<2002春闘方針(案)> はじめに〜私たちの力で国民春闘の新しい流れを〜   この国は、重大な岐路にたっている  「構造改革」という怪物が崖っぷちに立ちはだかる  働くルールという鎖を引きちぎり、肥えた資本が暴走する  不況と大量の失業者、リストラの嵐が労働者の暮らしを直撃する  だれもが、思っている−「こんな社会でいいはずはない」   いま、たたかいの時  この春、仲間たちと決意する  「怪物」と「肥えた資本」の餌食には、断じてならない  労働者の権利を必ず確立する 人間らしく生き、人間らしく働くために  たたかいの源泉は、職場の力、地域の力、共同の力  一歩一歩、着実にすすめれば、職場も地域も大きく変わるはずだ   なにからはじめるべきか  土台は職場。仲間との対話が出発点  男たち、女たち、若ものたちの夢、希望、知恵、勇気  これらを束ねた力は、職場と社会に響くはずだ  たたかいのテンポを徐々にあげ、めざすは「全員参加」  その延長線上には、「国民総ぐるみ」の壮大なたたかいを展望して   新しい春闘をつくる 労働者・国民が力をためて総決起する檜舞台−これが、春闘だ  敵の力が強大なら、それを上回る団結をつくりさえすればよい  職場をこえた幅広い人間関係は、たたかいの前進を保障する貴重な財産  厳しいたたかいの時こそ、一人ひとりを鍛え、組織を強める絶好のチャンス  さあ、「志」をもって、  2002年春闘をみんなでたたかおう! T 小泉「構造改革」と対決する2002年春闘  2002年春闘は、小泉内閣のすすめる「構造改革」との激しい対決になります。情勢 は、決して甘くありません。仲間たちの切実な要求、国民的な課題を前進させるために、 世の中の動き、暮らしや職場の変化など、私たちをとりまく情勢を正確につかみ、国民・ 労働者の立場にたった打開の方向や方法について、仲間とともに語り合うことが大切です。 1.労働者・国民に「激痛」を押しつける「構造改革」 @ 今、日本は小泉「構造改革」によって、雇用と暮らし、経済、教育、社会のあらゆる 分野に渡り、危機的な泥沼の状態にはいり込んでいます。さらに小泉内閣は、国民に「激 痛」を押しつける「構造改革」を本格的に推進しようとしています。「改革」をすすめる中 心メンバーである竹中・経済財政担当大臣などは、財界に全く使い勝手のよい「人材」と して旗振り役をかってでています。その経済の処方箋は、市場万能薬を社会全体に大量に 服用させ、麻酔なしの経済効率一辺倒で全てを切っていく手荒なものです。労働者の失業 や国民犠牲という大量出血は、当然のものとしています。「改革」攻撃に甘んじるなら、日 本経済は最悪の事態に陥り、失業者が大量にあふれ、権利としての社会保障は葬られ、働 くルールのルールブックさえなくしてしまう、そんな事態が見えてきます。まさに、労働 者とその家族の生活が耐えがたいしわ寄せを受ける、こんな、崖っぷちに立っています。 A 私たちは、この国の前途を破滅の道を転がり落ちるだけの悲観的な見方に立ちません。 小泉政権と「構造改革」の姿が日に日に明らかになっています。「激痛」による国民犠牲の 本質を充分な程に浮き彫りにしなくてはなりません。テレビ・マスコミ報道は、長年の自 民党政治の腐敗・汚職に対する国民の怒りの矛先をそらすかのように、小泉「構造改革」 と「抵抗勢力」という構図を持ち出し、ワイドショーまがいの政治ドラマに仕立てていま す。こうした手法を最大限に生かす小泉政権は、当初は高い支持率を誇っていましたが、 その神通力は徐々に失いつつあります。春闘の中心点は、国民の声を何一つ聞かない小泉 政権を圧倒的な世論と大衆行動で包囲することです。大企業の大量首切り、人減らし、リ ストラ「合理化」攻撃に反対し、社会的な責任を明らかにさせ、働くルール確立、暮らし を改善する要求を高く掲げて、国民春闘を元気にたたかうことです。 2.米・テロ事件を契機にした憲法と民主主義破壊の攻撃 @ いま、昨年9月におきた米同時多発テロ事件に便乗して、小泉政権は、平和を脅かす 危険な動きをつくりだしています。10月末には、テロ対策特別措置法を強行し、三隻の 自衛艦をインド洋に出航させました。目前ですでに進行している戦闘中の地域に自衛隊を 派遣したのは、戦後初めてのものです。これは、憲法9条の規定を真正面から踏みにじる 暴挙です。この流れは、1990年代後半、安保条約の対象範囲を「アジア・太平洋地域」 に拡大した日米安全保障共同宣言(1996年4月)を契機に強められてきました。すでに、 1999年の国会で、新ガイドライン関連法(周辺事態法など)が強行され、曖昧な「周 辺地域」という概念を駆使し、アメリカが始める戦争に日本が積極的な形で協力すること を法制化しました。