改善、社会保険の保険料徴収業務 及び不正受給調査等の業務に従事する職員について、特別滞納処分手当(仮称)や特別調 査手当(仮称)の新設など、業務に立脚し、要求を裏づける実態を訴えてたたかいます。  昇格改善や諸手当改善のたたかいは、「継続こそ力」です。公務員制度改革で能力・業績 主義の強化が図られようとしています。職務の正当な評価を求めるたたかいは、益々重要 になっています。引き続き、ねばり強くたたかいます。 (2)行(二)職員のたたかいを全体で取り組む  行(二)職の仲間は、定員削減や欠員不補充、業務の民間委託という攻撃の中で、職場 を支え、業務に従事しています。全厚生の行(二)労働者は、試験研究機関と福祉施設、 本省の職場に集中しています。小数職種で部下数制限という壁があるため、切実な昇格改 善のたたかいは、どの機関でも厳しいのが現状です。行革攻撃の中で、矛盾が集中し、厳 しい状況だからこそ、全体の課題に据えて要求を前進させていくことが必要です。引き続 き、知恵を出し、力を集中して取り組みます。行(二)不補充政策に対し、現に果たして いる重要な役割を示し、その必要性を認めさせ、要求や課題の前進的な解決にむけて力を 注ぎます。国公労連が毎年開催する行(二)労働者交流集会に積極的に参加します。全厚 生の行(二)労働者のたたかいを束ね、交流を重視してたたかいます。 (3)新再任用制度の実効ある運用を迫り、希望者の雇用を実現させる  2001年4月1日に施行された新再任用制度は、共済年金の基礎年金相当部分の支給 開始年齢が段階的に引き上げられることを踏まえて、職員が定年退職後に不安を覚えるこ となく生活できるように雇用と年金との連携を図るとともに、長年培った能力・経験を有 効に発揮できるよう設けられたものです。要は、希望者の雇用を保障するのが基本です。 「国家公務員高齢者雇用促進に関する方針」(2001年6月27日・人事管理協議会)で は、「再任用を希望する者については、その意欲及び能力に応じ、できる限り採用するよう に努めることが求められる」との方針が示されています。再任用制度は、生活に直接関わ る雇用問題です。希望者の対する任命権者の判断、各機関長の責任は重大です。この制度 の趣旨を第一義的に尊重し、希望者全員の雇用を実現するために全力を尽くします。 5.職場での健康・安全衛生の取り組み  健康で働ける職場をつくる  なんといっても労働者は、体が資本です。毎朝、元気に出勤し、職場の仲間に「おはよ う」と気持ちよく声をかけあう、こんな毎日のリズムを当たり前にしなければなりません。 WH0(国際保健機関)憲章は、健康は、「単に疾病や虚弱のないことではなく、肉体的・精 神的および社会的に完全に健康な状態をいう」と規定しています。健康で働き続けること は、労働者の権利です。しかし、長時間労働、過密労働、その両方が重なれば、深刻です。 休憩時間もない、有給休暇もとれない職場環境は、労働者のいのちと健康を確実に蝕んで います。安全で、健康で働ける職場をつくることは、労働組合の重要な仕事です。職場を 点検し、職場における健康・安全衛生の取り組みを重視し、環境改善、労働条件の改善の ためにたたかいます。  メンタルヘルスの課題を重視する  業務の機械化がすすみ、機械はネットワークでつながっていても、労働者はバラバラに されています。どの職場でも、各自の健康やストレスなどの気づかいをする余裕すらなく なっています。対話のない閉鎖的な職場、長時間労働を強いられる職場は、メンタルヘル スを悪化させ、「心の病」である精神疾患(=うつ病、躁病、パニック障害、アルコール依 存症、心身症など)を引き起こす原因になっています。こんな原因は、一刻も早く、なく さなければなりません。いのちと健康を守る取り組み、とりわけ、職場の中でメンタルヘ ルスの問題を重視することが大切です。職場での健康安全体制を確立し、快適な職場をつ くりあげるために力を尽くします。 W 国民の願いに応える厚生労働行政の確立を 1.憲法の精神生かし、行政研究活動を前進させる  憲法を深く理解し、たたかう  「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の 成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵 すことのできない永久の権利として信託されたものである」(憲法第97条)  憲法は、時代に流されない恒久的な価値を示し、国家権力に対し、憲法理念を守らせる ために存在しています。すなわち、憲法は国民の権利や自由を国家権力がかってに制限し ないように、「国家権力の行使に歯止めをかけるもの」「国家権力を制限して人権を保障す るもの」です。通常の法律とは次元が違う、最高法規です。この憲法を深く理解し、たた かいます。  公務員は憲法を尊重し、擁護する  憲法は、公務員に対し、「憲法を尊重し擁護する義務」を課しています。この規定は、国 民にではなく、権力を行使する公務員に対する義務であることが重要です。行政を国民の 立場で見直し、検証することは、公務員の果たすべき基本的な役割です。厚生労働省に働 く職員は、基本的人権を尊重する立場や、憲法25条を厚生行政に真に生かす姿勢が求め られているのです。  全厚生の組合員は、厚生労働行政の担い手として、一人ひとりがやりがいを持ち、良い 仕事がしたいと願っています。しかし、社会保障を切り捨てる攻撃、定員不足、予算不足 は深刻です。心ならずも本人の意思とは裏腹に、国民には犠牲を強いる結果になっていま す。これこそ、矛盾です。全厚生は、何のため、だれのための厚生労働行政かを常に問い、 国民の願いに応える厚生労働行政をめざして奮闘します。  各部門の特性を生かし、行研活動を推進する  この現状を打開するためには、行政民主化、行政研究活動を前進させます。まず、各職 場から、自らの仕事と労働を見直すことから出発します。国民の行政に対する要求を受け とめ、国民の立場にたち、全厚生の各部門のくくりで行政体制を検証します。こうした活 動を束ねて、全厚生行政研究集会の開催をめざします。この行政民主化・行政研究活動は、 3年から5年くらいを視野に入れ、全厚生の基本的な活動に位置づけて取り組みます。  