さらに、政府・与党は、日本が武力攻撃をうけた際の自衛隊の行動な どを規定する「有事法制」を通常国会に提出しようと、その動きを強めています。これは、 防衛庁などで長年、研究してきたものを表舞台にあげる危険な策動です。 A 憲法改悪の危険な動きも強められています。1999年には、憲法改正の発議権を持 つ憲法調査会が衆参両院に設置され、活動を開始しています。改憲勢力のねらいは、平和 のメッセージを世界にむけて発信する第9条をかえることにあります。この第9条は、基 本的人権保障の体系を支える憲法の神髄ともいえる条項です。政府や財界は、これを崩す ことで、国のあり方の基本をかえ、「戦争をする国」に衣更えしようたくらんでいます。し かし、日本と世界の多くの人々が望んでいるのは、戦争も基地も軍隊もない平和な社会で す。1999年5月にオランダのハーグで開催された「平和アピール世界市民会議」は、 「すべての国の議会は日本の憲法9条にならい、政府による戦争行為を禁止する決議を行 うべきである」と決議しました。この決議は、国境を越えて、すべての平和勢力の基本指 針になるものです。憲法擁護の旗を高く掲げ、平和と民主主義を守る国民的な共同の取り 組みを前進させることは、春闘の重要な課題です。 3.行革・公務員制度改悪攻撃と国公労働者・全厚生の役割 @ 政府・財界は、国の進路をめぐるせめぎあいの中で、中央省庁再編や地方分権など、 国の中枢となる内閣機能を強化し、上からの統治・支配を強めようとしています。公務員 制度改革は、この関連で見ることが大切です。昨年3月に政府が示した「公務員制度改革 の大枠」は、「新たな政府の組織で働くのは新たな公務員でなけらばならない」と冒頭に記 しています。中央省庁再編で新しい器をつくった上で、公務員制度改革を行政改革の中軸 として位置づけています。このことは、「行政を支える公務員自身の意識・行動様式を変え ることにある」(大枠)との指摘にも端的に示されています。公務員制度改革との対決は、 国民本位の行財政・司法を確立するたたかいと密接に結びついています。 A 公務員制度改革は、公務・行政に「能力・業績主義」を導入することを柱の中心に置 いています。「能力・業績主義」を早くから導入した民間大企業では、@失敗を恐れ「挑戦」 不足、A地味な通常業務がおろそかになる、B不公平との労働者の声があがる、などの理 由で見直しを余儀なくされています。そもそも公務員は、憲法15条にある「全体の奉仕 者」の立場にたつことが基本です。どの職場でも公務労働は、集団的な労働として、職場 が一体となり、協力・共同で実施します。職員は仕事を通じて職務遂行の力をみんなで高 めあい、常に国民の基本的人権を保障する見識と専門性を深めることが求められる職場で す。競争原理の導入や「能力・業績主義」は、なじみません。国民のために、「民主・公正・ 効率」の公務員制度を確立することが国公労働者・全厚生の課題です。 U 秋闘の到達点を春闘の出発点に  2001年秋季年末闘争は、定期大会後から年末までの約3カ月間、職場の切実な要求 実現をめざし、各支部が果敢に、かつ全力で取り組みました。この取り組みを通じて得ら れた教訓を財産にして、次のたたかいに生かすことが大切です。職場の仲間とともに取り 組みを総括し、前進面を評価し、一方で運動の弱点は曖昧にせず、豊かな教訓を導き出す ことが必要です。秋闘の到達点は、2002年春闘の出発点です。 1.公務員制度改革のたたかいに全力をあげた秋年闘争 @ この秋季年末闘争は、国公労連に結集して公務員制度改革とのたたかいに全力をあげ ました。国公労連は昨年9月以降、政府・行革推進事務局との間で「交渉・協議」を開始 し、公務員制度改革の問題点を明らかにすることに努め、たたかいました。こうした中で、 全厚生は職場からの学習を重視し、本部オルグも配置しながら、申し入れ・交渉、職場集 会、署名活動、宣伝行動などを本部・支部一体で具体化してきました。職場学習では、多 くの支部で職場機関紙活動が重要な役割を果たしました。秋田県支部の連載企画は、「学習 しなければ」との執行部の熱い思いの結晶です。 A 政府・行革推進事務局は11月6日、「行政職に関する新人事制度の原案」を示しまし た。国公労連は政府が12月中の「公務員制度改革大綱」決定をもくろむ中で、職場から の闘争態勢の強化と大衆行動の押し上げを確認しました。「大綱」決定にむけた中心課題は、 @公務員制度改革の枠組を一方的に使用者・政府が決定することに断固反対する、A各省 の人事管理権限を拡大し、人事院の権限を縮小しながら、労働基本権にいっさい手をつけ ない改革内容の決定を許さない、の2点に集約しました。この要求を掲げ、支部・分会は、 交渉・申し入れ行動の強化、職場集会での意思統一、中央行動への結集などの取り組みに 全力をあげました。このたたかいは、政府の動き、たたかいの到達点など、時々に動く情 勢を正確に把握することが今後とも大切です。いま以上に国公労連、全厚生、各支部の緊 密な情報伝達、意思統一を民主的かつ効果的にすすめる努力が求められています。 B 全厚生は、職場のたたかいを背景にして本部段階の交渉を強化しました。11月15 日には、大臣官房人事課(人事調査官)と協議。「行政職に関する新人事制度の原案」の問 題点を徹底して明らかにしました。全厚生の見解は11月19日に実施された政府・行革 推進事務局と厚生労働省とのヒアリングの際、省の意見表明の内容にも反映させました。  12月の大綱決定直前の取り組みは、国公労連が提起した12月19日の定時退庁行動 に対して、各支部は結集の工夫もして全力で取り組みました。本部は12月21日、大綱 の閣議決定の直前に大臣官房人事課(人事調査官)に緊急の申し入れを実施。「信賞必罰の 人事管理を強制する『公務員制度改革大綱』の決定は行わないよう、使用者責任にもとづ き関係機関に働きかけをを行うこと」を強く要求しました。 2.ねばり強く本部・支部一体の交渉で要求実現めざす  全厚生は、各職場、各部門の切実な要求を実現させるために、本部段階の交渉を実施し ました。10月22日の人事院交渉では、職務の正当な評価をめざして昇格改善を迫りま した。10月15日には社会援護局国立施設管理室(室長)、11月6日には社会保険庁(次 長)、11月20日には大臣官房人事課(課長)、12月13日には大臣官房厚生科学課(課 長)と交渉を実施。女性部は10月19日、労働条件改善をめざして社会保険庁と懇談し ました。各部門の交渉では各支部代表も参加し職場実態を交えて追及しました。また、厚 生共闘(全厚生・全医労)は11月26日、公務員制度の課題や国立病院・療養所の「再 編成計画」、試験研究機関の組織再編の課題で厚生労働大臣と交渉しました。  昇格改善や定員確保、新再任制度の運用、試験研究機関の組織再編や「基盤研」問題と 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所の課題、社会保険の国民年金事務「見直し」の要求な ど、引き続き、ねばり強く職場からたたかいをすすめることが大切です。 3.過去最大規模となった140人の上京団行動の結集  11月30日の中央行動は、公務員制度改悪反対のたたかいの総決起の場となりました。 全厚生は、この十数年の最大規模となる140人が上京団行動で結集。全体では約5千人 (国公労連は3千8百人)の参加で大成功を納めました。全厚生はこの日、午前中は青年 を中心に26人が参加した公務員制度改革の学習会を実施。昼休みの総務省包囲行動は、 文字通り「霞が関騒然」の取り組みになりました。午後の日比谷野外音楽堂での総決起集 会で行った1分間パフォーマンスは青年40人が登壇し、たたかいの決意を示しました。 この結集は本省庁支部、神奈川県支部など在京・近県支部のがんばり、試験研究機関支部 の執行部の決意が光った結集、福祉施設支部の努力、社会保険支部は直前まで参加を増や すために奮闘するなど、全支部が健闘した結果です。たたかいの重要性を受けとめて取り 組んだ各支部それぞれの経験・水準を確信にすることが大切です。  また、2001年日本平和大会が11月29日から12月2日まで沖縄県名護市で開催 されました。全厚生は、職場からの参加をめざし、本部及びリハ支部、岐阜県支部、香川 県支部から計6人が参加し、平和への熱い思いを新たにしました。 4.組合員を主人公にした取り組み  各支部は、組合員を主人公にするために定期的な執行委員会を軸に活動をすすめていま す。組合活動は、定員削減や業務量の増大により、多忙の中での活動を強いられています。 一過性でない地道な活動をすすめるには、少々の困難にめげない執行部のねばり強さが要 求されます。これは、今日最も重要なたたかいです。女性部は10月20日、第6回総会 を成功させました。この総会では、超勤規制の取り組みや、育児休業、介護休暇での改善 など、どんな小さな要求でも、声に出して要求することから始まり、ねばり強くたたかえ ば成果が得られることを全体の確信にしました。これは、重要な教訓です。 V たたかいの基本方向  情勢をみれば、従来の延長線でのたたかいでは、仲間たちの要求を実現することはでき ません。