企画立案部門である本省庁、厚生科学研究の担い手である試験研究機関、国立として社 会福祉をリードする役割を担う社会福祉施設、社会保険行政の担い手である社会保険と、 それぞれの部門の特性や性格を生かし、行政研究活動のすすめ方は工夫します。 2.定員削減反対、国民の立場で増員を要求する  職場実態に応じた定員確保に総力を  今、職場では、30数年にわたり定員削減が強行された結果、増え続ける業務量のもと で、どの職場でも超過密労働となっています。本省庁では、長時間の拘束を強いる恒常的 な残業が、一斉定時退庁やキャンペーンが行われていても、依然として改善されていませ ん。そもそも、政府は2001年から10年間で10%、独立行政法人化や民間委託を通 じて25%削減の政治目標をかかげています。深刻な要員不足の実態を無視してこれ以上 の削減を行えば、行政の後退に直接に結びき、国民の信頼を失いかねません。全厚生は、 国民本位の厚生労働行政の拡充をめざし、定員削減の具体化に反対し、行政ニーズ・職場 実態に応じた定員確保のたたかいに総力をあげます。  政策的な裏づけもち増員のたたかいを  増員のたたかいは、国民サービスを向上させる立場から各機関の実態を検証し、政策的 な裏付けをもち、かつ、労働条件を確保する課題と統一させてたたかいます。例えば、本 省庁職場では、恒常的な残業との関わりで、定員不足が決定的であることを追求します。 試験研究機関では、業務を継承するための定員確保、技術的支援部門の体制強化、必要な 基礎研究をすすめるための体制確保の観点を重視します。福祉施設では、より手厚いマン パワーや、質の高いサービスをめざすことを要求します。社会保険では、業務量の増加や、 相談業務では、丁寧で質の高いサービスをめざします。 3.国民のための厚生科学研究をめざす  独立行政法人化の流れが強まる  国立試験研究機関は、独立行政法人が圧倒的な主流となっています。6月25日に閣議 決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」は、「関係府省は平成1 4年度から、旧国立研究所など公務員型独立行政法人について、その業務の内容により非 公務員型独立行政法人化を進める」としています。また、2004年度には国立大学が非 公務員型の独立行政法人にする方向が決まっています。独立行政法人は、そもそもの目的 である目標管理や効率性を追求し、自らで競争的環境をつくり、「合理化」を促進していく 機構です。この流れは、国研として残った厚生労働省の国立研究機関にも重大な影響を与 えざるをません。こうした中で、国民のための基礎研究を充実させ、国民本位で調和のと れた科学技術の発展をめざす立場でのたたかいが重要になっています。  引き続き、組織再編は重要な課題  試験研究機関は、2002(平成14)年4月までに国立保健医療科学院の新設をはじ めとする各機関の組織再編が行われました。しかし、引き続き、組織再編は重要な課題で す。医薬基盤技術研究所(仮称、略称「基盤研」)設立は、2004(平成16)年度の早 い時期に、独立行政法人の構想で計画がすすめられています。来年度予算編成では、組織 や研究内容を厚生労働省として固めなければなりません。「基盤研」には、既に国立医薬品 食品衛生研究所や感染症研究所の職員が一部配属されることになっています。しかし、全 体の構想の詳細は、具体的なものになっていません。さらに、国衛研大阪支所の廃止に伴 い、支所に働く研究者・職員の雇用問題が極めて重要になっています。  労働条件の後退を許さず、雇用と生活をまもる  全厚生は、医薬基盤技術研究所の設立構想の具体的計画を明らかにするために、6月2 7日に厚生科学課との懇談を国衛研支部、感染研支部の代表を入れて行いました。この懇 談では、当該支部に対して各機関長が十分な説明を行うよう要望し、厚生科学課はこの要 望を了承しました。これを受けて、国衛研支部大阪分会は7月29日、国衛研支部は8月 1日、感染研支部が8月9日に所属長との懇談を実施しました。各懇談をうけて、再度、 本部段階の懇談・交渉を今後、実施します。本部・支部が一体となり、職員の身分保障、 勤務条件の後退を招かないよう全力でたたかいます。国衛研大阪支所職員の雇用の確保を 求める署名を取り組みます。このたたかいを前進させるために、近畿ブロック協議会の支 援を含め、全厚生全体で取り組みます。  改めて交流集会運動を継続・発展させる  全厚生は7月12日、試験研究機関交流集会を都内で開催しました。この集会は、試験 研究機関支部からも強く要望されていた恒常的な政策論議・討論の場づくりの出発点にす るために、前回の1994年以来8年ぶりに開催しました。6支部1分会から32人が参 加し、組織再編や独立行政法人化の中での有意義な交流となりました。  いま、厚生科学研究の基本的なあり方が問われています。厚生科学研究の目標は、医療 ならびに公衆衛生の向上、国民の健康と福祉を向上及び発展させることが基本です。今年 度は、事前の準備を丁寧に行いながら、引き続き、交流集会を開催します。 4.国民のための社会福祉施設をめざす  福祉を切り捨てる構造改革  社会福祉基礎構造改革の名で福祉の切り捨てがすすめられています。社会福祉事業法が 「改正」され、社会福祉法となりました。この改正では、今まで国および地方自治体が責 任をもち、社会福祉サービスを提供する仕組みであった措置制度は、民法上の契約制度に かえられます。利用者の選択肢が広がることのメリットが強調されていますが、社会福祉 資源が整備され生活水準が確保されていることが前提の話で、現状はほど遠い状況です。 さらに、福祉の分野に市場原理を導入し、これまで公立や社会福祉法をサービス供給の原 則にしてきたものを民間営利企業を福祉サービスの分野に積極的に導入しようとしていま す。介護保険の実施状況をみればわかるように利用者との矛盾は日に日に大きくなってい ます。  さけられない国立福祉施設の「見直し」  国立施設管理室は、2001年3月に「国立更生援護機関の運営に関する検討会」の報 告書を公表しました。この報告書では「国立更生援護施設は、国内の同種施設に対し、先 導的・指導的役割を果たすべきものであり、今後この役割を堅持するには、障害者のニー ズの変化や社会情勢等、その時代の環境の中で、常に国立施設としての役割を見直しその あるべき姿を追求することが求められている」と述べています。