「春闘をいかにたたかうか」「どう展望を切りきらくのか」の答えは、足を一歩踏 みだし、たたかいを肌で感じて得るものです。全厚生は、職場の仲間との対話はもちろん、 地域の仲間と相互理解を深め、職場、地域で創意ある活動をつくるために奮闘します。 1.基本的な構え  小泉「構造改革」は、国のあらゆる規制を緩和し、大資本・大企業の活動を最大限に支 えています。その結果、大企業は、むきだしの資本の本性を出しています。この「改革」 の行き着く先は、競争と市場原理を最優先する弱肉強食の社会です。一方で、働くルール や人権が無視されています。これは、働く側の力の総力が絶対的に弱いためです。雇用の 確保や暮らしをよくする基本要求は、決して職場だけ、すなわち「企業内」のたたかいだ けでは維持、改善できません。私たちに求められているのは、職場のたたかいを一層強め、 さらに、地域で労働者・国民の共同のたたかいをつくることです。この春闘は、人間らし く生き、働くことを真に実現するために団結の力を強め、力を集中してたたかいます。 2.要求実現と組織強化を一体でたたかう  組合員の加入促進の取り組みは、自然発生的には前進しません。要求前進の力は、団結 した組織力です。この力をどうしても高めなければなりません。春闘の時期、職場の全て の仲間を視野に入れ、切実な要求をまとめ、掲げ、たたかいます。このたたかいの中で、 まだ組合に入っていない仲間への働きかけを強めます。今年の春闘は、要求実現と組織強 化の課題を一体でたたかいます。 3.国民総ぐるみの春闘をめざし、その一翼を担う 《全労連の提起する国民総ぐるみの春闘をめざし、その一翼を担い、たたかいます》 【以下は、全労連2002年国民春闘方針より】 @ 春闘はこれまで、要求実現をめざす労働組合の統一闘争を中心にたたかわれてきまし た。しかし、最近では個々の使用者とストライキをかまえて交渉するだけでは、要求実現 がなかなか困難になっています。それは、政府の悪政と大企業の横暴が個別企業における 雇用や賃金決定にも直接介入し、要求前進の障害として立ちはだかっているからです。今 日の情勢は、職場・地域や産業別のたたかいを強める春闘と同時に、要求の前進を拒んで いる真の根源(=政府の悪政と大企業の横暴)に直接迫り、国民が総ぐるみとなった「国 民一揆型」(名称は変更の可能性もあり)の春闘に挑むことが求められています。 A 全労連は、要求実現をめざす労働組合の統一闘争としての春闘をいっそう強化すると ともに、すべての国民が総決起する春闘の成功をめざし奮闘します。そのためにも、広範 な労働者・国民がみずからの切実な要求を持ちより相互支援する「参加型の春闘」を追求 します。同時に、こうした国民春闘の中軸を担うのは労働組合です。全労連のすべての組 合が、国民の生存権に直結する「雇用」「暮らし」「いのち」を共通の重点課題に位置づけ て、それぞれの単産(産業別労働組合のこと。国公労連もその一つ)・地方組織が直面する それぞれの重点課題と結合させながら、集中的にたたかうことを呼びかけます。 B その呼びかけの一つとして、それぞれの労働組合や民主団体のもっとも切実な要求を もちよって、同じ日に全国いっせいに決起する「国民ストライキ」(4月中〜下旬を想定) を提起します。全労連や2002年国民春闘共闘委員会(以下、春闘共闘と略す)、呼びか けに賛同するすべての組合が、全員スト、指命スト、時限スト、時間内集会など、全員が 結集しやすい多様な形態を工夫して、「国民ストライキ」に参加します。労働組合のストラ イキとともに、中小企業は一時操業をストップし、自営業者・商店は一時シャッターを下 ろして閉店し、農民は農作業を中断して鍬を置き、漁民は海上から汽笛を鳴らし、医療機 関は自主的な休診体制をとり、学生は授業を中断するなど、文字通りすべての国民が参加 する「国民ストライキ」となる統一行動としての成功をめざします。「国民ストライキ」に ついて、商工団体、農民団体、女性・青年・学生団体、医療団体などとの協議と調整を呼 びかけます。 4.たたかいの山場と節 (1)山場を主体的につくる  今年の春闘は、自覚的にたたかうことが大切です。賃金闘争では、電機、鉄鋼など連合・ 大手組合がベア要求を断念するなど、春闘そのものを否定する「濁流」が流れ、政府の悪 政と大企業の激しいリストラ「合理化」攻撃という「逆流」のもとでのたたかいだからで す。春闘の山場は、全労連・春闘共闘に結集する労働者・労働組合のたたかいの中で、自 らで位置づけ、設定するものです。職場でのたたかいも、全体の山場にあわせ、組み立て ていくことが大切です。「逆流」と「濁流」に抗して、要求実現めざす「清流」を太い流れ にするための努力が求められています。 (2)たたかいの節  春闘は、構想・準備段階を経て、4月までが本番のたたかいです。始めから一気に高め ることはできません。活動の水準を1月段階から2月、3月の山場、さらに4月の国民総 ぐるみのたたかいに向かって、徐々に高めていくことが大切です。助走から始めて、3段 飛びの要領です。各支部は、組合員を主人公にしてホップ(1月)、ステップ(2月)、ジ ャンプ(3月)、そしてさらに飛躍(4月)するように行動を展開します。 【1月段階〜職場・地域で対話と学習をすすめる】  1月から2月下旬までを、組合員との対話と学習を強化するための推進期間にします。 1月26日(土)に開催する全厚生第43回中央委員会で、2002年春闘方針を決定し ます。各支部は、この方針の具体化を執行委員会で討議し、職場に提起します。職場では 学習を強め、たたかいの意思統一を行います。 【2月段階〜要求の確立、地域の仲間とたたかう】  国公労連は、2月1日(金)に第113回中央委員会を開催し、2002年春闘統一賃 金要求を決定します。この賃金要求の実現めざし、職場・地域でたたかいます。  2月13日(水)〜15日(金)を全国統一行動週間に設定します。この期間に「全員 参加の昼休み職場集会」を開催し、支部・分会独自要求案を提起します。併せて、当面す る行動の意思統一を行います。支部・分会の独自要求は、2月中に確定させ、遅くとも3 月初旬には所属長に提出します。本部は、この期間に厚生労働省、社会保険庁に対し、統 一要求書を提出します。要求提出後は、団体交渉でねばり強く要求実現を迫ります。 【3月段階〜ねばり強い交渉、力を集中してたたかう】  全厚生は、職場からねばり強く交渉を積み上げながら、本部段階の団体交渉で要求実現 を迫ります。全労連・春闘共闘の決めた山場(3月14日・集中回答日、3月15日・ス トライキを含む全国統一行動日)のたたかいに結集します。全厚生は国公労連の提起する NTTなど大企業を包囲する全国一斉宣伝行動に結集します。  公務員賃金闘争は、政府・人事院に対して職場からたたかいます。3月下旬の最終回答 日には、国公労連として政府・人事院に「責任ある回答」を迫り、全国統一行動を展開し ます。全厚生は、国公労連の提起する「目にみえる大衆行動」に全力で結集します。 【4月段階〜国民総ぐるみのたたかいに全員結集する】  全労連・春闘共闘は、国民総ぐるみのたたかいを呼びかけています。その内容として、 同じ日に全国いっせいに決起する「国民ストライキ」(4月中〜下旬)を提起しています。 この提起を積極的に受けとめ、国公労連が提起する全組合員の参加による「休暇宣伝行動」 の取り組みを各支部・分会が工夫しながら全力で結集します。  4月下旬(又は連休明け)に全国支部委員長会議を開催します。この会議では、春闘の 取り組みの中間的な総括を行い、5月以降の新たなたたかいの意思統一を行います。  5月1日(水)の第73回メーデーは、新しい仲間にも参加を呼びかけ、各支部とも最 大規模の結集をめざします。 W 民主的公務員制度確立、行政民主化のたたかい 1.公務員制度改革とのたたかい @ 政府・行革推進事務局は、昨年12月25日に「公務員制度改革大綱」を閣議決定し ました。焦点である労働基本権問題は、「公務員の労働基本権の制約については、今後もこ れに代わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持すること」としています。能力等 級制度の導入を基礎にした新人事制度の構築では、各省庁の人事管理の権限を拡大させる 方向を示しています。使用者側の権限を拡大・強化する一方で、労働者の人間らしく働く 上で最大限尊重されるべき労働基本権保障の具体的内容は明らかにされていません。この 一方的な決定は、断じて許されるものではありません。公務員制度改革のスケジュールは、 2005年度末までに計画的に行うとしています。政府の言いなりになる行政体制づくり、 公務員の働き方の基本を根本的にかえる攻撃に対し、民主的な公務員制度の確立をめざす 立場での取り組みを強化しながら、春闘の中心課題に位置づけてたたかいます。 A 今後のたたかいの基本方向は、@国民的な支持と共同を大きく広げる、A政府・当局 の使用者責任の追及、B政府による一方的な労働条件の不利益変更に反対する職場からの たたかう態勢づくり、を引き続き重視してたたかいます。このたたかいを攻勢的にすすめ るために、職場での学習活動を決定的に重視します。また、公務員制度改革の問題点を職 場から徹底的に追及し、かつ労使関係を重視して取り組みを展開します。