5月に実施した国立施設 管理室交渉で室長は、平成16年度に予定されている国立病院などの独立行政法人化以降 には更生援護施設の組織再編の議論がさけられないとの見解を示しました。障害者福祉法 改正により、来年度には措置制度から利用契約制度へと福祉施設のあり方が変わることも 含め、入所者・利用者の重度・重複化、高齢化の中で多様化するニーズに十分対応できる 国立施設としての役割が発揮できるよう努力したいと述べました。  厚社連を軸に職場から政策活動をつよめる  国立の福祉施設のあり方の見直しは、社会福祉基礎構造改革の流れの中で、国民犠牲の 行政改革、定員削減、民間委託、独立行政法人化など、国の行政機関にかけられた攻撃と 相まって、より深刻な事態となっています。こうした施設のあり方の見直しの議論が進め られている時期だからこそ、職場から議論し、問題点や課題を明らかにし、見解をまとめ ていくための政策活動を積極的にすすめることが重要です。この活動は、厚社連(=全厚 生社会福祉施設支部連絡協議会)を軸に、行政研究活動の一環としても重視して取り組み ます。こうした中で、「障害者保健福祉の増進に寄与する」国立施設をめざす取り組みを継 続・発展させるために全力をあげます。 5.国民のための社会保険行政をめざす  社会保険労働者の働きがい  社会保険行政の担い手である社会保険労働者にとって、健康保険法や年金法の改悪は、 直接、業務量を増加することにつながります。さらに、制度の改悪が続く中では、国民の 苦情、怒りを一手に受けとめなければなりません。社会保険の専門家として年金相談を始 め、すべての係で国民の立場に立った行政を行うために努力する毎日です。まさに社会保 険労働者は、医療、年金など社会保障制度のあり様と生き甲斐、働きがいが直結した位置 におかれています。  医療保険制度の抜本改革の動向  社会保険の各制度は、臨調行革攻撃の中で20年以上、制度を切り下げる改悪が強行さ れ、いま、その総仕上げがすすめれれようとしています。7月26日、政府・与党3党は、 「健康保険法等の一部改正法案」を国民の反対の声を無視して参議院本会議で採決を強行 しました。この法案の本則は、患者負担の本人2割を3割にする単純明快な改悪です。さ らに重大なのは、法案の付則で医療構造改革のあらゆる施策や計画が盛り込まれたことで す。第1は新しい高齢者医療制度の創設、第2は公的保険給付の内容及び範囲を見直す、 第3は政府管掌健康保険の「組織形態のあり方の見直し」を5年以内おこなうことなどで す。厚生労働省は2002年3月6日、大臣を本部長とする医療制度改革推進本部を設置 しています。その目的は、「政府・与党間で合意された医療制度改革に関する諸課題につい て検討を行うとともに、その着実な推進を図る」としています。当面、今年度中に「保険 者の統合及び再編を含む医療保険制度の体系の在り方」について、具体的内容、手順及び 年次計画を明らかにした基本方針を策定することになっています。この改革議論や動向を 注視しなければなりません。  政管健保は国の責任で  全厚生は、「医療保険制度(社会保険組織と事業のあり方見直し問題)に対する社会保険 プロジェクト」を発足させ、初回の会議を行いました。このプロジェクトは、医療保険制 度の対する全厚生の基本的な考え方を明らかにすることを目的にしています。政管健保は、 制度発足以来、国の事業として国の責任で実施してきたものです。今後も「民営化」や「独 立行政法人化」ではなく、国の事業として運営されるべきものです。これは、憲法25条 の精神を生かすことにほかなりません。この基本をふまえ、政策的な議論を深めてたたか います。  関係労働組合との共同をつくる  4月1日、「医療大改悪に反対し、国民のための公的医療・保険事業の確立をめざす労働 組合懇談会」を都内で開催しました。この懇談会は、医療制度の「抜本改革」に直接関係 する労働組合で準備しました。全厚生とともに、日本医労連、国公労連、全労働、全医労、 健保労組(=健康保険病院労働組合)、全労災(=全国労災病院労働組合)の7団体が主催 し、当日は103人、全厚生からは9人が参加しました。この貴重な交流をさらにたたか いの中で発展させるように努力します。  講師、相談活動など、社保闘争の先頭に  社会保険の仲間は、この間、年金・社会保障制度改悪反対のたたかいの中で、県国公に 結集して、学習会の講師活動、年金相談活動、宣伝、署名の取り組みなど、「国民の中へ、 国民とともに」の立場でたたかってきました。この分野での、まさに先進的な活動をさら に強め、地域での共同を広げるために積極的な役割を担います。こうした活動を行政に生 かし、国民に信頼される社会保険行政サービスの確立めざし奮闘します。 6.国立病院の切り捨て反対、国立医療を守る  医療を守るねばり強いたたかい  国立医療を守るたたかいは、1980年代の自民党・中曽根内閣による臨調「行革」路 線のもとではじまり、21年間に及ぶ長期のたたかいになっています。地域で国立医療を 守る会を結成し、存続・拡充をめざす草の根からのたたかいを前進させる中で「国立医療 を守る会全国連絡会」を結成し、共同の取り組みを広げてきました。1993年12月に は中央段階で、全労連・医労連・国公労連・全厚生・全医労による「国立医療・全医労攻 撃阻止・国民医療を守る闘争委員会(=国立医療闘争委員会)」を結成し、国立医療切り捨 て反対闘争を全労連・県労連規模で展開してきています。医療・社会保障改悪を阻止し、 医療、社会保障の拡充の課題と結びつけて、ねばり強くたたかっています。  国立医療の切り捨て攻撃を許さない  いま、政府・厚生労働省は、国立病院・療養所の統廃合・委譲をはじめとする再編成「全 体計画」をなりふり構わず進めています。さらに2004年度には、ナショナルセンター (がん、循環器病、精神・神経、国際医療、成育医療、長寿医療の6センター8病院)と ハンセン病療養所13施設は、国立医療機関で引き続き運営するものの、それ以外の国立 病院・療養所は単一(全国一体)の独立行政法人化をねらっています。