大綱決定以降の 具体的なたたかいは、国公労連・公務員制度改悪反対闘争本部での討議を経て、全厚生第 43回中央委員会に追加提案します。 2.25%定削反対、行政民主化・行政研究活動の取り組み  職場では今、深刻な定員不足の実態を無視して計画的な定員削減が強行されています。 これ以上の削減をすすめれば、行政サービスの後退は避けられません。さらに、行政に対 する国民の信頼も失いかねない事態です。全厚生は、労働条件の確保と国民本位の厚生労 働行政の拡充めざし、定員削減に反対し、行政ニーズ・職場実態に応じた定員確保のたた かいを総力をあげて取り組みます。  国民の願いに応える厚生労働行政の確立をめざして、職場から行政民主化、行政研究活 動に着手することを定期大会で決定してきました。それぞれの職場、行政の現場から、自 らの仕事と労働を国民の立場から見直し、検証することが大切です。現在、全厚生の各部 門で、行政研究活動の具体化の方向・すすめ方を検討していますが、各部門の支部代表者 会議でさらに深めます。社会保険部門では、当面、年金制度の課題について具体的なテー マを明らかにして取り組みを始めます。 X 賃金・労働条件改善めざすたたかい 1.賃金改善のたたかい @ 政府・財界が一体になった総人件費抑制の攻撃は、毎年、賃金水準を切り下げ、労働 者の暮らしを悪化させています。こうした下で、生活改善、賃金改善をめざす春闘の役割 は重大です。全労連は、「大幅賃上げ」「すべての労働者の賃金底上げ」「最低賃金の改善」 を三位一体として重視し、民間労働者、公務労働者、地方・地域組織が共同してたたかう 賃金闘争を呼びかけています。政府・財界は、春闘で民間賃金を抑え込み、その上で人事 院勧告による公務員賃金の抑制をねらっています。全厚生は、民間の労働者、労働組合と ともに、自らの賃金要求を掲げ、この春闘期を決定的に重視してたたかいます。 A 私の要求アンケートにもとづき、2月1日の国公労連第113回中央委員会で200 2年春闘統一賃金要求を決定します。この賃金要求を掲げ、使用者である政府及び人事院 に対して、職場からのたたかいを背景に「誠意ある回答」をねばり強く追及します。とり わけ、公務員制度改革の焦点である労働基本権保障の立場で使用者責任を追及します。 2.雇用と働くルール、労働条件改善のたたかい  昨年4月の厚生労働省の通達「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずるべき措置 に関する基準について」の精神は国公労働者にも充分生かされるべきです。すべての職場 から、「ただ働き、サービス残業」の根絶はもちろん、労働時間の短縮に向けて力を尽くし ます。試験研究機関の組織再編・「基盤研」の課題では秋闘の到達点を踏まえ、誇りをもち 働き続けられる職場環境の整備、職員の意向を尊重した雇用保障の立場に立ち、全力で取 り組みます。新再任用制度の実効ある運用を迫る取り組みを強めます。昇格や労働条件の 改善は「継続は力」、ねばり強くたたかいます。また、厚生労働省は、昨年11月、「厚生 労働省−女性職員採用・登用計画」を策定しました。女性の採用・登用の拡大を積極的に はかるともに、職場環境の整備とセットで進めるよう要求します。各職場でも、男女とも に働きやすい職場環境づくりに取り組みます。 3.独立行政法人・栄研支部のたたかい  独立行政法人・栄研支部は、新たな労使関係のもとで労働条件改善のたたかいを本格的 に開始しています。職場では管理体制を強めたり、公務員制度改革を先取りした動きが出 ています。また、特殊法人改革の影響などもあり、独立行政法人通則法「改正」の動きも 出ています。こうしたもとで、労働条件の維持・改善するうえで、労働組合の役割が極め て重要になっています。支部での討議を重視し、基本要求を練りあげ、引き続き労働協約 づくり、労使協定、労働協約改定のたたかいに全力をあげます。 Y 医療大改悪阻止、平和と民主主義を守るたたかい 1.医療大改悪・悪政阻止を国民的にたたかう @ 小泉「構造改革」は、社会保障の分野でも大なたをふるっています。この通常国会の 最大の焦点となる医療大改悪とのたたかいは、年金や介護を含む社会保障制度の抜本改悪 の流れでの最大の対決点です。小泉内閣の悪政を阻止するたたかいの中心課題となるもの です。医療大改悪の中味は、医療保険制度の歴史の中で初めての本人3割負担の導入や保 険料の引き上げ、高齢者の大幅な負担増などを強行するものです。小泉首相は、「米百俵」 に続き、患者・保険者・医療機関の「三方一両損」で我慢は当然などとすりかえています が、とんでもありません。