政府・厚労省は、 国立病院・療養所の独立行政法人「個別法」である「独立行政法人国立病院機構法(案)」 を通常国会で継続審議とし、秋の臨時国会での強行をねらっています。まさに、国立医療 の切り捨て攻撃とのたたかいは、激しさを増しています。国立病院・療養所の統廃合・委 譲、独立行政法人化反対のたたかいに、国公労連に結集しながら、全力でたたかいます。 7.社会保障闘争での全厚生の役割発揮を  全厚生は1946年4月20日、労働条件の改善と厚生行政の民主化をめざして結成さ れました。先輩たちは、憲法25条の精神を生かし、たたかってきました。1954年、 吉田内閣の再軍備策動に反対し、社会保障を守るための果敢な活動を行いました。社会保 障を守る労働組合や民主団体の共同のたたかいの一翼を担い、中央社保協(=中央社会保 障推進協議会)をつくる上で一定の役割を果たしたことが歴史に刻まれています。全厚生 規約第3条は、「社会保障の確立のために行政の反動化に反対し、わが国の平和と民主主義 の確立に寄与する」と記しています。厚生行政を国民の願いに応えるものにするために、 全厚生の歴史と伝統を今日に生かすことが重要です。  社会保障の総改悪攻撃に対し、改悪阻止、社会保障の拡充をめざします。全労連・中央 社保協に結集して、国民的なたたかいの一翼を担います。各支部は、県労連・地域労連に 結集して、積極的にたたかいます。要求・課題としては、@医療制度改悪を阻止し、誰も が安心して受けられる医療制度の拡充、A年金制度改悪を阻止し、老後を安心して暮らせ る年金制度の拡充、B誰もが安心して受けられる介護保険制度の抜本的な見直し・改善を めざしてたたかいます。 8.平和と民主主義、憲法が生きる21世紀に  平和学習を重視し、恒常的に活動する  社会福祉、社会保障の真の発展は、平和なくしてありえません。戦争の惨禍をふたたび 繰り返さないという反省と決意が日本国憲法に結実し、戦争放棄の憲法第9条は、国際社 会にむけた平和宣言になっています。全厚生は、平和を脅かす敵を明らかにし、平和と民 主主義を守るたたかいを恒常的な活動にして、全力を尽くします。憲法擁護の旗をかかげ、 憲法改悪を阻止する国民的な運動に結集します。有事法制3法案を廃案にするために全力 をあげます。憲法・平和学習を重視し、この学習を通じて社会と職場と行政を見つめ直す 機会とします。本部・支部は、ともに全組合員があらゆる機会を生かし学習できるように 努めます。  宣言運動は継続した活動の出発点  「憲法遵守・平和職場宣言」運動は、引き続き継続させます。この運動は、行政の民主 化をめざす取り組みとも結びつけ、憲法を職場と仕事に生かし、平和をめざす恒常的かつ 日常的な取り組み決意する出発点となるものです。宣言運動は、宣言運動の提起、宣言づ くり、宣言採択など、プロセスを大切にした平和の一致点を職場につくる運動です。組合 員をはじめ、職場のすべての仲間の支持のもとで職場宣言をつくりあげ、外に対してもア ピールするように努力します。また、宣言運動は、宣言した後の活動が決定的に重要です。 宣言の精神を生かし、平和の取り組みを実践することが大切です。宣言を行った支部は、 その意義を毎年確かめ、常に平和をめぐる情勢を見定め、憲法遵守と平和への思いを新た にします。  核兵器のない21世紀を職場から  戦争につながるあらゆる策動をくいとめ、戦争法の発動を許さない取り組みを強めます。 沖縄ですすむ米軍基地群の再編強化は、21世紀の先々まで、沖縄をアジア太平洋地域の 軍事作戦の拠点を安定的に確保するのが目的です。こうした危険な動きを許さず、平和な 日本をつくるために運動を強めます。核兵器のない21世紀をつくるために、「3・1ビキ ニデー」「国民平和大行進」「原水爆禁止世界大会」「日本平和大会」の成功のために奮闘し ます。参加の取り組みは、各支部とも、毎年、過去最高の水準を職場からめざします。国 民平和大行進は、今年もリレー旗でつなぎ、全厚生の平和への願いを束ね、原水爆禁止世 界大会に結集します。  国民が主人公になる政治の実現を  全厚生は、国民犠牲の悪政を阻止し、国民の切実な願いや要求がとどく政治の実現をめ ざして奮闘します。憲法が保障する国民の政党支持、政治活動の自由を守り、職場でも地 域でも家庭でも、政治の風をさわやかに吹かす取り組みを強めます。全厚生、国公労働者 の要求実現の立場にたって奮闘する政党とは、一致する要求にもとづき協力・共同の関係 をもって行動します。 Z 生きいきした組織活動をつくる 1.職場活動を抜本的に改善する  「職場活動が最近見えなくなっている」「次の役員のなり手がいない」「職場が忙しく活 動どころじゃない」など、職場活動をすすめる上でのマイナス要因は、きりがないほどで てきます。職場活動をいかに活性化させるかは、組合運動の基本課題です。知恵を結集し て、探求しなければなりません。  組合活動は、「要求にもとづき、行動を起こす」以外にありません。職場の仲間を、まず 一人からさそって対話を始めることです。組合員の対話をすすめる時は、集まることがな かなか困難な支部なら、3人集まれば万々歳です。文殊の知恵が出て、それが立派な対話 集会です。労働組合は、こうして、具体的な行動を積みかさねることで、前進の兆しをつ くります。常に、職場の仲間のためになる活動を行い、その活動を日常的に強めながら、 しだいに目に見える活動に発展させ、職場をかえるために奮闘することが大切です。支部・ 分会は、職場組織をしっかりと確立し、一貫して、組合員を主人公にして活動するよう努 力します。 2.元気になる執行委員会をつくる  すべての支部・分会で改善めざす  どの支部・分会でも組合活動は、定例の執行委員会を軸にすすめています。支部・分会 により定例であっても開催頻度や、時間帯がまちまちです。違いはあっても、支部の団結 の要となる執行委員会です。この会議をなによりも大切にします。改めて、すべての支部・ 分会は、「元気になり、高まっていく」執行委員会をめざして会議運営を改善します。執行 委員会は、職場や地域の仲間のことを生きいきと語る場です。さらに、情勢や課題のワン ポイント学習を欠かさないことです。学び、活動するなかで、職場の課題を一歩一歩、解 決にむけて前進させ、次の執行委員会がまちどおしくなる会議をめざします。国公労連や 全厚生の方針は、職場の実情に応じて具体化し、機械的にこなすだけの取り組みにせず、 職場のたたかいとして位置づけることが大切です。  ワールド・カップの「感動」に学ぶ  日韓開催のワールドカップは、すばらしい感動を発信しました。MF(ミッドフィルダー) の役割は、職場活動や執行委員会をすすめる上で、多くのヒントを与えてくれました。@ 要求実現にとって必要な情勢を瞬時に把握する、A組合員に的確なパスを送る、B組合員 の切実な要求であるボ−ルを前向きな姿勢で受けとめる、C受けとめたボールを、あらた めて戦況をみながら、攻勢的な態勢をつくりパスを出す、D要求実現の得点チャンスを仲 間の力を引き出しながらつくることです。このMF的な役割を執行委員会が果たして、組合 員が主人公の組合活動をつくります。  組合室を有効に活用する  また、独自の組合室(事務所)を確立している支部・分会は、組合室を有効に活用しま す。組合室は組合の砦であり、整理・整頓にこころがけ、資料や新聞、様々な情報をフャ イルし、常に生かせるように保管します。また、組合員が、昼休みや退庁時にちょっとの ぞいてみたくなる雰囲気をつくることが大切です。組合室は、組合員の憩いの場として機 能するよう活用方法を工夫します。 3.職場から提案型の要求闘争をつくる  業務センター支部の「通知書等の見直し」  労働組合は、行政の民主化や労働条件の改善をめざすために、各職場の実情に応じた要 求政策を積極的に提案することが、これからの活動として重要です。  業務センター支部は、年金受給者に送付されている通知書について、受給者にわかりや すい通知書になるように積極的な改善をはかるよう「通知書等の見直し」を求める提言を 発表しました。業務を国民の立場から点検し、その具体的な改善方向を示すことは、労働 組合の重要な役割です。行政の専門家として、職場の一つ一つの業務内容を見直し・改善 をはかることは、行政民主化をめざす活動の基礎になるものです。  残業をなくす課題でも、業務の在り方や実態を明らかにしながら、具体的な改善を提案 しながら、改善を迫っていくことが大切です。  集団の力で政策活動に取り組む  職場の労働実態や業務のすすめ方について、まずはしっかりと把握し、支部・分会の集 団的な討議を経て、様々な改善要求や政策をつくりあげます。これは、職場での労働組合 の権威を高めることにつながります。各支部・分会は、職場での調査・政策活動を抜本的 に強化します。積極的で、先駆的な政策・要求づくりをめざし、提案型の要求闘争にして いくよう本部・支部一体で努力します。 4.学習・教育活動を抜本的に強化する  自分の頭で考え、だまされない力をつける  「学習しなければ、労働組合を前進させることはできません」−このことを強調します。 1年で、政治や経済の激変する時代です。小泉内閣は、1年前のフィーバー状態から大き く変化しました。労働者・国民を犠牲にして、支配勢力は生き延びようと懸命です。私た ちは、社会の現実を見極めて、何があってもだまされないことです。社会のこと、職場や 地域のこと、仲間のことを、自分の頭で考えることが大切です。社会を正確に診断し、世 の中のしくみや相互の関連を見抜き、要求を阻む事態や理由をつかみ、要求実現の道筋や 展望を見いだす努力が必要です。  このためには、基礎的な学習が不可欠です。学習は、活動が困難な時に陥りがちになる、 あせりや渋り、仲間への不信感、あきらめといった、支配者が最も喜ぶ事態から脱出する 力にもなります。各支部は、「学習の友」を積極的に活用します。「勤労者通信大学」の受 講組織、学習援助を計画性をもって取り組みます。国公労連の労働学校に積極的に参加し ます。  民主的な運営は教育的な効果を生む  学習は、たたかいの力の源泉となり、さらに、生きる力の源泉になるものです。「学習活 動は、あらゆる教育活動の中心に位置づけられ、人々を、なりゆきまかせの客体から、自 らの歴史をつくる主体にかえていくものである」(ユネスコの「学習権宣言」より、198 5年3月24日、第4回ユネスコ国際成人教育会議で採択)。この見識を、労働組合として 受けとめ、学習活動を職場を基礎に強化します。  労働組合の活動は、広い意味では、すべてが教育といえるものです。なぜなら、労働組 合は、物事をすべて科学の目で見て、切実な要求をたたかって実現させる運動だからです。 具体的な要求をかちとる過程を通じて、情勢や課題を深く認識することが可能になるから です。労働組合の教育的な面を意識して、民主的な運営に心がけることが大切です。組合 民主主義を重視することは、組合員の自覚を高め、団結を強めることにつながります。 5.職場での機関紙活動を前進させる  組合活動に魂を入れる機関紙活動  情報が世の中にあふれています。新聞、TV、ラジオ、雑紙、インターネットを通じて、 あらゆる情報は、手に入ります。しかし、情報洪水といわれる中で、一方的な情報が流さ れ、ふりまわされないことが大切です。  正確な情報を組合員に伝え、生きいきとした組合活動をつくる機関紙活動は、益々重要 です。機関紙活動は、組合民主主義に魂をいれる労働組合の動脈となる機関活動です。切 実な要求実現のためには、組合員の要求や意見を十分に反映させ、交流し、まとめあげる ことが大切です。さらに、組合の活動を組合員に知らせ、組合運営は執行部まかせにせず、 組合員全体の運動に発展させることが必要です。機関紙は、この役割を担います。「読まれ、 親しまれ、信頼される」機関紙づくりを全支部・分会がめざして奮闘します。機関紙を早 く確実に組合員に配達し、職場内での日常的な対話をすすめます。  中央機関紙「全厚生」をたたかいに生かす  今年度も定期大会において、支部・分会の教宣・機関紙活動を励まし、編集内容の質的 向上を支援するために機関紙フェスティバルを実施します。  本部は、中央機関紙としての全厚生新聞を旬刊で発行してきました。DTPによる編集は、 編集実務をより効率的に行い、読みやすい紙面づくりに効果をあげています。引き続き、 たたかいをリードし、仲間を激励し、団結強化に役立つ紙面づくりをめざします。日常的 に支部・分会との連携を強め、職場活動を全厚生新聞に生きいきと反映するように努めま す。