国の負担は削り、製薬企業の負担増は全くありません。全労連 は、この医療大改悪に対し、「いのち削るな、医療を守れ」の国民的なたたかいをつくるた めに、「医療共同行動委員会(仮称)」を全国津々浦々で結成し、署名行動や各団体が共同 した「全国キャラバン行動」などを計画しています。全厚生は、「医療共同行動委員会」に 結集して、国民的なたたかいの一翼を担い奮闘します。 A 政府・厚生労働省は、国立病院・療養所を独立行政法人にするために、通常国会に独 立行政法人個別法を提出します。また、この時期になりふりかまわず、統廃合・移譲をは じめとする再編成「全体計画」を強行しようとしています。まさに、国立医療の切り捨て 攻撃とのたたかいが激しさを増しています。こうした攻撃をはね返し、国立病院の存続・ 拡充、国立医療を守るたたかいに全力をあげます。 B 政治の行方は、私たちの暮らしや働き方に直結しています。国民犠牲の悪政を阻止し、 国民・住民の切実な願いや要求が届く政治を実現するために奮闘します。地方自治体の首 長選挙では、「暮らしを憲法に生かす」、「住民こそ主人公」の基本が尊重され、国公労働者 の要求が実現する方向での「政策合意」が確認でき、労働組合と協力・共同の関係にたつ 候補者の場合、機関会議の手続きを経て、勝利をめざしてたたかいます。 2.憲法・教育基本法擁護、平和と民主主義を守るたたかい  憲法擁護の旗を掲げ、憲法改悪を阻止する国民的な運動に結集します。憲法と教育基本 法の学習を強め、「憲法遵守・平和職場宣言」運動に引き続き取り組みます。戦争につなが るあらゆる策動をくいとめ、憲法第9条を守り、生かすために全力をあげます。  核兵器のない21世紀を実現するために、「3.1ビキニデー」「国民平和大行進」「原水 爆禁止2002年世界大会」の成功のために奮闘します。参加の取り組みは、各支部とも、 過去最高の水準をめざします。国民平和大行進は、今年もリレー旗でつなぎ、全厚生の平 和への願いを束ね、原水爆禁止2002年世界大会に結集します。 Z 魅力ある組織活動と組織強化・拡大のとりくみ 1.組合員が主人公の春闘をつくる  2002年春闘は、職場での対話活動を強め、要求討議、要求づくりを出発点として、 意気高くたたかいます。要求討議を重視するのは、「春闘で全国的な闘争が組織される時期 に合わせ、職場を今一度見つめ直し、自らの要求を語りあうことは、春闘を一人ひとりの 組合員のたたかいの場と位置づけることにつながる」(全厚生第65回定期大会決定)との 理由からです。この討議を通じて、職場のすべての仲間との相互理解を深めます。労働組 合の団結をあらためて“つくりなおす”決意をもち、要求に根ざしてたたかいます。また、 「みんなで討議し、みんなで決めて、みんなで行動する」ことを重視し、攻勢的にたたか います。そのために、たたかいと結びつけた学習活動を重視します。 2.青年、女性、各階層の取り組み  青年、女性、シニアなど、すべての構成員が生き生きと活動する春闘をめざします。青 年(対策)部、女性部の自主性を尊重し、春闘をたたかいます。青年の取り組みは、「平和・ 学習・交流」を重視します。女性部は、「ともに生きる〜人が人らしくあるために」をテー マにして第26回全厚生女性交流集会(2月23日〜24日・大阪)を開催します。この 集会を成功させるために力を尽くします。 3.パート・臨時労働者の要求とたたかい  いま、パート、臨時、派遣などの非正規雇用の労働者が急激に増加しています。特に派 遣や委託労働者が増加しています。その理由は、これまで企業は正規労働者をパートに置 き換えてきましたが、さらなる人件費の抑制をねらい、派遣や委託に切り換えているため です。公務でも同様な事態が進行し、定員削減のもとで定員外職員が増加傾向にあります。 パート・臨時労働者の状態を改善しない限り、ルールなき競争に歯止めはかけられません。  業務センター支部の賃金職員の組織化とたたかいでは、賃金職員の自主的な運営を重視し て、正規労働者とパート労働者が共に力をあわせてたたかっています。決して請け負いで はないこと、これが勘所です。この春闘で、各支部での定員外職員の実態を把握する努力 を行い、処遇改善の課題や組織化の条件を検討し、必要な働きかけを行います。 4.組織強化、拡大の取り組み @ 組織の強化・拡大は、日常活動なしには前進させることができず、かつ目的意識的な 取り組みが必要な分野です。労働組合は、仲間が増えることによって、新しい息吹、新た な活力を生み出すものです。組合員を増やすことを常に意識して追求していくことが大切 です。