全厚生ホームページの充実、全厚生闘争情報の随時発行に努めます。 [ 組織の強化・発展をめざす 1.組織建設の基本方向  日常的、目的意識的に取り組む  労働組合の力は、一人ひとりの労働者の力を結集した「数の力」です。また、仲間が増 えることは、労働組合に新しい息吹、新たな活力を生み出します。職場のすべての仲間を 対象に、組合加入の運動を旺盛にすすめます。組織の強化・拡大は、日常活動なしには前 進させることはできません。また、目的意識的な取り組みが必要な分野です。現在の組織 率や、支部・分会の確立状況を考慮して、各支部・分会が組織の強化・拡大の目標と計画 をつくり取り組みます。そのために、各支部で日常的に拡大をすすめる体制をつくります。 本部は、日常的、系統的な取り組みにするために努力します。  要求に根ざした運動と一体で取り組む  組織強化・拡大を前進させるには、職場での組合員の要求に根ざした運動を強化するこ とと一体ですすめます。身近な要求で、目にみえる活動をすすめていくことが重要です。 まさに、労働組合の原点にたって活動することが、組織建設の基礎をつくります。春闘と 秋闘は、労働組合が最もみえる時期です。この時期を組織拡大特別期間に設定し、集中し た加入促進運動を行います。本部は、この時期に併せ、加入促進運動に役立つ資材を用意 します。また、組織率が職場の過半数に達していない支部は、個別の対策をもち、取り組 みを強化します。 2.女性、青年、壮年層のたたかいの前進を (1)輝く女性活動の前進をめざす  男女共同参画をめざす立場で要求する  男女平等、女性の地位向上、健康で働き続けられる職場づくりは、女性の切実な要求で す。また、母性保護は、真の男女平等を実現する上での前提となるものです。これらの要 求は、労働者全体の権利保障にとっても不可欠な課題です。働き過ぎの社会の中での機械 的、形式的な「平等」を克服し、男も女も人間らしく働くルールの確立めざしてたたかう ことが大切です。1999年に「男女共同参画社会基本法」が制定され、人事院は2002年5 月に「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を各省に通知し、それを受け同 年11月に厚生労働省は、「厚生労働省女性職員採用・登用拡大計画」を策定しています。 この計画は、男女共同参画の立場からみて、まだまだ具体的な改善計画とはなっていませ ん。公務職場で率先して具体化をすすめるように、男女差別の是正、女性の地位の向上を めざし取り組みます。  生きいきした女性部の活動をつくる  全厚生女性部は、昨年秋に第6回総会を開催し、どんな小さな要求も声に出して、要求 の前進めざしてたたかっていくことを確認しました。真の平等社会の実現、生きいきと働 き続けられる職場環境をつくるために、大臣官房人事課、社会保険庁との懇談を年1回、 職場の代表を入れて実施しています。健康破壊・家庭破壊につながる恒常的な残業をなく し、男女ともに働きやすい勤務環境をつくる、女性職員の採用・登用の拡大、昇任、昇格 の男女格差の是正、育児休業や介護休暇などの休暇制度の改善を求め、職場からの代表が 職場実態を訴えて要求前進をめざしています。この間の懇談では、幹事会での議論で要求 を練り上げ、女性部3役で予備折衝を積み重ねることで要求を鮮明にさせ、効果的な懇談 となるよう努力しています。2月23〜24日には、第26回全厚生女性交流集会を大阪 で開催し、20支部108人の参加で、楽しく元気になる集会を成功させました。また、 瀬戸内ブロックは、2月16〜17日に全厚生瀬戸内ブロック女性交流集会を大分、香川、 愛媛の各支部から40人の参加で成功させました。こうした交流し、学びあい、行動する 活動を積極的にすすめ、かつ国公労連女性協議会への結集を強め、展望をもってたたかえ るよう、財政面を含め援助を強めます。 (2)生きいきした青年部活動をめざす  青年層は本来、@不正を憎む正義感、A真理に対する探求、B文化・スポーツへの関心、 Cこれらの実践にむけた情熱と行動力をもっています。一人ひとりのおかれている状況、 学校教育や社会のゆがみの影響から、これら青年の姿がストレートに現れにくい傾向もあ ります。逆に、青年のエネルギーを最大限に引き出すことは、青年対策の重要な役割です。  新たに職場に入る青年にとって、組合活動は未知なるものです。仲間と団結で権利を守 ることの大切さは、先輩とのつきあいやたたかいの中で発見するものです。たたかいの中 で、ともに考え、新鮮に伝えていくことが大切です。組合の加入から始まり、「学び、たた かう」中で、青年との豊かな関係を支部・分会が築いていくようにします。各支部の青年 部活動は、青年の要求にこたえ、明るく、生きいきした組合活動を展開するために重視し ます。  青年対策部は、すでに21世紀の最初の青年交流集会を2003年に愛知県で開催する ことを決定しています。この間、幹事会を定期的に開催し、労働組合のそもそも論や運動 のすすめ方など、今後の活動につなげるために組合活動の原点にかえった議論を積みかさ ねています。交流集会の開催にむけた準備をすすめながら青年部活動の前進をめざします。 (3)壮年層の豊富な経験と力を生かす  賃金や労働時間、処遇などの労働条件など、全体に共通じた要求は多くありますが、階 層別に青年、女性、中堅、壮年などにより、要求が多様化しています。壮年層は、処遇の 問題や、仕事の面でも責任ある位置での苦労や悩みをもっています。本部は、各支部の壮 年部の活動経験を生かし、壮年層の要求や活動の交流をはかります。壮年層は、労働組合 や行政での豊富な活動経験をもっています。これらの経験を生かし、要求・政策づくりや 行政研究活動の重要な担い手として位置づけます。さらに、組合活動全般にわたり、長年 の経験や力が生かされるよう工夫します。 3.国公共済会活動で「働くものの助け合い」  民間生保が経営危機に直面しています。こうしたもとで、「仲間どおしのたすけあい (愛)」をスローガンにする国公共済会への信頼と期待が高まっています。この間、各支部 の奮闘で加入促進をすすめ、85人の新たな加入がありました。支部での学習会や説明会 などの開催は、加入促進に生かされています。しかし、退職者などの減があり、全体とし てやや減少傾向となり、「たすけあい」の輪が十分に広がっているとはいえません。  引き続き、国公労連のスケールメリットを生かし、組合員と家族の福利を守る立場で、 組合員の6割の加入をめざして運動を展開します。組合員加入促進の運動と連携させて、 春闘と秋闘の時期、組織拡大の時期にあわせ、加入拡大特別期間を設定して取り組みます。 4.組織の発展をめざす  ブロック機能を積極的に生かす  全厚生は、1996年1月に全厚生東海ブロック連絡協議会(静岡県支部、愛知県支部、 岐阜県支部)を結成しました。その後、2000年11月に近畿ブロック協議会(神戸支 部、国衛研支部大阪分会、滋賀県支部、京都支部、大阪支部)、11月には四国ブロック協 議会(香川県支部、愛媛県支部)をつくりました。さらに瀬戸内海に隣接する3支部(愛 媛県支部、香川県支部、大分県支部)が瀬戸内ブロックとして交流・懇親を深めています。 現在、全厚生の規約上では、ブロック機関は、正式な機関の位置づけはありません。しか し、現在のブロック機能は、組織の交流、強化にとって重要な役割を果たしています。人 事院地方事務局との交渉、学習や交流会の開催など、新たな活動経験を積み重ねています。 引き続き、この間のブロックでの活動の到達点にたち、要求の前進と組織の強化のために、 ブロック機能を積極的に生かした取り組みをすすめます。  厚生労働省のもとでの諸課題  全厚生は、厚生労働省発足のもとで、労働条件の改善、行政体制の拡充をめざし、「交渉 ルールの確立」に奮闘しています。従来の水準を高めるために日常的な努力を積み上げま す。厚生労働省の3単組(全厚生、全医労、全労働)は、この間、要求前進に向けて協力・ 共同の取り組みを実現しようと協議を続けています。こうした中、6月6日に初めての3 単組学習交流集会を開催し、全体で80人が参加して憲法学習と3単組の活動交流を行い ました。また、有事法案を廃案にさせるたたかいでは、中央段階で共同した宣伝行動を実 施しました。引き続き、交流を深め、具体的な共同をつくるように努力します。 さらに、厚生労働省内の労働組合の共闘を強めるために、厚生共闘(厚生省労働組合共闘 会議)の関係を考慮し、今後の基本方向について3単組間で検討します。  全厚生本省支部、統計情報支部、全労働本省支部で結成した本省共闘(厚生労働本省労 働組合共闘会議)は、活動をはじめて1年半が経過しました。交渉ルールを確立し、働き やすい本省職場をつくるために奮闘しています。本部は、全労働本部と協議し、必要な援 助を行います。  地方厚生局の設置にともなう労働条件・環境などの諸要求を把握し、改善をめざします。 5.臨時・パート労働者を主人公にした組合活動を (1)業務センター支部の賃金職員のたたかいは組合運動の原点  「パート労働者だから、臨時雇いだからと簡単に首を切れるというのは、基本的人権や 生活状況をまったく無視した許されない行為です。賃金職員が自ら立ち上がらない限り限 界があります。組合に加入して一緒にたたかっていきましょう」−これは、「雇い止め」通 告をうけた業務センターの賃金職員に対して、業務センター支部の呼びかけの一節です。 この呼びかけに勇気づけられた賃金職員が組合に加入したことからたたかいが開始され、 2年間のたたかいの後、今年4月には、雇い止めを撤回させ「新しい雇用のルール」を実 現させることができました。  賃金職員で組合員の一人は、こう語っています。「一人の思いは小さなものです。私一人 がただ辞めたくない、辞めさせないでくれと叫んでも何も変わらなかったと思います。で もその思いは、みんなが持っているものだったから大きな一つの声になり力になりえたの です。そしてその力は、こんなに大きな成果を私たちにもたらしてくれました。希望をも って団結し進んでいけば物事は変わっていくのだと実感しています」−一人ならあきらめ てしまっても、みんなでならたたかえる、これが核心です。労働組合運動の原点を教えら れた思いです。それも、生協労連が打ち出した「セ・パ(正規とパート)一体のたたかい」 を見事につくりあげています。 (2)臨時・パート労働者のたたかいが運動の質をかえる  臨時、パートなどの労働者は、雇用形態は異なりますが同じ労働者です。労働時間が短 いか長いかだけの違いです。政府・財界の労働政策は、企業の儲けを維持するために、低 賃金で、必要なところで必要な時にだけ使う、多様な非正規雇用の労働者を大量に増やし、 正規労働者と入れ替えようとしています。そのねらいは、男性より女性を、正規労働者よ り臨時・パート労働者をより安い賃金で働かせるものです。こうした低賃金で無権利な状 態を放置して、全体の労働条件の向上などありえません。職場でも地域でも、正規労働者 と非正規との共同のたたかいが益々必要になっています。ただし、正規労働者がパート労 働者の要求をかちとってやるという発想では、運動は前進しません。パート労働者自らが たたかいの主人公にならなければなりません。ともにたたかう仲間と認め合う関係こそが、 21世紀の労働運動の新しい流れをつくるにちがいありません。 (3)非常勤職員と対話し、加入をすすめる条件をつくる   全厚生の各職場には、さまざまな臨時労働者、定員外職員が働いています。こうした職 員は、定員削減の下で、増加する傾向にあります。その各々について、勤務条件や契約関 係を把握し、処遇改善の課題や組織化の条件を検討し、必要な働きかけを行います。各部 門ごとに組織化をすすめる上での条件等を検討し、具体化の方針を練り上げ、実践します。 6.独立行政法人での労働組合の前進を  職場を基礎にたたかう栄研支部  2001年4月に独立行政法人になった国立健康・栄養研究所は、新たな労使関係のも とで、研究・労働条件の改善をめざし、本格的なたたかいを開始しました。2002年春 闘は、基本要求を確立し本格的な交渉を行いました。職場討議を重視して春闘要求書をつ くり要求書を提出、2回の交渉を積み上げて確認事項を労働協約に仕上げました。賃金要 求では、「非現業国家公務員に対する給与に関する人事院勧告、春闘要求を考慮して、引き 続き協議する」こととし、秋闘段階の賃金確定のたたかいにつなげています。また、研究 評価の課題では、「研究評価は、研究の自主的及び創造的発展を助ける目的で行い、客観的 基準にもとづき、公平・公正に行う。