各支部は、現在の組織率や、支部・分会の確立状況を考慮し、組織の強化・拡大の 目標と計画をつくり、取り組みます。春闘は、労働組合が最もみえる時期です。また、4 月には新入職員が入ります。全厚生は、「4月〜6月」までを「春の組織拡大特別期間」に 設定します。事前の準備をおこない、職場のすべての仲間を対象に、組合加入の運動を旺 盛にすすめます。「仲間どおしのたすけあい(愛)」をスローガンにする国公共済会への信 頼が高まっています。引き続き、組合員の6割の加入を、めざして運動を展開します。組 合員の加入促進の運動と連携させて、「4月〜6月」を「国公共済会加入特別期間」に設定 して、取り組みを強めます。 A 国公労連は、第112回拡大中央委員会(2001年12月14〜15日)で「組織拡大4カ 年計画(チャレンジ30)」(骨格案)を提起しました。これは、「いま、公務・民間ともに、 労働組合の存在と役割が社会的にも組織内からも問われており、その組織的力量と社会的 影響力の拡大・強化が必須の課題になっている」という問題意識のもとで積極的な提起を したものです。全厚生は、この提起を受けとめ、次期定期大会にむけて、組織拡大・強化 の具体化をめざす組織方針(案)を策定するために努力します。 【年間のたたかいを構想し、要求の前進を−全厚生第65回定期大会決定より】  年間のたたかいが、課題や情勢に追い立てられるような活動になっていませんか。要求 実現のために、1年間の基本的な活動サイクルを理解し、要求の確立、交渉配置など、構 想をもってたたかうことが重要です。職場活動を基礎にして、たたかいにメリハリをつけ、 常に組織の前進に結びつける目標やたたかいの構えをつくる議論を各支部で重視すること が大切です。常に相撲でいう「心・技・体」を充実させて、たたかうように努力します。 《全厚生の年間活動の流れと全体の会議配置−春闘以降》 【春闘】   1月末         中央委員会で春闘方針の決定、全厚生統一要求の決定   2月(春闘本番)    たたかいの意思統一、要求の確立・要求書の提出へ           (要求書の提出後、年間を通じて要求実現を迫る)   3月〜4月段階     力の集中で交渉強化、国民春闘の山場のたたかい   4月末(又は連休明け) 全国支部委員長会議で春闘総括と引き続くたたかいの強化   5月         メーデー、春闘最終盤の追い上げ、国会闘争へ 【夏季闘争】 6月      国会闘争最終盤のたたかい、夏季闘争の準備   7月初旬〜   全国支部委員長会議で大会方針案の討議、夏季闘争の取り組み強化   7月      人事院勧告期、概算要求期でのたたかい 8月〜9月初旬 人事院勧告直後からのたたかい、定期大会方針(案)の事前討議 [ 中央行動・集会等の配置・取り組み 【1月段階】 @1月末まで  県・地区国公の春闘討論集会・学習会  A1月11日(金) 日経連臨時総会に対する包囲・抗議行動、宣伝行動の日  B1月16日(水) 第3水曜日の定時退庁行動  C1月26日(土) 全厚生第43回中央委員会 【2月段階】 @2月1日(金)  国公労連第113回中央委員会 A2月中      不払い残業根絶、働くルール確立強化月間  B2月13日(水)〜15日(金)            国公労連全国統一行動週間(全員参加の昼休み職場集会) C2月14日(木) 医療改悪阻止1万人集会  D2月15日(金)〜18日(月)            国公女性のつどいin沖縄  E2月20日(水) 第3水曜日の定時退庁行動  F2月20日(水) 列島騒然・地域総行動−国公労連全国統一行動  G2月23日(土)〜24日(日)            全厚生第26回女性交流集会  H2月27日(水)〜3月1日(金) 3・1ビキニデー集会 【3月段階】 @3月13日(水) 国公労連中央行動  A3月15日(金) 春闘山場(民間労組はストライキを配置)全国一斉の宣伝行動  B3月中      一時金支給日を中心にアフガニスタン難民支援の職場カンパ   C3月20日(水) 第3水曜日の定時退庁行動  D3月下旬     国公労連全国統一行動(目にみえる大衆行動の展開) 【4月段階】  @4月〜6月    春の組織強化・拡大特別期間  A4月中・下旬  「国民ストライキ」に全組合員参加による「休暇宣伝行動」で結集  B4月中旬     国公労連・第9回青年組織と運動の交流集会  C4月17日(水) 第3水曜日の定時退庁行動  D4月下旬(又は連休明け)全厚生全国支部代表者会議  E5月1日(水)  第73回メーデー 〈健康に充分気をつけて、仲間を信じて、2002年春闘を精一杯がんばりましょう!〉