評価の結果は、賃金を下げることにつなげない」こ とを確認しました。組織・機構の再編では、「研究所の組織・機構の再編などにより異動を 生ずる場合、本人の意向を十分尊重し、一方的には行わない。問題が生ずる場合、労働組 合とも協議する」ことを確認しました。  また、新たな組合員を支部に迎え入れ、研究職の組合員では、組織対象の7割をこえる 水準に達しています。栄研支部の仲間は、「組合員の多数を組織することが要求実現の力に なる」ことを肌身で感じながら奮闘しています。  国公労連に結集し、独法対策を強化する  独立行政法人は、非公務員型への流れが強まっています。非公務員型でつくられる国立 大学は、2003年通常国会への法案提出、2004年度の法人発足がねらわれています。 特殊法人等の整理合理化計画では、独立行政法人に医薬品副作用被害救済・研究振興調査 機構(認可法人)と国立医薬品食品衛生研究所医療機器審査センター等を統合し、独立行 政法人が設立されます。また、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」の中 で、「関係府省は、平成14年度から、旧国立研究所など公務員型独立行政法人について、 その業務の内容により非公務員型独立行政法人化を進める」としています。  労働条件の維持・改善をはかるうえで、労働組合の役割が極めて重要です。独立行政法 人の対策を強めている国公労連に結集し、引き続き栄研支部から国公労連独立行政法人対 策委員会に委員を派遣します。職場要求をさらに練り上げ、引き続き労働協約づくり、労 使協定、労働協約改定のたたかいに全力をあげます。 \ 年間のたたかいを構想し、要求の前進を 1.年間サイクルの活動で要求闘争を前進させる  「職場の活動が情勢や課題に追い立てられるようになっていませんか」、昨年の大会議案 では、こう問いかけました。身近な要求実現から国民・労働者に犠牲を強いる悪法を阻止 する課題に至るまで、もろもろの要求を実現させるには、ねばり強く活動しなければなり ません。1年間のたたかいは、定期大会を出発点にして、秋闘、春闘の準備、春闘本番、 5月連休明けからのたたかい、夏期闘争と、おおよそ日本の四季にあわせたたたかいの節 目があります。日本の四季と同様、季節の節目を大切にして、メリハリをもち、リズムあ る活動になるように努めます。  要求実現のために、1年間の基本的なサイクルを理解し、要求の確立、交渉配置など、 構想をもってたたかうことが重要です。本部は、時々の方針や課題を明らかにし、支部活 動を援助します。支部活動は、常に組織の前進に結びつける時々の目標をもち、たたかい ます。集中した取り組みが必要な期間は、執行委員会が深く討議し、組合もその個人も、 相撲でいう「心・技・体」を充実させて、たたかうように努力します。 2.職場の交渉ルールを確立し、交渉の水準を高める  この間、職場活動で重視したことは、職場での総対話を行うこと、職場要求を掘り起こ すこと、すべての支部・分会で要求をつくり、定期的に所属長交渉を実施することです。 団体交渉のルールを確立することは、労使関係の基本です。団体交渉は、労働者が使用者 に対して自由にものが言え、対等平等な立場で要求実現を迫る場です。単なる話し合いの 場ではありません。各支部・分会は、組合員の総意にもとづいて、要求を節目節目で所属 長に提出し、交渉を実施します。既に、年間の支部活動の中で交渉ルールを確立している ところは、その水準を高めるために努力します。交渉は、予備(事前)折衝から、たたか いの本番です。団体交渉は、事前に争点を整理し、交渉のすすめ方、獲得目標などをしっ かりともって望みます。組合の要求にもとづき行われる交渉です。大切にすることは、交 渉の主人公は、常に職場の労働者であるということです。 3.闘争戦術と実力行使態勢を確立する課題  労働組合の闘争戦術は、要求を実現したいという労働者の強い決意を行動にあらわす方 法のことです。職場集会、地域集会、デモ、署名、宣伝、プレート行動など多様です。ど のような闘争戦術を選択するかは、要求の内容、要求の相手、要求を阻む相手との力関係、 たたかいの局面などによって異なります。戦術は、たたかいを持続し、発展させる効果あ る戦術を選択し、民主的に決定するように努めます。  ストライキは、労働者の最も基本的な闘争戦術です。憲法は、労働者が労働組合をつく ってたたかう権利(団結権、団体行動権、団体交渉権、この3つあわせて労働基本権)を 保障しています。この権利は、労働者が不屈のたたかいによってかちとった権利です。し かし、公務員労働者は不当にもこの権利が剥奪されています。全厚生は、幾度となく自ら の生活と権利を守るために国公産別闘争に結集して、ストライキ闘争を果敢にたたかった 歴史をもっています。賃金課題をはじめ、労働組合にとって重大な情勢であると判断した 時には、ストライキ権を行使してたたかう態勢を職場の総意で確立できるよう、組織の力 量を各支部が高めます。 《全厚生の年間活動の流れと全体の会議配置》 【定期大会〜秋季年末闘争】   9月中旬   定期大会で年次方針の決定、全厚生統一要求(案)の提案 10月〜12月 秋季年末闘争で重点要求の実現を迫る、春闘準備を開始する  11月段階   全国支部書記長会議で大会決定の実践や秋季年末闘争の意思統一 【春闘】   1月末         中央委員会で春闘方針の決定、全厚生統一要求の決定   2月(春闘本番)    たたかいの意思統一、要求の確立・要求書の提出へ           (要求書の提出後、年間を通じて要求実現を迫る)   3月〜4月段階     力の集中で交渉強化、国民春闘の山場のたたかい   4月末(又は連休明け) 全国支部委員長会議で春闘総括と引き続くたたかいの強化   5月         メーデー、春闘最終盤の追い上げ、国会闘争へ 【夏季闘争】 6月      国会闘争最終盤のたたかい、夏季闘争の準備   7月初旬〜   全国支部委員長会議で大会方針案の討議、夏季闘争の取り組み強化   7月      人事院勧告期、概算要求期でのたたかい 8月〜9月初旬 人事院勧告直後からのたたかい、定期大会方針(案)の事前討議